「ここがネザー要塞かぁ・・・」
ぽかんと口を開けながらユニは辺りを見回す。そこは薄暗い雰囲気に覆われている建物の中はまさにお化け屋敷と言うのにふさわしい場所だった。そんな中、楓が口を開く。
「気をつけろ、急にブレイズが出てくる可能性がある。」
「ブレイズ?」
新たな名前を聞いて霊夢、魔理沙、ユニの三人は首を傾げる。そんな三人に悠岐が言う。
「スティーブのような顔をしている炎の化物だ。そいつも注意したほうがいい。」
「ガストと似ているのか?」
「攻撃パターンは似ている。だが形が違うからな。」
話していると急に楓が足を止めた。そして四人に見えるようにある方向を指差す。そこには鉄格子が張ってあり、中に誰かが入っていた。五人は恐る恐る中の様子を確認する。そこには全身黒く染まっていて右手に剣を持ち、こちらを見つめるガイコツがいた。それを見た悠岐が口を開いた。
「これがウィザースケルトンだ。」
「これが、ウィザースケルトン・・・」
初めて見る生物に興味が湧いたユニは鉄格子へと近づいていく。
「ユニ、そいつに近寄るな!!」
突如楓に怒鳴りつけられたユニはびっくりし、腰を抜かしてしまった。そんな彼女に楓が再び口を開く。
「もしあのまま私が何も言わなかったらお前はウィザー状態となり、毒状態になるのと同じになっていたんだぞ!!」
「あ、そうだったんだ・・・。ごめんなさい。」
「分かればそれでいい、ユニ。落ち込むことなんてない。」
「それよりも楓、こいつはキングウィザースケルトンじゃないみたいだな。」
「えっ!?」
悠岐の言葉を聞いてユニ達は目を大きく見開いた。そんな中、スティーブもウィザースケルトンの様子を見る。そして彼も縦に頷いた。本物ではないらしい。そんな中、何かを感じ取った楓が言う。
「カオスらがこの要塞に入ってきたらしいな。」
「何ですって!?」
「マズイな、ここには番人もいるっていうのに・・・」
「番人?」
「すまない、ユニ。今はそれを話している余裕がないんだ。急ごう。」
「そっか・・・」
そのまま五人は別の場所にいるウィザースケルトンの元へ向かった。その途中、霊夢がある方向を見つめながら歩いている。そんな彼女に魔理沙が口を開く。
「どうした?霊夢。そんなにお母さんのことが心配か?」
「それは心配よ。だって、死ぬかもしれないじゃない!」
「霊夢、一応言っておくがここはマインクラフトの地獄だ。ここの住人となった者が死ぬなんてまず有り得ないからな?」
「そっ、そうなの!?楓!!」
「うん、そうだぞ。知らなかったのか?」
「し、知らなかったわ。」
「さ、急ぐぞ。先代巫女さんのことも心配だが、今俺達には幻想郷のためにやらなきゃいけないことがあるだろう?」
「・・・そうね、行きましょう。」
そう言うとユニ達はキングウィザースケルトンの元へ走って向かう。しばらく走っている内に建物の十字路に出た。
「なっ!!」
その時間、五人は足を止めてしまう。何故ならちょうど反対側から大きさ4mで全身黒く、コウモリのような翼を持っていて目は紫色をしている悪魔が現れた。悪魔の後ろにはアヌビスとペルセポネがいる。そんな中、楓が言う。
「カオス!まさかここでお前と会うことになるとはな。」
「小娘よ、久しぶりだな。・・・と言いたいところだが今はそうしている場合ではないようだな。」
「テメェらは地獄に帰りやがれ。どうせキングウィザースケルトンの頭を取りに来たんだろう?」
「何故だ、何故我々の計画が知らされていると言うのだ!?まさか我が軍の中に裏切り者がいるというのか!?」
「残念だがカオス、お前の計画は天狗が盗み聞きして私達に速攻で伝えてくれたぜ。」
「なんと!アヌビス、ペルセポネ!!どうしてくれる!」
そう言うとカオスは後ろを振り返り、アヌビスとペルセポネを睨みながら言う。慌てて二人は同時に膝をつき、頭を下げて言う。
「も、申し訳ありません。妾としたことが天狗風情の存在に気づかないなど、冥神の恥であります。」
「私もです、カオス様。どうか、この愚かな私共を許して下さい。」
「フン、今回のみ許してやる。ただし、今後はないからな?」
「はっ!!」
そして二人と話し終えたカオスは再びユニ達を見て笑みを浮かべながら言う。
「貴様らには消えてもらう。我の計画の邪魔する貴様らの存在が、非常に不愉快なのだ!!」
「こっちこそ不愉快よ!あなたという存在が幻想郷を汚していく・・・。私はそれが憎たらしくて仕方ないのよ!」
「ならば我を止めてみるがよい。貴様が如き小娘に何が出来る?」
余裕の笑みを浮かべるカオスとは別に腹が立ったユニは四人の前に行き、スペルカードを取り出した。そして発動する。
「呼符コールザエニー。」
その瞬間、彼女が持っていたスペルカードが紫色に光始めた。そしてユニは叫んだ。
「闇には闇を、奴を食い止めて、山下啓介!!」
彼女が叫んだ瞬間、ユニの頭上に直径2mほどの空間が現れた。そしてその中から紫色の渦が宙に浮かぶ。
「ん?」
カオスはその渦を目を細めてじっと見る。そして次の瞬間、渦が消え、中から長身で丸い髪型に黒の目の青年が現れた。そして青年はユニ達を見ながら言う。
「よお、呼んだか?」
青年を見た瞬間、霊夢達は目を大きく見開きながら青年の名前を口にした。
「啓介!!」
それを見たカオスは目を細めながら言う。
「また邪魔者が来たか・・・。」
そんなカオスとは別にユニは啓介に言う。
「山下君、カオスを食い止めて!私達はキングウィザースケルトンの頭を探してくるから。」
「了解だ、しっかりな。」
「うん!」
そう言うとユニ達はキングウィザースケルトンがいそうな場所へ向かっていった。
「っ、逃がすな!」
そう言うとカオスはアヌビス、ペルセポネを連れてユニ達の後を追う。
「おっと、ここから先は通す訳には行かないぜ。」
「ぬおっ!?」
その瞬間、啓介がカオスの腹に回し蹴りをする。それを食らったカオスは5mほど地面を滑り、後退する。それを見たアヌビスとペルセポネが口を開く。
「カオス様!!」
「我のことは気にするな、先へ行き、小娘共を追え!」
カオスに言われたため、二人はそのままユニ達の後を追った。それに気にせず啓介はカオスと対峙する。と、啓介が口を開く。
「テメェは確かマーグルによって現世から追放され、何処かに封印された筈だよな?何故蘇った?」
「我の闇は無限の力だ。封印されてもいずれ蘇るのだ。」
「ケッ、面倒な野郎だな。」
「それに我々は既にキングウィザースケルトンの場所を把握してあるからな、例え貴様らがいくら探そうと先に見つけるのは我らだ。」
「なんだと!?そんなことはさせねぇ!!」
「ウゥゥゥゥゥ・・・」
啓介がカオスにかかろうとした瞬間、何処からか不気味な声が響き渡った。
ユニ達とカオスらに忍び寄る謎の声。その正体とは!?
次作もお楽しみに!