東方混沌記   作:ヤマタケる

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カオスの計画を盗み聞きした文の言葉を聞いてユニ達はネザーへと足を踏み入れた。


第30話 四角世界の地獄、ネザー 魔王vs先代巫女

「ここは・・・」

 

視界がはっきりしてくるとそこは赤いネザーラックがあり、天井からはマグマが流れている。まさに地獄と言うのにふさわしいだろう。そんな中、楓が口を開いた。

 

「ここが私が一番最初に制覇した六道の一つ目の道、地獄道ことネザーだ。」

 

「確かに楓の言った通り、暑いぜ。」

 

「みんな、これを飲んで。」

 

そう言ってユニが空間から取り出したのは青い液体が入ったビンだった。そして再びユニが口を開いた。

 

「それは火炎耐性のポーションよ。これを飲めば30分くらいならこの暑さに耐えられるわ。」

 

霊夢達はそれを見て少し躊躇ったが、それでもビンの中に入っている液体を飲み干した。その瞬間、先程の暑さが一瞬にして消えた。そんな中、楓が言う。

 

「ネザー要塞までの道は私が知っている。さぁ、行くぞ。なるべくガストやマグマキューブに見つからないように行くからな。」

 

「ガスト?マグマキューブ?」

 

聞き覚えのない名前に魔理沙は思わず声を発してしまう。そんな彼女に悠岐が答えた。

 

「ガストはネザーの番人見たいなものでマグマキューブはスライムのマグマ化だと思えばいい。いづれ会うからな。」

 

「よく想像がつかないぜ。」

 

「さ、話は後だ。先に進もう。」

 

楓が言った瞬間、スティーブが深く頷く。彼に続いて悠岐とユニも頷く。それを見て霊夢と魔理沙も頷く。それを見た楓が口を開く。

 

「さぁ、行くぞ!!」

 

そう言うと楓は全速力で走り出した。悠岐とスティーブも彼女の後を追うように走り出す。霊夢とユニは空中に飛び上がり、魔理沙は箒に股がり、楓達の後を追う。

 

「うわぁ、すごい所だね。」

 

空中に浮かびながらユニはネザーの様子を見る。そこは見たことがない鉱石ばかりで所々には豚の顔と肌に人の体、金の剣を持っている化物もいる。だがその化物は通りすぎる楓達を見ているだけで何もしてこない。と、悠岐が唐突に口を開いた。

 

「ユニ、霊夢、魔理沙!ゾンピピックマンには攻撃するなよ。こいつらは攻撃されたら集団で襲いかかってくるからな。」

 

「ひいぃ、恐い化物だぜ。」

 

彼の言葉を聞いて魔理沙達はゾンピピックマンには攻撃せず、様子を見て通りすぎていった。と、楓が唐突にユニ達に叫んだ。

 

「お前ら早くこっちに来い!ガストだ。」

 

楓の言葉を聞いてユニ達はすぐに楓達のいる岩影に身を潜めた。その瞬間、何処からか体が正四角形で足が9本あり、目を閉じていて大きさは10m近くある化物が現れた。霊夢は思わず声を上げようとしたが、悠岐が咄嗟に彼女の口を抑える。

 

「ウファ・・・」

 

化物は少し楓達の上を飛んだ後、すぐに何処かへ飛んで行ってしまった。化物が飛んで行った後、楓が言う。

 

「あれがガストだ。奴に見つかったら強力な炎を吐かれるからな。」

 

「あ、危なかったね。」

 

唖然としながらユニが口を開いた。スティーブはそんことがあったのにも関わらず真顔でいる。冷静なのか慌てているのかさっぱり分からない。そんな中、楓が言う。

 

「さ、先に進むぞ。」

 

そう言うと楓は再び走り出した。悠岐とスティーブも走り出し、霊夢、魔理沙、ユニは空中に浮かび、三人の後を追う。しばらく走っていると楓が足を止めた。

 

「どうしたの?楓ちゃん。」

 

「ユニ、あれを見ろ。」

 

楓が指差した方向にユニ達は目を向ける。そしてその光景に驚愕してしまう。そこには赤黒いレンガで出来た巨大な建物があった。ユニ達が驚愕している中、悠岐が口を開いた。

 

「あれがネザー要塞だ。随分とデカイやつを見つけたじゃないか。」

 

「ああ、そうだ悠岐。あそこにキングウィザースケルトンがいる。それに、あれを見ろ。」

 

楓が指差した方向を見るとそこにはスティーブが作ったのと同じネザーゲートがあった。それを見た霊夢が口を開く。

「カオスはあそこから入ってきているのね。」

 

「急ごう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笑止!!何故貴様らがここにいる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然男の低い声が聞こえた瞬間、何処からか銃弾が飛んできた。霊夢達はその方向を見る。そこには悪魔が描かれている服に右手には刀を持ち、左手には拳銃を持っている男がいた。男を見た瞬間、悠岐が男の名前を言った。

 

「黒田輝宗!どうしてここに!?」

 

「悠岐、一応ここは地獄だ。恐らく映姫によってここに送られたのだろう。」

 

「フン、まぁ良い。これでまた貴様らに復讐が出来る。」

 

「今私達はあなたの相手をしている場合じゃないのよ!」

 

「問答無用!さっさと死ねい!」

 

そう言って大魔王こと黒田輝宗が霊夢達に拳銃を発砲した瞬間だった。突如ネザーラックの影から女性が現れて女性は片手で輝宗の発砲した拳銃の弾を誰もいない方向へ弾いた。

 

「貴様は・・・」

 

霊夢達は彼の拳銃の弾を弾いた女性の姿を見て目を大きく見開いた。そこには腰まで伸びる黒髪に霊夢と似た服装をしている女性、先代巫女がいた。

 

「お、お母さん?」

 

恐る恐る霊夢が口を開く。そんな彼女に先代巫女が言う。

 

「久し振りだな、霊夢。元気にしてたか?」

 

「元気にしてたってお母さんはどうしてここに?」

 

「なんだ霊夢。私が2年前に幻想郷で起こした異変のことをもう忘れたと言うのか?」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、悠岐の頭の中にあの光景が浮かび上がる。ガイルゴールまでも来てしまうほどの大異変。と、先代巫女が霊夢達に言う。

 

「魔王は私に任せて、お前達はネザー要塞に行きな。」

 

「で、でもお母さんは!?」

 

「なんだ?そんなに私のことが心配か?」

 

「・・・・いいや、そんなことは無いわ。」

 

「だったら早く行きな。紫から聞いたよ、カオスがやろうとしているらしいね。」

 

「霊夢、急ごう。」

 

悠岐が言った瞬間、悠岐、楓、スティーブがネザー要塞へと走っていった。そんな中、霊夢を見つめる魔理沙が言う。

 

「霊夢・・・」

 

「分かったわ。お母さん、死なないでね。」

 

ようやっと決意した霊夢は魔理沙、ユニと共にネザー要塞へと向かった。それを見届けた先代巫女は大魔王こと黒田輝宗と対峙し、口を開く。

 

「あんたにはあの子達に戦わせないよ。あの子達にはやらなければいけないことが山ほどあるからね。」

 

「・・・それで貴様が足止めと?」

 

「その通り、私はあんたをここで食い止めるだけさ。」

 

「貴様が如き女が我を倒せると思っているのか?」

 

「やらなければ分からないよ、そんなの。」

彼女がそう言った瞬間、突然2体のゾンピピックマンが現れ、二人の前を通ろうとした。その瞬間、二人の姿が一瞬にして消えたかと思うと間合いをつめていた。

 

「ムゥ・・・」

 

「チッ。」

 

そこには先代巫女の右足のキックを拳銃で防ぎ、刀を突く大魔王と大魔王の刀を両手で挟んで右足キックを入れる先代巫女だった。その瞬間にたまたまそこを通ろうとしたゾンピピックマンの頭2つがマグマの中に落ちる。

 

「貴様、なかなかやりおるわ。」

「あんたも充分やるじゃないか。」

 

二人は笑みを浮かべながら口を開く。先に攻撃を仕掛けたのは先代巫女だった。右足を引っ込め、刀を放した瞬間、大魔王にチョップを入れる。それに反応し、大魔王は避ける。そして拳銃を先代巫女に発砲する。

 

「おっと!」

そう声を上げた先代巫女は弾を避けきれず、頬にかすり傷を被う。それに気にせず先代巫女は立て続けに発砲してくる大魔王の攻撃を壁を走りながら避ける。そして壁を踏み切り台にし、大魔王に向かい、彼の顔を右足で蹴る。

 

「くっ・・・」

 

少しよろけた大魔王は先代巫女を見ながら再び発砲する。そんな中、彼の攻撃を避けながら先代巫女が言う。

「魔王さん、私の能力は知ってるかい?」

 

「笑止、興味などないわ。」

 

「そうかい、なら見せてやるよ。私の能力は・・・」

 

彼女が続きを言おうとした瞬間、大魔王が彼女に発砲する。その瞬間、先代巫女が口を開いた。

 

「常識破壊さ。」

 

そう言うと彼女は右手をデコピンの形にし、そのまま人差し指を弾いた。その瞬間、大魔王の発砲した弾が彼の拳銃と左腕を貫いた。そのまま大魔王の拳銃は壊れ、彼の左腕からは血が流れ始める。そんな中、先代巫女が言う。

「これが常識破壊だよ、魔王さん。」

 

「恐ろしき女よ。」

 




ネザーで始まる先代巫女と大魔王の戦い。その結末は!?次作もお楽しみに!

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