悠岐と楓の攻撃がぶつかった後に発生した砂埃が晴れるとそこには無傷で立っている博麗神社と悠岐の攻撃を払い棒で防ぐ霊夢、楓の攻撃をダイヤモンドの剣で防ぐユニの姿があった。
「れ、霊夢?」
「お前!」
悠岐と楓は同時に声を発する。そんな二人とは別に魔理沙が近寄りながら言う。
「そろそろ止めたらどうだ?お二人さん。お前らの力を考えれば、神社が壊れるのは頷けるしな。」
それを聞いた瞬間、悠岐と楓は刀を下ろし、そのまましまった。それを見たユニが笑みを浮かべ、二人に言う。
「さ、戦いは終わりにしてお茶でも飲みながらお話しましょうよ。」
そう言うとユニは楓の右手に出来た、ナイフがで刺された傷に水に浸したタオルを巻いた。
「お、お前・・・」
楓は呆然としながらユニにタオルを巻いてもらうのを抵抗しなかった。そして彼女が巻き終わった後、楓がユニに言う。
「これは申し訳ないな。ありがとう。」
「いえいえ、これくらいは当然のことだから。さ、行きましょう。あ!言い忘れたけど、私の名前はユニよ。よろしくね、楓ちゃん。」
「あ、あぁ。よろしくな、ユニ。」
二人は同時に笑みを浮かべ合った。すっかり二人は仲良くなり、二人は肩を並べたまま神社に向かう。それを見た悠岐はゆっくりと右足を引きずりながら歩き始める。それを見た霊夢が彼に言う。
「あんた、その足だったら歩くの面倒でしょ?私が肩貸してあげるわよ。」
「ああ、すまないな。」
悠岐は素直に霊夢に肩を借りながら神社へと向かう。魔理沙はそれを見ながら神社へと歩く。
神社の中へ入ったユニ達は楓の右手、悠岐の右足を治療していた。まだ二人の傷は完全には回復しないものの、先程よりはマシになった。そして五人は右から霊夢、魔理沙、ユニ、楓、悠岐という順番で座り、お茶を飲み始めた。
「う、うまい!」
唐突に口を開いたのは楓だった。そんな彼女に魔理沙が言う。
「ユニの作るお茶は霊夢より美味しいからな!」
「魔理沙、消し炭にされたいの?」
「あわわ、冗談だぜ。」
そんな中、ユニが黙々とお茶を飲み干した悠岐に言う。
「ねぇ、悠岐君。楓ちゃんと過去のことを聞いてもいいかな?」
「別に構わないよ。じゃあ話すから全員こっち向きな。」
彼の言葉を聞いて四人は同時に彼に顔を向ける。そして悠岐が楓を指差しながら言う。
「こいつの名前は出野楓。俺と同じ道場に通っていて俺と同じ半人半悪魔さ。」
「楓ちゃんの能力とかは?」
「楓の能力は『道を操る程度の能力』。道を変える他、弾幕等の軌道も変えられるし、さらには六道の力も使える能力だ。」
「へぇ、面倒な能力だな。私のマスタースパークの軌道が変えられるなんて想像出来ないぜ。」
「それで私の夢想封印・瞬が当たらなかったのね。」
「ところで悠岐君、どうして二人はそんなに強ければなったの?」
「・・・・それは俺はあまり話したくない。楓、代わりに話してくれないか?」
彼の言葉を聞いて楓は黙って頷いた。そして彼が言いたくないことを話す。
「実はその件についてなんだが、道場であることが起こってしまったんだ。」
「あること?」
「その時はとても衝撃を受けたものだ。いつも通りに私と悠岐で道場で修行する時だった。やけに辺りが静かで、嗅ぎ馴れない異臭が辺りを漂い、それが人の血の臭いだと分かり、急いで道場の中へ入ったら・・・」
その瞬間、三人は口の中に溜まっていた唾を飲み込む。そして楓はそっと口を開いた。
「そこには、10mほどの大きさの紫色の巨大ムカデが道場にいた先生と仲間達を喰っていた。」
彼女の言葉を聞いた瞬間、三人の体に鳥肌が立ち始めた。そんな三人とは別に楓が話を続ける。
「中に入ると骨が砕ける音、肉が引き裂かれる音が響いた。私達と一緒にいた男の人は怯えて私達をおいて逃げてしまった。私は怯んで動くことが出来なかった。巨大ムカデは私の存在に気がつくと私に顔を寄せ、長い舌で私の顔を舐め始めた。私はどうしようも出来なかった。そして巨大ムカデが私に口を開いた時だった。」
「何が起こったんだ?」
咄嗟に魔理沙が聞く。それに楓はすぐに答える。
「巨大ムカデが息を引き取った。」
「え?ちょっと待って、楓ちゃん。どうして巨大ムカデが急に死んだの?」
「今から話すから待て。私は巨大ムカデが死んだ理由を理解するのに1秒もかからなかった。悠岐が巨大ムカデの頭を漆黒の刃で貫いていたからだ。」
「え?」
「その時は私も驚いた。なんせ、悠岐も男の人と同じく逃げてしまったのだと思ったからな。悠岐の目はひどく赤く染まっていて普通ではなかった。そのまま私達は影舷隊に引き取られ、今に至る。」
「そうだったんだ・・・。」
「悠岐君にも楓ちゃんにも、いろいろあったんだね。」
「怖いことは忘れないって阿求が言ってたんだが、本当だったんだな・・・。」
「さて、次はあいつの話だ。セコンドに伝えてくれって頼まれてたからな。」
「あいつって?」
咄嗟に霊夢が悠岐に尋ねる。悠岐はそれにすぐに答えた。
「あいつって言うのは・・・」
「みんな、大変だよ!!」
悠岐が言うその瞬間に神社に飛び込んできたのは酷く息が荒くなっている鬼の少女、萃香であった。そんな彼女にユニが言う。
「どうしたの?萃香。」
「玄武の沢の地下から見たこともない人の形をした大きい鉱石が見つかったんだよ!!それが不気味過ぎて誰も近寄ろうとしないんだよ!」
それを聞いた瞬間、五人は目を大きく見開いた。そして魔理沙が口を開いた。
「異変の予感がするぜ。私は向かうぞ!」
「俺も行くとするか。楓、行くぞ。」
「ああ、勿論だ。」
「私も行くわ。」
「はぁ、めんどくさいわね。」
めんどくさく思うものの、霊夢は萃香の後をついていった。ユニ達も急いで玄武の沢へと向かっていった。
玄武の沢の地下から現れたと噂が広がる人型の巨大な鉱石。果たしてその正体とは!?
次作もお楽しみに!