マスターソードが刺さった瞬間、ユニは紫達の元へ向かう。ガノンドロフはマスターソードが刺さっていてもヨロヨロとなりながらユニ達の元へ向かう。マスターソードにはガノンドロフの血が垂れる。それに気にせずガノンドロフは口を開く。
「これで勝ったと思うなよ!ハァ、ハァ、これが光と闇の血塗られた歴史の始まりだと思え。」
ガノンドロフは左手に握り拳を作る。だが左手の甲に浮かんだ聖なる三角形、トライフォースが徐々に消えていき、遂には跡形もなく消えていった。
「!?」
その瞬間、ガノンドロフの体の中に漂っていた強大な力が消えた。そんな彼にセコンドが近づき、言う。
「其の方の負けだ、魔王ガノンドロフ。トライフォースの力を失った其の方に生きる資格など無かろう。」
「創世地王セコンド・・・いくら現実世界の頂点に君臨するとはいえ、貴様は上からの言葉が多すぎる。」
「それが余よ。余は神の次に強き存在、創世地王セコンドよ。」
「フン、まぁいい。いくら貴様であろうと神の力には値しない。」
「確かに今の余は神を越えられぬ。だがいずれ越えて見せる。」
その瞬間、ガノンドロフの体がみるみる粉になり始めた。それを見たユニ達は驚きを隠せなかった。そんな彼女らとは別にガノンドロフが言う。
「我の体はここまでか・・・悔いの残る人生ばかりだな。ギラヒムやザントのような使えぬ輩を雇い、覇王の小僧に騙された挙げ句、八つ当たりも出来ず、そして己の命を失う・・・。」
「・・・・・」
ユニ達は黙ったままだった。そんな中、ガノンドロフが霊夢達に言う。
「あらかじめ言っておこう。カオスという者がいずれここへやって来る。十分に警戒することだな。」
そう言うとガノンドロフは粉になっていき、遂には跡形もなく消えていった。粉となったガノンドロフはマスターソードの中へ入っていった。
「お、終わったわね・・・」
霊夢が言った瞬間、誰かがやって来る音が聞こえた。ユニ達はその方向へ目を向ける。そこには黒髪に黒いパーカー、黒いジーパンを履き、赤い目の少年、悠岐がやって来た。それを見た瞬間、妹紅が彼の元へ寄った。そして言う。
「悠岐、久しぶりだな!」
「おう、本当に久しぶりだな!、妹紅。」
二人は互いに見つめ合いながら互いに手を取り合った。彼女に続いて霊夢達も彼に寄り添う。そんな中、セコンドが紫を抱き抱えながら彼の元へやって来た。それに気づいた悠岐がセコンドに言う。
「お前も来ていたんだな、セコンド。」
「其の方も幻想郷に来ていたとは思わなかったよ、黒き友よ。」
「お前もユニに呼ばれたんだな?」
「無論、其の方も招来の友に呼ばれたのだろう?」
「ああ、そうさ。」
「さて、敵はこれで終わりか?ドールクとじ久は倒したのか?」
「ああ、ドールクならさとり達が倒してじ久はビオラ様が何処かに行かせたよ。」
彼の問いに答えるかのようにユニが答えた。それを聞いた瞬間、悠岐はユニを見ながら言う。
「じ久はどこだ?」
「え?どうして?」
「俺は今あいつに用があるんだ。連れていってくれないか?」
「紫、頼める?」
ユニが言った瞬間、紫は小さく頷いた。そしてユニの前にスキマを展開した。そのままユニと悠岐はスキマの中へ入っていった。
「クソッ、なんでだ・・・・」
その頃、ビオラとの戦いで逃げてきたじ久は魔法の森をさ迷っていた。そして独り言を言う。
「どうして俺は逃げてしまったんだ?ドールク様に恥じゃないか。全く、俺ってやつはドールク様の左腕として失格だな。」
独り言を呟きながら歩いている時だった。突如彼の目の前にスキマが現れ、そこから少女と少年、ユニと悠岐が現れた。悠岐を見た瞬間、じ久は腰を抜かしながら声を発する。
「あ、悪魔の・・・西田・・悠岐・・・」
怯える彼とは別に悠岐は黙って彼を見ていた。そして言う。
「お前、いつまで俺にビビってやがる?悪魔がそんなに怖いか?いや、そんなことより俺はお前に用があってきた。」
「俺に、用?」
「お前今、どうしても会いたい輩がいるだろ?」
「会いたい輩?ドールク様だ、俺は今ドールク様に会いたい!」
「残念だけど、あなたの主のドールクはもうさとり達によって命をおとしたわ。」
「なっ!?」
「さらにクリーフルはセコンド様に倒され、ギラヒムは悠岐君に倒され、ザントは魅魔さんに倒され、ガノンドロフは私がとどめをさしたわ。もうあなたに勝ち目なんてないのよ。」
「それでも俺はドールク様に会いたい。」
「嘘つくなよテメェ。」
「嘘なんてついてない!!」
「ついてるだろ?お前はあいつのことも忘れたのか?」
「あいつ?」
「呼符コールザエニー。」
その瞬間、ユニの右側に直径2mほどの空間が現れた。そしてその中から緑色の髪に黄色い目、へそだしの服に緑色のスカートを履いた少女が現れた。彼女を見た瞬間、じ久は声を発する。
「・・・・麻里。」
じ久が言った瞬間、ユニが呼んだ少女、麻里はじ久に近づく。
「こ、こっち来るな!」
しかしじ久が何を言おうとも麻里は黙って彼に近づいていく。
「来るなって言ってるのが分からないのかテメェ!」
そう言うと彼は自分の手に持っていた刀で麻里の腹部を貫いた。その瞬間、麻里は吐血する。それを見たユニがじ久に攻撃しようとするが悠岐がそれを阻止した。
「安心しろ、大丈夫だ。」
彼が言った瞬間、麻里は腹部に刀が刺さったままじ久に抱きついた。そして言う。
「辛かったんでしょ?私よりも苦痛の日々、そして人間から妖怪に姿を変えられた絶望・・・辛かったんでしょ?でも、もう大丈夫よ。私がいるから・・・。」
そう言うと彼女は左手をじ久の額においた。その瞬間、じ久の体がみるみる人間に近い形になっていき、遂には人間の姿になった。
「ま、麻里・・・・。」
「おかえり、じ・・・・久・・・。」
そう言うと彼女は意識を失ってしまった。じ久はすぐさま麻里の腹部から刀を抜き、麻里を抱き締めながら言った。
「ごめん、麻里・・・俺ってやつは・・・」
じ久は涙を流しながら麻里をぎゅっと抱き締めた。それを見ていた悠岐とユニは笑みを浮かべた。そしてユニが悠岐に言う。
「麻里ちゃんは大丈夫なのかな?」
「問題ないよ。じ久も麻里の急所を外したようだしな。」
そう言うとユニは空間を作り上げた。それに気づいたじ久は麻里を抱き抱えながら二人を見る。そんな彼に悠岐が言う。
「麻里を支えてやれよ。」
悠岐の言葉にじ久は深く頷き、そのまま空間の中へ入っていった。彼が空間の中へ入っていった後、悠岐とユニは霊夢達の元へ向かった。
次作
平和な日常へある少女が登場、さらに玄武の沢に謎の物体が!果たしてその正体とは!?
次作もお楽しみに!