玄武の沢に先に着いたのは空を飛んで来た霊夢達だった。玄武の沢には鈴仙やにとり、早苗が既に駆けつけてきていた。霊夢達が玄武の沢へ降りた瞬間、悠岐と楓も到着した。ユニ達に気づいたにとりが声を発する。
「あ、霊夢!良かった、早くこっち来て!」
にとりは霊夢達に手招きをしながら鈴仙と早苗と共に奥へ進んでいった。
「あ、ちょっと待ってよ!」
三人に声をかけながらもユニ達は奥へと進んでいく。そんな中、悠岐が口を開いた。
「変な岩、か。何か心当たりがある気がするな。」
「心当たりが?悠岐君、それって?」
「見てみないと分からない。とにかく、にとり達のところへ行ってみるか。」
そのままユニ達はにとり達がいるところに到着するまで一切言葉を発さなかった。
「あ、あれは・・・・」
霊夢達の目線にあるもの、それは人型に四角形の何かの鉱物が出来ており、大きさは4mほどあり、右側と左側の鉱物の上には黒い顔のようなものが置かれていた。それを見て霊夢達は目を見開くばかりであった。そんな中、悠岐と楓が鉱物に近寄る。そしてじっくりと観察する。そんな中、鈴仙が二人に近寄り、言う。
「不思議ですよね、こんな大きくて人の形をした鉱物なんて、滅多にないですからね。」
彼女が話終わった瞬間、楓が口を開いた。
「これはソウルサンドだな。」
「ソウルサンド?」
霊夢達は聞き覚えのない名前にただ首を傾げるばかりであった。そんな中、悠岐が口を開く。
「お前ら、これを見ろ。」
悠岐が指差す方向に霊夢達は目を向ける。それはソウルサンドの左右に置いてある黒い顔のようなものであった。よく見ると、左右の目がキョロキョロと辺りを見回していた。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げてしまう萃香と鈴仙。そんな二人とは別にユニが悠岐に言う。
「目が動いてるけど悠岐君、これは一体?」
「お前らはこの世に世界が四つあることを知っているか?」
「四つ?」
首を傾げながら霊夢が言う。そんな彼女とは別に楓が口を開いた。
「八雲紫が創った幻想郷、小宝剛岐、ゴールド・マーグル、アイアルト・モルト、メルト・グランチ、セコンドの五大王が支える現実世界、ガイルゴールが作り上げた宇宙。そしてもう一つ、
「
「その世界には旧世代に『全ての終わりを告げる破壊神』と呼ばれる怪物がいるという言い伝えがあるんだ。」
「破壊神と呼ばれる怪物?」
ユニが言った瞬間、楓は口の中に溜まっていた唾を飲み込み、声を発する。
「ウィザーだ。」
彼女の言葉を聞いた瞬間、鈴仙が鉱物を指差しながら咄嗟に口を開いた。
「ウ、ウィザー!?あの、たった一か月で四角世界を崩壊させたという、こいつが・・・」
鈴仙の言葉を聞いた瞬間、ユニ達は目を大きく見開いた。そんな中、悠岐が口を開いた。
「ウィザーはある英雄の手によって退治されたはずだった・・・。だが、何者かの手によって幻想郷に現れたとはな。」
「一体誰がこんなことを・・・」
「分からない。だが、
彼が言った瞬間、楓が右手をウィザーに向けた。そして右手から冷気を出し、ウィザーを凍らせた。そして彼女は霊夢達を見ながら言う。
「万が一ウィザーを召喚することがあるかもしれないからこうしておく。」
「そうですね、そうしておけばウィザーが動く心配もありませんからね。」
彼女が言った後に早苗が言う。そしてユニ達が帰ろうとした時だった。突如魔理沙が足を止め、ウィザーを見つめる。
「どうしたの?魔理沙。」
霊夢が彼女に話しかける。しかし魔理沙はウィザーを見つめたまま声を発さなかった。ユニが駆けつけ、魔理沙の見つめるウィザーを見る。だが変わった様子は何もない。あるのは凍りついたウィザーしかない。それに呆れた楓が口を開く。
「何もないぞ。一体魔理沙には何が見えたって言うんだ?」
「いや、今ウィザーが動いた気がして・・・」
「さっき楓が凍らせたから動くわけないだろ?それにウィザーを動かすためにはウィザースケルトンという奴の頭を使わないといけないから動くことは絶対にないから。」
「そ、そうかな・・・」
悠岐と楓に言われて魔理沙は少し不安が残ってしまった。そんな彼女とは別にユニ達は玄武の沢を出ていった。魔理沙も彼女達の後についていった。
神社へ到着したユニ達はすぐさま神社の中へ入っていった。そして言う。
「私は霊夢のところで寝ることにするわ。」
「俺もそうするか。」
「じゃあ私は魔理沙のところで寝る。」
「勝手に決めないでよ!」
「まぁ、いいじゃないか。」
霊夢はユニ達の意見に反対するが魔理沙が彼女を説得した。霊夢は深い溜め息を吐いた。それを見た悠岐が口を開いた。
「まあまぁ、飯は俺が作っておくからいいだろ?」
「・・・しょうがないわね。」
「それじゃあ行くか、楓!」
「ああ魔理沙。」
彼女に言われて楓は魔理沙の箒にまたがった。そして二人は魔法の森へ飛んでいった。そして三人は神社の中へ入っていった。
その夜、悠岐が料理を作り、ユニと霊夢があることを話していた。
「へぇ、月に人が住んでるんだ。知らなかった!」
「それでね、そいつらの技術が発達し過ぎて地上の者である私達がそいつらに勝てないってわけ。」
「私、面白半分でレミリアとの戦いで依姫呼び寄せたけど、彼女ってすごい力の持ち主なんだね。」
「だいぶ前に魔理沙や私も挑んだけど歯が立たなかったのよ。」
「流石月人ね。」
「おーい、お二人さん。晩飯が出来たぞ。」
月人のことを話していた二人の元へ青いエプロンを着た悠岐が両手に湯気が出ている食事を持ってきた。そして二人に言う。
「今日はオムライスを作ったんだ。たっぷり食べてくれよ。」
「ありがとう。」
そして悠岐はテーブルの上にオムライスの乗った皿を置くと再びキッチンへと向かい、自分の分のオムライスと三人分のスプーンを持ってきた。彼はユニの隣に腰をおろす。そして三人は手を合わせて同時に声を発する。
「いただきます。」
始めにユニがスプーンでオムライスの一部を掬い、口の中へ入れた。その瞬間、ユニは目を大きく見開きながら声を発する。
「美味しい!悠岐君の料理とっても美味しい!」
「趣味でよくじいちゃんと作ってたからな。喜んでもらえて嬉しいよ。」
あまりにも美味しかったのか、ユニはどんどん口の中へオムライスを入れていく。霊夢もスプーンでオムライスの一部を掬い、口の中へ入れる。
「・・・・美味しい。」
思わず声を発する霊夢。そんな彼女に悠岐が口の中に入っていたオムライスをゴクンという音を立てて飲み込み、言う。
「幻想郷にこんな旨いオムライスはないのか?」
「私が良く食べるのはミスティアの店のところと人里の店で買ってるやつばかりだからあまりこういうのは食べたことないわ。」
「やっぱり幻想郷と現実世界は違うんだな。」
そう話している内に三人は空っぽになった皿の上にスプーンを置き、手を合わせて同時に声を発した。
「ごちそうさまでした。」
その瞬間、悠岐が空っぽになった皿を重ね始めた。そして二人に言う。
「俺は後片付けしておくから二人はゆっくりしてな。」
「うん。ありがとう、悠岐君。」
「じゃあそうさせてもらうわ。」
霊夢が言った後に悠岐はキッチンへ向かった。そんな中、ユニが霊夢に言う。
「なんだか眠くなってきたわね。私はそろそろ寝かせてもらうわね。」
「別にいいけど、ちゃんと布団敷きなさいよ。」
「もう敷いた。」
ユニは綺麗に敷いてある布団を指差しながら言った。これを見た霊夢は驚きながら言う。
「ちょっと、あんた早すぎじゃない!?」
「寝るとき私は大体そうよ。それじゃ、おやすみなさ~い!」
「ちょっとユニ!?」
霊夢は咄嗟に声をかけるものの、ユニのは布団に入り、すぐに寝息を立てて眠ってしまった。その瞬間、皿を洗い終えた悠岐がやって来て言う。
「今日は疲れてたみたいだな。ゆっくり寝かせてやろうぜ。」
「そうね。」
「さて、俺もそろそろ寝かせてもらうよ。大丈夫、もう布団は隣の部屋に敷いておいたから。」
「あんたも随分と用意周到なヤツね。」
「まあな。」
「悠岐が寝るなら私も寝るとしようかしら。」
「じゃあ俺は寝てるからな。」
「えぇ、分かったわ。」
悠岐は隣の部屋に移動し布団に入った。霊夢も着替えて電気を消し、ユニと同じ部屋で布団に入り、悠岐に言う。
「おやすみなさい、悠岐。」
「あぁ、おやすみ。」
そして二人は布団に入り、ゆっくりと瞼を閉じ、眠りについた。
新たな異変が近づいているのにも関わらずユニ達はのんびりと、果たしてどうなる!?
次作もお楽しみに!