第61話 堕天
場所は永遠亭。そこでは突然として倒れてしまった悠岐を診る永琳とそれをただ見つめる霊夢、魔理沙、ユニ、楓、啓介、ピンがいた。と、永琳が言う。
「変ね・・・。体のどこにも異常はないのに目を覚まさないわ。」
「マサカ、シンジャッタノ!?」
「いいえ、息があるから生きているわ。」
「でも、どうして・・・。」
「私にも分からないのよ、楓。私も今までこんな患者には出会ったことないわ。一応詳しそうな人を呼んでいるのだけれど・・・。」
「お師匠様、来ました。」
永琳が言った瞬間、外で詳しそうな人を待っていた鈴仙が彼女に言った。それを聞いた永琳が口を開く。
「分かったわ。すぐに中に入らせなさい。」
「は、はい!さぁ、こちらです。」
鈴仙が言うとその人は悠岐達がいる部屋の中へと足を踏み入れる。
「ほう、まさか黒き刀とはねぇ。」
「あ、あんたは!!」
男が言った瞬間、霊夢達は思わず声を上げてしまう。中に入ってきたのは長身で後ろ髪を縛っていて悠々とした歩き方に両腕を背に回している男だった。彼を見た瞬間、ユニは男の前に立ち、頭を下げて言う。
「お初にお目にかかります、メルト・グランチ・エンペラー様。私は闘王アイアルト・モルトの妹のアイアルト・ユニです。」
「おや?君がモルトの・・・。話は彼自身から聞いているよ。」
「お会いできて光栄です。」
ユニの行動を見た霊夢達は思わず唖然となってしまう。そんな中、啓介が言う。
「お前も来てたんだな、メルト・グランチ。」
「帝の命により来たのだよ。」
「そんなことはいい。早く悠岐を見てくれ、オッサン。」
「まぁ落ち着きなさい、氷の悪魔よ。」
彼が言った瞬間、霊夢はおそるおそる彼に話しかける。
「メ、メルト・グランチなの?」
「おや、久しいな。霊夢に白黒の魔法使いよ。」
「わ、私達のことを覚えていたのか?」
「ククク、この私が諸君らを忘れるとでも?」
そう言った瞬間、霊夢と魔理沙は言葉を失ってしまった。それに気にせず悠岐の元へと近づく。そして彼の側で腰を下ろすと彼の額に手を置く。それを見た霊夢が言う。
「あれは何をしているの?」
「アレハジョウタイイジョウヲタシカメルタメノヤリカタダヨ。」
「なんでピンさんが知っているの?」
「ナンデッテイワレテモ・・・ナンデダロ?」
二人が話している中、メルト・グランチが楓を見て言う。
「彼は
「あ、あぁ。私がアヌビスによって殺されかけた時に急になったんだ。」
「恐らくそれが原因だ。」
「えっ!?」
彼の言葉を聞いて思わず霊夢達は思わず声を上げてしまう。と、楓が彼に言う。
「ど、どういうことなんだ?」
「初回の
「目を覚ますためには?」
「待つしか方法はない。待って恐らく1日だ。」
「やはり待たなきゃいけないのか・・・。」
楓が肩を落としてしまう中、メルト・グランチは自分の顔を右手で押さえて言う。
「それと、諸君らに伝えたいことがある。」
「伝えたいこと?」
「2年前のあの異変は分かるだろう?」
「えぇ、あんたが起こした異変ね。」
「あの時、私と帝は記憶を何者かに変えられていたのだよ。」
「記憶を変えられた!?」
「ドウイウコトダ!?」
「さぁ、私にも分からない。」
メルト・グランチが頭を抱える中、永琳が彼に問う。
「カオスがやったという考えは?」
「当時彼は封印されていた。」
「ガイルゴールは?」
「神は記憶を変えて幻想郷を襲撃させるようなことはしない。」
「じゃあ一体・・・。」
「考えられるのは、何か得たいの知れない別の存在だよ。」
彼の言葉を聞いた瞬間、突然霊夢はカオスの言っていた言葉を思い出す。
「エリュシオン。」
エリュシオン。それが霊夢が思い出したカオスの言っていた言葉だった。と、メルト・グランチが口を開く。
「後にビオラとヴァンが諸君らの元へ来る。それでは失礼するよ。」
そう言うと彼は永遠亭を出ていってしまった。そんな中、霊夢が皆に言う。
「ねぇ、みんな。エリュシオンって知ってる?」
「いや、知らないわ。」
「シラナイ。」
「私は知っているわ。」
皆が知らないと言う中、突然とした現れた蓬莱山輝夜が答えた。皆が彼女を見つめる中、輝夜が言う。
「私は一度エリュシオンに会っているわ。」
「アッタノ!?」
「い、いつ!?」
「数千年前、私がまだ月の都にいるとき、奴は突然として奇襲してきた。」
「一体どんなやつなんだ?」
「長い銀髪に青い瞳をしている奴だったわ・・・。その時、私は奴に恐怖してしまって性別を覚えていないの。」
「会う可能性としては?」
「あるかもしれないわ。」
「まぁ、今は来ないはずだ。」
啓介が言った瞬間、永琳は人指し指を唇に当てる。それを見た霊夢達は黙ってしまう。
次作もお楽しみに!