しばらくしてユニ達は紅魔館の近くにある湖まで降りた。
「来たな霊夢!今日こそアタイと勝負しろ!」
突如として幼い子供の声が聞こえたため、三人はその方向に目を向ける。そこには青髪で背中に氷の翼を生やしていて威張る態度をとっている少女がいた。彼女を見たユニは呆然となり、霊夢と魔理沙は溜め息をはく。そんな三人に少女は再び声を上げる。
「な、なんだその反応は!!最強であるアタイの前にそんな態度をとるなぁ!」
しかし少女が何を言おうとも三人のリアクションは変わらない。そんな中、ユニが魔理沙に言う。
「ねぇ魔理沙。あの子は誰?」
「あぁ、あいつはチルノ。氷の妖精なんだけどあまり相手しないほうがいいぜ。」
「魔理沙!!それはどういうことだぁ!」
魔理沙の言葉に食らいつく氷の妖精、チルノはカーッとなる。そんな彼女とは別に霊夢がユニに言う。
「ユニ、申し訳ないけれどちょっとここで待ってて。すぐに終わるから。」
「え?う、うん。」
霊夢は魔理沙に対して何かもめているチルノの元へ近寄った。そんな彼女にチルノが口を開く。
「お、やっとアタイと勝負する気になったか!」
「歯ァ食い縛りなさい。」
その言葉を聞いた瞬間、ユニと魔理沙は霊夢とチルノから10mほど離れた場所へ移動した。チルノは何も気にせずに霊夢を見る。そして次の瞬間、
霊夢がチルノに殴りかかっていた。殴る度にゴキッ、グキッという鈍い音が辺りに響いた。それを見ていたユニと魔理沙は苦笑いしながら言った。
「霊夢が『鬼巫女』って呼ばれてる理由分かったかもしれないわ。」
「流石は霊夢、妖精であろうと容赦ないぜ・・・」
ピチューンッ!
その音が辺りに響いた瞬間、チルノの姿が消えた。そして何事も無かったかのように霊夢が満面の笑みを浮かべて二人の元へ近寄り、言った。
「さ、紅魔館へ行きましょう。」
(さっき起こったことは何も気にしないんだな・・・)
そう思いながら魔理沙はユニを見ながら霊夢の後を歩く。彼女も自分と同じ事を考えているのか、表情が全く同じだった。
ガブリッ。そんな音が辺りに響いた。響いた音にユニは目を向ける。そこには霊夢の尻に噛みつく、黄色の髪に黒い服、頭には赤いリボンをつけている少女がいた。彼女を見た瞬間、ユニが口を開いた。
「あっ!この子ルーミアでしょ?紫から聞いたわ。」
「よく知ってるな!その通りだぜ!」
わいわい話している二人とは別に霊夢は右手に力を込めながら自分の尻に噛みつく少女、ルーミアに言った。
「相当私に殺されたいようねぇ、このお尻かじり虫がぁっ!」
その瞬間、霊夢はルーミアの頬を引っ張り始めた。ルーミアはバタバタ暴れながら逃げようとする。それを見ていた二人はまた苦笑いした。観念したのか、ルーミアは抵抗するのをやめた。そして何処かへ飛んでいった。呆然となるユニに霊夢が再び口を開いた。
「ごめんなさいね、私の回りにはああいう奴しかいないから。我慢してね。」
「う、うん(こ、怖い)。」
紅魔館の門の前につくと中国の服を着ていて寝ている少女がいた。それを見たユニは咄嗟にスペルカードを発動し、彼女の左側に現れた直径20cmほどの空間から一冊の本を取り出した。それを見た魔理沙が彼女に言う。
「ユニ、何してるんだぜ?」
「『人の優しい起こし方』よ。それが妖怪にも通用するかなぁって。」
そう言うと彼女は寝ている少女に近づいた。そして再びスペルカードを発動すると空間から懐中電灯を取り出した。そして寝ている少女の目を無理矢理開くとそこに向かって懐中電灯の光を照らした。
「ぎゃあああ!」
あまりの眩しさに少女は目を押さえながら地面に転がり始めた。それを見た霊夢と魔理沙は思わず失笑した。やり方を間違えたのか、ユニは再び本を見る。そして慌てる表情を浮かべながら声を上げた。
「しまった!これ『優しい起こし方』じゃなくて『絶対に起きる起こし方』だった!」
それを聞いた瞬間、霊夢と魔理沙は声を上げて笑い始めた。そんな彼女らとは別に門番の少女が言う。
「何するんですか!折角いい夢見れた・・・って霊夢さんに魔理沙さんじゃないですか!」
「美鈴、レミリアを呼びなさい。」
「お、お嬢様ですね。分かりました!」
そう言うと彼女は紅魔館の中へ入っていった。それを見ていたユニが霊夢に言う。
「ねぇ霊夢。さっきの人って?」
「あいつは紅美鈴。紅魔館の門番なんだけど、さっきの通りよ。」
「ま、まぁ察しておくわ。」
「何だ、悠岐がまた来たかと思えば見覚えのない人間の小娘ね。期待して損したわ。」
突如として紅魔館の時計塔から少女の声が聞こえたため、三人はその方向に目を向ける。そこには紫の髪にコウモリのような翼を生やしている少女、レミリア・スカーレットがいた。そして辺りは突然として赤い雲に覆われた。そんな彼女の背後には妹のフランドール・スカーレット、パチュリー・ノーレッジ、十六夜咲夜、紅美鈴、小悪魔がいた。そしてレミリアはユニに言う。
「人間、お前の名前は?」
「私の名前はユニ。スキマ妖怪八雲紫から幻想郷の守護を任されている人間よ。」
「『幻想郷の守護』ですって?アハハ、馬鹿馬鹿しいことを言うのね。ならば私と戦ってそれ果たせるのかどうか証明して頂戴!」
そう言うとレミリアは飛び上がり、猛スピードでユニの方へ向かっていく。それを見たユニはレミリアの攻撃をかわし、スペルカードを発動した。
「剣府『アームストライク』」
その瞬間、彼女の右側から空間が現れ、彼女はその中から草薙の剣を取り出した。それを見たレミリアはグングニルを作り上げた。そしてそれを降り下ろす。ユニもそれに対抗すべく防ぐ。そんな彼女にレミリアがスペルカードを発動した。
「紅府『不夜城レッド』」
目の前で放たれては反応出来ず、ユニは彼女の攻撃を受けた。そのまま彼女はくの字になりながら吹き飛び、木に叩きつけられた。そして地面に崩れる。そんな彼女とは別にレミリアはユニの前髪を掴み、無理矢理自分の目線に合わせた。そして言う。
「所詮人間はこの程度か。『幻想郷の守護』って言ってたけれど無理があるんじゃない?ならば代わりに私がやってあげるけれど?」
そう言うとレミリアは声を上げて笑い始めた。そんな彼女とは別にユニはレミリアの心の中を見てあることに気づき、心の中で囁いていた。
(この人、因縁の相手が二人いる?一人は女の人でもう一人は男の人?どちらにせよ、戦いたい気持ちがあるようね・・・。試す価値はありそうだわ。さて、この人の名前は・・・)
そしてユニはレミリアの手を振り払った。突然の攻撃にレミリアは下がることしか出来なかった。そんな彼女とは別にユニはスペルカードを発動した。
「呼府『コールザエニー』」
それを見たレミリアは呆れた顔をしながらユニに言った。
「何をするのか知らないけれど、これ以上私と戦うのは止めておくと警告するわ。お前じゃ私に勝てないのは必定でしょ?」
ユニに語りかけるレミリアとは別にユニはまじないのような言葉を発した。
「私に力を貸して、月の民、綿月依姫!!」
その一言を聞いた瞬間、一同は驚きを隠せなかった。そんな中、レミリアが少し慌てながらも言葉を発した。
「な、何を言ってるのよお前は。綿月依姫?そんな奴がお前なんかに・・・」
彼女が続きを言おうとした時だった。ユニの右側に直径2mほどの空間が現れた。そしてそこから薄紫色の長い髪に黄色のリボンを用いて瞳の色は赤く、白くて半袖・襟の広いシャツを着ている少女が姿を現した。
「ふぅ・・・」
少女は息を吹いてユニの方を見た。そして彼女に口を開いた。
「私を呼んだのはあなたですね?」
「えぇ、あなたに力を貸してもらいたくて呼びましたわ。あの吸血鬼と戦うためにね。」
そう言うとユニはレミリアの方を指差した。それにつられて少女はその方向を見る。そして溜め息を吐き、ユニに言う。
「あれは私が以前倒した地上の吸血鬼ですよ。まぁ、また戦うのは悪くありませんけどね。」
そう言うと少女は腰にかけてあった刀に手をつけた。そして抜いた。その様子を上から見ていたフラン達は目を大きく見開いていた。そんな中、咲夜がパチュリーに言う。
「パチュリー様、あれは・・・」
「えぇ、間違いないわ。あれは月に行った時にレミィを一瞬で倒した月人、綿月依姫!」
次作、再び対峙するレミリアと依姫。果たして勝負の行方は!?
次作もお楽しみに!