東方混沌記   作:ヤマタケる

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ペルセポネの力に圧倒されるユニ達。そんな中、楓が不可解な行動をとる。


第40話 覚醒、堕天楓

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

自らの首に切り傷をつけた楓はあまりの激痛に声を上げる。それを見たペルセポネが口を開く。

 

「お前は何を考えているのだ?人間よ。何故自らの体に傷をつける必要がある?」

 

ペルセポネが言った瞬間、楓は突然叫ぶのをやめ、何事もなかったかのように立ち上がった。

 

「か、楓ちゃん?」

 

ユニが楓に話しかけるが彼女は返事をしなかった。と、ユニが楓を見てあることに気がつく。

 

「楓ちゃん、まさか・・・。」

 

ユニが言おうとした瞬間、楓の腕、足、顔に赤い模様が浮かび上がり、彼女がゆっくりと目を開けると彼女の目は紫色に染まっていた。そんな彼女にペルセポネが驚いた表情で言う。

 

「なんだ、その姿は!?小娘、一体何をした?」

 

ペルセポネが言った瞬間、楓はゆっくりと口を開く。

 

「お前に我が力を教えるつもりなどない。」

 

彼女が言った瞬間、ペルセポネはある違和感を覚えた。そして、心の中で語る。

 

(あの小娘、声が変わった?いいや、変わったのではない。何者かの声と重なっている。それに、口調も変わっている。)

 

少し汗を流すも、笑みを浮かべながらペルセポネは楓に言う。

 

「フン、例えお前がそのような姿になろうとも妾が勝つことには変わりないのだ。」

 

「そうか。では、試してみるがいい。」

 

そう言うと楓はスペルカードを取り出し、発動した。

 

「氷電、凍りついた稲妻。」

 

その瞬間、楓は刀の先をペルセポネに向け、そこから電気を帯びた巨大な氷を飛ばした。それを見たペルセポネは再び鏡を巨大化させ、楓の攻撃を防ぐ。そして言う。

 

「フン、やはりお前は愚か者だな。何故先程から効かない弾幕等を妾に・・・!?」

 

ペルセポネが続きを話そうとした瞬間、ペルセポネの目の前に楓が現れ、そのまま鏡に氷竜の剣を突いた。その瞬間、鏡にヒビが入り、ついには割れた。

 

「なっ!?」

 

「まだだぞ。」

 

そう言うと楓はペルセポネに向かって氷竜の剣を降り下ろす。それを防ぐためにペルセポネは杖を構える。だがペルセポネの杖は楓の一撃により、真っ二つに斬られてしまった。そのまま楓はペルセポネの右翼を切り落とし、蹴り飛ばす。

 

「ゴフッ・・・。」

 

そのまま岩に衝突したペルセポネは地面に崩れるとその場で吐血する。楓はそれを怪しげな笑みを浮かべて見つめる。そんな中、ペルセポネが言う。

 

「おのれ、妾にこれほどの傷をつけるとは、身の程を弁えない者だな。そんなお前は妾が地獄へ葬ってくれるわ!」

 

そう言うとペルセポネは自身の体に力を入れ始める。そして楓の元へと向かっていく。そんな彼女とは別に楓は左手を高く上げ、ある一言を発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我、堕天の右腕なり。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言った瞬間、彼女の足元に黒い煙のようなものが現れ、中から小さい悪魔から牛の頭をした化け物のようなものも現れた。それらは一斉にペルセポネを凝視した。

 

「な、なんだお前達。妾に何かあると言うのか!!」

 

しかし魔物達は何も言わない。唸り声すら上げない。と、楓がペルセポネに言う。

 

「我の能力は『掟を破る程度の能力』。本来の我は人間。だが時に悪魔にもなれば天使にもなれる。つまり我はこの戦いで1vs1という勝負の掟を破ることが出来る。」

 

そう言うと楓は上げていた左手をペルセポネの方へ向けた。そして言う。

 

「殺れ。」

 

彼女が言った瞬間、魔物達が一斉にペルセポネを襲い始めた。

 

「な、何をする!!」

 

ペルセポネは魔物達から逃れようとする。だが魔物は小さいものがいれば大きいものもいる。そのため、ペルセポネは大きいものに体を掴まれ、身動きが取れなくなる。そんな中、楓が言う。

 

「ペルセポネ、お前には見覚えがあるだろう?ここにいる全ての魔物達を。ここにいる魔物達は全てお前が冥界にいたときにお前が殺したものだ。お前が言ったいた、『殺された』というのは嘘であり、全ての黒幕はペルセポネ、お前だ!」

 

 

「!!」

 

「ど、どういうことなんだぜ?」

 

戸惑う霊夢と魔理沙にユニが冷静に推測したことを二人に話す。

 

「恐らくだけどさっきペルセポネが殺されたって言ってたけど実はそれは嘘らしいみたい。どうして知ってるのかは分からないけれど・・・。」

 

ユニが話している中、ペルセポネが険しい形相をして楓に言う。

 

「嘘だ!!妾は証明できる。殺したのは妾ではないということを!!」

 

「お前には気づいていないようだが魔物の中に我が主がいたのを気づいていなかったようだな。我の主がお前には気づかれないようにお前の行動を観察していてそれをハデスに伝えたのだ!!」

 

「なっ!!まさか、あいつがハデスに伝えたと言うのか!?」

 

「その通りだ。さぁ報いを受けるがよい。魔物を殺した報いをな!!」

 

そう言うと楓はスペルカードを取り出した。そして発動した。

 

「炎氷、燃え盛る氷竜!!」

 

氷と炎のオーラが纏った楓の攻撃が氷竜の剣から放たれ、そのままペルセポネに向かっていく。

 

「ク、くそがぁぁぁぁぁっ!」

 

そのままペルセポネは抵抗するも何も出来ず、そのまま楓の攻撃を食らった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煙が無くなったのと同時に楓の目の色が紫色からいつもの赤色に変わり、そのまま楓は目を閉じた。

 

「楓ちゃん!」

 

楓が倒れてしまうことをなんとなく察していたユニはすぐさま彼女の元へと駆け寄り、抱き抱える。そして言う。

 

「楓ちゃん、大丈夫?」

 

「あぁ、少し疲れたな・・・。」

 

身動きが出来ることを確認した霊夢と魔理沙も楓の元へと駆け寄る。そんな中、ユニが楓に言う。

 

「楓ちゃん、さっきのは一体何?」

 

「あれか?あれは『堕天(モードオブサタン)』と言って堕天の王、ルシファーの力を使うことが出来る。」

 

「ということは悠岐も同じ堕天を使えるの?」

 

「使えないことはないと思うが悠岐はまだやり方を知らないんだ。だが、いつか理解してあいつも堕天を使えるかもしれないな。」

 

「すごいな、ルシファーの力を使えるなんて・・・。」

 

「だが魔理沙、使えるのは1日1回だけだ。これ以上はもう使えない。」

 

楓が言った瞬間、突如として幻想郷の空を覆っていた紅い雲が晴れてきたのだ。それを見たユニが口を開く。

 

「・・・レミリアが負けたみたいね。」

 

「そんな!!」

 

「ウソでしょ、あのレミリア達が・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハ、やはりアヌビスには勝てなかったか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然背後から聞き覚えのある声が聞こえたため、四人はすぐに後ろを振り向く。そこには傷だらけであるが立っているペルセポネがいた。

 

「どうして!?さっき楓ちゃんが倒した筈・・・。」

 

驚く四人とは別にペルセポネは再び言う。

 

「アヌビスは妾達にとって必要不可欠な存在。恐らく奴にとって妾など相手にならぬであろう。」

 

彼女が言った時だった。突如上空から何か黒いものがペルセポネの背後に落下したのだ。その勢いでユニ達とペルセポネが吹っ飛ぶ。そして煙の中から現れた者にユニ達は目を細めて口を開く。

 

「・・・カオス。」

 

それを見たペルセポネは安心した表情を浮かべるとカオスの元へ駆け寄り、言う。

 

「カオス様、来てくださったのですね、ありがとうございます。」

 

「・・・・・。」

 

しかしペルセポネが話しかけてもカオスは彼女を見つめるだけで何も言おうとはしない。それに気にせず、ペルセポネが再び言う。

 

「さぁ、共にあの小娘どもを殺してやりましょう。そうすれば妾達に勝機が訪れる筈です。」

 

ペルセポネが言った瞬間、カオスは右手でペルセポネを掴むとそのまま自分の顔の元まで寄せる。そんな彼にペルセポネが言う。

 

「カ、カオス様。これは一体・・・。」

 

「用済みだ、消えろ。」

 

そう言うのと同時にカオスは信じられないくらい大きく口を開いた。そしてその中にペルセポネを入れようとする。そんな中、ペルセポネは抵抗しながら叫ぶ。

 

「嫌だぁぁぁぁぁっ!妾は、妾は食われたくない!!まだ生きて、やるべきことを・・・。」

 

その瞬間、ペルセポネの下半身がカオスの口の中に収まり、そのままカオスは鋭い牙をペルセポネの腹部に刺す。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!痛い痛い痛い!小娘ども、妾を、妾を助けてくれぇっ!」

 

ペルセポネが必死にユニ達に助けを求めるがユニ達はカオスの行動にただ呆然としていて助けてくれる様子ではなかった。

 

「あぁ、やだ。食べられたくない・・・。」

 

最後の一言を発したペルセポネの顔には涙が零れていた。そのままペルセポネの上半身もカオスの口の中に収まった。カオスが顎を動かすごとに骨が砕ける音、肉がぐちゃぐちゃになる音が辺りに響く。そのままカオスはゴクンという音を立てて自分の下部であるペルセポネを食ってしまった。と、楓が言う。

 

「カオス、お前!!」

 

 

険しい形相をする楓とは別にカオスは四人に不気味な笑みを浮かべ、見下しながら言う。

 

「役に立たぬ者は我がどんどん食らう。そして我は今お前達とここで戦うつもりはない。有頂天へ来い。そこでお前達と戦えるのを楽しみにしている。」

 

そう言うとカオスは有頂天へと飛んでいってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさーん、大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、カオスが飛んでいったのを見計らったかのように一人の少女が四人の元へと降り立つ。そんな少女に魔理沙が言う。

 

「今さら何の用なんだぜ?文。」

 

今頃と言ってもいいほどちょうど現れた少女、射命丸文は四人の前に降り、言う。

 

「大変です。先程妖怪の山方面でカオスの軍勢が目撃されました。」

 

「何ですって!?」

 

「クソッ、もう奴等が動き始めたのか。悠岐は一体何をしている!!」

 

「とりあえずまずは皆さんの傷の治療をしましょう。先程永遠亭から傷に効く薬を貰ってきましたので、カオスの軍勢を倒すのはそれからにしましょう。」

 

「用意周到ね。でも、文の意見には賛成だわ。」

 

そう言うとユニは楓の隣に腰を下ろした。それと同時に文が二人の前に寄り、傷を癒し始めた。




ペルセポネを食ったカオス。文から伝えられるカオス軍襲撃。果たしてどうなる!?
次作もお楽しみに!

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