東方混沌記   作:ヤマタケる

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レミリアとの戦いで綿月依姫を呼び寄せたユニ。彼女が次に訪れる場所は迷いの竹林だった。


第4話 喧嘩を止めるエンダードラゴン

迷いの竹林に着いた時には既に日が暮れ、辺りは真っ暗になっていた。竹林の中へ降りた三人は辺りを警戒しながら奥へ進んでいった。と、魔理沙がユニに言った。

 

「なぁ、ユニ。なるべく早くここを出るようにしようぜ。ここは魔法の森より気味が悪いからな。」

 

「そうね、長居しては危険だよね。ちゃっちゃと済ませて博麗神社に戻りましょう。」

 

流石のユニも暗闇の薄気味悪さには敵わなかった。暗闇ではいつどこから何かが襲ってこないとは限らない。ここへ迷い混んだ妖怪が息を潜めて隠れてる可能性だってある。三人は肩を並べながら奥へ進んでいく。と、ユニが霊夢と魔理沙に言う。

 

「ねぇ、二人とも。確か2年前に物凄い異変があったんでしょ?」

 

「異変?ああ、確か地王と帝王異変と魔王異変、そして先代異変があったわね。」

 

「あの男のことはあまり話したくないぜ。」

 

「魔理沙?」

 

魔理沙の言葉にユニは思わず首を傾げながら彼女の名前を言う。そんな彼女とは別に魔理沙は話を続ける。

 

「あの男、私に覚えがないって言うんだぜ?あいつは私の家族を殺した張本人だって言うのに!!」

 

「・・・・・」

 

二人は何も言うことが出来なかった。彼女の過去にはある悲惨なことが起こったのだとユニは察した。霊夢は魔理沙の肩を軽く叩き、言う。

 

「私は彼には感謝してるわよ。彼は私をずっと見守ってくれたし、生きる道も教えてくれたからね。けど、魔理沙にとっては嫌な人かもね。」

 

「ねえ、その人って帝王梟雄?」

 

ユニの言葉を聞いて二人は驚きを隠せなかった。そして魔理沙は彼女の肩を掴みながら言った。

 

「ユニ!どうして奴を知ってるんだ!!」

 

「痛い痛い!私がどうして帝王梟雄を知ってるですって?彼は私の兄様の友達だからよ。」

 

彼女の言葉に霊夢と魔理沙は一瞬体がピクリと反応した。思いきって魔理沙は再び口を開いた。

 

「なぁ、ユニ。もう一回さっきの言葉を言ってくれないか?」

 

「え?だから彼は私の・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が続きを話そうとした瞬間、竹林の奥から激しい爆発音が辺りに響いた。

 

「なっ!?」

 

「何、今の?」

 

「グズグズしてる暇はないわ。急ぎましょう!」

 

霊夢の言葉を聞いて二人は彼女の後を追うように爆発音がした方向へ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フジヤマボルケイノ!!」

 

「神宝ブリリアントドラゴンバレッタ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発音がした場所へ行くとそこには藤原妹紅と蓬莱山輝夜がいつものように殺し合いをしていたのである。それを見たユニは驚きを隠せず、逆に霊夢と魔理沙は溜め息を吐いた。そんな二人とは別にユニが二人に問う。

 

「ねぇ、霊夢に魔理沙。あの二人は弾幕ごっこをしているの?それとも本気の殺し合いをしているの?」

 

「妹紅と輝夜はいつも殺し合いをしているの。でもどちらも死なないからこれが永遠に続くのよ。」

 

「何でこんなことをやるのかしら。」

 

「妹紅が輝夜に恨みがあるらしいけど、それが何だかは分からないんだぜ。」

 

それから三人は黙って二人の戦いを見ていた。と、霊夢がユニを見て、彼女に言った。

 

「ねえ、ユニ。何かすごい奴を呼び寄せられない?」

 

「えっ、急にどうして?」

 

「いい加減あの二人の戦いを見ているのが飽きたのよ。そこで和解するためにあんたの力を借りたいの。協力してくれるかしら?」

 

「まあ、協力するけれど、何を呼ぼうか考えてないのよ。」

 

「それは参ったぜ。何か和解出来るような奴とかいないか?」

 

「う~ん・・・和解じゃないけれど、殺し合いを止められそうな奴なら呼べるわ。」

 

「じゃあそれを頼むぜ、ユニ。」

 

「分かった。」

 

そう言うとユニは草影から立ち上がり、妹紅と輝夜が戦っているところまで歩み寄った。彼女の存在に気がついた二人は彼女に目を向ける。そして言う。

 

「何よあんた、私達の邪魔をするつもり?」

 

「邪魔するならお前からやるが?」

 

妹紅と輝夜の言葉に気にせずにユニはスペルカードを取り出した。咄嗟に妹紅と輝夜は戦闘体制に入る。そしてユニはスペルカードを発動した。

 

「呼符コールザエニー。」

 

ユニがそう言った瞬間、彼女の持っていたスペルカードが黒く光だした。妹紅と輝夜はじっと彼女を見つめる。と、ユニがスペルカードを高く上げ、言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終焉を呼べ、エンダードラゴン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニがそう言った瞬間、彼女の右側に直径5mほどの空間が現れた。そしてその中から黒曜石のような黒い大きな体と翼を持ち、薄紫色に輝く目を持っていて、大きさは8mほどあるドラゴン、エンダードラゴン現れた。エンダードラゴンは空間から出ると妹紅と輝夜の回りを一周回ってからユニの隣に降りた。エンダードラゴンはユニの元へ顔を寄せると彼女の顔を舐め始めた。

 

「あはは、くすぐったいよ。今はこんなことをしている場合じゃないでしょ?」

 

そう言うとユニはエンダードラゴンの頭を優しく撫で始めた。その瞬間、エンダードラゴンが急に大人しくなった。それを見た妹紅と輝夜はすかさずスペルカードを発動した。

 

「虚人ウー!」

 

「神宝サラマンダーシールド!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンダードラゴン、防いで。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニの言葉に反応したエンダードラゴンは妹紅と輝夜が放った攻撃に向かって口から紫色の炎を吐いた。その瞬間、二人の放った攻撃が一瞬にして消滅してしまった。

 

「嘘っ!」

 

「そんな馬鹿な・・・」

 

それを見た二人は驚きを隠せなかった。そんな二人とは別にユニはエンダードラゴンに指示する。

 

「二人を懲らしめて。」

 

「グガァァァァァ!」

 

ユニが命令を下した瞬間、エンダードラゴンは雄叫びを上げながら宙に舞った。そして二人に猛烈な勢いで突進してきた。二人はすかさずエンダードラゴンの攻撃を回避する。エンダードラゴンが通っていった場所の竹は音もなく消滅していた。それを見ていた霊夢と魔理沙は思わず鳥肌がたった。と、魔理沙が霊夢に言った。

 

「なぁ、霊夢。今の内に永琳と慧音を呼んでこないか?」

 

「名案ね、そうしましょう!」

 

「じゃあ私は永琳を呼んでくるから霊夢は慧音を任せたぜ!」

 

「寄り道しないでちゃんと呼びなさいよ。」

 

そう言うと魔理沙は箒にまたがり、永遠亭へ向かい、霊夢は宙に舞い上がり、慧音の寺子屋へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭に到着した魔理沙は永遠亭の中へ入った。そして永琳の名前を叫ぶ。

 

「おーい、永琳!!いるんだろ?永琳!!」

 

彼女が叫んでいると永遠亭の奥から眠たそうな表情をしている鈴仙と永琳がやって来た。そして魔理沙は永琳に言う。

 

「輝夜のやつ、また妹紅と殺しあってるぜ。」

 

「やれやれ、何かいないなと思ったら、また妹紅と殺し合ってるのね。鈴仙、急ぎましょう。」

 

「はい、師匠!」

 

「それと今、ユニが黒いドラゴンを呼んであの二人に時間を稼いでるから今ならまだ間に合うから急ごうぜ!」

 

「ええ、そのつもりよ。」

 

そう言うと三人は飛び上がり、妹紅と輝夜のいるところへ急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺子屋に到着した霊夢は庭で一人白沢の姿で特訓をしている慧音に声をかけた。

 

「慧音、妹紅がまた輝夜と殺しあってるわよ。」

 

「はぁ?また輝夜と?全く、妹紅のやつはいい加減に辞めないかなぁ。」

 

「今ユニが黒いドラゴンと一緒に時間稼いでるから急ぎましょう。」

 

「ああ、そうだな。」

 

そう言うと二人は宙に舞い上がり、妹紅と輝夜のいるところまで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァっ・・・」

 

「こ、こんなドラゴンが、存在してるなんて・・・」

 

霊夢と魔理沙が永琳と慧音を呼んでいる間に戦いは終わっていた。勝負はエンダードラゴンの圧倒的勝利だった。何故ならエンダードラゴンにいくら弾幕を放ってもスペルカードを発動しても紫色の炎で消滅されるため、無駄だった。もう妹紅と輝夜には戦えるほどの力は残されていなかった。そんな二人にユニはエンダードラゴンの頭を撫でながら言う。

 

「殺し合いはいい加減辞めたらどうかしら?こんなことやっても何の得も得られないのよ。」

 

「余計なお世話だ。」

 

すぐさま口を開いたのは妹紅だった。彼女に続いて輝夜も口を開く。

 

「妹紅の言う通りよ。あなたが言う筋合いなんて無いのよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か永遠亭が静かだと思ったら、こんなところで何をしているのでしょうねぇ、姫様?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夜歩きは厳禁だとあれほど言ったのにどうして無視しているのかな?妹紅?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として妹紅と輝夜の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。二人は恐る恐る後ろを振り返る。そこにはおぞましい形相をした永琳と慧音がいた。二人は一瞬にして背筋が凍った。そんな二人とは別に永琳と慧音が大声を上げた。

 

「このバカ者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

その瞬間、永琳は輝夜の頭を掴み、拳をグリグリと押し付け始めた。対する慧音は妹紅の頭を掴み、頭突きを食らわした。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い!!!やめて永琳!私が悪かったから本当にやめて!!」

 

輝夜は涙目になりながら必死に抵抗するが全く歯がたたなかった。対する妹紅は慧音の一撃で気絶していた。霊夢、魔理沙、ユニ、鈴仙の四人は苦笑いしながらその様子を見ていた。と、ユニの元へエンダードラゴンが顔を寄せた。それに気づいたユニはエンダードラゴンの頭を撫でながら言った。

 

「ありがとう、エンダードラゴン。今日は助かったわ。」

 

そう言うとユニはエンダードラゴンの前に空間を再び出現させた。それを見たエンダードラゴンはそのまま空間の中へ入っていった。と、永琳と慧音がユニの前までやって来て、言う。

 

「あなたがユニね。私は永遠亭で医師を務めている、八意永琳よ、よろしくね。」

 

「あっ、よろしくね。」

 

そう言うとユニは永琳の前に右手を差し出した。それを見た永琳は笑みを浮かべながらユニと握手した。続いて慧音がユニに言った。

 

「私は寺子屋で歴史を教えている、上白沢慧音だ。よろしく。」

 

「よろしく、慧音。」

 

そう言うとユニは永琳と同様、慧音の前に右手を差し出した。それを見た慧音も笑みを浮かべながら彼女と握手した。そんな中、永琳がユニ達に言う。

 

「まずは永遠亭へ行きましょう。ここにいる二人を治療するから。」

 

「分かったわ。」

 

納得した霊夢達は輝夜と妹紅を連れて永遠亭へ向かった。




永遠亭に着いたユニ達。そこでいたずらっ子のある少女と出会う。
次作もお楽しみに!

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