場所は変わって香霖堂。冥狼神アヌビスとの戦いで傷をおおった悠岐と楓の傷を香霖こと霖之助が治療していた。そんな中、魔理沙が突然口を開いた。
「どうやら静まったようだぜ。」
「神子と華扇の戦いなのかしら?」
彼女に続いてユニも言う。そんな中、悠岐が口を開いた。
「あの二人の戦いはともかく、カオスは一体どうなったんだ?」
「みなさん!大変ですよ!!」
悠岐が言った瞬間、香霖堂の扉を勢いよく開けて入ってきたのは文々。新聞の射命丸文である。そんな彼女に慧音が言う。
「どうした?一体何があったんだ?」
「先程、大きな悪魔を発見し、今後の計画を聞いてきました。」
「なんだって!?」
香霖堂にいる全員が同時に声を発する。そんな中、文が言う。
「これからみなさんに計画のこと全てを話します。」
時はつい先程の10分前、呑気に妖怪の森を歩いていた文が椛の元へ行こうとしていた時だった。ちょうどそこへある影が見えたのに気づいた彼女はすぐにそこへ向かい、気づかれないように身を潜めた。
「あやや、あれは・・・」
そんな彼女に気づかず、背丈が4mほどあり、背中には大きなコウモリのような翼を生やしてい全身黒く染まっている悪魔がいた。悪魔の前には鳥のような黒い翼を生やしている女性とジャッカルの頭をしている男もいた。そんな二人に悪魔が言う。
「これから我々はネザーへ行き、キングウィザースケルトンの頭を取っていく。理由は言うまでもない。お前達には期待している。この幻想郷の小娘どもに敗北など許さん。いいな?」
「はっ!どうぞご期待ください、カオス様。」
「はっ!このペルセポネ、必ずや成功させてみせます!」
文は確かに翼の生えた女性と悪魔の名前を耳にした。どうやら悪魔はカオスといい、女性はペルセポネというようだ。
(あやや、これは大変になりましたね。)
心の中で呟いた文は急いでその場から離れ、霊夢のいるところへ飛んでいった。カオス達はそれに気づくことはなかった。
そのことを全て話した文に悠岐が口を開く。
「恐らくカオス、ペルセポネともう一人のやつはアヌビスだ。ウィザースケルトンの頭を使ってウィザーを復活させるつもりだな。」
「どうやら、奴らが動き出した見たいね。」
突如ユニ達の背後から女性の声が聞こえたため、ユニ達はすぐに後ろを振り返る。そこには目玉だらけの世界、スキマから体を出す女性、八雲紫が現れた。スキマから体を全部出した紫は一息吸ってから口を開いた。
「今からあなた達にはマインクラフトの地獄に行ってもらうわ。天狗の話じゃ、キングウィザースケルトンの頭を取りに行くみたいだし、先回りしたほうがいいわ。」
「でも紫、どうやってマインクラフトの地獄に行くって言うんだ?それに、マインクラフトの地獄って一体・・・」
「ネザー。」
唐突に口を開いたのは楓だった。そして話を続けた。
「私が制覇した六道の一つ目の道、地獄道。それがネザーだ。そこでは水がすぐに蒸発してしまうほどの灼熱の世界。まさに地獄と言ってもいい。」
「そんな場所に本当にそのキングウィザースケルトンってやつがいると言うの?」
「いるに決まっているだろ?霊夢。なんせ奴らは灼熱の耐性がついているからな。俺らとは大違いだ。」
「だが紫、一体どうやってネザーに行くと言うのだ?」
楓が言った瞬間、彼女に続いて霖之助が声を発した。
「確か、ネザーへの行き方はネザーゲートっていう通称『地獄の門』を通らないといけないはずなんだよね。それに、それを作るためには黒曜石と火打ち石が必要になってくる。」
「それならこの私に任せて!」
そう言ったのはユニだった。彼女は突然香霖堂から外へ出るとスペルカードを取りだし、発動する。
「呼符コールザエニー。」
彼女に続いて霊夢達も香霖堂から外へ出てユニの様子を見る。そしてユニはスペルカードを高く上げ、叫ぶ。
「物を作れ、スティーブ!」
ユニが叫んだ瞬間、彼女の右側に直径3mほどの空間が現れ、そこから身長2mほどで全身が四角で出来ていて緑色の服に青紫色のズボンを履いていて真顔の男が姿を現した。その男を見てユニが口を開いた。
「突然呼んでしまって申し訳ないのだけど、ネザーゲートをここに作ってもらってもいいかしら?」
ユニが言った瞬間、男は深く頷き、手元から黒曜石を取り出した。そして縦、横、高さ1mほどの黒曜石を並べていき、高さ5m、幅4mの扉を作った。そして男は火打ち石を用意すると黒曜石の上に火をつけた。その瞬間、怪しい雰囲気を出しながら紫色のゲートが現れた。
「うわぁ・・・」
「これが、ネザーゲート・・・」
ユニ達は思わず驚愕してしまう。そんな中、紫が霊夢達に言う。
「ここからでもネザーには行けるわ。急いでちょうだい、奴らはそう簡単にネザーへ行かないはず無いのよ。」
「僕と慧音と文は残ってるよ。万が一幻想郷に何かが起こったら大変だからね。」
「私も残ってるわ。他の人達にこのことを伝えなきゃ。」
「分かったわ。紫、死なないでね。」
「ユニこそ、死んじゃ駄目よ。」
紫が言った瞬間、ユニは深く頷き、彼女に背を向けた。その後に魔理沙がユニに問う。
「なぁ、ユニ。ここにいる大男は誰なんだぜ?」
「ああ、この人はスティーブ。マインクラフトの住人よ。喋らないけど、色々やってくれるわ。」
「なんだか心配になってきたわ。」
「さ、疑っている暇は無いぞ。早く行こうぜ、ネザーに。」
「よし、一斉に飛び込みましょう!」
ユニの合図で霊夢、魔理沙はユニと共にネザーゲートに飛び込んだ。しかし、三人は紫色のゲートを通り抜けてしまった。それを見た悠岐と楓は思わず腹を抑えて笑ってしまう。そんな二人にユニが言う。
「ちょっと!なんでネザーに行けないのよ!」
「アハハハハ、当たり前だろ!なんせ、ネザーに行くにはその紫色のゲートに止まらなくては行けないからな。」
「まさかそれを知らずに飛び込むとはアッハッハッハ。」
悠岐と楓に笑われ、三人の顔が赤くなっていく。そんな三人とは別に悠岐が言う。
「さ、今度こそ行こうぜ。」
彼が言った瞬間、ユニ、霊夢、魔理沙、悠岐、楓、スティーブの6人は同時にゲートに止まった。その瞬間、6人の目線がぼやけ始めた。
「な、何これ・・・」
「安心しろ、ネザーに行くときや現世に帰る時は必ず視界がぼやけてから繋がるんだ。」
楓が言った瞬間、6人の姿がゲートから一瞬にして消えた。それを見届けた紫が空を見上げながら言った。
「気を付けてね、必ず生きて帰ってくるのよ。」
ついにネザーへ行くユニ達。そこで彼女達を待ち受ける者とは!?次作もお楽しみに!