東方混沌記   作:ヤマタケる

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ペルセポネを食ったカオス。文から伝えられるカオス軍の目撃。幻想郷は崩壊の危機に責められる。


※オリジナルスペルカードが出てきますので注意して下さい。



第41話 幽香vs依姫①

場所は変わって太陽の花畑。そこでは花の妖怪である風見幽香が妖怪の山に襲撃しているカオス軍の様子を見る。そして独り言を呟く。

 

「やってる、やってる。凄いわね、カオスの軍勢は。数人出陣させただけで蹂躙しまくり。楽しそうね。」

 

「ゆ、幽香は何を言っているの?」

 

独り言を呟いた幽香の背後にはカオスの軍勢に怯える少女、リグル・ナイトバグがいた。彼女に気にせず、幽香は不気味な笑みを浮かべて再び口を開く。

 

「嬉しいわ、これだけ多くの雑魚達を殺せるなんてね。数稼ぎにはもってこいの話ね。」

 

「そ、そんなこと言わないでよ。幽香が死んじゃったら私はどうすれば良いのか分からないよ!」

 

「分かってるわよ。今回は紫と勝負をしているの。どっちが多くのカオスの軍勢を倒せるかってね。」

 

「そ、そんなことしないでいいよ。見てよ、あれ。」

 

そう言うとリグルはある方向を指差す。幽香も彼女の指差した方向を見る。そこは太陽の花畑のあまり花の無い場所で青い髪の兎が数人の刀を持った男達に追いかけられていた。兎はひまわりだらけの中に入っていく。彼女に続いて男達も中へ入っていく。そんな中、リグルが再び言う。

 

「あれって迷いの竹林の兎でしょ?私と同い年くらいの子を追いかけて殺そうとするんだから危険だよ。」

 

彼女が言った瞬間、ひまわりの中から斬られた何者かの腕が飛んできた。それを見たリグルが幽香の背後に回り、言う。

 

「ほら、言ったでしょ?やっぱり危険だから辞めようよ。」

 

リグルは幽香に言ったが彼女は先程腕が飛んできたひまわりの場所を目を細めて見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイセン、よく見なさい。死体が1つ、死体が2つ、死体が・・・。」

 

「うわぁぁぁぁ、もう辞めてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまわりの中から出てきたのは薄紫色の長い髪を黄色のポニーテールを用いて纏めていて赤い瞳に襟の広い白い半袖のシャツ、赤いサロペットスカートを着ている少女が現れた。彼女の背後には先程男達に追いかけられていた兎、レイセンがいた。そして少女は言う。

 

「さて、合流出来たことだし、さっさと雑魚を倒さないとね。」

 

そう言うとレイセンを助けた少女、綿月依姫は祇園の剣を構える。

 

「せいやぁぁぁぁぁっ!」

 

依姫はまず声を上げながら襲いかかる三人の男を斬りつけた。立て続けに来る男達を何の躊躇いもなく斬りつけていく。

 

「す、すごい・・・。」

 

「やぁぁぁぁぁっ!」

 

依姫の戦いを唖然となりながら見ていたレイセンの背後から男4人ほどが同時に襲いかかる。

 

「きゃあ!」

 

その瞬間、依姫は祇園の剣を地面に刺した。その瞬間、地面から刀の刃の部分が現れ、そのままレイセンを襲おうとした男達を串刺しにした。串刺しにされた男達の血がレイセンに飛び散る。そんな中、依姫が口を開く。

 

「やれやれ、都久親王に出撃命令が出されたとはいえ、えらいことになっているわね。」

 

そう言うと依姫は地面に刺した祇園の剣を抜くと前を見て言う。

 

「光栄ね。月人である私が地上のために戦えるなんてね。敵の首も、主の首も、この剣1つで自在って訳ね。」

 

「・・・・・。」

 

依姫の後ろで震えているレイセンに依姫が口を開く。

 

「レイセン、そんな顔しないでほしいわね。一応私、仲間なんだから。」

 

「おりゃぁぁぁぁっ!」

 

そう言った瞬間、数十人の男が一斉に依姫に襲いかかる。

 

その時だった。突如上空から何かが降りてきてそのまま男達を下敷きにしてしまった。

 

「?」

 

煙が無くなった場所には緑の髪に赤い瞳、白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカートを着ていて、その上にチェック柄のベストを羽織っていて日傘をさしている少女、風見幽香が現れた。幽香の足元には下敷きになった男達がいた。そんな中、幽香が依姫に言う。

 

「あら、ごめんなさいね。ゴミがあったから捨てようと思ったら、間違ってあなたの獲物も捨てちゃったわね。」

 

「・・・どこのうっかり屋さんですかあなたは。」

 

「フフッ、そんな顔しないでほしいわね。あなたの仲間よ。」

 

「・・・・。」

 

「さて、残ったゴミを掃除しなきゃね。」

 

そう言った瞬間、幽香は周りにいた男達を満面の笑みで見つめる。それに怯んだ男達はすぐさま逃げようとする。

 

「逃がさないわよ。さぁ、私のお花達。食事の時間よ。」

 

彼女が言った瞬間、突如として男達の地面から獣の口の形をした花が現れ、そのまま男達を食らっていく。

 

「し、食虫植物だ!!」

 

一人の男が辺りに叫んだものの、すぐに食虫植物に食われてしまう。依姫とレイセンはそれを呆然として見る。そして全員食べられた瞬間、幽香は足元に転がっていた死体の頭を踏みつけ、食虫植物に向けて左手を下ろすけどその瞬間、食虫植物もそれに合わせるように地面の中へ潜っていった。全て潜り終わった瞬間、幽香が再び言う。

 

「よし、掃除完了。これで心置き無く、殺り合えるって訳ね。あなたもそれ、片付けなさいよ。邪魔がいたんでは、あなただって派手に暴れられないでしょう?」

 

「ひぃぃぃぃぃ!」

 

幽香が言った瞬間、レイセンは彼女に怯えてしまい、思わず悲鳴を上げる。そんな彼女とは別に依姫が口を開く。

 

「能天気に人を殺していくとは・・・。随分と頭のイカれたお方のようですね。」

 

「あなただって同じでしょう?同じ存在の目は誤魔化せないってね。本当は、カオスのことなんてどうでもいいんでしょう?血の臭いを嗅ぎつけて、ここにかかってきた、私と同じ、人殺しの目よ。」

 

「・・・・・。」

 

「安心しなさい、どうしても排除出来ない場合は・・・私が排除しておくわよ。」

 

そう言った瞬間、幽香は日傘を閉じ、先をレイセンに向けてそのままレイセンに弾幕を放った。しかし彼女の攻撃は依姫の祇園の剣によって防がれていた。そんな中、依姫が幽香に言う。

 

「なら、当ててみて下さい。次は私のこの胸に。今度はよく狙ってください。外せばあなたの腹に穴が開きますよ。地上の妖怪さん。月の力を甘く見ないほうがいいですよ。」

 

「あら?」

 

「月の技術は地上を遥かに越えています。その力はスキマ妖怪達を追い払ったり、吸血鬼を瞬殺するほどの力なのですよ。そんな存在である私にあなたは勝てると思いますか?」

 

「紫とレミリアがねぇ。だからどうしたと言うの?」

 

「なんですって?」

 

「たかが堕落しているあの子達と戦って勝っても、何の達成感も得られないでしょう?あの子達より戦いを好む私と戦ったほうがあなたにとってもいいと思うのだけれど?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言った瞬間、突如太陽の花畑全体に赤い結界が張られたのだ。それを見た依姫が言う。

 

「こ、これは・・・。」

 

「あらら?これは私の因縁の気配ね。」

 

「奇遇ですね、実は私もこの気配の主に因縁があるのです。」

 

「じゃあこうしない?月人さん。私とあなた、この勝負で勝ったほうがこの結界を張った因縁の相手と戦えるって言うのは。」

 

「面白い、受けてたちましょう。」

 

「そうこなくっちゃ。」

 

そう言った瞬間、辺りに沈黙が漂う。沈黙が漂って数秒も立たない内に幽香と依姫の攻撃が同時に命中する。

 

「ぐっ!」

 

「フッ!」

 

依姫の左肩に幽香の日傘の先が突き刺さり、幽香の頬に依姫の祇園の剣が擦る。二人の命中した箇所から血が流れる。

 

「フフッ。」

 

「フフフ。」

 

しかしそんな状態でも幽香と依姫は笑っていた。それを見ていたレイセンとリグルの体に鳥肌がたち始める。それに眼中もない幽香は日傘を依姫に降り下ろす。依姫はそれを咄嗟にかわし、幽香の背後に移動する。

 

「はぁぁぁっ!」

 

依姫はそのまま幽香を斬りつけようと祇園の剣を振り下ろす。だが幽香は依姫の攻撃を後ろ向きのまま防ぎ、弾く。

 

「くっ・・・。」

 

依姫は後退しながら幽香に弾幕を放つ。幽香はそれを日傘をさして防ぐ。そして弾幕を防いだ後、少し走って依姫に弾幕を放つ。依姫は弾幕を弾いていき、幽香に再び祇園の剣を振り下ろす。

 

「今度こそ!」

 

「させないわよ。」

 

そう言うと幽香は日傘を構え、依姫が祇園の剣を振り下ろしたのと同時に日傘を振る。二人の一撃がぶつかった瞬間、二人は勢いで後ろに吹っ飛ぶ。その瞬間、二人は同時にスペルカードを発動する。

 

「終の神剣ヒノカグツチ!!」

 

「恋符マスタースパーク!!」

 

二人の攻撃がぶつかった瞬間、力が互角だったのか、その場で爆発し、煙が発生する。

 

(さぁ、どこに隠れているのです?)

 

依姫が辺りを見回して幽香を探していた時、突如彼女の背後に幽香が現れた。

 

「なっ!!」

 

目を見開く依姫とは別に幽香は依姫の顔を空いている左手で掴み、地面に叩きつける。

 

「フフッ。」

 

そしてそのまま日傘を依姫に振り下ろす。

 

「くっ!」

 

その瞬間、依姫は地面に祇園の剣を刺した。その瞬間、幽香の背後から刀の刄が現れ、日傘を振り下ろそうとした幽香の右腕に刺さる。

 

「フフッ、これが祇園様の剣の力ですよ。妖怪さん。」

 

しかし幽香は笑みを浮かべたままである。そして彼女は日傘を左腕に持ち替え、そのまま日傘を振り下ろす。

 

「っ!」

 

彼女の攻撃を受ける前に依姫は左腕を前に出す。その瞬間、ゴキッという音が辺りに響いた。

 

「ッ!」

 

その瞬間、依姫は幽香の腹を蹴り、幽香から距離を取った。そして彼女は右手の甲で左腕を抑える。そんな彼女に幽香が言う。

 

「あら、ごめんなさいね。少しやり過ぎたみたい。」

 

(あの妖怪、恐ろしいわね。たった一撃で私の左腕の骨が砕けた。当分私の左腕は使い物にならないわね。)

 

そう心の中で語った依姫は幽香に笑みを浮かべて口を開いた。

 

「中々やりますね、妖怪さん。」

 

「あなたも、かなりの実力ね。」

 

「あなたになら、私の本気を見せてもいいかもしれませんね。」

 

「ウフフ、来なさい。どんどんと相手してあげる。」

 

「さぁ、行きますよ!!」

 




幽香vs依姫。決して出会う筈の無い二人が出会い、そして戦う。二人の戦いの行方は!?
次作もお楽しみに!

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