東方混沌記   作:ヤマタケる

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ダイルオーマを倒すことに成功したユニ、楓、悠岐は再びマグマの部屋へと戻される。


第159話 舞台装置の魔女

場面は変わって魔理沙、琥珀、影裏組。3人が扉を開けるとそこには辺り一面が真っ白な世界に覆われた街が広がっており、3人はどこかの建物の屋上に立っていた。

 

「な、なんだここは・・・現世?」

 

「にしても変な雰囲気だね。街のみならず周りの景色も空も全て真っ白だ。それに僕たちはさっきまで城の中にいたんだよ?」

 

「エリュシオンの野郎が城に何か施したのかもしれない。それにこの街、なんか見覚えがある・・・!」

 

影裏が話している中、魔理沙が何かに気づき、辺りを見回し始めた。そして口を開く。

 

「気をつけろ二人とも。近くに何かがいる。」

 

魔理沙がそう言った時だった。突如辺りに霧が漂い始めた。それを見た影裏が何かにはっと反応し、言う。

 

「・・・これはかなりやばいかもしれねぇ。」

 

「影裏、どうしたんだ?」

 

「あれを見てごらん魔理沙。」

 

そう言うと琥珀はある方向を指差した。そこには絵で描いたようなサーカスの服を着たような象が何頭か姿を見せた。と、影裏が口を開いた。

 

「まどかから聞いたことがある。名前は忘れたがあの象が現れた時にとんでもねぇことが起こるってな・・・。」

 

「どうやらそのようだね。二人とも、あそこを見なよ。」

 

そう言うと琥珀は霧が持っても濃い場所を指差した。その瞬間、濃くて先の景色も見えないほどの霧が消えたかと思うとその霧の中からスカートを履いた女性が逆さまになっていて足の部分は歯車となっており、大きさは周りの建物を遥かに上回る巨体をしている存在が姿を現した。

 

「な、なんじゃありゃ!?」

 

あまりの巨大さと異形な姿に魔理沙は思わず声を上げてしまう。そんな彼女とは別に影裏は頭を抱えて言う。

 

「まどからに聞いたことがあるのに・・・名前がどうしても思い出せねぇ!!クソッ、あいつの名前は・・・。」

 

「彼女の名前を思い出すのは後にしよう影裏君。僕達はまず彼女を倒すのが先決だよ。」

 

「・・・あぁ、そうだな。けど俺達3人で倒せんのか?」

 

「倒せる倒せないじゃねぇ、倒すんだぜ!!」

 

そう言うと魔理沙は箒に跨り、巨大な存在へと向かっていった。

 

「オイオイ待てよ魔理沙!」

 

彼女に続いて影裏も巨大な存在へと向かっていく。二人に続いて琥珀も巨大な存在へと向かっていった。と、魔理沙がスペルカードを発動する。

 

「先手必勝だぜ!恋風スターライトタイフーン!!」

 

魔理沙の放った攻撃はそのまま巨大な存在の顔らしき場所に命中し、砂埃を舞い上がらせる。彼女の後を追ってきた琥珀が魔理沙の横まで飛び上がる。影裏はビルの屋上で二人を見る。と、影裏が目を細めて口を開いた。

 

「・・・どうやらあの1発では物足りないらしいぜ。」

 

そう言った瞬間、砂埃が消えていっかと思うと巨大な存在が不気味な笑い声を上げながら再び姿を現した。

 

「なっ、あの攻撃が効かないのかよ!!」

 

「そりゃそうさ。彼女は五大王の兵士達の持つ現代兵器を使っても倒すことのできない存在なんだ、君の霊力だけで倒せる敵ではないよ。」

 

驚く彼女に琥珀が冷静に答える。そんな彼に魔理沙が聞き返す。

 

「んじゃあ、私達3人で倒せるのか!?」

 

「うーん、どうだろうね。正直に言うと僕らも含めた10人でも彼女を倒せるとは思わない。五大王の誰かしら一人でもいれば変わるかもしれないけれどね。でもこの世界はあの年層ババァが作り出した世界、実際の彼女とは少し違うのかもしれない。」

 

二人が話している時だった。巨大な存在が再び不気味な笑い声を上げたかと思うと3人を見つめ始めた。

 

「何見てやがるんだ!!ミョルニル!!」

 

「これでも喰らえ!!マスタースパーク!!」

 

笑われたことに腹が立ったのか、魔理沙と影裏は巨大な存在の顔へと攻撃を放った。攻撃をくらった巨大な存在は少しだけよろけるもすぐに体制を整えて再び笑い声を上げる。そんな彼女を見た魔理沙が目を見開きながら口を開いた。

 

「オイ、何も効かないぜ・・・?こいつは、どうやって倒したらいいんだ?」

 

「俺の攻撃も大して効いてねぇみたいだな。こうなったら俺の切り札を・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待つんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怯える魔理沙とまだ戦おうとする影裏に琥珀が声をかける。そんな彼に影裏が口を開く。

 

「オイ琥珀、お前何か出来るのか?見てわかるだろ?あいつには何をしても効果がないんだって。」

 

「そんなの分かってるさ。けれど、1つの可能性が浮かんだのさ。」

 

「「1つの可能性??」」

 

魔理沙と影裏が声を合わせて言う。それに気にせずに琥珀が話し続ける。

 

「二人の攻撃を食らったのを見て思ったんだ。彼女は僕の知っている本来の彼女じゃない、別の彼女なんだ。」

 

「別の彼女って・・・。」

 

「どうしてそれが分かる?」

 

二人の問いに琥珀はすぐに答える。

 

「簡単さ、本来の彼女はロケットランチャーみたいな大型兵器や大量の爆弾による攻撃ですら傷一つつかず、よろけない。それに比べてあの彼女はどうだい?魔理沙のマスタースパークと影裏君のミョルニルの一撃を食らった程度でふらついたじゃないか。これはつまりどういうことを意味するか分かるかい?」

 

琥珀から問いかけられた問いに答えたのは影裏だった。

 

「つまりエリュシオンは完全に次元に干渉出来てないってことか?」

 

「そう言うことさ。それなら本来の彼女の力は発揮されないだろうから結構楽に彼女を倒せる筈さ。」

 

琥珀が言った瞬間、巨大な存在が布切れのような細長いものを3人目掛けて飛ばしてきた。

 

「おっと!!」

 

咄嗟に反応した3人は彼女の攻撃を避ける。と、影裏が口を開いた。

 

「ならさっさとケリつけるしかないな。二人とも準備はいいか?」

 

「勿論だぜ!」

 

「僕も出来てるよ、サポートは任せて。」

 

「おっしゃ!行くぞ!!」

 

そう言うと3人はそれぞれ別れる。魔理沙は箒に跨り、巨大な存在へと近づき、琥珀は飛び上がり巨大な存在に近づく。一方の影裏は走って巨大な存在へと近づく。3人が近づいてるのを見て巨大な存在は体からウフフと笑う人形のような赤い影を召喚し、3人へと向ける。それを見た琥珀が口を開く。

 

「文字よ。」

 

そう言った瞬間、彼の前に『消』の文字が浮かんだかと思うとその文字が3つに分かれ、赤い影へと向かっていった。文字を受けた影はクススと笑いながら消滅していった。

 

「これだけじゃ終わらないさ。」

 

そう言うと彼は次に『封』の文字を浮かべ、それを巨大な存在へと放った。巨大な存在に文字が触れた瞬間、文字が長い鎖に変化し、巨大な存在を縛り上げて身動きが取れない状態にした。そして琥珀は二人に言う。

 

「今だよ二人とも!」

 

彼の言葉と同時に影裏と魔理沙が同時に攻撃の準備をする。

 

「よっしゃ、これでもくらいやがれ!!『全能神の稲妻(ゼウスのイカヅチ)!!」

 

「私も行くぜ!!魔符ミルキーウェイ!!」

 

二人から放たれた攻撃は一直線に巨大な存在の顔に向かっていき、命中した。命中した時、突如3人の視界が歪み始めた。

 

「うわっ!!」

 

「な、なんだ!?」

 

「これは!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界の歪みが治るとそこは最初にやってきたマグマの部屋の真ん中だった。と、魔理沙が口を開いた。

 

「こ、ここは・・・?」

 

「最初の場所だな・・・って!?」

 

影裏が続きを言おうとした瞬間、言葉を詰まらせた。その理由は簡単である。3人が見つめる先にはあまりの暑さで言葉を失うユニ達の姿があったからだ。

 

「霊夢!」

 

思わず声を上げる魔理沙。と、そんな彼女に霊夢ははっと気がつくとそのまま彼女に近寄り、

 

「遅い!!」

 

そう言って拳を魔理沙の顔に叩き込んだ。

 

「ぐべっ!?何するんだぜ!!」

 

「遅いわよあんたら!一体いつまで待たせるつもりなのやら!」

 

「姉さん落ち着いてください!イライラする気持ちも分かりますけれども・・・。」

 

怒りに暴れる霊夢を暁が必死に止める。そんな中、悠岐と楓が3人に近づき、言う。

 

「よく戻ってきたな、お前らが1番最後だぞ。」

 

「もう暑さは勘弁だ悠岐〜。」

 

「あぁ、待たせてすまないね。僕らにも色々あったもんでね。」

 

琥珀が言った時だった。ユニ達から見て正面の絵が描かれている木の扉の右下の絵が突然光り始めた。そして光った瞬間、ゴゴゴと音を立てながら木の扉が壊れていった。




巨大な存在を倒すことに成功した魔理沙、琥珀、影裏。
そして開かれる木の扉。その先に待ち受けているのは果たして!?
次作もお楽しみに!

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