東方混沌記   作:ヤマタケる

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幽香vs依姫。結界が張られた太陽の花畑で始まる戦い。


第42話 幽香vs依姫②

場所は変わって妖怪の山。そこにも多くのカオスの軍勢が奇襲しに来ていた。そんな中、文のいない状態で一人で立ち向かう白狼天狗の少女、犬走椛は戦う。

 

「はぁ、はぁ。文さんはいつ戻ってくるんだろう?早く戻ってきてもらわないと私の体力が持ちません。」

 

そう言うものの、椛は次々と襲いかかってくるカオスの軍勢を斬り殺していく。そんな中、彼女の背後から3人ほどの男が一斉に椛に襲いかかってくる。

 

「なっ!」

 

そのまま椛は目をつぶってしまう。しかし男達は襲おうとしない。気になった椛が目を開けた時には男達は居なかった。

 

「・・・・え?」

 

それだけではない。椛の近くに残っていた他の男達も、彼女が殺していった死体も全て無くなっていた。

 

「ど、どういうこと?」

 

あまりにも突然すぎて彼女は唖然とするしかなかった。そんな彼女の目にある一人の少女が映る。その少女は腰まで伸びる金髪に金色の目、襟の広い白い長袖のシャツに青いサロペットスカートを着ていて右手には扇子が握られていた。

 

「あ、あれは・・・。」

 

椛が口を開いた瞬間、彼女に気づいたのか、扇子を持つ少女、綿月豊姫は彼女を見て言う。

 

「地上では中々見ない天狗さんね。折角だから私のペットにしてあげようかしら。」

 

「ぺ、ペット!?」

 

椛は思わず大声を上げてしまう。なんせ文にもはたてにも誰にも『ペット』と言われたことが無かったからだ。オロオロする椛とは別に豊姫は彼女に口を開く。

 

「まぁいいわ。そんなことより天狗さん、守谷神社に行きたいのだけれど・・・。」

 

「守谷神社ですか?山を少し登ってすぐですよ。」

 

「あら、ありがとう。それじゃあ、カオスの軍勢倒すの頑張ってね。」

 

そう言うと豊姫は呑気に鼻歌を歌いながら守谷神社の方へ歩いていってしまった。その瞬間、何かに気づいた椛が豊姫の後を追おうとしたが既に豊姫のの姿は無くなっていた。

 

「あの人、さっきカオスの軍勢って言ってた。まさか・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

依姫は祇園の剣を高く上にあげると空を見上げて大きな声で言葉を発する。

 

「天明の神よ!今強き妖怪を倒すために、私の祇園の剣に力を与えたまえ、大国主命(おおくにぬしのみこと)!!」

 

そう言った瞬間、空に紫色の雲が渦巻き、その中心部から紫色の雷が依姫の持つ祇園の剣に纏った。それを見た幽香は笑みを浮かべて言う。

 

「大国主命、霊夢が使いやすいとか言ってよく呼び寄せて力を借りている神ね。」

 

「勿論、私にとっても使いやすいですよ。ですが、博麗の巫女より私のほうが威力は高め。さぁ、かかってきてください。」

 

「あら、いいのね。それじゃあ遠慮なく行くわよ!」

 

そう言うと幽香は猛スピードで依姫の元へ向かっていく。

 

(何もしない?)

 

一瞬躊躇った幽香だがそのまま日傘を依姫に振り下ろす。その瞬間、依姫はゆっくりと幽香の攻撃を防ぐ。

 

「なっ!?」

 

その瞬間、幽香は何か違和感を感じ、思わず声を上げてしまう。そんな中、依姫が笑みを浮かべながら彼女に言う。

 

「どうしました?私からすれば小さな虫がぶつかった感じしかしませんよ!」

 

そう言うと依姫は祇園の剣を地面に刺すと右手で幽香の腹に発勁を食らわす。

 

「ぐっ!!」

 

発勁を食らった幽香は10mほど地面を滑らせて止まる。

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・。」

 

止まることが出来たものの、幽香はその場で吐血する。そんな彼女に依姫が口を開く。

 

「大国主命は私の切り札と言ってもいいほどの力を誇ります。しかし制限時間が10分しかありません。ですのであなたとの戦いも10分以内に終わらせます。」

 

そう言うと依姫は猛スピードで幽香に向かっていく。それを見た幽香は日傘でなんとか依姫の攻撃を防ぐ。

 

「フフッ。」

 

「なっ!?」

 

依姫が力を入れた瞬間、幽香の体が後ろへ大きく後退する。それを見ていたレイセンが口を開く。

 

「流石は依姫様。あんな妖怪にも圧倒的な力を誇ってらっしゃいます。依姫様ならあんな妖怪なんて余裕だわ!」

 

レイセンに対してリグルは不安そうな表情を浮かべて口を開く。

 

「どうしよう、幽香が死んじゃう。」

 

二人が言葉を発する中、依姫が祇園の剣を見ながら心の中で語った。

 

(もう4分も経過している。残りあと6分しかない。6分の内にあの花の妖怪との戦いを終わらせないと・・・)

 

その瞬間、幽香に向かってリグルが大声を上げた。

 

「幽香、頑張って!!死なないでよ!!」

 

彼女が言った瞬間、依姫が笑みを浮かべながら幽香に言う。

 

「良かったですね、あなたに応援してくれる方がいて。」

 

少し馬鹿にしている感じで言った依姫とは別に幽香は心の中で独り言を語る。

 

(リグル・・・。私も頑張らないといけない。なのに私の攻撃が奴には通らない。一体どうして・・・!!まさか・・・)

 

その瞬間、幽香はふらつくもゆっくりと体を起こし、依姫と対峙する。そして口を開く。

 

「さ、続けましょう。」

 

「そうこなくては面白くありません。さぁ、続けましょう。」

 

そう言うと依姫は先ほど同じように幽香に猛スピードで向かっていく。幽香も依姫に向かっていく。そして日傘と祇園の剣をぶつけ合う。互いに武器をぶつけながら依姫が口を開く。

 

「あなたの力はその程度でしたか?私には到底及びませんよ!」

 

「流石は月人さんね。地上の技術を大きく上回っている。」

 

その瞬間、依姫は幽香に突きを食らわそうとする。それを見た幽香が口を開く。

 

「ウフフッ、あなたがそれなら私はこれで行くわよ。」

 

そう言うと彼女は空いている左腕で依姫の攻撃を受け止めた。幽香の左腕からは鮮血が飛び散る。それに気にせず幽香は日傘で依姫の骨が砕けた左腕を殴りつける。

 

「ぐっ!?」

 

一瞬声を上げてしまう依姫だがそれでも幽香の左腕から祇園の剣を抜くとそのまま幽香の腹を斬りつけた。

 

「チッ・・・。」

 

幽香はすぐに日傘を振り下ろそうとしたがその瞬間、依姫の左足の蹴りが幽香の腹に命中していた。

 

「がはっ!」

 

そのまま幽香の体がくの字を描いて結界の端まで飛ばされ、結界にぶつかる。頭を強く打ったため、彼女の頭からは血が垂れ、そしてその場で吐血する。膝をつく彼女とは別に依姫が彼女の元へ行き、口を開く。

 

「呆気ないですね、地上の妖怪さん。あれほどの自信は一体何処へ消えたのです?」

 

「・・・・。」

 

「無言、ですか。まぁ、それも1つの答えですね。何も言い残すことはない。そう言っているのに値しますからね。」

 

そう言うと彼女は祇園の剣を高く上げた。そして幽香を見ながら言う。そして口を開く。

 

「さらばです、強き妖怪さん。あなたとの戦いは忘れません。」

 

そう言うと依姫は祇園の剣を振り下ろした。その瞬間だった。幽香の左手が依姫の祇園の剣を掴んだのだ。その瞬間、彼女の左手から血が垂れ始める。

 

「なっ!?」

 

それを見た依姫は思わず声を上げてしまう。そんな彼女に幽香が言う。

 

「あらあら、どうしたの月人さん。さっきよりも速度が落ちてるじゃない。」

 

「馬鹿な!大国主命の力を纏った祇園様の剣を受け止めるですって!?」

 

「あら、あなたさっき言ったわよね?10分しかないってね。」

 

「!!まさか!」

 

時間切れ(タイムオーバー)よ。」

 

その瞬間、幽香が顔を上げた。彼女の顔は不気味な笑みを浮かべていた。

 

「!!」

 

依姫がそれに怯んだ瞬間、幽香は依姫を日傘で殴り飛ばしていた。




幽香の一撃が依姫に炸裂。果たした勝負の結末は!?
次作もお楽しみに!

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