東方混沌記   作:ヤマタケる

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オスカーの助けを借りてユニ達は次の部屋へと急ぐ。


第163話 近づく死

オスカーの部屋と後にし、隣の部屋に入るとそこは巨大な空間で天井が100メートル以上の高さがあり、オスカーの言う通り、螺旋階段の所々に扉がある。そして床には7、8メートルのほどの大きな穴に細い網が敷いてある。部屋に入ってすぐに魔理沙が辺りを見回して言う。

 

「ここが、城の中心・・・。」

 

「それにしても広いし天井まで高すぎるだろ。一体何のために作ったんだ?」

 

「恐らくだけどここを作ることによって迷わないようにするためだと思うよ。ほら見てよ、所々大きさの違う扉があるでしょ?」

 

指を指して悠岐と魔理沙に色々と教える琥珀。と、九十九が天井を凝視する。彼女に気づいた楓が声をかける。

 

「九十九、何かいるのか?」

 

「・・・一番上から、テルヒの気配がする。」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、ユニ達は一斉に天井の方を見る。しかしあまりにも高すぎるため、何があるのかははっきり見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハッ、よくぞここまで来たな表の世界の選ばれし者達よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が空間全体に響き渡る。そのまま瞬間、ユニ達は戦闘態勢に入りって辺りを警戒する。そんな中、九十九が叫ぶ。

 

「テルヒ!!どこにいる!!」

 

「今の声がテルヒか!!」

 

彼女に続いて影裏が口を開いた。そんな中、姿を表さずにテルヒが再び言う。

 

「よくぞオスカー達率いる水の幻獣達の巣を乗り越えここまで辿り着いた。その無謀な勇気だけは褒めてやろう。だがお前達はここで終わりだ。エリュに会うこともなく、挙げ句の果ては私にも会うことも出来ない。」

 

「何故そんなことが言える!」

 

どこにいるのか分からない声に百々が言う。彼の言葉を聞いてテルヒは言った。

 

「何故なら、お前達はここで溺死するのだからな!!」

 

その声が響いた時だった。突如ユニ達の通ってきた通路の扉が閉まったのだ。

 

「なっ!?」

 

「閉められた!?」

 

咄嗟に閉まった扉へ向かい、開けようとする霊夢と暁。しかし扉は頑丈な上、シャッターのような構造になっているため開けられなかった。

 

「クソッ、開かないわよ!?」

 

「クッ、何故でしょう・・・。これもエリュシオンの力だと言うのですか・・・!!」

 

二人に続いて魔理沙、悠岐、楓、百々、九十九、影裏も扉を開けようとする。しかし8人がかりでやっても扉はピクリとも動かない。と、そんなユニ達にテルヒが言う。

 

「まぁせいぜい抗ってみせてみろ。ハッハッハッ!」

 

その時だった。突如城がゴゴゴと音を鳴らし始めた。それを聞いたユニが口を開く。

 

「ち、ちょっと!城が揺れ始めたわよ!!?」

 

慌てるユニとは別に悠岐は耳を澄まして音をよく聞く。と、その瞬間、悠岐の顔が青くなり始めた。そんな彼を見た魔理沙が口を開く。

 

「どうしたんたぜ?悠岐。」

 

「水だ・・・。下から大量の水が押し寄せてきてるぞ!!」

 

「「「「!!!??」」」」

 

彼の言葉を聞いてユニ達は目を見開いた。そんなユニ達に悠岐が大きな螺旋階段を指差して言う。

 

「みんな上に上がるぞ!!大量の水がここに押し寄せてきてる!!もしかしたらこの部屋が浸水するぐらいの量だ・・・。」

 

「何ですって!?」

 

「あの年層ババァはこの城を沈めるつもりかい!!?」

 

「とにかく悠岐の言う通り、上がるぞ!!」

 

悠岐の言葉を聞いて慌てる霊夢と琥珀にすぐに声をかける魔理沙。ユニ達は長い長い階段を全速力で上がり始める。すると、大きな穴の網の隙間からボコボコと音を立てながら大量の水が入り込み始めた。

 

「マジかよ・・・。本気で自分の城を浸水させるつもりだ!!」

 

「とにかく、上を目指すぞ!」

 

驚く影裏に楓が言う。水の溜まるスピードは早く、ユニ達が先程いた地面をすぐに埋め尽くすほどにまで浸水した。それを見た暁が下を見て走りながら言う。

 

「もうあんなに浸水するなんて・・・!かなり浸水するスピードが速いですね。」

 

「とにかく今は走り続けるしかないわね。」

 

彼の一言にユニが口を開く。と、楓が上を見ながら言う。

 

「・・・上に行けばテルヒの元へ行ける、だがそう簡単には行かせてはくれない筈だ。」

 

そう言うと彼女は後ろを見て走りながら言った。

 

「ユニ、霊夢、魔理沙、琥珀!お前達は先に上に行ってくれないか?そして扉を開けてほしい。」

 

「え、私達が?」

 

「いい案だね、楓ちゃん。それじゃあ僕らは先に上に行こうか。」

 

そう言うと琥珀はフワッと飛び上がり、上へと目指し始めた。

 

「んじゃ私達も行くしかないぜ!」

 

彼に続いて魔理沙も箒に跨り、上を目指す。彼女に続いて霊夢とユニも飛び上がった。その瞬間に影裏が言った。

 

「俺達は頑張って上に向かって階段を登っていくしかないな。」

 

「あぁ、そうだな。残りの力はエリュシオンやテルヒとの戦いにとっておかないとな。」

 

彼に続いて悠岐が言う。そして6人は上へと目指して再び走り始める。と、下を見て何かに気づいた九十九が顔を青ざめて言った。

 

「・・・ヤバい、幻獣が来たぞ。」

 

彼女の言葉を聞いて5人は走りながら下を覗く。浸水し続ける水の中からゆっくりと巨大なワニが姿を現し、階段を登り始めた。

 

「マジかよ・・・こりゃ急がないとやべぇぞ!」

 

百々の言葉を聞いた5人はペースを少し上げて階段を登り始める。その時、浸水する水から何が飛び出す音が聞こえたかと思うと階段を登る百々達に向かって巨大なピラニアが口を大きく開けて飛び上がってきていたのだ。

 

「みんな飛べ!!」

 

楓の一言で6人は一斉に飛び上がり、ピラニアのダイブを間一髪で避けた。6人を捕まえられなかったピラニアは階段の一部を破壊し、再び水の中へと潜っていった。

 

「あ、危ねぇ。あのババァ、本気で私達を殺しにきてる!!」

 

「こりゃあマズイな。早く上まで行ってテルヒの元へ行かなきゃ俺達全員死ぬぞ!」

 

九十九と悠岐が話している中、影裏が後ろを見て言う。

 

「ここで立ち話をしている暇は無さそうだな。一刻も早く上に行かねぇと。」

 

彼が言った瞬間、上から爆発音が辺りに響いたかと思うと何かが上から落ちてきて水の中に落ちた。

 

「な、なんだ急に!?」

 

「上で何か起こってるかもしれません。影裏の言う通り、急ぎましょう。」

 

驚く楓の後に暁が冷静に言う。彼の一言を聞いて6人は再び階段を登る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、なんて数だ!」

 

場面は変わってユニ、霊夢、魔理沙、琥珀組。4人は最上階へ目指している途中で無数の巨大なコウモリと鷹と戦っていた。

 

「どうやら下にもいるみたいね。私達を先に行かせない気満々ね。」

 

そう言いながらユニはコウモリや鷹の攻撃を避けながら上へと向かっていく。霊夢と魔理沙はある程度無駄な霊力を消費せずにコウモリや鷹を倒していく。と、琥珀が上を指差して言う。

 

「見て!最上階だ。」

 

彼の言葉を聞いて3人は目を合わせる。そして琥珀の進む最上階へと降り立つ。そこには少し広々とした空間が広がっており、正面には大きな扉があった。それを見た霊夢が口を開く。

 

「あそこを開けるわよ!」

 

そう言って4人は扉の前まで行き、扉を開けようとする。しかし4人がいくら頑張っても扉は開きそうになかった。と、琥珀があるものを見つけて言う。

 

「どうやらこの扉はパスワードを打たないと開かないらしいね。」

 

「パスワード!?めんどくさいなぁ。」

 

魔理沙がそう言った時だった。後ろからバサバサと音がしたかと思うと無数のコウモリと鷹が4人を睨みつけていた。それを見たユニが口を開く。

 

「・・・どうやら簡単には行かせてくれなさそうね。」

 

「やるしかないわね。魔理沙、ユニ、準備はいい?」

 

「勿論!」

 

「準備万端だぜ!」

 

「よし、琥珀はパスワードを解くのをお願いするわ。」

 

「いいよ、任せて。」

 

そう言ってユニ、霊夢、魔理沙は幻獣達と対峙し、琥珀はパスワードを解き始める。

 

「えぇっと、3桁か。1000通りのパターンがあるから面倒だね。まずは000でやってみよっと。」

 

そう言って彼は数字を000と表記してみる。その瞬間、ブブーと音が鳴る。

 

「あ、違うか。流石にこれはシンプルすぎたね。それじゃあもう少し考えながらやってみるか。」

 

琥珀がパスワードを解く中、3人は必死にコウモリと鷹の幻獣と戦っていた。

 

「封魔陣!」

 

「魔符ミルキーウェイ!」

 

「アームストライク!」

 

霊夢、魔理沙は幻獣達に自身の弾幕を放ち、ユニはアームストライクで取り出した拳銃を用いて幻獣達に応戦する。と、魔理沙が弾幕を放ちながら口を開く。

 

「あぁもう、キリがないぜ!」

 

「本当ね、何頭いるのよ!」

 

彼女に続いて霊夢も言う。と、ユニが幻獣達に発泡しながら言う。

 

「九十九ちゃん達が来るまでの辛抱って言いたいけれどこれじゃあ流石にキツいわね。こうなったら!」

 

そう言うとユニは懐からスペルカードを取り出して発動する。

 

「呼符コールザエニー。力を貸して、巨人さん!」

 

そう言った瞬間、ユニの隣に巨大な空間が現れたかと思うとその中から全身黒で顔には大きな一つの目の巨人が姿を現した。それを見た霊夢が驚きの声を上げる。

 

「なっ、巨人!?」

 

「キュクロプスよ、私の力で呼び寄せたの。お願い、私達に力を貸して!」

 

ユニの言葉を聞いた巨人、キュクロプスはコクリと頷くと部屋全体に響き渡るような雄叫びをあげるとそのまま幻獣達の元へ走っていき、殴りかかった。それを見た琥珀が口を開く。

 

「うわぁ、あれがキュクロプスかぁ。ユニちゃんはすごいのを呼び寄せるなぁ。でも、あれなら時間を稼げそうだね。」

 

そう言うと琥珀は再び作業に取り掛かる。ユニ、霊夢、魔理沙、そしてキュクロプスで幻獣達を相手にするが一向に数が減らない。それどころか数が増えてきていると3人は察するが口にはしない。そんな中、霊夢が琥珀に言う。

 

「琥珀!まだ開かないの!?」

 

「ちょっと待ってくれ!1000通りあるんだからそんな早くは開かないよ。」

 

「クソッ、数が増え続けてて面倒だぜ!一体エリュシオンは何体の幻獣を飼ってるんだ!!これじゃあ百々達が来る前に私達がやられちゃうぜ!」

 

「ん、魔理沙今なんて言った?」

 

突如琥珀が魔理沙に言う。

 

「なんてって、百々達が来る前にやられるって言ったんだぜ!」

 

「それだよ魔理沙!ナイス!」

 

「え、私なんかやったっけ?」

 

戸惑いながら戦う魔理沙とは別に琥珀は3桁の数字を1、0、0に揃えた。その瞬間、カチッという音と共に大扉の扉が開いた。その瞬間、琥珀が口を開いた。

 

「開いたよ!」

 

「本当!?」

 

「でかしたぜ琥珀!」

 

ユニと魔理沙が言った時だった。ユニ達と夢中で戦っていた幻獣達の目線が一斉に琥珀へと向いた。その瞬間、霊夢が彼に言う。

 

「琥珀、急いで!!」

 

彼女の言葉を聞いた琥珀は咄嗟に扉の奥へと入る。そんな彼を見た幻獣達は一斉に扉の方へと向かい、扉を覆い隠すかのように固まり始めた。それを見たユニが口を開いた。

 

「おかしいわ・・・。扉が開いたってのに幻獣達が琥珀君を襲おうとしない。」

 

「え?」

 

彼女の言葉を聞いた霊夢が反応する。そんな彼女に何かを察したユニが目を見開きながら再び口を開いた。

 

「もしかしてこの幻獣達、琥珀君は先へ行かせても私達を先へ行かせないつもり!?」

 

「何ですって!?」

 

「マジかよ!それじゃあアイツだけ行けても私達が行けなくなるってのか!」

 

「琥珀君一人で行かせるなんて出来ないわ。どうにかして私達も行かなきゃ!」

 

彼女がそう言った時だった。突如3人の背後から紫色のレーザーが放たれ、纏まる幻獣達に命中した。それを見たユニ達は背後を見る。そこには九十九を先頭に楓達が立っていた。

 

「なんとか来れましたね。」

 

「みんな!無事に来れたのね!」

 

「事情はなんとなく把握した。アイツらをどかすぞ!」

 

暁とユニが話す中、影裏が纏まる幻獣達に銃口を向けて言った。彼の言葉に続いてユニ達は弾幕を放ったり幻獣達の体の一部を斬り落としながら纏まる幻獣達を退けていく。そしてついに纏まっていた数体の幻獣達をどけることに成功した。

 

「よし、行くぞ!」

 

楓が言った時だった。突如空からやってきたコウモリの幻獣の1匹がキュクロプスの背中に飛び掛かった。飛びかかられた勢いでキュクロプスは体勢を崩し、倒れてしまう。それに続いて後からやってきたワニやピラニア、鷹の幻獣達が一斉にキュクロプスに襲いかかる。それを見たユニが思わず声を上げる。

 

「あっ、キュクロプスが!!」

 

「待てユニ!アイツが今幻獣達を惹きつけてくれてるんだ。俺達は先に行かなきゃならねぇ。アイツの死を無駄にするな。」

 

「・・・うん、分かった。ごめんなさい、助けられなくて・・・。」

 

そう言ったユニは喰われていくキュクロプスを後に扉の奥へと走って行った。




迫り来る水と幻獣達の妨害を避けて先へ進むことができたユニ達。その先に待ち受けているのは果たして!?
次作もお楽しみに!

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