東方混沌記   作:ヤマタケる

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諏訪子と豊姫の戦いも相討ちに終わる。そんな中、別の場所でも起きようとしていた。


第46話 vsアヌビス①

場所は変わって紅魔館の湖付近の森。霧が深くかかっているそこでは馬に乗って悠岐と楓が紅魔館へ急いでいた。と、楓が悠岐に言う。

 

「なぁ、悠岐。さっきからカオスの軍勢を見かけないんだがどういうことなんだ?」

 

「さぁな。カオスのことだ、何かしら考えている筈だ。そうでなきゃおかしい。」

 

「レミリアは今、何をされているのだろうな・・・。」

 

「あまり想像しないほうがいい。お前の身のためだ。」

 

「私達は、アヌビスに勝てると思うか?」

 

「勝てるかじゃない、勝つんだ。俺達には奴に対して恨みを持っている。それを果たすために勝たなきゃいけないんだ。」

 

「悠岐・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠岐!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然二人の背後から声が聞こえたため、二人は後を振り返る。悠岐はそこにいた人物の名前を思わず口にする。

 

「妹紅、慧音!」

 

二人の後ろからやって来たのは飛んでいる妹紅と慧音だった。普段ここへ訪れることのない二人がいることに悠岐は少し驚いていた。そんな二人に悠岐が言う。

 

「二人とも、どうしてここに?」

 

「レミリア達が敗れたことをあの天狗から聞いて私達も行かなければと思ってな。」

 

「寺子屋の子供達はどうしたんだ?」

 

「安心しろ、霖之助に頼んでおいた!」

 

「香霖が大変そうだ。」

 

悠岐と慧音が話している中、妹紅は楓をじっと見つめ、言う。

 

「あんたは、悠岐の仲間か?」

 

「あぁ、すまない。自己紹介が遅れた。私の名前は出野楓、悠岐と同じ半人半悪魔だ。」

 

「へぇ、半人半悪魔って一人じゃないんだな。まぁ、とりあえずよろしくな、楓。私は藤原妹紅だ。」

 

「妹紅って呼ばせてもらうよ。よろしく。」

 

「私もやっておかないとな。私の名前は上白沢慧音だ。迷いの竹林の近くにある寺子屋の教師を務めている。」

 

「よろしく、慧音。」

 

「さ、自己紹介は済んだか?一刻も速く、レミィを助けないと・・・!!」

 

その時、何かに気づいた悠岐は急に馬を止めた。

 

「悠岐!?」

 

突然止まったので楓は思わず彼の名前を口にしてしまう。

 

「?」

 

止まったことに気づいた妹紅と慧音は二人の元へと戻る。そこでは楓が悠岐に何か言っていた。

 

「ど、どうしたんだ?悠岐。」

 

「・・・・目の前が湖だ。」

 

彼が言った瞬間、突如として霧が晴れ、四人の目線にあるものが写った。それは湖のど真ん中に建つ、紅く窓の少ない洋館、紅魔館が姿を現した。見た目はごく普通の紅魔館であり、変わったところはない。と、悠岐が突然馬から降り、馬に首輪をつけてそのまま太い木に縛った。それを見た楓は慌てて馬から降りる。そして悠岐は服の中から彼の家屋ぐらいの大きさの器を取り出すとそれを馬の前に置き、餌を置いた。

 

「大人しく待ってるんだぞ。」

 

そう言うと悠岐は馬の頭を優しく撫で始めた。それを受けた馬は頭で悠岐の身体に擦り付ける。それを見た妹紅が口を開く。

 

「悠岐は動物に対する愛が大きいんだな。」

 

「ま、それも悠岐らしいじゃないか。」

 

「お、おい妹紅に慧音、止めてくれよ。」

 

二人の話を聞いていた悠岐の顔は真っ赤になっていて照れていた。そんな中、楓が口を開く。

 

「さ、そろそろ行こう。」

 

楓が言った瞬間、三人は楓の後を追う。妹紅と慧音は飛び上がり、紅魔館へ向かい、悠岐と楓はただひたすら湖の上を走る。そして四人が館の前に立った時だった。四人は荒れた紅魔館の門を見ていた。と、悠岐が言う。

 

「・・・酷く荒らされたな。流石のレミィ達もこれには耐えられなかったか。」

 

そう言うと四人は紅魔館の中へと入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ紅魔館へ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の低い声が聞こえた瞬間、四人は声のする天井を咄嗟に見つめる。そこにはシャンデリアに腰を下ろして悠岐達を見つめるアヌビスがいた。彼の言葉を聞いた瞬間、楓はアヌビスに怒鳴りつけた。

 

「ふざけるな!!何が『ようこそ紅魔館へ』だッ!」

「ほほう、これは久しいな、小娘。また私にやられに来たか。」

 

「やられに来たんじゃない。テメェをぶっ殺しに来ただけだ!」

 

「成程、私をあの世に送ると?フフフ、それは面白い。」

 

悠岐と楓、アヌビスが話している中、妹紅が二人の前に出てアヌビスに言う。

 

「ちょっと冥狼神さん。あんたに1つお尋ねしたいことがあるんだが・・・。」

 

「・・・?」

 

「レミリア達を何処へやった?」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、悠岐、楓、慧音の体がピクリと反応する。そんな三人に関係なく妹紅は話を続ける。

 

「この館に入った瞬間からレミリア達の気配を感じなかった。言え、レミリア達を何処へやった!」

 

「・・・・お前達の知らぬ場とでも言っておこう。私はそう言うのはすぐに言わないのでな。」

 

「ならば、無理矢理言わせるまでだ。」

 

そう言うと悠岐は漆黒の刃を取り出し、戦闘体勢に入る。其を見た楓も氷竜の剣を取りだし、妹紅は両腕を構え、慧音は白沢の姿に変身し、身構える。

 

「フム、戦う覚悟は出来ているようだな。」

 

そう言うとアヌビスはシャンデリアから降り、悠岐達から少し離れた場所に着地する。そして右手に力を込め、そこから槍を作り出した。そして言う。

 

「・・・来い。」

 

そう彼が言う前に既に楓がアヌビスの目の前におり、そのまま彼の腹を斬りつけた。

 

「何ッ!?」

 

(速いっ!あれほどの距離を一瞬にして縮めるなんて・・・)

 

妹紅が心の中で語っている中、悠岐と慧音もアヌビスに向かっていく。それを見た妹紅も向かう。

 

「未来高天原!」

 

「虚人ウー!」

 

妹紅と慧音は同時にスペルカードを発動し、それをアヌビスに放つ。アヌビスはそれを槍で弾くと妹紅と慧音の元へと向かう。それを妨げるかのように悠岐は上からアヌビスの頭をかかとで蹴りつけた。

 

「ガッ!」

 

そのままアヌビスは猛烈な勢いで地面に叩きつけられる。四人は再び肩を並べ、アヌビスの様子を見る。と、よろよろとなりながら起き上がるアヌビスに悠岐が言う。

 

「俺は、テメェに二つの恨みがある。1つは盟友のマインを殺したこと。二つ目は、レミィ達を訳の分からない場所に拉致したことだ。俺はそんなテメェを許す訳にはいかないんだよ!!」

 

彼に続いて楓も口を開く。

 

「悠岐の言う通りだ!私達は多くのものを失い、多くのものを傷つけられた。アヌビス、それはお前には理解出来るか!!」

 

二人が言った中アヌビスはフラフラになりながらも悠岐達を見て言う。

 

「理解出来ぬとも。私はカオス様の教訓通りに生きてきた。そんなものが私に理解出来る筈ないのだ!!私はあらゆるものを殺す時、何の躊躇いもなく殺していった。あの小僧も同じだ。」

 

「くっ・・・テメェ!」

「だがお前達はあの小僧より強い。だから私はお前達にかなりの力を出してもいいということだ。」

 

そう言うとアヌビスは自分の体に力を入れ始めた。そんな中、妹紅が言う。

 

「や、奴は一体何をしているんだ!?」

 

「奴は今、自分の能力を使おうとしている。気をつけろ、少し厄介にやってくる。」

 

疑問に思ってつい口にした妹紅に楓が答える。そんな中、アヌビスが言う。

 

「私の能力、『能力を倍にする程度の能力』でお前達を地獄に葬ってやる。覚悟するがいい!!」




紅魔館で始まる悠岐達とアヌビスの戦い。どうなる!?
次作もお楽しみに!

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