東方混沌記   作:ヤマタケる

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ユニと影裏の戦いに乱入した暁。そして二人の守護者が対立する。


第154話 二人の守護者

二人の戦いが始まろうとする中、楓がユニを見守りつつ琥珀に言う。

 

「琥珀、私が言いたいことは分かるな?」

 

「勿論だとも、任せておいて。文字よ。」

 

そう言うと琥珀はユニの上に『治癒』の文字を浮かべた。その瞬間、呼吸が乱れていたユニが落ち着きを取り戻し、目を覚ました。それを見た魔理沙が彼女を見て言う。

 

「大丈夫か?ユニ。」

 

「えぇ、なんとか・・・。」

 

「あんまり喋らないほうがいいわよ。あんた結構負傷してるんだから。」

 

「うん。ごめんなさい、私・・・。」

 

「謝る必要なんかねぇ。お前は悪くない。」

 

落ち込むユニを慰める百々。そんな中、楓が影裏と暁の戦いを見ながら言う。

 

「今は、暁に託そう。」

 

そう言って彼女は戦う二人の様子を見つめる。暁と影裏は互いに剣を打ち合い、時には拳銃を使って撃ち合っていた。

 

「ほう、中々やるな。流石はガイアの守護者ってところか。」

 

「あなたも結構やりますね。アラヤの守護者の力故か。」

 

「フン、お互い様って感じだな。だが、俺の力はこんなもんじゃねぇよ。」

 

「それはある程度分かっています。ですので私も奥の手を隠しています。」

 

そう言うと二人はじっと構えて睨み合う。と、暁が霊夢を見て言う。

 

「姉さん!少し力お借りしますよ!」

 

「え?」

 

唐突の暁の台詞に霊夢は思わず声を上げる。そんな彼女とは別に暁は一枚のスペルカードを手にして言う。

 

「これでも受けなさい!夢想転生!!」

 

そう言うと彼は右手に刀を持ち、光を集めてそのまま夢想転生を影裏に放った。

 

「ちょっと暁!いつの間に私のスペルカード取ったの!?」

 

「だから言ったじゃないですか。お借りしますって。」

 

「勝手に取ることないでしょ!」

 

二人が言い合う中、影裏は自分に向かって飛んでくる夢想転生を見て笑みを浮かべて言う。

 

「夢想転生か、他の妖怪が食らったら一溜りもないんだろうが俺には関係ない。」

 

そう言うと彼は変わった刀を取り出し、振った。その瞬間、暁の放った夢想転生は影裏の前で消滅していった。

 

「なっ!?」

 

「夢想転生が消滅した!?」

 

突然の出来事に霊夢と魔理沙は思わず声を上げる。そんな中、影裏は刀を見ながら口を開いた。

 

「こいつは幻魔刀。次元や空間に干渉し、切り裂くことのできるものだ。だからお前の放った夢想転生は俺には無意味だ。」

 

「マジかよ、夢想転生が無力化されちまうなんて!」

 

声を上げる悠岐とは別に影裏は暁を見ながら言う。

 

「んじゃ次は俺の番だな。」

 

そう言うと彼は幻魔刀を構えて口を開く。

 

「これでも・・・。」

 

「そうはさせませんよッ!マスタースパーク!!」

 

影裏が攻撃しようとした瞬間には暁は瞬時にマスタースパークを彼に目掛けて放った。

 

「うおっ、おいマジかよ!対魔力!」

 

唐突の攻撃に驚きながらも影裏は咄嗟に口を開いた。その瞬間、マスタースパークが影裏の前で消滅した。

 

「マスタースパークも効かないの!?」

 

驚くユニとは別に影裏は笑みを浮かべて言う。

 

「対魔力は魔法による力を無効にする。お前の放ったそのマスタースパークも俺には無意味だ!」

 

そう言うと彼は一丁のハンドガンを取り出し、暁目掛けて放った。

 

「くっ!」

 

咄嗟に暁は側にあった岩場に身を隠す。

 

「無駄だ。」

 

影裏が言った瞬間、岩場を貫いて銃弾が暁の左肩を貫いた。

 

「!?」

 

「銃弾が岩を貫いた!?」

 

驚く百々とは別に影裏が言う。

 

「徹甲弾。こいつは装甲に穴を開けるためにあんもんだ。岩なんて容易く貫けるさ。」

 

「ぐっ・・・。」

 

肩から流れる流血を右手で抑えながら暁は岩場から身を乗り出して影裏を見る。そんな彼に影裏が銃口を向けて言う。

 

「どうした?ガイアの守護者。お前の力はその程度か。」

 

「・・・我は光の速さを伝える者。」

 

そう暁がボソッと呟いた瞬間、彼の姿が一瞬にして消えたかと思うと影裏の背後に移動していた。

 

「ナニッ!?」

 

慌てて銃口を向けようとするが暁はそれを阻止するかのように右手で彼のハンドガンを持つ左手を殴った。

 

「ぐあっ!」

 

殴られた勢いで影裏はハンドガンを落としてしまう。その間に暁は再び口を開いた。

 

「我はラッシュをする者。」

 

そう言うと暁は右手に握り拳を作り、それを影裏の顔にぶつける。

 

「ぶっ!?」

 

殴られた勢いでよろける影裏に容赦なく暁は目に止まらぬ速さでパンチを影裏にぶつける。

 

「す、すごい。モンストのヒカリの力とジョ◯ョの承◯郎の力を使って影裏を押してる!」

 

驚く楓とは別に暁は殴りながら影裏に言う。

 

「どうやらあなたは魔力に対しては耐性はあるようですが肉弾戦には慣れていないようですねッ!」

 

そう言うと彼は強烈な一撃を彼にぶつける。殴られた勢いで彼は数十メートルほど吹っ飛んで地面に倒れる。その瞬間、暁はハァハァと息を切らし始めた。それを見た九十九が口を開いた。

 

「暁の奴、かなり無茶しているな。ルーの力にヒカリの力、そして承◯郎の力を一気に使ったせいでかなり体に負担がかかってる。」

 

「・・・。」

 

九十九の言葉に霊夢達は無言で反応する。と、倒れていた影裏がゆっくりと起き上がり、口を開いた。

 

「やるじゃねぇかガイアの守護者!まさかこんな能力だとはな!」

 

そう言う彼の体は殴られた衝撃で体のあちこちから血が流れ、右足は引きずっている状態だった。そんな彼に暁は目を細めて言う。

 

「・・・まだ立っていられるんですか?私は限界に近いのですが。」

 

「俺だってしんどいさ・・・。お前に殴られまくったせいで・・・オデノカダダハボドボドダ!!」

 

「・・・なんて?」

 

影裏の後の台詞がよくわからずに首を傾げる魔理沙。そんな彼女とは別に暁が口を開いた。

 

「オンドゥル語・・・懐かしいものを持ってきますね。」

 

「フン、言ってみたかっただけさ。」

 

そう言うと彼は落ちたハンドガンを左手に取り、右手に幻魔刀を持った。彼に対抗して暁もブリューダクを手に取る。そして二人は同時に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が聞こえた瞬間、二人の間に悠岐と百々が入り込み、悠岐が暁の槍を抑え、百々は影裏の額にパンチを叩き込んだ。その瞬間、影裏は勢いよく吹っ飛んで倒れた。

 

「悠岐さん!?」

 

「よく頑張った暁。琥珀の治療を受けに行きな。」

 

そう言った瞬間、琥珀、霊夢、魔理沙、九十九が暁の元へ寄り添った。そんな中、ユニに肩を貸しながら寄る楓が悠岐に言う。

 

「悠岐、アイツはどうするんだ?」

 

「ん?あぁ、影裏か。まぁ任せろ。」

 

そう言うと彼は倒れる影裏の元へ歩み寄る。悠岐の存在に気づいた影裏はゆっくりと顔を起こし、口を開いた。

 

「ぐっ・・・殺せよ。」

 

「・・・。」

 

「何もやってねぇお前にやられるのは少しくるものがあるが、俺は罪を犯した。やるなら煮るなり焼くなり好きにしやがれ・・・。」

 

覚悟を決めて言葉を発する影裏に悠岐は黙って見る。と、悠岐は唐突に影裏の頭を両手で掴むとその頭にゴスン!と頭突きをした。

 

「なっ!?」

 

「悠岐君!?」

 

「いってぇぇぇぇぇ!!!」

 

驚くユニ達と頭を抱えてうずくまる影裏。そんな中、悠岐は影裏の胸倉を掴んで自分の元に寄せて言う。

 

「オイテメェ、年下のくせに生意気なんだよ。それにアラヤの守護者?とか言ってたな。なんなら目的は俺達と同じなんじゃないのか?」

 

「なんのことだ?」

 

「エリュシオン討伐。それがお前のところのクソ上司に出された仕事じゃないのか?」

 

「!!?」

 

悠岐の言葉を聞いた瞬間、ユニ達は驚きの声を上げた。そんな彼女達とは別に影裏が悠岐に言う。

 

「・・・なんでお前が知ってんだ。お前には関係ないだろ。」

 

「いいや、関係あるね。お前のところの上司は俺のところの義父が知り合いなんでな、色々教えてもらってる。だから今回のことも多分同じことなんじゃないかと思ったのさ。どうなんだ?影裏。」

 

「・・・認めたくはないがその通りだ。俺はあのクソ上司にエリュシオンを倒すように命じられた。そうしたら偶然お前らに会ったんだ。」

 

「フン、なら話が早い。」

 

そう言うと彼は琥珀の方を見て言う。

 

「すまない琥珀、こいつの傷も治してやってくれ。」

 

「悠岐さん!?」

 

「正気か悠岐!コイツはユニと暁をあんなに傷つけたんだぞ!?そんな奴の傷を治したらまたいつコイツがユニと暁を狙ってもおかしくないだろ!!」

 

彼の言葉に驚く暁と考え直させようとする百々。そんな中、悠岐はゆっくりと口を開いた。

 

「大丈夫だ。さっきの暁との戦いを見ててコイツが肉弾戦に弱いのは分かった。なんならそこを攻めればコイツが俺達に襲いかかる心配はない。そうだろ?影裏。」

 

彼の言葉を聞いて影裏は黙ってコクリと頷いた。それを見た九十九が口を開く。

 

「そんならコイツの管理は悠岐や百々に任せたほうが良さそうだな。」

 

「そう言う訳だ。エリュシオンを倒すためだ、俺達に協力してくれないか?影裏。」

 

「・・・いいだろう、乗ってやる。お前は西田悠岐とか言ったな?アイツの知り合いか。」

 

「どちらかと言えば俺はアイツの義弟だ。」

 

「アイツ?」

 

悠岐と影裏が話す『アイツ』という言葉に耳を傾ける魔理沙。そんな彼女に悠岐が言う。

 

「きっといつか会うさ。さ、行くぞ。」

 

そう言うと彼は鋼鉄城へ目を向ける。彼に続いてユニ達もゆっくりと鋼鉄城へ顔を向けた。すぐそこにいるであろう、敵の本拠地へ。




暁と影裏の戦いを止め、影裏を仲間にした悠岐。敵はもうすぐ近くだ!
次作もお楽しみに!

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