東方混沌記   作:ヤマタケる

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ユニ達を救ったセコンド達はエリュシオンの増援と共に彼女に挑み、追い詰めていく。


第178話 現状

「こ、ここは・・・。」

 

場所は変わって医療場。そこでゆっくりと目を覚ましたユニは辺りを自分を見る。自分の体のあちこちに包帯が巻かれていて何人かの兵士達が護衛についていた。

 

「起きたか、ユニ。」

 

その声が聞こえてユニはその方向を見る。そこには後ろ髪を縛っていて青い瞳の男が優しい表情を浮かべて彼女を見ていた。

 

「おっ、お兄様!!」

 

「そう動くなよ、お前臓器に折れた骨が刺さって危険な状態だったんだからよ。」

 

無理に動こうとするユニをモルトは止める。そんな彼にユニが再び口を開く。

 

「ごめんなさい、お兄様。私・・・。」

 

「そう言うなよ、みんなはよく頑張った。生きてて良かったよ。」

 

そう言うと彼は泣きそうになるユニの頭を撫でてある方向を見る。彼に続いてユニもその方向を見る。そこには軽く包帯を巻いて戦いの準備をする霊夢、楓、琥珀の姿があった。

 

「霊夢、楓ちゃん、琥珀君、大丈夫なの!?」

 

思わず声を上げてしまうユニ。そんな彼女に3人が口を開く。

 

「私は毒を受けたけど幸いにも解毒剤があったからすぐに治ったわ。もう少し休んだらまた戦線復帰できる。」

 

「私は霊力を少し奪われたからあの時は思うように動けなかったが医療班のおかげですぐに立ち直ることができた。」

 

「僕は右腕と翼を撃ち抜かれてたから帝王さんに僕を燃やすようにお願いしたらすぐにやってくれてね、お陰で僕は元通りさ。」

 

「ただ他のメンツが危険な状態でな・・・。」

 

霊夢、楓、琥珀が話すとモルトが口を開いた。

 

「ユニ、お前は折れた骨が臓器に届いてしまって非常に危険な状態だ。無理に動く必要はない。少しでも遅れれば命に関わっていた。」

 

「そう、なんですね・・・。」

 

「魔理沙は全身の骨という骨が複雑骨折していてとても動ける状態じゃない。悠岐は全身から大量の血を流してたせいで一歩遅れれば死んでいた。百々は死なないらしいが・・・頭を飛ばされてあの様だ。暁と影裏だっけか?アイツらは今永琳と協力して集中治療している。生きるか死ぬかはアイツら次第だ。」

 

「・・・。」

 

「おいおい、何うつむいてんだよユニ。」

 

俯くユニに声を掛けたのは隣の布団で上半身だけ起こしている九十九だった。そして再び九十九が口を開く。

 

「アタシは身体中痛いさ。足撃ち抜かれたし、肩も撃たれた。ユニ達よりはマシだけどすぐに戻ってみせる。」

 

「・・・九十九ちゃんも、無事で良かった・・・。」

 

そう言った瞬間、ユニの目からポロポロと涙が溢れ始める。そんな彼女に琥珀が声を掛ける。

 

「どうしたんだい、ユニちゃん。」

 

「私、何も出来なかった・・・。幻想郷の守護者として、みんなを守らなきゃいけないのに、何も出来なくて悔しいの・・・。」

 

話しながら泣く彼女に楓が寄り添い、優しく抱きしめて言う。

 

「大丈夫だユニ、お前が悪いわけじゃない。自分を責める必要はないんだ。」

 

「そうよユニ。少し責任持ち過ぎよ。」

 

「・・・そうかな・・・、ごめん、ありがとう2人とも。」

 

そう言うとユニは涙を拭いとる。その時、奥から兵士達の声が響く。

 

「君、何をしているんだ!!」

 

「そんな状態で動いちゃダメだ!!」

 

その声が響き、ユニ達はその方向を見る。そこには身体中に包帯を巻いているが所々から血が垂れながらも黒い刀を持って戦おうとする1人の青年が兵士達をどかしながら外へ出ようとしていた。

 

「悠岐君!?」

 

「オイオイなんて執念だよ悠岐。」

 

ユニと九十九が口を開く中、楓が悠岐の元へ寄り、彼の体を止めて言う。

 

「よすんだ悠岐、そんな状態で戦ったら本当に死ぬぞ!!」

 

「・・・知ったことかよ、俺は奴を斬り刻まねぇと気が済まねぇんだよ。」

 

兵士達の声を聞いて駆けつけたモルトが悠岐と楓の元に寄り、口を開く。

 

「悠岐、やめておけ。」

 

「・・・。」

 

「お前の気持ちはよく分かる。だが、今の自分の状況を見ろ、その傷でなくとも手も足も出せなかった相手に挑むのは危険だ。少し休んでから行くんだ。その執念は後にお前にとって必要となってくる。」

 

そう言うとモルトは悠岐の肩に優しく手を乗せた。そしてそのまま彼は医療場の外へと行ってしまった。彼が行った後、悠岐が突然地面に膝をついた。

 

「悠岐!?」

 

すぐに楓が彼に寄り添う。と、悠岐が楓に言う。

 

「無茶しちまって、悪いな楓・・・。モルトの言う通り、俺はまだまだ休んでいたほうがいいらしいな。」

 

そう言うと彼は持っていた黒い刀を彼女に差し出す。それを楓は受け取ると悠岐の手を優しく握りしめて言う。

 

「待っていてくれ、少しの間私達でなんとかしてみせる。それまでゆっくり休むんだ。」

 

「・・・あぁ、ありがとう楓。」

 

そう言うと悠岐は兵士達と共に奥の部屋へと入っていった。と、九十九が布団から飛び起き、言う。

 

「っしゃぁー復活!!」

 

「九十九アンタ大丈夫なの!?」

 

「鬼だしなんとかなるんじゃない。」

 

驚く霊夢とは別に冷静に口を開く琥珀。そんな彼女達にモルトが口を開く。

 

「奴の元へ行くのか、気をつけろよ。いくら沢山の仲間達がいるからといって戦いが楽になるなんてことはないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない、どいてくれ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が辺りに響き渡ったかと思うと医療班数名が1人の男を担架に乗せて慌てて入ってきたのだ。

 

「ご、剛岐!?」

 

「嘘、だろ・・・。」

 

その人物を見て楓と九十九は唖然となる。担架に運ばれてきたのは全身ボロボロの状態になっている小宝剛岐だった。

 

「すぐに治療だ!!」

 

「なんだって!?今暁と影裏の治療が終わったばっかりなのに・・・。すぐに緊急治療するんだ!!」

 

兎達数名が声を発し、すぐに剛岐は運ばれていった。そのまま1人の兎が霊夢達のところへ行き、言う。

 

「暁さんと影裏さんは無事一命を取り留めました。今は安静に寝かせてあります。」

 

「・・・良かったわ。」

 

ほっと息を吐いた霊夢は楓、琥珀、九十九を見て言った。

 

「凶神エリュシオン、絶対に許さないわ。必ずここで倒して見せる。みんな、行くわよ!!」

 

霊夢の言葉を聞いた楓、琥珀、九十九は頷くと医療場を出てエリュシオンの元へと走っていった。それを見たユニが口を開く。

 

「みんな、大丈夫でしょうか・・・。」

 

「不安であるな。けど信じるしかない。」

 

彼女の言葉に悠岐がそう言った。




傷から復帰した霊夢、楓、琥珀、九十九はエリュシオンの元へと向かい、再び戦うことに!
次作もお楽しみに!

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