東方混沌記   作:ヤマタケる

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カオスで騒ぎになる中、神子と華扇が正しい道をかけて勝負を始める。


第28話 神子vs華扇②

「眼光『十七条のレーザー』」

 

「務光。」

 

神子と華扇の戦いは互いに一歩も譲ることなく続く。そんな中、華扇が頭の中であることを考えていた。

 

(もし私がこの戦いに負ければ間違いなく多くの人間達は彼女のやり方が正しいと認識してしまう。そんなことがないように私が勝たなければ・・・・)

 

神子も華扇と同じく、頭の中であることを考えていた。

 

(鬼から成った仙人の言葉など、戯れ言に過ぎる。私の力で思い知らせなければ・・・!!)

 

神子がはっとなった瞬間、華扇は子龍を呼び寄せ、神子に攻撃させる。

 

「皇帝。」

 

咄嗟に気づいた神子は素早く華扇の攻撃をかわす。そして彼女は剣を降り、華扇を斬りつけようとする。華扇もそれに対抗すべく、鎖で剣による攻撃を防ぐ。そんな中、神子が華扇を攻めながら口を開く。

 

「さぁ、どうしました?鬼から成った仙人。先程の余裕は一体どこへいったと言うのです?」

 

「そういうあなたも少し疲れが見えているのではないですか?先程よりも動きが鈍くなってますよ。」

 

そう言った瞬間、華扇は虎を呼び寄せ、神子に攻撃させる。

 

「っ!」

 

神子再びは素早くかわそうとしたが間に合わず、虎の爪が彼女の左肩に命中した。神子の左肩から鮮血が垂れてくる。彼女は剣を持ちながら血が垂れる左肩を抑える。そんな彼女に華扇が言う。

 

「これが正しい道である私の戦い方です。戦いにはまず補佐してくれる者がいないといけませんよね?」

 

「茨木華扇、私はあなたを甘く見すぎていました。なるほど、補佐ですか。そんなものは・・・」

 

その瞬間、神子は猛烈な勢いで華扇に近付き、剣を降り下ろした。

 

「!?」

 

しかし神子が狙っていたのは華扇ではなく、華扇の補佐をしていた虎だった。そのまま彼女は虎を斬り殺した。

 

「補佐を先に倒せばあなたを倒すのもやりやすくなる。」

 

「なっ!?」

 

華扇は神子の突然の攻撃に目を大きく見開く。そんな彼女とは別に神子は油断した華扇の左腕を斬りつけた。華扇の左腕から鮮血が飛び散る。そんな彼女とは別に神子は華扇の腹を空いている左手で殴りつけた。

 

「ぐっ!?」

 

華扇はそのままバランスを崩し、地面に倒れる。そんな彼女に神子は先程斬りつけた左腕を踏みつけた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 

あまりの痛さに華扇は奇声を上げる。そんな彼女とは別に神子が口を開いた。

 

「所詮は動物を操るだけの能力。そんなものは私には通用しませんよ。この勝負、私の勝ちみたいですね。」

 

そう言うと神子は剣の先を華扇に向けた。それを見た華扇は急に奇声を上げるのをやめ、震えた声で口を開く。

 

「い、嫌。やめて・・・・」

 

「おや?山の仙人であるあなたが嘆きを言うのですか?意外な一面を見れて面白かったです。それでは、終わりにしましょう。」

 

そう言うと神子は躊躇うことなく剣を華扇に向かって降り下ろした。華扇もどうすることも出来ず、ただ目を閉じることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「芳香、任せたわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如少女の声が聞こえた瞬間、神子の攻撃が止まった。いや、止められていたのだ。神子の攻撃は芳香が両手で剣を挟んでいた。それを隙に華扇は神子の足から脱出した。

 

「もうこんな醜い争いはお止めください、お二方。」

 

少女の声が聞こえたため、二人はその方向を見る。そこには青髪の少女、青餓がいた。

 

「そうですぞ、神子様。」

 

「そうだよ、山の仙人さん。」

 

彼女の後に続いて布都と屠自古もやって来た。そんな彼女らに神子が口を開いた。

 

「何のつもりなのです?青餓、芳香、布都、屠自古。私の邪魔をしないで下さい。」

 

「そんなことをしている場合ではありません!!あれを見て下さい。」

 

そう言うと屠自古はある方向に指を指した。その方向に神子と華扇は目を向ける。そして思わず目を大きく見開いてしまう。

 

「あ、あの方々は・・・」

 

「どうして・・・」

 

神子は思わず右手に握っていた剣を放し、地面に落としてしまう。二人が見つめる方向、そこには多くの人間達が二人を見て両手を握っていた。そして言う。

 

「神子様、私達を救ってください。お願いします。」

 

「華扇さん、どうか俺達に未来を・・・」

 

神子と華扇はただ茫然とその様子を見ることしか出来なかった。そんな二人に布都が口を開く。

 

「正しい道は、あなた方が決めるんじゃないのです。あなた方の宗教の信仰者が決めるんですよ。」

 

彼女に続いて芳香が神子に笑顔を見せながら口を開いた。

 

「だから二人で喧嘩する必要なんてないんですよー!あの人だって言ってましたよー、『この世の正しい道は信仰者が決める』って。」

 

「なるほど、あの方もそうおっしゃっていたのですか。確かにそれの意味が分かる気がします。」

 

「私はあの男を信用するつもりはありません。ですが、信仰者のためなら、分からなくもないですね。」

 

「すいません、華扇さん。」

 

「どうされました?神子さん。」

 

神子と華扇は共に向かい合い、笑みを見せ合った。そして神子が口を開く。

 

「これからは私達共同で宗教をやっていくことにしませんか?あなたとならなんだかやっていける気がします。」

 

「奇遇ですね、実は私も同じ事を考えていました。」

 

「なら一緒にやっていきましょうよ。」

 

「勿論ですとも。これからよろしくお願いいたしますよ。」

 

そう言うと二人は互いに手を取り合った。それを見た布都が青餓に言う。

 

「これからどうなるのか、楽しみですな、青餓殿。」

 

「えぇ、これからは何だか面白くなりそうな気がします。」

 




神子と華扇の戦いは青餓達によって静められた。だがカオスによる計画はまだ誰も静められていない。果たしてどうなる!?
次作もお楽しみに!

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