東方混沌記   作:ヤマタケる

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命の危機に陥る剛岐、駆けつけるマスターハンド、クレイジーハンド、純狐、ヘカーティアの4人。しかしエリュシオンは焦る様子を見せない。


第176話 エリュシオンの企み

「何余裕見せてんだよっ!」

 

「燃やしてやる!!」

 

そう言いながら慧音、妹紅がエリュシオンに向かって行く。まず慧音が拳を構えてエリュシオンに振り下ろす。彼女は容易く慧音の攻撃をかわす。

 

「そこだ!!」

 

彼女のかわした方向へ妹紅が炎を放つ。それを見た彼女は剣で炎を払う。そんな彼女の真上に幽香が傘の先に光を漂わせていた。

 

「保険をかけておかないとね。」

 

そう言うと彼女は真上からエリュシオンにマスタースパークを放った。瞬時にエリュシオンは攻撃を避け、地面に降り立つ。そこへ鎌を持った2人の男女が彼女ひ向かっていた。

 

「タイミング考えろよ小町!」

 

「兄さんこそね!!」

 

そう言うと死神の兄妹、小野塚篁と小野塚小町が同時に鎌を振り下ろす。なんとエリュシオンはそれを剣一本で防ぐと剣を振り、2人の距離を離させた。と、後ろから3人の少女が彼女に向かって弾幕を放とうとしていた。

 

「お姉様やお兄様には負けていられません!」

 

「やってあげる!」

 

「妖夢にいいところ見せなきゃ。」

 

そう言うと3人の少女、小野塚妹子、フラン、妖華の3人が一斉に攻撃を放つ。

 

(流石にこの距離なら避けられないわねぇ。)

 

そう心の中で呟いたエリュシオンは銃口に青い光を漂わせるとそれをレーザーとして放った。3人の攻撃とエリュシオンのレーザーがぶつかり合い、空中で爆発を起こす。と、戦いを見ていたパチュリーがエリュシオンと必死に戦う表の人達を見つめるセコンド、紫に向かって言う。

 

「あなた達、どうして戦いに加入しないの?みんなを見捨てるつもり?」

 

「見捨てる?そんな訳ないでしょ。」

 

「仲間を殺されているのだ、加入しないと言う選択はない。ただ余と紫は奴の動きを見ているのだ。」

 

「奴の、動き?」

 

「ええ、エリュシオンの戦いをね。何か隙が生まれるようなタイミングを見計らってるんだけれど・・・。」

 

「奴は一つ一つの動きを最小限に抑えている。攻撃を避ける時も、攻撃を弾く時も、攻撃を相打ちに持って行く時も、全てな。」

 

「最小限に・・・?」

 

「あんな異常なほど動けるのに奴は半人半神って話を聞いたことがあるわ。一体何が奴を・・・。」

 

「パチュリー、其の方も共に奴を分析してはくれまいか?余らだけでは恐らく掴みきれぬ。」

 

「分かったわ、何かあったら私を守りなさいね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい、了解しました♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その陽気な声がパチュリーの背後から聞こえた瞬間、セコンドと紫が目を見開きながら咄嗟に背後を振り返る。そこには右手に紫色の不気味な光を漂わせてパチュリーを攻撃しようとするエリュシオンがいた。

 

「何っ!?(い、いつの間に余らの背後に!?)」

 

「くっ!!(嘘、私話しながら奴の様子を観察していたのになんで背後に移動していたのを気付けなかったの!?)」

 

「パチュリー様!!」

 

すぐに咲夜がエリュシオンに向けてナイフを放つ。しかしエリュシオンは銃弾を放ち、ナイフを弾く。しかしエリュシオンはパチュリーから距離を取ってしまう。

 

「な、何が起こったの・・・?」

 

「い、今私達と目の前で・・・。」

 

「俺達と交戦してきた奴が一瞬にして帝のオッサンの背後に・・・?」

 

「エリュシオン、どんな手を使った!!」

 

驚きの声を上げるレミリア、ヘカーティア、篁の3人。そんな中、純狐がエリュシオンを指差し、言った。そんな彼女にエリュシオンが口を開く。

 

「さぁ、どうやったんでしょうね〜。」

 

そう言うと彼女はチラリとパチュリーの方を見る。彼女に続いて紫達もパチュリーの方を見る。

 

「うぐぐ、くる、しい・・・。」

 

そこには何かに苦しめられているのか、パチュリーが首を抑えてだらしなく涎を垂らしながら苦しんでいた。そんな彼女の顔は紫色に変色してしまっている。

 

「大丈夫ですかパチュリー様!!」

 

すぐに近くにいた妖精メイドが彼女に近寄る。と、何かを察した勇儀が妖精メイドに言う。

 

「待て!その子に触っちゃダメだ!!」

 

「え?」

 

そう言ったのも束の間、妖精メイドはパチュリーの体に触れていた。その瞬間、妖精メイドの手がどんどん紫色に変色していったからと思うとあっという間に体全身紫色に変色した。

 

「あががが・・・。」

 

その瞬間、パチュリー同様妖精メイドが苦しみ始めた。しかしパチュリーとは違い、妖精メイドはそのまま白目をむいて地面に仰向けに倒れてしまった。

 

「おいおい、だから触るなって言ったのに・・・!?」

 

妖精メイドに近づき、声をかけようとした瞬間、勇儀は言葉を失う。そしてエリュシオンへ向けて殺意のある目線を向けて口を開いた。

 

「オイアンタ、何をした。このメイド、死んでるぞ。」

 

その言葉を聞いた瞬間、その場にいた一同は驚きの表情を見せる。そんな中、エリュシオンは気味の悪い笑みを浮かべて言う。

 

「私はただ感染させただけよ、私だけの凶悪な兵器でね。」

 

「・・・凶悪な兵器だと?」

 

「全ての生命に影響を与えることのできるもの。この世で最も恐ろしい兵器は戦車でも弾幕でも力でもない、それはウイルスよ。戦車は破壊すればどうにでもなる、弾幕も防げればどうにでもなるし力なんて超えてしまえばどうにでもなる。でもね、ウイルスはどうワクチンや抗体を作り出してもまた新たなウイルスが誕生して手のつけようがないの。」

 

「ウイルス、ですって・・・?」

 

「まさか、奴の体から滲み出ていたあの紫色の光は霊力が溢れ出ているのではなく、ウイルス!?」

 

勇儀、紫、諏訪子が話している中、エリュシオンは右手に紫色の光、ウイルスの集合体を乗せて言う。

 

「私は最終的に表の世界を破壊し、私が頂点として君臨する裏の世界だけを作りたいの。だからね、」

 

そう言うと彼女はウイルスを体に取り込むとそのままパチンと指を鳴らした。その瞬間、彼女の体から紫色の光、ウイルスが辺りに解き放たれたかと思うと周りの風景が紫色に変色し始めた。

 

「こ、これは・・・。」

 

思わず声を上げる美玲。そんな彼女とは別にエリュシオンは剣と銃を持ちながら両手を背に回し、言う。

 

「表の世界の奴らはこの、『凶神ウイルス』を使って死滅させ、生きとし生ける全ての者達を1人残らず殺す。」

 

 




パチュリーを苦しませ、妖精メイドを死に陥れる凶神ウイルス。紫達はこのウイルスの真の恐ろしさを知ることになる・・・。
次作もお楽しみに!

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