最初に先陣を切ったのはスティーブだった。彼はウルガスト目掛けて取り出した弓を構え、矢を放つ。
「ギャァァァァァァァァ!」
スティーブが放った矢がウルガストの目に命中した瞬間、ウルガストは奇声を上げる。それに気にせずピンは高く飛び上がり、ウルガストの目の前で口を開く。
「ボクノチカラヲナメルナヨ、バケモノガ!」
そう言うとピンは右手に握り拳を作り、ウルガストの顔にパンチをする。土人形とは思えない力でそのままウルガストを50mほど離れた場所まで殴り飛ばした。
「や、やるじゃねぇかピン。」
「ケイスケクン、キミモコレクライハデキルヨ。」
「何言ってるんだお前は。悠岐じゃねぇんだから出来るわけないだろ。」
二人が話している内にウルガストが三人の前まで再びやって来る。そして火玉を口から放つ。
「そらよっ!」
そう言った瞬間、啓介はウルガストの放った火玉を刀で跳ね返した。それに反応することが出来ず、ウルガストに命中する。それを見たピンが心の中で語った。
(ナルホド、ケイスケクンノノウリョクハ、ハンシャカ。ダンマクナドヲハネカエセルナンテサスガダナ。)
少しよろけたものの、ウルガストは体勢を立て直し、スティーブ達に向かって突進する。それを見た啓介とスティーブは同時に横っ飛びをして避ける。起き上がったウルガストは立て続けに啓介を襲う。
「チッ、俺狙いか。」
そう言うと啓介はゾンビピックマン達がいる場所を走り抜けていく。何が起こったのか理解出来ないゾンビピックマンはそのままウルガストに飲み込まれる。それを見た啓介が言う。
「マジかよ!あいつ、ゾンビピックマンであろうと食うのかよ。」
「ケイスケクンキヲツケロ!ソイツノシタハカナリナガイカラユダンスレバスグニクワレルゾ!」
「分かってるよ!」
そう言うと彼は刀の先に紫の光を溜め、放つ。
「闇のレクテリア!」
しかし、彼が放った攻撃はウルガストに簡単に避けられた。だがその瞬間にピンがスペルカードを取りだし、発動する。
「黄熊プーノハニー!」
その瞬間、ピンは右手をウルガストに向けた。するとピンの右手から黄色いレーザーがウルガストに放たれた。レーザーによって動けないウルガストに隙ができたと感じたスティーブは矢に火をつけ、そのままウルガストに放った。
「アァァァァァァァ!」
その瞬間、ウルガストの体に火が付いた。そのままウルガストは暴れながら辺りに火玉を放つ。啓介達はそれをかわす。
「アッ!!」
と、ピンがある方向を指差して声を上げる。それを見た啓介とスティーブは目を大きく見開いた。そこにはウルガストが適当に放った火玉によって壊れたネザーゲートがあった。
「クソッ、これじゃあ帰れない!」
「ケイスケクン、イマハコイツヲタオスコトヲカンガエヨウ。」
「あぁ、そうだな。」
そう言うと三人は同時にウルガストの方へ目を向ける。ウルガストはまだ適当に火玉を辺りに放っている。と、啓介が口を開く。
「いいか?俺が合図したらお前らは同時に攻撃を放て。俺もそれに合わせて攻撃を放つ。」
「ワカッタ。ケイスケ、タノムゾ。」
「当たり前だ!」
啓介が言った瞬間、スティーブも深く頷く。そして啓介は火玉が当たらないようにダッシュでウルガストの真下に移動した。そして二人に向かって叫ぶ。
「いくぞ!ピン、スティーブ!!」
彼が言った瞬間、ピンは再びスペルカードを取りだし、発動し、スティーブは弓を構えた。
「憤怒青アヒルノイカリ!」
下からは啓介が力を溜め、ウルガスト目掛けて攻撃を放つ。
「暗黒界の裁き!」
それと同時にスティーブは毒が先端についた矢をウルガストに放った。三人の攻撃がウルガストに命中した。
「ウゥゥゥゥゥ・・・・」
そのままウルガストは煙を上げながらマグマの中へ落ちていった。それを啓介、ピン、スティーブの三人は黙ってみていた。と、啓介が口を開いた。
「なぁ、二人とも。ウルガストを倒せたのはいいんだが、俺らこれからどうするんだ?ネザーゲートを壊されたから帰れないぞ。」
「ワッ、ワスレテター!」
ピンが頭を抱えて叫んだ瞬間、スティーブが右手に体積1立方メートルの黒曜石を取りだし、門の形を作った。そして中に火打ち石で火をつけ、ゲートを作った。
「すげえ、ネザーゲートが出来ちまった。」
「サ、カエロウカ。」
そのまま三人はネザーゲートに入り、地上へ戻っていった。
見事ウルガストの撃破に成功した啓介達。そんな中、幻想郷ではある場所が狙われていた。そな場所とは!?
次作もお楽しみに!