東方混沌記   作:ヤマタケる

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幻想郷に再び現れた帝王メルト・グランチ。神奈子は彼に幻想郷の援護を要請することに成功する。


第52話 カオス

カオスの下部をニコに任せたユニ達はどんどん奥の部屋へと足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ我が城へ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥から声が聞こえた瞬間、ユニ達は咄嗟に戦う体勢に入る。奥にいたのは巨大な玉座に座るカオスだった。彼はユニ達を見て笑みを浮かべている。そして言う。

 

「貴様らがここへ来ることを楽しみに待っていたぞ。」

 

「カオス!!ここであなたを倒して見せるわ!!」

 

ユニが言った瞬間、カオスはゆっくりと立ち上がり、三人に背を向けて言う。

 

「・・・我の生まれは砂漠だった。」

 

「・・・え?」

 

突然彼が発する言葉とは思えなかったユニ達は思わず呆然となる。そんな三人とは別にカオスは話を続ける。

 

「海がない、ただ砂が広がる大地・・・。その中にあった村で我は生まれた。」

 

「・・・海?」

 

「あぁ、そうか。貴様らは海を知らないんだったな。海というのは何億年も前に現在では考えられないほどの雨が地上に降り続き、広大なる水が溜まったものを現世の者は『海』と呼ぶ。」

 

「現世にはそんなものがあるのね。驚いたわ。」

 

「砂漠にも良き箇所はあった。オアシスと呼ばれる砂漠の中にある給水所のような場所で、そうだな・・・貴様らで言えば井戸と言ったところだな。」

 

「私的には住みやすい場所だとは思うけれど?」

 

「我はそう願っていた。だが現実はそう甘くはなかった。突然だった。いつものようにオアシスへ行こうとした時だった。耳慣れない地響きが辺りに響いて、それが何かの大群がやってくる音だと気づき、振り返ると・・・。」

 

「ふ、振り返ると?」

 

BEAT(ベータ)と呼ばれる地球外知的生命体が村を襲った。勿論村にいた者達は奴らに喰われ全滅。当時力がなかった我は喰われそうになった。だが我の中の力が解放され、我は地球に防御結界を貼り、BEAT(ベータ)の侵攻を防ぎ、村の近くにいた奴らも全滅させた。」

 

「・・・。」

 

BEAT(ベータ)を全滅させたまでは良かった。だがそれからというものの、我の中から憎悪や憤怒が消えなくなってしまったのだ。そのまま我は四角世界(マインクラフト)のモンスター達を連れて現世へ訪れた。」

 

「幻想郷だけでなく、現世までも・・・。」

 

「だが我は現世をなめていた。五大王の一人である光王ゴールド・マーグルの手によって我は現世から追放され、封印された。」

 

「流石マーグルさんだぜ。」

 

「だがしかし!我は何者かは知らぬが再びこの世に復活を遂げることが出来た。そして幻想郷へ訪れた時、我はこう思った。」

 

そう言うとカオスは深く息を吸い込んだ。そして口を開く。

 

「・・・心地よい。」

 

「・・・え?」

 

カオスが発する言葉と思えなかったユニ達は思わず目を見開いてしまう。そんな三人とは別にカオスは再び口を開く。

 

「この世界・・・幻想郷の風が心地よいのだ。現世よりも四角世界(マインクラフト)よりも。そして故郷よりも心地よいのだ。我はこの世に生まれて良かったと実感した。」

 

「・・・。」

 

黙り込むユニ達にカオスが指を指し、言う。

 

「貴様らはどうだ?この世界に生まれて幸せか?」

 

急に問われたため、霊夢と魔理沙は思わずはっとなる。そんな二人とは別にユニは笑みを浮かべ、胸に手を当てて言う。

 

「えぇ。勿論幸せですよ。だって、もしこの世に生まれていなかったら霊夢や魔理沙、悠岐君やビオラ様のように個性溢れる人達と出会ってなかったんだから。色んな人達と出会って色んな事を楽しむ。そんな今が私にとっての幸せよ。」

 

「ユ、ユニ・・・。」

 

「あら、言っちゃだめだったかしら?」

 

「い、いや。そんなことはないんだが・・・。」

 

魔理沙とユニが話している中、カオスは成程と言わんばかりの表情を浮かべ、言う。

 

「そうだな。この世の者達はやはり幸せを感じているのだな。では貴様らに問おう。貴様らは病んでいる者をどう思う?」

 

「・・・えっ?」

 

「『死にたい』だの、『この世に生きていく理由なんてない』などとほざいている者達を貴様らはどう思っている?」

 

「どう思っているって聞かれても私は別に・・・。」

 

「狂っているとは思わないのか!!」

 

急に怒鳴りつけられたため、三人は思わずビクッとなってしまう。そんな三人とは別にカオスは再び口を開く。

 

「折角この世に生まれることが出来たというのに、命を無駄にする者など、愚の骨頂だとは思わぬか?」

 

「・・・。」

 

「・・・・話は変わるが貴様らは悪魔の特徴を知っているか?」

 

「悪魔の特徴・・・・ですって?」

 

「そうだ、悪魔の特徴だ。分からぬならば教えてやる。悪魔は時に痛みを忘れて戦う。そのため、己がいつ力尽きるのですら判断することが出来なくなってしまう。」

 

「!?」

 

「おいカオス!!それは一体どういうことなんだ!」

 

カオスの言葉を理解することが出来ない魔理沙が思わず口を開く。そんな彼女にカオスはすぐに答える。

 

「端的に話せばあの悪魔達は・・・。」

 

彼が続きを言おうとした瞬間、彼の持っていた通信機が鳴った。

 

「なんだ?」

 

通信機からある連絡が入った瞬間、カオスは頭を抱えてしまう。それを見たユニはあることを推測する。

 

「きっと幻想郷に強い味方が来てくれたのよ!!それでカオスの下部達を倒してくれてるのよ。」

 

「おぉ!!それは誰なんだ?」

 

「・・・分からない。」

 

「分からなきゃ意味ないでしょ!!」

 

三人が話している内にカオスは下部との通信を終えていた。そして深い溜め息をはいて言う。

 

「貴様らの推測は外れている。だが我々にとって最悪な状況なのは変わりない。幻想郷から現世へ続く道が何者かの手によって塞がれているのだ・・・。」

 

「まさか、紫が!?」

 

「いいや、スキマ妖怪がやったという報告がない。さらに結界はスキマ妖怪を越えた力の持ち主らしいな。」

 

「紫を越える力の持ち主だと!?」

 

「一体誰がそんなことを・・・。」

 

「我も誰だかは理解しておらぬ。だが貴様らと戦い、勝利を勝ち取ってから知ることにしよう。」

 

そう言うとカオスは腰にあった巨大な剣を右手に持った。それを見たユニがスペルカードを発動する。

 

「呼符コールザエニー。力を貸して、咲夜、妖夢!」

 

ユニがスペルカードを発動した瞬間、彼女の両側から空間が現れ、その中から少し傷を覆っている咲夜と何が起こっているのか理解していない妖夢が現れた。そんな妖夢にユニが言う。

 

「妖夢、あなたに力を貸して欲しいの。カオスを倒すために私達に協力してくれるかしら?」

 

「急にここへ呼び寄せられたのでびっくりしましたよ。勿論幻想郷のために、そして幽々子様のために戦います!」

 

「私もアヌビスとの戦いで少し傷を覆っているけれどもまだ戦えるわ。やりましょう。」

 

「よし!そうと決まればやろうぜ!」

 

魔理沙が言い、ミニ八卦炉を取り出した瞬間、、他の四人もそれに合わせてそれぞれ払い棒、ダイヤの剣、ナイフ、楼観剣を取り出した。それを見たカオスが笑みを浮かべて言う。

 

「さぁ、始めるぞ。我らと幻想郷。この世の全てを懸けた戦いをな!!」

 




いよいよカオスとの交戦に入るユニ達。紫や悠岐、神奈子やセコンドといった強者がいない中、ユニ達はカオスを倒すことが出来るのか!?
次作もお楽しみに!

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