東方混沌記   作:ヤマタケる

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闘神達の力を攻略したユニ達はエリュシオンの力に立ち向かう。


第171話 驚愕する力

図書館の空間が消え、雨が明けた世界でエリュシオンは表情変えることなくユニ達を見る。と、エリュシオンがスペルカードを何枚か取り出して言う。

 

「私にはいくつかのスペルカードがある。その中からアンタ達に好きなカードを選ばせてあげる。」

 

「・・・ハンデをくれるのかい?随分とお優しいじゃないか。」

 

彼女の言葉に琥珀が言う。そんな彼にエリュシオンが言った。

 

「どうせ表の奴らは総力戦で(ここ)にきてるんでしょ?全てスペルカードを使うのは勿体無いからね、最低限で使わせてもらうわ。」

 

そう言った瞬間、九十九が口を開いた。

 

「お前、何を企んでいる?スペルカードを最低限だと?何か切り札があるってのか?」

 

「ククク、さぁそれはどうでしょうね?」

 

そう言うと彼女は一枚のスペルカードを取り出し、発動しながら言う。

 

「倍速『クロックアップ』、まずはこれで小手調べよ。」

 

そう言った瞬間、彼女の姿が一瞬にして消えた。

 

「き、消え・・ぐあっ!!」

 

続きを言おうとした瞬間、楓は目に見えない速さの何かによって殴り飛ばされた。

 

「楓ちゃん!?きゃあ!!」

 

「大丈夫か楓・・ぐっ!!?」

 

「ぐはっ!」

 

「ゲホッ!!」

 

立て続けにユニ、九十九、琥珀、魔理沙がとてつもない速さの何かによって攻撃を受け、軽く吹っ飛ぶ。

 

「くそっ、目で追えねぇ!!ぐあっ!」

 

「速すぎる、どうなってんだ。ぐはっ!!」

 

「クロックアップ・・・これはかの仮面ライダーの・・ぐぅぅっ!」

 

「弾幕じゃ当たらないわ!きゃあ!!」

 

「おっと危ねぇ!!」

 

続いて悠岐、影裏、暁、霊夢が攻撃を喰らう中、百々のみその速さに対応することができ、攻撃を防いだ。とてつもない速さで動いていたのはエリュシオンであり、彼女はユニ達の数メートル前に背を向けて止まる。

 

「おい百々、今のどうやって防いだんだよ。見えなかっただろ!」

 

「いや俺もわかんねぇよ。けど、なんとなくこのタイミングで防がなきゃって思ったんだ。」

 

「やっぱり、体は覚えているみたいね?」

 

魔理沙と百々が話しているところへエリュシオンが笑みを浮かべて言った。と、霊夢が口を開く。

 

「記憶を奪われても体は戦い方を覚えている。これは百々に頼りながら戦うしかないわね。」

 

「百々君だけに頼ってると逆にそれを狙われる可能性があります姉さん。気をつけて行動しましょう。」

 

「えぇ、そうするしかないわね。」

 

霊夢と暁が話している中、悠岐と楓が刀を構え、エリュシオンに向かっていく。

 

「これでも!」

 

「くらえ!!」

 

そう言って二人は刀を横に向けてエリュシオンを薙ぎ払おうとする。二人の剣捌きを見て彼女はふわっと飛び上がり、なんと二人の刀の隙間を掻い潜って攻撃を避けたのだ。

 

「何っ!?」

 

「マジかよオイ!」

 

悠岐と楓が驚きの声を上げる中、霊夢と魔理沙とユニがエリュシオンに向かってスペルカードを発動する。

 

「こんなんじゃ終わらないわよ、霊符『夢想封印』!」

 

「私だって!彗星『ブレイジングスター』!!」

 

「私はシンプルな弾幕攻撃で!!」

 

3人が同時に放った攻撃はエリュシオンの元へと向かっていく。それを見た彼女は咄嗟に飛び上がり、攻撃を避ける。

 

「そこだ。文字よ!」

 

「姉さん力お借りします!『封魔針』!」

 

「俺も借りるぞ!再現『封魔針』!」

 

「逃げ道ねぇように銃弾で閉じ込めてやる!」

 

「影裏に協力する!ラウンドフラッシュ!!」

 

エリュシオンの避けた方向へ琥珀、暁、百々、影裏、九十九が一斉に攻撃を放った。

 

「同時攻撃かぁ、いいわね。」

 

そう言いながらエリュシオンは5人の放たれた攻撃を見続ける。5人の放たれた攻撃はそのままエリュシオンに命中する。命中した場所からは爆風がユニ達に飛んでくる。

 

「やってはないけどまぁまぁダメージは与えられたんじゃないかな?」

 

「・・・そうだと嬉しいけどな。」

 

琥珀と影裏が話している中、爆風によって起こった砂埃の中からゆっくりと無傷のエリュシオンが姿を現した。

 

「やっぱり無理だよなぁ。」

 

「あれだけの攻撃を喰らって無傷とは、何かスペルカードを使ったのか?」

 

「いいや、使ったようには見えなかったわ。普通に耐えただけなのかしら・・・。」

 

九十九、楓、霊夢が話している中、エリュシオンが服をパタパタと軽く叩いて埃を落とす。そして口を開いた。

 

「正直アンタ達との戦いにスペルカードなんて使う必要ないって私は思っているわ。」

 

「なんだと!?」

 

「けれど、私自身が正々堂々と勝負するって言ったのだから使うしかないのよ。」

 

そう言うとエリュシオンは声を上げる悠岐達に向かって3枚のスペルカードを取り出し、再び言う。

 

「この3枚のスペルカードを使ってアンタ達全員を再起不能まで追い込んであげる。覚悟しなさい?」

 

そう言って彼女は3枚ある内の1枚を取り出す。

 

「気をつけろ、何か来るぞ。」

 

百々の掛け声と共にユニ達は身構える。そんな彼女達とは別にエリュシオンはスペルカードを発動する。

 

「絞首『土蜘蛛の糸』」

 

スペルカードを発動するとエリュシオンは左手を広げ、指先をユニ達に向ける。その瞬間、彼女の指先から2本ずつ蜘蛛の糸のようが伸びてきたかと思うとそれは勢いよくユニ達の元へ行き、彼女達の首に絡みついた。

 

「がっ!!?」

 

「な、何よっ、これっ!!」

 

「と、取れないぜ!!」

 

「クソッ、燃えない!?」

 

「斬れないだと!?ぐっ・・・。」

 

「こうなったら無理矢理・・・と、とれねぇ!?」

 

「く、苦しい・・・。」

 

「くっ、早く解かないと・・・。」

 

「文字・・・ぐっ、苦しくて、思うように力が、入らないね・・・。」

 

「クソッ、なんだよこれ!!」

 

ユニ達が各々の方法で糸を解こうとするが解ける様子はない。そんなユニ達にエリュシオンが口を開く。

 

「土蜘蛛は人間の首を狙う習性がある。それを元に私が作ったスペルカードよ。ちなみに、これだけじゃ終わらないわよ。」

 

そう言うと彼女は左手を上に上げる。それと並行してユニ達の体が宙に浮かび始め、宙吊りの状態にされる。宙吊りにされ、苦しむユニ達とは別にエリュシオンは左手の指を軽く動かす。それと同時にユニ達の体がぶつかり合う。

 

「ぐあっ!!」

 

「うおっ!!」

 

最初に霊夢と魔理沙の体がぶつかり、糸から解放される。

 

「うあっ!」

 

「ぐはっ!」

 

続いて悠岐と百々の体がぶつかり、解放される。

 

「ぐっ!!」

 

「ゲホッ!!」

 

次に楓と九十九。

 

「うわぁ!!」

 

「グハッ!!」

 

二人に続いて暁と影裏。

 

「きゃあ!!」

 

「ぐあっ!!」

 

最後にユニと琥珀の体がぶつかり合い、糸から解放されて地面に落ちる。ゆっくりと起き上がるユニ達とは別にエリュシオンはクスクスと笑いながら口を開く。

 

「ちょっとちょっと、こんなのでくたばってたら私なんて倒せる訳ないじゃない。もっと楽しませなさいよ〜。」

 

挑発するかのように言うエリュシオンの右手の人差し指の先からは紫色の光が集まりつつあった。そんな彼女に魔理沙が言う。

 

「ふざけるんじゃねぇ!!私達は、こんな程度で負ける訳ないぜ!!勝負はここからだ、覚悟しろエリュシオン!!」

 

「アハハハハ、笑わせてくれるわねぇ。その態度だけは本物のようね。けど、実力がなってないわよ!!」

 

そう言ってエリュシオンは指先に溜めていた光を魔理沙に向ける。それを見た瞬間、霊夢が声を上げる。

 

「魔理沙危ない!!」

 

そう言うと彼女は魔理沙を突き飛ばして防御体制に入る。

 

「霊夢!!」

 

彼女の名を言う魔理沙。そんは二人とは別にエリュシオンはニヤリと笑みを浮かべて言う。

 

「最初から狙いはアンタだったのよ、博麗霊夢。アンタのことだから友人は見捨てられる訳ないわよねぇ?」

 

そう言って彼女は紫色の毒々しいレーザーを霊夢に向けて放った。

 

「え、私?」

 

エリュシオンの言葉を聞いて霊夢は思わず目を見開き、呆然としてしまう。

 

「姉さん!!!」

 

呆然としてしまった霊夢を見て暁は彼女に覆い被さるようにレーザーに背を向けて彼女を抱き寄せる。そしてそのまま暁は毒々しいレーザーを背中で受けてしまう。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「暁!!!」

 

はっと我に返った霊夢は彼の名を言う。

 

「暁君!!」

 

「おい暁!!」

 

彼女に続いてユニ、百々が彼の名前を言う。そんな中、暁は霊夢を抱きながら言う。

 

「ぐぅぅぅ・・・問題ない、ですよ姉さ、ん。私に、幻想は通じませんので。」

 

そう言っている間に毒々しいレーザーが消えた。レーザーを受け切った暁は霊夢を放した。それを見た琥珀が感心しながら言う。

 

「毒レーザーをまともに喰らって毒状態にもならず平然としてるなんてね、彼の能力は本当に凄いね。」

 

「助かったわ暁。怪我はない?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ。姉さんこそ、怪我はありませんか?」

 

「私は大丈夫よ。暁がいなかったらわた、!!?」

 

話の最中で霊夢は言葉を詰まらせ、目を見開く。

 

「どうしました、姉さ・・!?」

 

彼女を心配した暁が声をかけようとした時、既に彼の背後にエリュシオンが背を向けて立っていた。そんな彼女の右手にはスライムが変形したであろう刀が握られていた。と、エリュシオンが言う。

 

「そんな呑気に話している暇があるなら、自分が狙われてるかもっていうことを考えたほうがいいわよ?魄霊暁。」

 

そう言った瞬間、暁の喉元から勢いよく血が飛び散る。

 

「ガ、ハッ・・・」

 

喉元から飛び散る鮮血が霊夢の顔に飛び散る。

 

「・・・え?」

 

何が起こったのか分からず唖然とする霊夢とは別に暁はそのまま地面に倒れる。

 




突如喉元から血が飛び散り、倒れる暁。一体何が・・・?
次作もお楽しみに!

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