東方混沌記   作:ヤマタケる

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ギラヒムの撃破に成功した悠岐。残る敵はまだいる。


第15話 コールザエニー、女王ビオラ

紅魔館ではレミリア、咲夜、パチュリーがドールクの死に気づいていないじ久との戦闘に入っていた。

 

「パチェ、咲夜、気をつけて。今フラン、美鈴、小悪魔はあのじ久って言う妖怪に操られているわ。私達が狙うとするならあのじ久よ。何があってもフラン、美鈴、小悪魔にダメージを与えては駄目よ。」

 

「難しいわね、でもそれしか方法が無さそうね。」

 

「やりましょう。」

 

咲夜が言った瞬間、じ久がフラン、美鈴、小悪魔に命令した。

 

「殺れ、お前ら!レミリア・スカーレットを潰せ!」

 

その瞬間、フラン、美鈴、小悪魔が一斉にレミリア、咲夜、パチュリーに向かって弾幕を放った。それを見た三人は同時に避けた。そのままレミリアはグングニルを作り上げた。そしてスペルカードを発動した。

 

「神槍スピア・ザ・グングニル!」

 

そのまま彼女はじ久に向かってグングニルを放った。それを見たじ久はグングニルを見たまま笑みを浮かべた。その瞬間、フランがじ久の前に現れたのである。そのままフランは自らグングニルを受けた。

 

「っ、フラン!」

 

「妹の心配をしている場合か?」

 

じ久の声でレミリアははっと我に返るがその時にはもう遅かった。彼女の後ろに現れた黒い美鈴の回し蹴りがレミリアの腹部を捉えたのである。

 

「ガハッ!」

 

レミリアはそのまま紅魔館の壁に叩きつけられ、吐血する。それを見た咲夜がじ久にスペルカードを発動した。

 

「時符プライベートスクエア!」

 

彼女の攻撃はじ久に向かっていく。だが先程レミリアのグングニルを食らったフランがまたしても彼の前に現れる。咲夜は咄嗟に攻撃を止めた。

 

「禁忌レヴァーテイン。」

 

フランの声が聞こえた瞬間、咲夜にフランの攻撃が命中した。そのまま咲夜は地面に落ちた。

 

「咲夜!くっ、・・・」

 

パチュリーは小悪魔の攻撃を避けながらスペルカードをじ久の目の前で放った。

 

「日符ロイヤルフレア!」

 

それを見たじ久は少し目を大きく見開いたが、彼は隠し持っていた刀を取りだし、パチュリーの右手に切り傷をつけた。彼女の手からは血が垂れる。

 

「ジャマスルナ。」

 

聞き覚えのある声が聞こえたため、彼女はその方向を見る。そこには小悪魔がいて、そのままパチュリーに向かって弾幕を放った。目の前で放たれては元も子もなく、パチュリーはそのまま咲夜のいるところまで吹き飛び、吐血した。それを見たじ久が三人に言う。

 

「無様だな、レミリア・スカーレット!自分の妹や部下に殺されていく、笑える話じゃねぇか!」

 

「くっ、そっ!」

 

「ほう、まだやるつもりなのか?これは驚いたな。もうお前達に勝ち目なんてこれっぽっちもないのにな。まあ、いいや。さあ、殺れ、お前ら!」

 

彼が言った瞬間、フラン、美鈴、小悪魔が三人同時に傷だらけの三人に弾幕を放った。咲夜は気を失っているため、時間を止めることが出来ず、二人は避けきれる体力が残っていないため、三人はどうしようも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、ユニが紅魔館の近くまで駆けつけていた。そして彼女は躊躇うことなくスペルカードを発動した。

 

「呼符コールザエニー。」

 

彼女が発動した瞬間、ユニの持っているスペルカードが赤く光りだした。そして彼女はスペルカードを上に上げ、言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「力を貸して下さい、女王ビオラ様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が叫んだ瞬間、レミリア達の前に直径2m ほどの空間が現れた。そしてその中から赤いリボンがついたヘッドフォンをつけ、紳士のような服に赤い縞模様のスカートを履いている女性がレミリア達の前に現れ、そのまま右手だけでフラン、美鈴、小悪魔の弾幕を止めた。

 

「何っ!?」

 

「・・・・・え?」

 

突然の出来事に一同は驚くことしか出来なかった。そんな中、少女が右手を下ろし、レミリア達を見ながら言う。

 

「危ないところでしたね、レミリア・スカーレット。」

 

「え?どうして私の名前を・・・」

 

「話は後でにしましょう。今は彼を倒すことが優先的です。」

 

そう言うと女性はじ久の方を向き、彼を睨む。それを見たじ久が口を開いた。

 

「何だ女。テメェに用はねぇんだよ。とっとと消えろ!」

 

そう言うとじ久は再びフラン、美鈴、小悪魔に命令した。それを聞いた三人は一斉に女性に向かっていく。それを見た女性は右手を上げた。そして手のひらを三人に向けた。

 

「Keep still。」

 

彼女が英語を三人に言った瞬間、三人の動きがピタリと止まった。それを見たじ久は三人に言う。

 

「おいお前達、何をしている!速くあの女を殺せ!」

 

しかしじ久がいくら言おうとも三人が彼の命令に従わなかった。そんな中、女性が再び口を開いた。

 

「Hear a story。」

 

その瞬間、三人は戦闘体制に入るのを止めた。そして三人はスペルカードをしまう。そして再び女性が言う。

 

「Return to sanity。」

 

彼女が言った瞬間、三人は頭を抱え始めた。何が起こっているのか理解出来ないじ久とレミリア、パチュリーは目を大きく見開くことしか出来なかった。

 

「I say once again、Return to sanity。」

 

そう言った瞬間、三人の目が赤から元の色に戻った。そしてそのまま三人は地面に倒れた。

 

「フラン、美鈴、小悪魔!」

 

レミリアは三人の名前を叫ぶ。そんな中、じ久が女性に言う。

 

「おのれ、この女め!俺が殺してやる!」

 

そう言うと彼は刀を女性に向かって降り下ろした。だが女性の回りには見えない結界が張られており、彼女に攻撃することが出来なかった。そんな中、女性がじ久に言う。

 

「あなたの力では私に傷をつけることなど出来ません。諦めなさい。」

 

「誰が諦めるかよ!」

 

そう言うとじ久は再び攻撃を続けた。だが結果は同じだった。その時、女性が右手を上げた。そしてじ久に言う。

 

「Leave hear。」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、じ久の動きが止まった。そして再び動き出したかと思うとそのまま刀をしまった。そして女性を睨むと何処かへ走っていった。それを見た女性はレミリア達に近寄り、言った。

 

「これで大丈夫です。」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、咲夜が目を覚ました。そして三人は倒れているフラン、美鈴、小悪魔の元へ駆け寄った。

 

「流石ですね、ビオラ女王陛下。」

 

女王陛下と呼ばれている女性、ビオラの後ろからやって来たのは先程彼女を呼び寄せたユニだった。ビオラは彼女を見ながら言う。

 

「ユニ、あなたは覇王を止めに行きなさい。奴が一番厄介だと思われるので。」

 

「はい、分かりました!私の願いに答えていただき、ありがとうございます。女王陛下。」

 

そう言うとユニはビオラの前で膝をついた。それを見たビオラは頭を下げる。レミリア達はそれを黙って見ていた。と、ビオラがレミリア達に言う。

 

「私の名前はビオラと申します。現実世界の女王陛下を務めています。」

 

「女王様!?」

 

「残りは覇王とガノンドロフのみです。無事を祈ります。」

 

そう言うとビオラはユニに顔を向けた。ユニは彼女の前に空間を作った。そのままビオラは空間の中へ入っていった。ビオラが入っていった後、ユニがレミリアに言う。

 

「紅魔館の中で待機してて。カックン達がまだいるかもしれないわ。」

 

「カックン?」

 

「クリーフル達が連れてきた妖怪のことよ。急いで!」

 

彼女の言葉を聞いてレミリア達は紅魔館の中へと入っていった。そしてユニは宙に浮かび、クリーフルのいるところへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん・・・・だと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社ではピンチになっていた霊夢と魔理沙の前に突如として腰まで延びる緑髪に魔法使いのような帽子、三日月の形をしている杖を持ち、足が幽霊のようになっている女性がザントの攻撃を杖で止めながら魔理沙に言う。

 

「やれやれ、あんたの中じゃ私の力はこんなものかい。」

 

「あ、あんたはどうして・・・」

 

「弟子のいる師匠は苦労するってものさ。忘れたなら見せてやる、これが私の魔法だっ!」

 

そう言った瞬間、女性の杖の先から七色の星が現れた。そのまま七つの星は全てザントに命中した。

 

「なんだと!?」

 

そのままザントはバランスを崩し、地面に倒れた。そんな彼とは別に魔理沙が女性に言う。

 

「嘘だろ・・・どうしてあんたがここへいるんだ・・・」

 

「久しぶりに顔を出してみたらこの有り様さ。それともただあんたらが敗れる場面を黙って見ていればよかったかい?」

 

「違う、それを言いたいんじゃない・・・だけど、今の今まで何処に行ってたんだ、魅魔様っ!」

 

「魅魔様?こいつが・・・」

 

魔理沙の言葉を聞いて霊夢は魔法使いと幽霊が合わさったような女性、魅魔を見る。魅魔も霊夢を見ながら言う。

 

「やぁ、霊夢じゃないか。私を覚えているかい?」

 

「覚えてるも何も、急にいなくなったから心配してたのよ。」

 

「悪いね、紫に異変だって言われて来ないといけなくなったからね。」

 

話しているうちにザントがヨロヨロとなりながら三人に寄ってきた。そして言う。

 

「何者だ、お前は・・・私の邪魔をするなど、身の程をわきまえろ!」

 

「フン、面倒な奴を相手にしたね。まさか影の王ザントを相手にするとは。まあ、すぐに終わるからいいや。二人とも下がってな。」

 

そう言うと魅魔は杖の先をザントに向けた。その瞬間、ザントの体が宙に浮かび始めた。

 

「ゆ、幽霊!私に何をするつもりだ!」

 

「決まってるだろ?あんたを殺すんだよ。覚悟しな!」

 

そう言うと魅魔は杖の先に力を込めた。そして次の瞬間、杖の先から眩い光が出たかと思うと杖から出てきた槍がザントの腹部を貫いた。

 

「ギャアアアアアアアアア!」

 

高い声を上げながらじたばたするも、そのままザントは光の中に包まれていき、遂には姿が無くなった。霊夢と魔理沙はそれを黙って見ていた。そんな中、魅魔が二人を見て、何かが入っている袋を渡し、言う。

 

「あんたらはクリーフルかガノンドロフの元へ向かいな。恐らく残ってるのはあの二人だけだからな。」

 

「魅魔様、この袋に入っているのって?」

 

「薬だよ、傷によく効く。さあ、行きな。私は後から行くから。」

 

「恩に限るぜ魅魔様!」

 

「ごめんなさいね。」

 

そう言うと二人は宙に浮かび、そのままクリーフルのいるところへ向かった。魅魔はそれを黙って見ていた。




遂にクリーフルとガノンドロフのみに追い詰めた霊夢達。だが、彼女らはクリーフルとガノンドロフの恐ろしさを知ることになる
次作もお楽しみに!

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