長方形から出たユニ達は目の前に広がる光景を見て呆然となる。そこには巨大な壁で囲まれた町があった。しかも全てのものが四角形で出来ている。と、楓が口を開いた。
「懐かしい風景だ。思い出したくないことばかりだ。」
「楓ちゃん?」
「ううん、気にしなくていいよ。」
二人が話している中、ビオラが口を開く。
「さ、行きましょう。」
そう言うとビオラはヴァンを連れて町の中へと入っていく。ユニ達もその後を追う。中に入るとそこには町が少し荒れている場所があり、見張り灯が隅々まである。さらには村人は全て同じ体、同じ表情をしていると、悠岐が口を開く。
「この町に何故見張り灯があるのか、知っているか?」
「一体どうして?」
「奇襲だよ。ある敵mob達の奇襲を受けないようにな。」
「ある敵mob達?」
「そう、そいつらを監視して臨機応変に対応するためさ。」
ユニと悠岐が話している中、ビオラがある建物を指差して言う。
「あちらの建物に市長様がいらっしゃいます。ご挨拶に行きましょう。」
ビオラが指さす方向。そこには回りにある建物とは別に広く、高い建物だった。ユニ達はそこに入っていく。中に入るとそこには村人とは別の服を着ていて背丈は2mほどある男がいた。彼を見たヴァンが口を開く。
「これは久しいな、スティーブ。」
彼が言った瞬間、スティーブはビオラ達に近づく。相変わらず彼は背の高い啓介やヴァンと比べても一目瞭然であった。
「これはこれは、ビオラ女王陛下ではありませんか。お久し振りです。」
老人の声が響いたかと思うと奥から杖を使ってゆっくりビオラ達に近づく老人が現れた。彼を見たビオラが彼に近づき、言う。
「こちらこそお久し振りです、ジョブス様。」
そう言うとビオラはジョブスと手を取り合う。彼女に続いてヴァンも彼と手を取り合う。そしてビオラが口を開く。
「彼がこの
「お初にお目にかかります、ジョブス様。」
そう言うと悠岐、楓、啓介は膝をつき、頭を下げた。それを見たユニが口を開く。
「わ、私達もやったほうがいいですか?」
「無理してやらなくてもいいんじゃ。」
「そ、そうですか・・・。」
魔理沙と霊夢は思わず呆然となってしまう。と、ジョブスが口を開く。
「みなさん、少しお疲れじゃろう。今夜はここで泊まってくだされ。もう日も暮れますぞ。」
「そうですね、今夜はここで泊めてもらいましょう。」
「俺は啓介と同じ部屋で泊まるとするか。」
「あぁ、そうだな。ついでにピンも一緒にするか。」
「ヨロシク、ユウキクンニケイスケクン。」
「私はもちろん霊夢と同じ部屋にするぜ。」
「私は楓ちゃんと同じ部屋!!」
「・・・あぁ、いいさ。」
「私はヴァンと同じ部屋にします。」
「ヴァン、陛下に変なことするなよ!」
「私は啓介とは違う。」
「そうそう、この町は『ゴッドフェス』といって神を祭る行事があるんですよ。」
「今度行ってみるか!」
そう言うと9人はそれぞれの部屋に移動していった。
場所は変わってユニ&楓の部屋。そこではユニは外の風景を見ていて楓はベッドに腰を下ろし、下を向いていた。それに気づいたユニが彼女の隣に腰を下ろし、口を開く。
「楓ちゃん大丈夫?さっきから元気がないよ。」
「私は大丈夫だよ。心配することなんてない。」
「そう言われるともっと心配になるのよねぇ。ね、楓ちゃん。私だけに教えてくれないかしら?」
「・・・分かった。」
そう言うと楓は立ち上がり、外を見ながら口を開く。
「悠岐から聞いているだろう?マインという男のことについて。」
「うん、聞いたよ。」
「半人半悪魔はもう一人いる。彼女の名はルーシー。」
「ルーシー?」
「そう、彼女も私や悠岐、マインと同じ半人半悪魔だ。彼女は・・・彼女は、殺された。」
「なんですって!?」
「突然だった。私と帰り道、別れた翌日に死んでいた。」
「そんな・・・。」
「さらにもう一つ聞いてくれ。私はガノンドロフやクリーフル達が幻想郷を襲撃する前、
「彼は?」
「彼は・・・ゾンビに喰われて死んだ。」
「なっ!?」
「私は・・・私は・・・。」
すると、話していた彼女の声が涙ぐんできた。その状態になりながらも楓は話を続ける。
「私は・・・守れなかった。ルーシーも、和也も。私が側にいれば死なずにすんだのに!!」
その瞬間、彼女は声を上げながら泣き始めた。それを見たユニは立ち上がり、彼女に近づく。それに気づかず、楓は再び口を開く。
「私は・・・守るべき人を守れなかったんだ。私が臆病だから・・・私が・・・!?」
楓が話している途中にユニが彼女を後ろから抱きついた。それを見た楓が顔を赤くして口を開く。
「ユ、ユニ?」
「分かるよ、楓ちゃん。あなたの気持ち、理解出来るよ。」
「・・・どうして言い切れるんだ?」
「あなたから伝わってくるのよ、ルーシーや和也君に対する気持ちが。十分に私の体に伝わってくる。」
「・・・。」
「分からなかったら私はこんなことをしないわよ。」
ユニが言った瞬間、楓は再び涙を流し、彼女の腕を優しく掴み、言う。
「ユニッ、ありがとう・・・ありがとう。」
楓はユニに感謝をしながら言い続けた。
「ゾンビだぁー!ゾンビ達が奇襲しに来たぞー!」
突如辺りに男の声と鐘の音が鳴り響いた。それを聞いたユニと楓はすぐに窓の外を見る。そこには先程まで外で歩いていた人達が急いで建物の中に入っていった。それを見たユニが言う。
「楓ちゃん、これって・・・。」
「さっき悠岐が言っていたことがまさか今日に限って起こるなんて予想外だ。ゾンビ達が町を奇襲しに来たんだ。」
「楓ちゃん!!」
「分かってる!!」
そう言うと楓とユニは武器を手に取り、部屋を飛び出していった。
町に突然響き渡る鐘の音。ゾンビの奇襲。一体どうなる!?
次作もお楽しみに!