東方混沌記   作:ヤマタケる

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鋼鉄城から解き放たれたモンスターやナイトメア達を相手しながら救援にきたセコンド達はエリュシオンに立ち向かう。



第175話 異質な攻撃

「久しぶりね、こんな大人数を相手するのは。」

 

そう言うと彼女はスライムを二つに分裂させるとそのまま銃と剣に変化させた。それを見た紫が口を開く。

 

「あら、もう本気で行くつもり?」

 

「なんの、アンタら如きに本気を出すまでもない。これらさえあれば十分よ。」

 

そう言うと彼女は銃口から紫色の光を漂わせるとそれを空へ向ける。そして彼女が口を開く。

 

「凶なる流星を受けてみなさい。」

 

そう言った瞬間、銃口の紫色の光が音を立てて空高く放たれた。ある程度の高さまでいくと光は数多の光へと分裂し、セコンド達はと降り注ぎ始めた。

 

「皆、避けよ!!」

 

セコンドの掛け声と共に紫達は咄嗟に流星群のような光を避けていく。

 

「うわぁ、危ないっ!!」

 

「こんなの当たったら一溜まりもないわ!!」

 

そう言いいながら避ける紫や萃香達。そんな中、エリュシオンの放った攻撃を避けれずにダメージを受ける兵士やナイトメア、ストライクワールドのモンスターがいるのをレミリアは見た。

 

「ぐぅぅぅぅ苦しいよぉ・・・。」

 

「グガガガガ・・・。」

 

流星群のような弾幕を受けた兵士やナイトメア達はその場にうずくまり、苦しみ始める。それを見た妹紅が慧音を見て言う。

 

「慧音気をつけろ。奴の放ったあの無数の弾幕、何かがおかしい。」

 

「あぁ、分かってる。奴から放たれる弾幕の一つ一つが他の人らとは違う。」

 

2人が話している中、エリュシオンは剣と銃を構えてゆっくりとセコンド達に近寄りながら言う。

 

「この状況は何度も経験してるし何度も乗り越えた。私の息子達がやられた?幻獣達も全員やられた?なら私が全てを破壊すればいい。私は全てを超越する存在、誰にも負けはしない。」

 

そう言った瞬間、彼女の青い瞳が紫色に変色し、不気味に光り始めたかと思うと体の至る所から紫色に輝く粒子のような物が消えたり光ったりを繰り返す。

 

(奴の体から漏れるあの光、何かがおかしいわ。嫌な予感がする。)

 

そう心の中で呟く紫。それを考えていたのは彼女の他にも多数いた。

 

「なんじゃありゃ。なんか気味が悪いな。」

 

「あの紫色の光、何か妙だ。霊力か何かか?」

 

「どちらにせよ、気をつけなければならないわね。」

 

勇儀と萃香、幽々子が話している中、エリュシオンが突如飛び上がり、紫達を見下ろすと銃口に緑色の光を溜め始める。

 

「レーザーか!!」

 

「皆、気をつけよ!!」

 

加奈子が声を発したと同時にセコンドが辺りに叫ぶ。と、エリュシオンがニヤリと笑みを浮かべて言う。

 

「ただのレーザーだと思ってる?」

 

そう言った瞬間、緑色に光るレーザーに紫色の光が集まり始めたかと思うとグレー色の光へと変色した。それを見た諏訪子が目を見開き、叫ぶ。

 

「みんな待って!!何かおかしい!!」

 

「!!?」

 

彼女の声を聞いて紫達は目を見開く。その瞬間、エリュシオンは一才の躊躇もなくグレー色の光のレーザーを辺りへと放った。それは8方向へと分かれて幻獣達や妖怪、ドラゴン達や兵士達だろうとお構いなく命中し、薙ぎ払っていく。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「グガァォァ!!」

 

「うわっ!!」

 

咄嗟に避ける紫達。中には避けきれずレーザーを喰らってしまう月の都の兵士や妖怪達もいる。

 

「みんな大丈夫!?」

 

「お嬢様もご無事で・・・!?」

 

みんなに声をかけるレミリアに返事をしようとした瞬間、咲夜は言葉を詰まらせてしまう。彼女の見つめる先には身体の血管が紫色に浮かび上がり、息を引き取っている兵士や妖怪達の姿が目に映ったからだ。

 

「これは!!」

 

すぐに月の都の兵士に近付く豊姫。と、何かを察した妖夢が彼女に叫ぶ。

 

「待ってください月の都の方!!その方に触ってはダメです!!」

 

「え、何を・・・!?」

 

続きを言おうとした瞬間、豊姫は目を見開き、兵士から離れる。そんな中、セカンドが1人の兵士を見つめ、口を開く。

 

「これは・・・何か体に侵食している?」

 

そう推測する中、エリュシオンはゆっくりと地面に降り立ち、口を開く。

 

「さぁて、何があるでしょうね。」

 

そう言う彼女の顔にはただ不気味な笑みしか浮かばず、まるで感情がない。それを見たメルト・グランチが口を開く。

 

「恐ろしいな、卿には感情がなく敗北への恐怖もない。私が今まで見てきた中で最も悍ましい狂気を醸し出しているよ、卿は。」

 

「フフフ、何やら悪口を言われているんだろうけど、褒め言葉として受け入れるとするわ。」

 

そう言う彼女は剣を地面に刺し、銃を優しく手入れしていた。そんな彼女の姿を見た依姫と萃香が彼女に向かう。

 

「ふざけたことしてる余裕などありますか!!」

 

「殴ってやる!!」

 

そう言って2人は刀と拳を振り下ろす。しかしその瞬間、2人の目の前からエリュシオンの姿が消えた。

 

「なっ」

 

「にっ・・?」

 

思わず声を上げる2人。2人はあまりにもギリギリで避けられたためか、避けられたことに気付くのに遅れてしまう。そんな2人の背後にエリュシオンが突如として姿を現した。

 

「余裕ならいくらでも。たかがアンタら如きに遅れを取る私ではないわ。」

 

「ぐっ!?」

 

「がっ!?」

 

そう言った瞬間、エリュシオンは依姫の腹を剣で裂き、萃香の鳩尾に発勁を叩き込んだ。

 

「ぐっ、速すぎる。」

 

「ゲホッ、ゲホッ。」

 

依姫は裂かれた箇所を空いている左手で抑えて後退し、萃香はその場に崩れて血を吐く。そんなことをしている内にエリュシオンの持つ銃口は2人へと向けられていた。

 

「させるかよ!!」

 

それを見た剛岐は咄嗟に動き出し、桜色の刀を取り出してエリュシオンに向かっていく。

 

「乱れ、桜吹雪!!」

 

そう言った瞬間、彼は刀に桜を漂させるとそれをそのままエリュシオンに振り下ろした。だが、エリュシオンは目線と銃口を萃香や依姫に向けたまま剛岐の振り下ろす刀を剣で防いだのだ。

 

「何ッ!?」

 

目を見開き、驚く彼とは別にエリュシオンは瞬時に彼の背後に移動したかと思うと銃と剣を上空に放り投げ、そのまま両腕ごと彼に抱きついた。

 

「ぐっ!?」

 

咄嗟に彼女の拘束から離れようとする剛岐だが細身の体とは思えないパワーでガッチリ抱きつかれている為、引き剥がすことが出来なかった。そんな中、エリュシオンが口を開いた。

 

「小宝剛岐。アンタは面倒な男よ、特に五大王の中ではね。だから、」

 

そう言った瞬間、ゴキャッという鈍い音が響いたと同時に剛岐が少し海老反りになり、血を空に向かって吐く。

 

「少し、眠ってもらうわね!」

 

そう言ったと同時にエリュシオンは剛岐の体を抱き上げるとそのまま体を後ろに反らし、彼を頭から地面に叩きつけた。彼を叩きつけた衝撃で辺りに突風が吹き、依姫と萃香はその場から吹き飛ばされてしまう。

 

「あっと、萃香!」

 

「依姫!!」

 

咄嗟に勇儀と豊姫が吹き飛ぶ2人の体を受け止める。砂埃が舞い、治るとそこには吐血したまま倒れる剛岐と彼を見つめるエリュシオンの姿があった。そのまま彼女は落ちてくる銃と剣を手にキャッチする。と、レミリアが紫色の槍、グングニルを手にすると彼女へと向かい、突き刺す。だがエリュシオンはそれを容易くかわし、レミリアから距離を取る。

 

「今よ、帝王さん。」

 

そうレミリアが一言言うと倒れる剛岐をメルト・グランチが抱える。彼を抱えた瞬間、メルト・グランチの表情が変わる。

 

「・・・すまない、私は彼を医療場へと連れて行く。このままでは危険だ。」

 

そう言うと彼は剛岐を抱えて飛び立つ。それを許すはずもなく彼女は飛び立つメルト・グランチ向けて銃を構えており、緑色の光が漂っていた。

 

「誰も逃さないわよ?」

 

そう言った時だった。突如辺りにスペルカードを発動する音が響いたかと思うと眩い光の柱がエリュシオン向けて放たれていたのだ。それを見たエリュシオンは銃の光を消し、咄嗟にかわす。

 

「うわぁぁ!?」

 

近くにいたレミリアもすぐに避ける。

 

「流石、よく分かってくれた。」

 

「私まで巻き込むつもり!?冗談じゃないわよ!!」

 

そうクスクス笑いながらレミリアに口を開く2人の男。彼女を見たエリュシオンは目を細めて言う。

 

「・・・マスターハンドにクレイジーハンド。まさかアンタらも来てるなんてね。」

 

「おっと、来てるのは僕達だけじゃないよ?」

 

エリュシオンに奇襲を仕掛けた男、マスターハンドがそう言った瞬間、紫色の弾幕がエリュシオンに向かって放たれていた。

 

「完防『イージス』。」

 

咄嗟にスペルカードを発動した彼女は弾幕による攻撃を防ぐ。

 

「やはり防がれるか。」

 

そう言う声が聞こえたかと思うと2人の女性が姿を現す。1人はウェーブのかかった金髪、もう1人は肩まで伸ばしたセミロングの赤髪の女性だった。それを見た紫が口を開いた。

 

「マスターハンドにクレイジーハンドだけじゃなくて純狐にヘカーティアも来るなんて・・・。」

 

「創造神の配下2人から裏の世界に侵攻したと話を聞いたから行かずにはいられなかった。」

 

「ガイルガール様からのご命令だ。」

 

「エリュシオン、この前はよくもやってくれたわね。倍にして返してあげるわ。」

 

純狐、クレイジーハンド、ヘカーティアが話している中、エリュシオンが笑みを崩すことなく口を開く。

 

「あの妖精はどうしたの?私が怖くて逃げちゃったかしら?」

 

「・・・クラウンのことか?クラウンは治療に励んでいる。貴様と戦わせるつもりはない。」

 

「ククク、連れてくれば少しは戦況が変わったかもしれないのにね。」

 

2人が話す中、豊姫が依姫に肩を貸しながら純狐に向かって声を上げる。

 

「純狐、どうして!!」

 

「元より月人の民、お前達とは嫦娥のことがあるから味方になった訳ではない。だが今は世界にとって破滅的存在である奴を倒さねば不倶戴天の敵は討てない。」

 

「・・・。」

 

2人が話している中、エリュシオンが口を開いた。

 

「いいわねぇ、人数が増えれば増えるほど私にとってありがたい。さぁまだまだ殺り合いましょう?戦いはまだ始まったばかりよ。」




エリュシオンによって危機的状況に陥る剛岐、援護にやってきた純狐、ヘカーティア、マスターハンド、クレイジーハンドの4人。しかしエリュシオンは一切焦りを見せず・・・。
次作もお楽しみに!

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