東方混沌記   作:ヤマタケる

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圧倒的なカオスの力にユニ達は戦闘不能な状態になってしまう。


第55話 3人の死神

場所は変わって妖怪の山。そこではカオス軍の奇襲を察知した白狼天狗の犬走椛が一人で戦っていた。

 

「何をあんな小娘程度に苦戦している!!もっと集団で掛かれ!」

 

「しかし隊長!あの小娘は我々の隊の4割を削ったのですよ!」

 

「あの小娘程度などすぐに体力が尽きる。一斉に掛かれ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、椛は目を見開き、心の中で言う。

 

(マズイ。あんな数で一斉に飛びかかれたらひとたまりもない。)

 

その瞬間、カオス軍の兵士10人が一斉に襲いかかる。

 

(これは・・・避けきれない!!)

 

そう確信した椛は思わず目をつぶってしまう。そして10人の兵士が彼女を襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天誅八螺旋・(かぜ)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として辺りに響いた男の声が聞こえた瞬間、何もしていないのに椛を襲おうとした10人の兵士から一斉に鮮血が飛び散り、そのまま兵士達は息絶えた。

 

「・・・え?」

 

「な、何が起こったと言うのだ!?」

 

椛やカオス軍の兵士達が話している中、突如辺りに誰かが近づく音が響く。

 

「何者だ、姿を現せ!!」

 

兵士が言った瞬間、木の陰の茂みが動き始め、中から男が現れた。その男は長身で腰まで伸びる赤髪に目は赤く、左目には眼帯をつけていて袖の広い青い長袖に白い長ズボンを穿いていていた。何よりも目を引くのは彼の持つ武器である。彼が持っているのは長さ2mを越えていて先端には鎌の刃が二つあり、下の部分には2mを越えている長さの鎖がついていて鎖の先には小さな鎌がついている。それを片手で持ち上げているということはかなりの強者だと言える。

 

「よぉ、さっきやったのはこの俺だぜ。」

 

男はカオス軍達に言う。それを見たカオス軍の隊長が口を開く。

 

「な、なんなのだあいつは・・・。」

 

「隊長!気をつけてください。奴は危険です。」

 

「危険?そんなの見て分かるだろうが!!」

 

「見た目だけではありません。奴は・・・奴は・・・幻想郷最強の魂狩者(ソウルハンター)を呼ばれた死神の小野塚篁ですよ!」

 

「そんなの聞いていないぞ!」

 

「さらにですよ!冥界の死神にはそれぞれ段位があって奴はその最高段位の頂点に君臨するがはぁっ!」

 

兵士が続きを話そうとした瞬間、兵士の腹に最強の死神、篁の鎌が刺さっていた。そんな兵士に篁が言う。

 

「グチグチうるせぇな。そういうのは裏で言ってくれよなっ!」

 

そう言うと彼は兵士を刺したまま鎖を掴み、そのまま振り回し始めた。

 

「うわっ!」

 

危険を感じた椛は咄嗟に飛び上がる。それに気にせず篁はそのまま鎌から兵士を抜き、集団に向かって投げつける。

 

「オラァ!」

 

彼の勢いがあまりにも強すぎたのか、カオス軍の隊長含む兵士達がまるでドミノのように倒れていく。

 

「や、殺れ!」

 

隊長が言った瞬間、一斉に兵士が篁に向かっていく。それを見た彼は笑みを浮かべて叫ぶ。

 

「小町、妹子!!映姫様の説教をくらいたくなければ俺の手伝いをしろォ!」

 

そう言った瞬間、草陰から二人の死神、小野塚小町と小野塚妹子が現れた。

 

「四季様の説教は聞きたくないからね、協力するよ兄さん。」

 

「私も、未熟者から解放されるために兄様と戦います!」

 

妹子が言った瞬間、三人は同時に足を動かす。そのまま三人はカオス軍を倒していく。

 

「こんなんじゃっ!、あたいにも兄さんにも傷をつけられないよ!」

 

「兄様には絶対に傷を入れさせない!!」

 

二人はやる気満々でカオス軍の兵士を次々と倒していく。それを呆然と見ていた椛が口を開く。

 

「し、死神ってこんなに積極的なんですね。正直驚きました。」

 

椛が話している中、一人の兵士が篁に向かって刀を振り下ろす。

 

「やあぁぁぁぁっ!」

 

その瞬間、辺りにガキンッという音が響く。兵士の攻撃は間違いなく篁の右腕に命中している。だが斬れていない。彼の右腕には傷ひとつついていない。

 

「オイオイ、テメェ、やる気あんのかよ。」

 

そう言うと彼は右足で兵士の足を思いきり踏みつけた。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!痛いぃぃぃぃぃ!」

 

あまりの痛さに叫ぶ兵士とは別に篁は空いている左手に握り拳を作った。

 

「オラァッ!」

 

そう雄叫びを上げた篁はそのまま兵士の顔に渾身のパンチを打ち込んだ。そのまま兵士は残っている他の兵士達にぶつかり、遂には全員巻き込まれた。それを見た妹子が言う。

 

「流石兄様ですね、私達の常識を遥かに越えるパンチを打ち込むとは・・・。」

 

「妹子に小町。いずれお前らにもこれをやってもらうからな。」

 

「ちょっ、兄さん!?」

 

「無理がありますよ兄様。」

 

「ハハハ、冗談だよ。」

 

三人が話している中、椛は三人に近づき、倒れている兵士を指差しながら言う。

 

「あの・・・死神の方々。この兵士達はどうするつもりなんですか?」

 

「ん?あぁ、椛か。そいつらはこうするんだよ。」

 

そう言うと彼は倒れている兵士全員を1ヶ所に集めた。そして意図も簡単に隊長を含む兵士全員を1ヶ所の木に縛り付けた。それを見た椛が言う。

 

「無慈悲なお方ですね。」

 

「おっとそうだ。こいつらの武器を取り上げておかないとな。」

 

そう言うと彼は片っ端から兵士達の武器全てを没収した。そして拳銃を見た彼は一言言う。

 

「折角だから、こいつはあの野郎が戻ってきた時に渡すとするか。」

 

「篁さん。あの野郎って・・・。」

 

椛が続きを言おうとした瞬間、突如幻想郷に眩い青い光を発光しながら雷が落ち、雷鳴が鳴り響いた。




3人の死神に助けられた椛。突如落ちた雷とは一体!?
次作もお楽しみに!

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