東方混沌記   作:ヤマタケる

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圧倒的な力で戦闘不能にされたユニ達。残ったのは九十九ただ一人・・・。


第173話 エリュシオンvs九十九

九十九とエリュシオンが対峙する中、よろよろと体を起こして辺りを見つめるユニが呟く。

 

「そんな・・・一瞬で、こうなるなんて・・・ウッ!!?」

 

そう言うと彼女はその場で咳き込みながら血を吐いてしまう。そんな彼女とは別に九十九はスマホを掲げて言う。

 

「見せてやるよ、あの時とは違うことをな!!」

 

そう言った瞬間、彼女の周りに赤、青、緑、黄色、そして紫色のスマホが辺りを漂い始めた。それを見たエリュシオンは目を細めて言う。

 

「愚かな、アンタの為にわざわざ力を解放するために必要な道具を託すなんてね。これだから仲間ってのは嫌いなのよ。」

 

「嫌いなら見せてやるよ。仲間ってのがいかに大切な存在だってこともな!」

 

そう言うと水色のスマホが九十九の手元に届くと彼女の姿がかの爆絶級の高校生、『蓬莱』の力を解放したような姿へと変化した。そして再び口を開く。

 

「蓬莱より借り受けたこの力でお仕置きよ。」

 

そう言った瞬間、彼女は辺りにレーザーを放ったと同時に扇型の弾幕をエリュシオンに向けて放つ。

 

「蓬莱の力か。そんな小細工では私には程遠いわね。」

 

「いいや、そんなものじゃないわ。」

 

そう言うと九十九の放ったレーザーが地面や付近になった大きな岩に反射してエリュシオンに再び向かっていく。

 

「・・・反射クロスレーザー、まさかこんな地面や岩で反射させてくるなんてね。」

 

そう言いながらエリュシオンは反射するレーザーを容易く避けてみせる。その避けた背後に九十九が瞬時に移動する。

 

「え、はや・・・。」

 

そう言うエリュシオンだが既に九十九は緑色のスマホを手にしていてかの天才女子高校生探偵、メルを模した姿へと変化していて口を開く。

 

「スピードなら自信があるわ。この距離でこれを受けたら一溜まりもないでしょ?」

 

そう言うと彼女はエリュシオンの目の前で緑色の玉のようなものを9方向に放つ。

 

「うわっ、これは無理よ!!」

 

そう言いながら後退してダメージを軽減しようとするエリュシオンであったが避けきれなかった攻撃が右腕に命中し、緑色の跡が点々と残ってしまっていた。そんな彼女とは別に九十九が口を開く。

 

「まだまだ行くわよ!カナン!!」

 

そう言うと彼女は紫色のスマホを手に取るとかの有名JK漫画家を摸した姿へと変化した。そして叫ぶ。

 

「カナンだけは唯一アンタに殺された!だからこの力でアンタを殺す!!」

 

そう言って九十九は距離を取るエリュシオンの周りにマーキングを飛ばす。そしてマーキングされた場所はレーザーを放った。

 

「ちょちょちょ!随分と立て続けにくるわね!」

 

慌てるふりをしているのか不明だがエリュシオンの表情が少し焦っているように九十九は見えた。そのまま立て続けに九十九は攻撃を続ける。

 

「まだまだいくわよ、次元斬!!」

 

何もない場所から斬撃が現れたかと思うとそれはエリュシオンの左肩を切り裂いた。

 

「チッ・・・。」

 

思わず舌打ちをするエリュシオン。そんな彼女に九十九が口を開いた。

 

「どうしたの?さっきまでの威勢は何処に行ったの?」

 

「フン、随分とやってくれるじゃない。」

 

そう言いながら彼女は笑みを浮かべる。そんな彼女に九十九が黄色いスマホを取り出して言う。

 

「まあいいわ、あなたを追い詰めることができてるし。次行くわよ!」

 

そう言った瞬間、着くとは仮面を被って怪盗を模したような姿へと変身した。そして左手に鉤爪のようなものを取り付け、エリュシオンに向かっていく。

 

「黄金の怪盗、か・・・。」

 

そう言うと彼女は右手に持っていた銃を剣へと変化させて九十九に向かっていく。そのまま二人は鉤爪と剣を打ち合う。

 

「くっ、(一撃一撃の斬撃が速いし重い!このままじゃ・・・。)」

 

「フン、そんなちっぽけな鉤爪で剣に勝とうなんて思わないでちょうだい!!」

 

若干九十九が押され、体の所々から防ぎきれず避けきれなかった斬撃により血が流れ始める。だがそんな中でも九十九は集中力を切らさずにいた。

 

「ここだ、もらったぁ!!」

 

そう言うと彼女は鉤爪を思い切り振り翳した。その瞬間、エリュシオンの左腕が肩の付け根からそのまま吹っ飛んだ。左腕を失った箇所から血が飛び散る。

 

「ぐっ!!?」

 

思わず後退してしまうエリュシオン。そんな彼女とは別に九十九は赤いスマホを手に取り、言う。

 

「勝負あったわね、これで終わりよ!!」

 

そう言うと彼女の体に赤いパワードスーツのようなものが装着されたかと思うと彼女が4人に分身した。そしね叫ぶ。

 

「くらえ、『エト・イン・アルカディア・エゴ』!!」

 

そのまま負傷したエリュシオンに向かって4人の九十九が向かっていく。と、その時だった。突如辺りの時空が歪み始めたかと思うと九十九の動きが完全に停止してしまった。動きが止まったのは九十九のみならず負傷して戦闘不能状態になっているユニ達も同じだった。そんな中、1人動くことのできる存在、エリュシオンはゆっくりと口を開いた。

 

「停止『ザ・ワールド』。時は停止した。」

 

そう言うと彼女は持っていた剣を再び銃に変化させると停止している4人の九十九に向かって2発ずつ発砲した。発砲された銃弾は九十九の体に直撃する寸前で止まる。

 

「時は動き始めた。」

 

そう言った瞬間、止まっていた時間が動き始めたかと思うと時間を停止している間に発砲していた銃弾2発が九十九の左足、右肩を捉えていた。

 

「ぐうっ!!?」

 

何が起こったのか分からない九十九は勢いを止め、その場に崩れる。残りの3人は分身であったためか、銃弾を浴びた瞬間、消えてしまった。

 

(い、一体何が起きたの?奴は負傷していて無防備だった筈・・・。)

 

色々考える九十九とは別にエリュシオンは落ちている左腕を拾って言う。

 

「私さっき言わなかったっけ?アンタら全員は3枚のスペルカードで全員終わらせるって。だから3枚目のスペルカードを使わせてもらった、ただそれだけよ。」

 

そう言うと彼女はなんと自分の千切れた左腕に食いついたかと思うとそのまま食べ始めたのだ。

 

「!!?」

 

それを見た九十九、及びユニは思わず目を見開いた。自分の腕を食べるエリュシオンの服や口周りには自分自身の血が付着する。そしてあっという間に左腕を食べ終えてしまった。

 

「そ、そんな・・・。自分を食べるなんて・・・。」

 

「こんなの、聞いてないわ・・・。」

 

「あら、これだけじゃないわよ。」

 

驚くユニ、九十九とは別にエリュシオンは口を開いた。その瞬間、彼女の左肩辺りから紫色の光が漂い始めたかと思うとどんどん左腕を形成していき、そのまま左腕が再生したのだ。

 

「なっ、そ、そんな・・・。」

 

衝撃の展開に唖然とする九十九。そんな彼女とは別に左手を開いたら閉じたりして動きを確認したエリュシオンは九十九を見て不気味な笑みを浮かべて言う。

 

「これが禁断の果実の力。たかが腕一本無くなったところでどうといえことはないわ。それに、他の傷まで癒えてしまうからね。」

 

そう言うと彼女は右肩を左手でトントンと軽く叩く。先程次元斬で切り裂いた彼女の右肩の傷はいつの間にか癒えていた。

 

「腕を吹っ飛ばしてしまったことが誤算だったようね。」

 

そう言った瞬間、彼女の姿が一瞬にして消えたかと思うと九十九の目の前に瞬時に移動しており、そのまま呆然とする彼女を蹴り飛ばした。

 

「ガハァ!!」

 

腹を勢いよく蹴り飛ばされた九十九は体をくの字にして吹っ飛び、数メートルのところで地面に倒れる。そんな彼女にエリュシオンがゆっくり近寄りながら言う。

 

「これで私を倒す?笑わせんじゃないわよ。その程度で私が負けてたら裏の世界の現世や幻想郷なんて滅んでないわ。」

 

そう言って地面に蹲る九十九を見たエリュシオンは彼女に馬乗りになったかと思うと、

 

「ガッ!?」

 

そのまま空いている左手で彼女の首を掴み、締め上げる。そのまま彼女は首を絞めながら口を開いた。

 

「アンタは弱い。弱いが故に何も守れやしない。だからあの高校生達を見捨てて逃げることしか出来なかったのよ。」

 

「ググ・・・。」

 

彼女の腕から解放しようと九十九は抵抗するが馬乗りになっているのと絞める力が強く離れない。そんな中、ヨロヨロとなりながらユニは辺りを見回し始める。

 

「れ、霊夢・・・。」

 

霊夢は先程受けた毒レーザーの影響でうまく立ち上がることが出来ず、到底戦える状況ではなかった。

 

「魔理沙・・・。」

 

魔理沙はギャラクシー・フィニッシュの影響で体全体にダメージを覆ってしまい、立ち上がることすら出来ない。

 

「ゆ、悠岐君・・・。」

 

悠岐は楓とユニを庇った影響で体から血が流れ、起き上がる様子がなかった。

 

「楓ちゃん・・・。」

 

楓は霊力を吸収されたせいか、力を振り絞ることが出来ずにいた。

 

「百々君・・・。」

 

百々は頭を吹っ飛ばされ、完全に戦闘不能。もう戦えるようではない。

 

「琥珀、君・・・。」

 

琥珀は手足を縛られ尚且つ口の中に何かを詰められ、彼自身ではどうしようもない状況にあった。

 

「暁、君、えい、ら、君・・・。」

 

暁はエリュシオンによって喉元を切られ、必死に空気を取り込もうと必死に呼吸しており、影裏も同様で必死に呼吸を行っていた。

 

「九十九、ちゃん・・・。」

 

そして九十九。彼女はエリュシオンの拘束から逃れられず、遂には彼女の手首を掴む手がだらんと落ちてしまう。

 

「こんな・・・こんなこと、って・・・。」

 

そう言いながらなんとかスペルカードを取り出し、発動しようとするユニ。だが、

 

「うっ、ゴホッ!?」

 

内臓へのダメージの蓄積か、彼女は再び血をその場で吐いてしまう。仲間が殺されそうな状況で何もすることのできない屈辱感に、ユニの目から涙が溢れ始める。そんな彼女とは別にエリュシオンは右手に持っていた銃をスライムに戻すと握り拳を作り、振り上げる。

 

「終わりよ、星熊九十九。」

 

そう言うとそのまま彼女の右拳が九十九に振り下ろされる。九十九はそのまま目を閉じて死を覚悟した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・筈だった。しかし九十九にはエリュシオンの拳は振り下ろされない。恐る恐る九十九は目を開くとそこには右拳を振り下ろそうとするエリュシオンの右手首を1人の女性が掴んでいたからだ。ゆっくりと後ろを振り返りながらエリュシオンが口を開く。

 

「・・・何、今度はッ!!?」

 

話そうとした瞬間、エリュシオンの顔に強烈なパンチが叩き込まれ、そのまま彼女は勢いよく吹っ飛び、近くの岩に衝突し、砂埃を舞い散らせる。

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・ユニ、なの?」

 

「え、私じゃ、ない・・・?」

 

空気を取り入れながら九十九はユニに問うが彼女は否定する。そんな2人とは別に女性が口を開く。

 

「情けないねぇ、本当に。」

 

その女性は長身で金髪の長い髪、赤い目に両腕に鎖をつけていて頭には一本の角を生やしていた。女性は九十九を見てニコッと笑うと吹っ飛んだエリュシオンの方向を見て真剣な表情に変え、再び言う。

 

「アタシの大切な娘に何手を出してくれるんだい?凶神(エリュシオン)さんよ?」

 

「か・・・母さん!!」

 

九十九を命の危機から救ったのは1人の鬼、星熊勇儀であった。




九十九のピンチに突如姿を現した勇儀。ユニの能力で呼び寄せていないのに一体・・・。
次作もお楽しみに!

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