「はぁぁぁぁぁっ!」
始めに先陣を切ったのはユニだった。彼女は飛び上がり、カオスに向かってダイヤの剣を振り下ろす。
「無駄だ。」
それ言ったカオスはユニを空いている左手で弾く。そのまま彼女は壁に打ちつけられる。
「彗星ブレイジングスター!」
彼女がやられたのと同時に魔理沙がスペルカードを発動する。カオスはそれも何の躊躇いもなく弾く。
「くっ!」
魔理沙は箒から落ち、地面を滑る。そんな中、霊夢、妖夢、咲夜の三人が彼の背後から同時に飛びかかる。
「はぁぁぁぁぁっ!」
「無駄だと言っているのが分からないのか!」
そう言うとカオスは三本の腕で三人を殴り飛ばした。
「かはっ!」
「ぐはっ!」
そのまま三人は壁に叩きつけられる。そんな中、その様子を見ていた魔理沙が心の中で語る。
(こいつ・・・今まで戦ってきた相手の中では厄介だぜ。たとえ体がでかくて動きが鈍くても四本の腕でやられてしまう。)
そんなことを思っている魔理沙とは別にカオスは呆れた顔をして言う。
「相手にならんぞ。これではすぐに決着がついてしまう。まぁ、それも良いかもな。すぐに貴様らを倒して幻想郷を支配し、奴との決着をつけるからな。」
「奴ってまさか・・・・。」
「そうだ、博麗の巫女。奴だ。」
「まさかお前、五大王を・・・。」
「違う。」
「じゃあ、あのガイルゴールを・・・。」
「魔法使いに半霊よ、ふざけているのか?何故我があのような者達と戦わなければならぬのだ!」
「じゃあ、誰を倒すって言うのよ・・・。」
咲夜が言った瞬間、カオスは大きく息を吸い込んだ。そして話すのと同時にはく。
「エリュシオンだ。」
「ガイルゴールじゃ、ないの?」
恐る恐るユニがカオスに言う。彼女の問いにカオスはすぐに答える。
「そうだ。我が決着をつけたいのは五大王でもガイルゴールでもない、エリュシオンだ。」
初めて聞く名前を聞いてユニ達は首を傾げるばかりだった。そんな彼女らとは別にカオスは再び口を開く。
「エリュシオン。裏の世界に存在し、ガイルゴールと共に生まれた存在。我は現世へ来る前に奴と何度も交戦を交わした。だがその行為こそが我が軍が消費されるだけだった。」
「そ、そんなに強い奴なのか!?」
「あぁ、奴は強い。本来の我が軍はもっといたのだが奴との交戦により約4割を失った。」
「よ、4割も!?」
「だから我は今こうして軍を集めている。だが、現世の者の援護により主戦力であるアヌビスとペルセポネが無力化した。」
「無力化したんじゃなくて、お前が喰ったんだろうが!!」
「フフフ、確かにそれは免れぬ事実。我はアヌビスとペルセポネを喰った。そして二人のエネルギーが我の中に詰まっている。」
「ねぇ、カオスさん。あなたに聞きたいことがあるのだけれど・・・。」
そう言ったのは咲夜だった。カオスはすぐに彼女の方を見る。そして咲夜は言う。
「天子と衣玖はどうしたの?」
その言葉を聞いた瞬間、霊夢は辺りを見回しながら心の中で語る。
(咲夜の言う通り、天子と衣玖の気配が感じられない。一体二人は・・・。)
咲夜の問いを聞いたカオスは笑みを浮かべながら言う。
「あぁ、あの天人どもか。あの者達ならば我の源力となってもらったぞ。」
「カオス!!天子と衣玖までも!」
「だが安心しろ。あの二人は我のある器官の中にいるため、死んではおらぬ。」
「安心出来ないから言ってるんだろうが!!」
そう言うと魔理沙はミニ八卦炉を取り出した。そしてスペルカードを発動する。
「恋符マスタースパーク!」
「魔理沙、いきなり撃つの!?」
ユニが慌てて止めようとしたが既に魔理沙はカオスにマスタースパークを放っていた。
「ぬおっ!?」
魔理沙の放ったマスタースパークはカオスに命中し、そのまま彼は壁に打ちつけられる。そんな中、妖夢が魔理沙に言う。
「あまり無茶はしないでください。後が面倒になりますから。」
「あぁ、分かってるぜ。」
「中々やるではないか。」
そう言うとカオスは何事もなかったかのようにゆっくりと上体を起こした。そして言う。
「貴様らには期待してもいいかもな。楽しませてもらうぞ、この戦いをな。」
何かを企むカオス。一体何を企んでいるのか!?
次作もお楽しみに!