東方混沌記   作:ヤマタケる

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メルト・グランチによると悠岐の状態は堕天の影響だと言う。


第62話 女王と臣下

メルト・グランチが帰り、静かになってしまった永遠亭。

 

「・・・あれ、ここは・・・。」

 

「悠岐!?」

 

悠岐がゆっくりと起き上がりながら言う。そんな彼とは別に楓がすぐさま彼に飛び付く。それを見た霊夢達は思わず目を見開いた。と、悠岐が彼女に言う。

 

「お、おい。楓?」

 

「良かった・・・・悠岐が目を覚まさないと考えてたら私どうしようとなってたんだ。本当に、良かった・・・・。」

 

そう言う彼女の目には大量の涙が流れていた。それを見た悠岐は彼女を優しく抱きしめ、言う。

 

「ごめんな、楓には迷惑をかけちまったな。」

 

それを見ていた啓介達は笑みを浮かべる。と、ピンが何かに気づき、外を見る。そして言う。

 

「ナニカクルヨ!」

 

彼が言った瞬間、霊夢達は咄嗟にピンが向いている方向を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カァ~、カァ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭に入ってきたのは1通の手紙をくわえたカラスであった。それを見た楓がピンに言う。

 

「おい。まさかこいつが何かの気配だとは言わないよな?」

 

「ゴ、ゴメン。コレナンダヨ。」

 

それを聞いた楓は肩を落としてしまう。そんな中、啓介はカラスから手紙を受けとる。そのままカラスは何処かへ飛んでいってしまった。その後、啓介は手紙の中身を見る。そして言う。

 

「『皆様にお会いしたいしお話がしたいのでマヨヒガまで来てもらってよろしいでしょうか?』だと。」

 

「マヨヒガまでって、あっちからここへ来ればいい話じゃない。」

 

「仕方ないぞ、霊夢。なんせこれは陛下からの手紙なんだからな。」

 

「陛下って?」

 

「行けば分かる。さぁ、行こう。」

 

そう言うと悠岐、楓、啓介、ピンの四人は立ち上がり、永遠亭から出ようとした。それを見た霊夢、魔理沙、ユニは永琳を見て言う。

 

「ありがとう、永琳。」

 

「フフ、また来なさい。」

 

そのまま三人は四人の後を追った。永琳、輝夜、鈴仙はその様子を黙って見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マヨヒガへ向かっている中、ユニが楓に言う。

 

「ねぇ、楓ちゃん。輝夜が言っていた『エリュシオン』って何者なんだろうね。」

 

「さぁ。私も聞いたことがない名前だからな。ただ、輝夜が恐れる程の奴なのは分かるな。」

 

「私達と戦うことになるのかな・・・。」

 

「分からない。仮に戦うことになったら多くの犠牲者が出るな。」

 

ユニと楓が話している内にマヨヒガまでやって来た。と、ピンが口を開く。

 

「ア、アレハユカリサンカナ?」

 

ピンが指差す方向。そこには日傘をさしている美しい女性がいた。彼女を見たユニが首を傾げながら言う。

 

「おかしいわね、今のこの時期に紫は冬眠しているはずなんだけれど・・・。」

 

「おやおや、ばれてしまいましたか。」

 

紫が言った瞬間、彼女の体の回りから煙のようなものが舞い上がった。霊夢達はそこをじっと見つめる。

 

「紫さんにもっと聞いておけば良かったですね。これは参りました。」

 

紫とは別の声が聞こえたかと思うと煙の中から紫ではなく、腰まで伸びる赤髪に赤いリボンがついているヘッドホンをかけている女性がいた。彼女を見たユニが目を見開いて言う。

 

「ビオラ陛下じゃないですか!」

 

「ビオラ陛下?あの人が?」

 

魔理沙が言った瞬間、ビオラは頭を抱えながら箱を持って言う。

 

「いや~、久し振りに生まれ変わる前の私が使っていた帝具、『変幻自在ガイアファンデーション』を使ったのですが紫さんのことを詳しく聞かなかったのでユニに見破られましたね。」

 

「生まれ変わり?どういうことですか?陛下。」

 

ユニの言葉を聞いた瞬間、悠岐達はピクリと体が反応する。と、ビオラが口を開く。

 

「言い忘れていましたが、現世の方々の7割は一度死んで生まれ変わった人達なのですよ。私が会った中で既に10人以上は生まれ変わりですよ。」

 

「そ、そんなに・・・。」

 

霊夢が言った瞬間、ビオラは楓を見ながら言う。

 

「楓、あなたなら私の顔に見覚えがあるでしょう?」

 

「!!」

 

「私とあなたは嘗ては殺し屋の一員。あなたは一撃必殺村雨を持つ方だった。違いますか?」

 

「・・・はい、確かにその通りです。」

 

楓が言った瞬間、マヨヒガの屋根の上から何者かが降りてきた。霊夢達は降りてきた人物を見る。降りてきたのは白い肌に整った目鼻立ち、赤い瞳に長い銀髪を黒いリボンで束ねている男だった。男を見た魔理沙が言う。

 

「あ、あんたは吸血鬼か?」

 

「えっ!?」

 

魔理沙の言葉を聞いた瞬間、霊夢とユニは思わず声を上げてしまう。そんな中、男が言う。

 

「如何にも、私は吸血鬼でありながら陛下の臣下を務めます、ヴァン・グレイダーと申します。」

 

ヴァンが自己紹介をする中、啓介がヴァンの隣に近づき、言う。

 

「俺とヴァンは同期だったんだぜ。」

 

「そ、そうなんだ!!」

 

ユニが驚き、声を上げる中、ビオラがヴァンに言う。

 

「ヴァン、今回の私達の件を話して上げてください。」

 

「承知いたしました、陛下。」

 

そう言うとヴァンはユニ達の方を向き、言う。

 

「今回我々がここへ来たのは他でもないあなたは方を現世へ案内するためです。」

 

「げ、現世に!?」

 

ヴァンの言葉を聞いた霊夢、魔理沙、ユニは同時に声を発する。そんな三人とは別にヴァンは話を続ける。

 

「セコンド様から許可が得られたので是非案内してくれとの命令です。ですがみなさん、1つだけ約束していただきますか?」

 

「何?ヴァン。」

 

「現世ではスペルカードルールは禁止ですので決して使わないようにしてください。」

 

「スペルカードルールが禁止ですって!?それだったらどうやって身を守ればいいのよ?」

 

「簡単なことです、鋭利な刃物を持っていれば大丈夫です。」

 

「あんまり安心出来ないぜ・・・。」

 

霊夢と魔理沙が不安になっている中、ユニがヴァンを見て言う。

 

「もしかしてだけど兄様と会えることってある!?」

 

「えぇ、勿論ですよ。現世を案内する前にまず五大王の方々に会わせますから。」

 

「良かった・・・・。」

 

それを聞いたユニはほっとするような表情を浮かべた。と、ビオラが左手を上げた。その瞬間、ネザーゲートのような形をしたものが現れた。そしてビオラはユニ達に言う。

 

「この門を通れば現世へ行けます。さぁ、みなさん。行きましょう!!」

 

そう言うと彼女は門を通っていってしまった。彼女に続いてヴァン、悠岐、楓、啓介も入っていく。と、ユニが霊夢と魔理沙とピンに言う。

 

「楽しみね、現世は。」

 

「えぇ、何があるのか分からないしね。」

 

「きっと私が興味ありそうなものだかりだぜ。」

 

「タノシミタノシミ!!」

 

「フフ。さぁ、行きましょう。」

 

そう言うと四人は同時に門を通っていった。その瞬間、門が消えていった。




ユニ達はついに現世へ行くことを許可され、現世へ向かうことに。一体どんな世界が広がっているのか?
次作もお楽しみに!

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