東方混沌記   作:ヤマタケる

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玄武の沢に現れた鉱物の正体はウィザーだったことを知ったユニ達は驚きを隠せなかった。


第23話 謎の悪夢

「・・・あれ?」

 

気がつくと霊夢は見覚えのない場所にいた。薄暗く、自分の目線には王が座るような玉座が置いてある。そして右側にはうつ伏せで倒れている咲夜、左側には仰向けで倒れている魔理沙がいた。そんな中、自分はぽつんと座っている。そんな中、自分の目線に現れたのは身長4mほどで大きな翼をしていて太い腕が2本、細い腕が2本ある男、いわゆる悪魔が傷だらけの妖夢を片手で摘まみ上げている。そして男は信じられないくらい大きな口を開くとそのまま妖夢を口の中へ入れ、ゴクンという音を立てて彼女を丸のみした。

 

「ひっ!」

 

思わず声を発する霊夢。彼女に気づいたのか、悪魔の男はゆっくりと霊夢の元へ歩み寄る。

 

「いやっ!」

 

霊夢は声を上げ、逃げようとするが足が言うことを聞かず、動かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁっ!」

 

目を覚ますとそこはいつもの博麗神社の中でユニが寝息を立てながらすやすやと眠っていた。

 

「何なのよ、今の・・・」

 

霊夢は先程の出来事は夢だと気づき、安堵の溜め息を吐いた。そして襖を開け、隣の部屋で寝ている悠岐を確認する。彼はユニ達に背を向けるも、寝息を立てて寝ていた。そんな中、霊夢が独り言を呟いた。

 

「本当にさっきのは何だったのかしら・・・。夢ね、きっと疲れてるんだわ。もう一回寝よう。」

 

そう言うと彼女は布団に入る前に外を眺めた。空は星空が広がっており、辺りはしんとしている。まだ深夜であった。そして彼女は布団に潜り込み、眠りにつこうとした。だが、先程の夢が頭の中で思い出してしまった。が彼女はそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づいた時には辺りは明るくなり、夜が明けていた。目を覚ますとユニが寝るときに使っていた布団は綺麗に畳んであった。そしてキッチンから誰かが何かを作る音が聞こえた。

 

「ふぁぁぁ、昨日のは何だったのかしら?」

 

背伸びをしながら霊夢は呟き、着替えてテーブルの方へ向かう。そこにはユニではなく悠岐が座っていた。だとすると今料理をしているのはユニである。と、霊夢が来たことに気づいた悠岐が彼女を見ながら言う。

 

「おはよう、霊夢。」

 

「おはよう、悠岐。」

 

霊夢は悠岐の隣に腰をおろした。その瞬間、悠岐があることに気づき、霊夢に言う。

 

「お前、少しクマ出来てるけど、大丈夫か?」

 

「えぇ、大丈夫よ。少し疲れてるだけなのよ。」

 

「そうか。ならいいんだがな。」

 

二人が話している内にユニがドーナッツを持ってきて二人の前に差し出した。そして言う。

 

「私が頑張って作ったんだ。たくさん食べてね!」

 

「ありがとう、いただきます。」

 

そう言うと二人は早速ユニの作ったドーナッツを食べる。ドーナッツの一部を口に入れた瞬間、二人の口の中にとてつもない辛さが襲った。二人は暴れながらユニに言う。

 

「お前、ドーナッツの中に何入れた!!」

 

「何って、赤い砂糖を入れただけだけど?」

 

「それはカラシだ!どうしてお前はカラシと砂糖の区別がつかなうぇぇぇぇぇ!」

 

悠岐は耐え切れなくなり、急いで外に出て草木の茂っている所へ吐いた。霊夢も同じく草木の茂っている所へ吐いた。それを見たユニがドーナッツを持ちながら言う。

 

「ちょっと、折角私が頑張って作ったのにも吐くなんてひどいよ!」

 

そう言うとユニもドーナッツを口の中へ入れた。結果は悠岐と霊夢と同じで草木の茂っている所へ吐いた。そして落ち着いた三人は神社の賽銭箱の前で腰をおろした。その際、ユニは悠岐の肩に頭を乗せて辺りの風景を見ていた。そんな中、霊夢が二人に言う。

 

「ねぇ、二人は昨日どんな夢を見た?」

 

「唐突な質問ね。私は沢山のドーナッツを食べる夢を見て最高だったわ。」

 

「俺は特に何も見てないな。夢を見ない日が時々あるもんでね。」

 

「そうなのね。私は何か知らないけど変な所で咲夜と魔理沙が倒れていて妖夢が悪魔のようなやつに丸のみにされた夢を見たわ。」

 

「怖い夢を見るのね。私はそんな夢は見たくないな。」

 

「でも昨日のことだけだし、大丈夫かなって思うわ。」

 

「それならいいんだがな。」

 

三人が話している内にいつものように魔理沙がやって来た。もちろん楓も一緒にやって来る。そして五人で集まった時、霊夢が二人に悠岐とユニに言ったことを聞く。

 

「ねぇ魔理沙に楓。あんた達は昨日どんな夢を見た?」

 

「私か?私は何も見てない。私は夢を見ることが少ないからな。」

 

「私も何も見てないぜ。夢を見て幸せな気分になりたいなぁ。」

 

「夢を見ない人もいるのね。」

 

「ところで霊夢、どうして私達にそんなことを聞いてきたんだぜ?」

 

「実は昨日ね、私は何か知らない所にいてそこで魔理沙と咲夜が倒れていて妖夢が悪魔のようなやつに丸のみにされた夢を見たのよ。」

 

「何だそりゃ?」

 

「でも昨日のことよ。あまり気にしてないわ。」

 

「だが霊夢、現実世界の常識では、それは危険な状態じゃないのか?」

 

「え、どうして?楓ちゃん。」

 

彼女の言葉に咄嗟に反応するユニ。そんな彼女の問いに答えるかのように楓が口を開いた。

 

「現実世界では予知夢を見る人が多い。それで夢が現実化し、幸せな人もいれば悪夢が現実化し、アンラッキーな人だっている。」

 

「そうかしら・・・」

 

「だから霊夢、今後は気をつけたほうがいい。その夢が毎日続くようであればすぐに誰かに相談することだ。」

 

「分かった、そうするわね。」

 

それから五人は様々なことを話続けた。そして気づけば夕方になっていたため、魔理沙と楓は魔法の森にある霧雨店へ帰っていった。そしてユニ達は昨日のように悠岐が料理をし、ユニと霊夢がそれを待つ間に話をする。

 

「現実世界ってどんなものがあるの?」

 

「現実世界には車っていう機械で出来た通行手段の乗り物があるの。多くの人々は毎日それに乗って色々な所へお出かけするの。」

「へぇ、興味深いわね。一度現実世界に行ってみたいわ。」

 

「現実世界では毎回決まりがあってね、必ず王宮へ謁見に行かなければならないの。」

 

「どうして?」

 

「王宮には現実世界最高権力者の地王セコンド様がいらっしゃるのよ。そんな彼に会いに行けるなんて滅多にない機会だからじっくり堪能しろってことよ。」

 

「幻想郷はまだテレビは復興してないし、技術は現実世界よりも発達はしていない。羨ましいわ。」

 

「私も一応幻想郷の人間だから現実世界のことは少ししか知らないの。」

 

二人が話している内に悠岐が料理が乗った皿を持ってきた。そして二人の前に差し出した。今日は炒飯である。そして悠岐がスプーンを二人の前に置き、霊夢の隣へ腰をおろした。そして三人は手を合わせて同時に声を発した。

 

「いただきます。」

 

三人は同時に口の中へ炒飯を入れる。その瞬間、ユニは手を頬に当てながら言う。

 

「美味しい!こんな料理初めてよ!」

 

「ハハハ、喜んでもらえて嬉しいよ。」

 

「本当に美味しいわね。悠岐、あんた料理人に向いてるんじゃない?」

 

「そ、そうか?」

 

そして20分もしない内に三人は皿の上にあった料理を食べ終え、スプーンを置き、手を合わせて同時に声を発する。

 

「ごちそうさまでした。」

 

そしてユニは誰よりも早く布団を敷き、すぐに布団の中へ入った。そんな中、悠岐は食器の片付けを行っていた。霊夢も同じく布団を敷き、布団の中へ入った。食器を洗い終えた悠岐は漆黒の刃を眺め始めた。そんな彼にユニが言う。

 

「それ、誰が作ったのかしら?」

 

「さあね。俺のじいちゃんから受け継がれてきた物だから、いつ誰が作ったなんて分からないよ。」

 

「だよね。私もこんな黒い刀があるんだなぁって実感したわ。」

 

「そうかい。それは何よりだな。」

 

そして彼は漆黒の刃をしまうと布団を敷き、布団に潜り込んだ。そして着替え終え、電気を消した霊夢と布団に潜り込むユニに言った。

 

「おやすみユニ、霊夢。」

 

「おやすみなさ~い。」

 

「えぇ、おやすみ。」

 

布団に潜り込んだ悠岐とユニはすぐに寝息を立てて眠ってしまった。そんな中、霊夢は寝ることが出来なかった。あの悪夢が頭に浮かんでしまう。だがそんな状態であるのにも関わらず霊夢はすやすやと眠ってしまった。




霊夢の悪夢に現れた巨大な悪魔。果たしてその正体とは!?
次作もお楽しみに!

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