東方混沌記   作:ヤマタケる

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突如現れた長身男は霊夢達の前でカオスに圧倒的な強さを見せつけた。


第60話 違和感

「い、一体どうなった・・・。」

 

魔理沙が言った瞬間、視界が晴れる。そこには仰向けに倒れるカオスを見る男の姿があった。そんな中、紫が言う。

 

「どうやらなんとか四重結界が持ってくれたみたいね。」

 

「怖かったわよ。」

 

「・・・あれ、ここは・・・。」

 

「ユニ!!」

 

霊夢が言った瞬間、今まで気絶していたユニが目を覚ました。それにつられて咲夜、衣玖、天子、妖夢も目を覚ました。と、男が紫に言う。

 

「カオスを殺れば全ては終わる。そして新たな道へと誘われる。」

 

「えぇ、そのようね。一応休んでおきたいところですわ。」

 

「勿論そのつもりでいる。その日まではまだ程遠いのか近いのか分からぬ。」

 

男が言った瞬間、ガラガラと音を立てながらカオスが起き上がった。そんな彼に男が言う。

 

「神の炎を受けて立てるとはな。お前、さては不老不死の身を手に入れたな?」

 

「その、通りだ・・・。そのため、我は何度、で・・・も生きれるさ。」

 

「面倒だな。ではこれで終わらせる。」

 

そう言った瞬間、男はスペルカードを発動した。

 

「死符『地獄からの招待状』」

 

その瞬間、カオスの回りに鎖が現れた。その鎖はカオスの四肢や体に巻きついた。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「これは、いくら不老不死であるお前であろうと必ず地獄の底に落ちるのだ。」

 

そう言った瞬間、カオスは鎖に無理矢理外に出された。男はそれを呆然と見る。そんな彼にカオスが言う。

 

「我は地獄の底から再び這い上がって見せる!そして絶対に貴様を殺してやる!!」

 

「・・・。」

 

「貴様を殺して、必ずエリュシオンを・・・。」

 

続きを言おうとした瞬間、カオスは空中に浮いている地獄の門の中に引きずり込まれていった。それを見届けた男は紫達の前に行き、言う。

 

「名乗りが遅くて申し訳ない。余はガイルゴール、全てを司る神だ。」

 

「ガ、ガイルゴール!?」

 

ガイルゴールの言葉を聞いて霊夢達は思わず声を上げてしまう。そんな中、ガイルゴールが言う。

 

「カオスを倒したことにより、敵mob達が一斉に消滅した。これで幻想郷は平和になった。」

 

ガイルゴールが言った瞬間、突如ユニがガイルゴールを見て言う。

 

「私の思いが届いて良かったです。来てくれてありがとう、ガイルゴール。」

 

「百合・・・いや、アイアルト・ユニよ、お前は死んではならぬ。今後も幻想郷の守護者の誇りを持って生きていくがいい。」

 

「ん、あんた今百合って?」

 

「さて、余はそろそろ失礼させてもらう。」

 

「ちょっと待ちなさい、ガイルゴール。あんたに聞きたいことがあるの。」

 

「・・・なんだ?博麗の巫女。」

 

「カオスが言ってたのだけれど、エリュシオンって何者なの?」

 

「・・・聞いたか。」

 

「な、何か知っているのか!?」

 

「今ここで言いたいところだがまだお前達には言えない。後に言おう。」

 

そう言うとガイルゴールは空に飛んでいってしまった。霊夢達はただそれを呆然と見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里では突如敵mob達が消えたため、悠岐達は驚きを隠せなかった。と、ピンが言う。

 

「オ、オワッタノカ?」

 

「そのようね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「依姫~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香が言った瞬間、依姫を呼ぶ少女の声が聞こえた。その声を聞いた依姫はその方向を見て言う。

 

「お姉様ですか?」

 

依姫が言った瞬間、彼女の目の前に少し手当てしてある姿で現れた少女、綿月豊姫がいた。と、依姫が彼女に言う。

 

「お姉様!その傷大丈夫なんですか?」

 

「えぇ、お師匠様に手当てしてもらったから大丈夫よ。」

 

豊姫が言った瞬間、幽香が依姫に近づき、言う。

 

「へぇ、あなたお姉さんがいたのね。」

 

「えぇ、いますよ。」

 

依姫が幽香と話している中、豊姫の近くにいたレイセンが二人に言う。

 

「お二方、そろそろ月の都に帰りましょう。」

 

「えぇ、そうね。依姫、帰るとしましょう。」

 

「そ、そうですね。」

 

「月人さん。」

 

三人が帰ろうとした瞬間、幽香が依姫を呼び、口を開く。

 

「また戦いましょう。次は絶対に勝つ。」

 

「・・・えぇ、もちろん!次は絶対に負けませんよ。」

 

そう言うと彼女は幽香に笑みを浮かべる。それを見た幽香も笑みを浮かべる。そして三人は豊姫の空間で月の都に帰っていった。それを見ていた楓が言う。

 

「月の都か・・・是非とも行ってみたい場所だ。」

 

「そうだな。一度は行って、み・・たい・・・な。」

 

そう言った瞬間、悠岐は突然意識を失い、倒れてしまう。

 

「悠岐!?」

 

悠岐の異変に気がついた楓がすぐに彼の元へと駆け寄る。それを見た啓介、ピン、幽香も駆け寄る。と、啓介が口を開く。

 

「何があった?」

 

「分からない。急に倒れて・・・。」

 

「トリアエズエイエンテイニムカオウ。」

 

「そうしたほうがいいわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって月の都。そこでは先程幻想郷から出た豊姫と姫、そしてレイセンが到着していた。三人が帰って来たことを知ったサグメはすぐに三人の元へ向かう。

 

「お疲れさま、三人とも。」

 

「ただいま戻りました、サグメ様。」

 

「・・・随分と手当てしてもらった箇所が多いがカオス軍と戦ったのか?」

 

「いいえサグメ様。これはカオス軍ではなく、幻想郷という世界の者にやられた傷ですわ。」

 

「幻想郷・・・そんなに強い者がいるのか!」

 

「えぇ、いらっしゃいます。」

 

それを聞いたサグメは何も言うことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいなくなったカオス城でユニ達は話していた。

 

「終わったのね。」

 

「あぁ、これでカオスとの戦いは終わったんだぜ!」

 

「もう当分異変が起こらないことを願うわ。」

 

そう言う霊夢だが今後、大いなる異変が起こることをまだ誰も知らない。




次作から3章に入ります。
次作もお楽しみに!

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