東方混沌記   作:ヤマタケる

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紫に化けていたビオラが来た目的は霊夢、魔理沙、ユニを現世へ案内するためだった。そして霊夢、魔理沙、ユニは現世へ!(ピンも含む)


第63話 王の集い場 兄との再開

門を通りすぎるとそこには虹色に輝く空間が現れた。それを見たユニが言う。

 

「ここが・・・現世?」

 

「いえいえ、ここは幻想郷から現世へ行くための通路です。ここを通り抜ければ現世へ行けます。」

 

そう言ったのはビオラだった。と、ヴァンが悠岐と楓を見て言う。

 

「そうだ、悠岐に楓。二人に言い忘れていたことがある。」

 

「何だ?ヴァン。」

 

「実はな、悠岐と楓が幻想郷でカオスと戦っていた時、現世では不可解な出来事が起こったんだ。」

 

「不可解な出来事?」

 

「現世では連続殺人が起こったんだ。」

 

「連続殺人だと!?」

 

「それも死体の多くは赤ん坊や小学生1年ほどだ。どれも変死体で見つかっている。」

 

「酷い・・・一体誰がそんなことをするの!?」

 

「それがユニ、まだ犯人は見つかってないんだ。」

 

「えっ!?」

 

「影舷隊やメルト・グランチ様に協力を依頼したのだが見つかりそうもない。手掛かりすら見つからないのだから。」

 

「手掛かりすら見つからないなんて・・・。そんな難事件があるんだな。」

 

啓介が言ったのと同時にビオラが下を向きながら言う。

 

「・・・犠牲になった子供達の中に、私の弟も含まれていました。」

 

「!?」

 

彼女の言葉を聞いたユニ達は思わず声を上げてしまう。そんな中、ヴァンがビオラの隣に並び、言う。

 

「陛下は弟様を大変愛していたのです。その愛しの弟様を殺された絶望は大きいのです。」

 

「陛下・・・。」

 

楓が言った瞬間、ビオラの目から涙が零れ始めた。と、ビオラがヴァンの腕に飛びつき、言う。

 

「私は、許しませんよ・・・。必ず弟を殺した犯人を見つけ出します!どんな手段を使ってでも。」

 

「陛下・・・。」

 

と、突然先程のことがなかったかのようにビオラが前を指差して言う。

 

「もうすぐ現世へ到着しますよ。」

 

「おぉ!楽しみだぜ。」

 

「あぁ、あの学園を出たきりだな。」

 

「?楓ちゃん、あの学園って?」

 

「後で話すよ。」

 

そのまま9人は奥に見える光の元へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ここが・・・現世。」

 

通路を通り抜けるとそこには赤いカーペットがひかれた広くて長い空間が現れた。と、悠岐と楓と啓介とヴァンがビオラの隣に並ぶ。そしてビオラが霊夢、魔理沙、ユニ、ピンに言う。

 

「ようこそ、現世へ!ここでは幻想郷とは全く違う文化を味わうことができます。さぁ、みなさん。奥へ参りましょう。五大王の方々が待っています。」

 

彼女が言った瞬間、啓介がユニ達に手招きをする。それを見た霊夢がユニに言う。

 

「よかったじゃない、久し振りにお兄さんに会えるんだから。」

 

「うん!私はとても楽しみだよ。」

 

「ハヤクイコウヨ!」

 

ピンに言われたため、霊夢、魔理沙、ユニはビオラ達の後を追う。1分もしない内に9人は左から巨大なドラゴンや龍、王冠を被った謎の生物などの絵が描かれている扉の前に着いた。と、魔理沙が絵を指差しながら言う。

 

「なぁ、ヴァンさん。この絵は何なんだ?」

 

「これか?これらは全ての世界共通して信仰されている神の絵だ。それぞれ右からバベル、龍神様、ガイルゴールとなっている。」

 

ヴァンの言葉を聞いたユニは首を傾げながら彼に問う。

 

「ヴァンさん、龍神様とガイルゴールは分かるのだけれど『バベル』って何者の神なの?」

 

「バベルは四角世界(マインクラフト)で伝えられている神の名前でその世界の何処かにある、『覇者の塔』の最上階にいる。」

 

「覇者の塔ってまさか・・・。」

 

「そう、覇者の塔は強き力を持つ者しか挑むことの出来ない塔。私の知る中で覇者の塔を制覇出来た者は一人もいない。」

 

「へぇ、面白そうな神様だな。」

 

魔理沙が言ったのと同時にピンが絵を凝視する。それを見た悠岐がピンに言う。

 

「おいピン、何をそんなに絵を見ているんだ?」

 

「リュウジンサマノシタニイルオンナノヒトッテダレ?」

 

ピンの言葉を聞いたユニは再び絵を見る。ピンの言う通り、龍神の下には女性の絵が描かれている。それを見たビオラが口を開く。

 

「まだ私達も分かってないのですが仮説では原初の人間であるイヴと言われています。」

 

「イヴってあのエデンの果実を守る、アダムとイヴのイヴのことなんですか?」

 

「よく分かりましたね、ユニ。中々知識があるようで。みなさん、ここで待っていて下さい。私とヴァンはセコンド様に報告をしてきますので。」

 

そう言うとビオラとヴァンは扉の奥へ入っていってしまった。それと同時に霊夢は先程ピンが言っていた絵を見る。

 

「なっ!?これは・・・。」

 

その瞬間、彼女は現世へ行く前の輝夜の言葉を思い出す。

 

(長い銀髪に青い瞳をしている奴だったわ。)

 

霊夢が今見ている絵がまさに輝夜が言っていたのと一致していたのである。しかし顔は目の部分以外が崩れているため、顔を見ることは出来なかった。と、楓が彼女に言う。

 

「どうした?霊夢。そんなピン見たいに絵を見て。」

 

「この女の人、輝夜が言っていた、『エリュシオン』と一致するのよ。」

 

「何だって!?」

 

彼女の言葉を聞いたユニ達は思わず声を上げてしまう。そんな中、霊夢が再び口を開く。

 

「いやでも、イヴさんだって長い銀髪に青い瞳をしているかもしれないのよ?」

 

霊夢が話している中、セコンドの元へ報告に行っていたビオラとヴァンが戻ってきた。そしてヴァンがユニ達に言う。

 

「さ、中へお入り下さい。」

 

ヴァンに言われたため、霊夢、魔理沙、ユニ、ピンの四人は部屋の中へと入っていく。四人が入った後に悠岐達も入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハッ、ようこそ友よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな声が部屋中に響いた。部屋の中に入ってきた瞬間、響いた。前を見るとそこには横幅が広い階段があり、その上に玉座に座る現世の王、セコンドが座っていた。ユニ達から見て左側には天然パーマの髪に黒い瞳、黄色のジャケットを着ていて青いジーパンを履いている男、小宝剛岐にカオス異変で突然現れたメルト・グランチがいる。そして右側には黒のハット帽に顔を包帯で隠していて目が赤い男、ゴールド・マーグルに黒い長髪に黒い瞳の男、アイアルト・モルトがいた。と、セコンドが楓に言う。

 

「久しいな、氷の友よ。」

 

「あぁ、本当に久し振りだな、セコンド。」

 

二人が話したのと同時にユニがモルトの方を見て言う。

 

「お久し振りです、兄様。私のことを覚えていますか?」

 

「あぁ、勿論覚えているさ。久しぶりだな、ユニ。」

 

それぞれ話している中、霊夢と魔理沙は唖然となりながら同時に口を開く。

 

「お、王が集まってる・・・。」

 

「当たり前じゃないですか。だってここは王の集い場、御所なんですから。」

 

「そ、そそ、そーなのかー。」

 

思わずルーミアがよく発する言葉を口にした霊夢と魔理沙だった。と、メルト・グランチがビオラとヴァンに言う。

 

「ビオラにヴァンよ、四人に現世を案内してあげたまえ。」

 

「承知しました。」

 

二人が彼にお辞儀をした瞬間、ピンが彼の方を見ながら言う。

 

「チョットマッテヨ!ボクノコトハナントモオモワナイノカイ!」

 

「ん?卿のことなら既に帝やマーグルに伝えたが?」

 

「オーノー!」

 

ピンが頭を抱えている中、モルトがユニを見ながら口を開く。

 

「ユニ、現世を十分に楽しんでこい。俺は用事があるんでな。」

 

「はい、楽しみます!」

 

「それではこの方々を案内して参りますね。」

 

「みなさん、着いてきて下さい。」

 

そう言うとヴァン、ビオラは霊夢達を連れて部屋から出ていった。ビオラ達が行ったのを見たセコンドは四人に言う。

 

「あの日が近い。準備を始めるぞ、友よ。」

 

「当たり前だ。」

 

「勿論さ。」

 

「まさかこんな時に来るとはな。」

 

「千年殃禍がねぇ。」

 




兄との再開、近づく千年殃禍。今後どうなるのか?
次作もお楽しみに!


P,S
最近投稿するペースがかなり遅くなってしまってすいません。これからなるべく早く投稿していきますので東方混沌記をよろしくお願いいたします。

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