影裏は銃を腰にしまうと両手を前に出し、力を込め始めた。その瞬間、一本の槍が彼の手元に現れた。そしてそれを手に取り、口を開いた。
「コイツはロンギヌスの槍、お前との戦いならコイツが丁度いいかもな!」
そう言うと彼は槍を持ってユニの方へ向かい始めた。
「ッ、アームストライク!!」
そう言いながらユニはスペルカードを発動して影裏の方へ向かう。向かう途中に空から一本の刀が落ちてきてユニはそれを手に取った。そして2人は槍と刀をぶつけ合う。
「ッ、さっきより力が強い!!」
影裏の攻撃に押され、後退しつつ撃ち合うユニ。と、二人の戦いを見ていた暁が悠岐の隣に立ち、言う。
「悠岐さん、お願いがあるのですが・・・。」
「どうした?暁。」
「今の状況を見ているとユニさんが不利のように感じます。彼女が危なくなったら私にあいつを任せていただけませんか?」
「・・・どうして俺に聞いた?」
「あなたがこのメンバーの中で最も責任感があると感じたからです。」
「俺が責任感ある?マジかよ。だがここにはこのメンバーを指揮する者はいない。ユニが危険な目に遭ったら、アイツの相手はお前に任せるぞ、暁。」
「そうだな。しかも相手はアラヤの守護者でお前はガイアの守護者。いい戦いにはなりそうだぞ。」
悠岐に続いて楓も口を開く。彼女が言った瞬間、暁は笑みを浮かべて言う。
「ありがとうございます、悠岐さん。」
そう言うと暁はユニと影裏の戦いを見る。ユニは影裏の槍の撃ちに押されてしまい、吹っ飛ぶ。そんな彼女に影裏が言う。
「どうした?そんなもんで俺に勝てると思うな!」
「くっ・・・。」
と、魔理沙が口を開いた。
「なんだアイツ。急に力が強くなったんだ?」
「分からないわよ。あんな奴初めてなんだから。」
霊夢と魔理沙が話している中、琥珀が言う。
「うーん、何か感じるんだよね。彼の戦法。」
「何か感じるって、何?」
「なんかね、誰かに似てるような感じがするって言えばいいかな?彼の戦法を見るとそう感じるのさ。」
「誰と同じなのよ・・・。」
「君に言っても分からないだろうね、霊夢。なんせ、幻想郷の人物じゃないからね。」
「そう・・・。」
二人が話している中、ユニと影裏の戦いはエスカレートしていく。
「どうした、アイアルト・ユニ!お前の実力はこんなもんか!」
「別に、私はあなたを倒すつもりで戦ってるわけじゃないわ。」
「・・・んだと?」
「私は・・・いいや、私達は本来エリュシオンを倒すためにこの裏の世界へ来たのよ?あなたと戦うために来たんじゃない。あなただってそうでしょ?本当は私と戦うためにここへ来たんじゃないんでしょ?」
「・・・。」
「だから影裏君、こんな戦いはやめましょう。私達は今戦うべきじゃないわ・・・。」
「・・・あぁ、そうだな。」
「分かってくれるなら最初から・・・。」
「と言うとでも思ってんのか?」
「え?」
その声が聞こえた瞬間、影裏はユニに向かって強烈な蹴りをくらわせた。無防備な状態で食らったユニはそのまま吹っ飛ぶ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
地面に蹲りながら吐血するユニに影裏が近づきながら言う。
「さっきまで戦っておいて今更辞めるダァ?舐めたこと言ってんじゃねぇ!!俺はお前が気にくわねぇんだよ、アイアルト・ユニ!だからお前をぶっ飛ばすためにお前らの進路を予測して裏世界まで来たんだよ!」
「テメェ、卑怯だぞ!!」
ユニに向かって言う影裏に魔理沙が口を開いた。と、悠岐が暁の元へ行き、彼の肩を軽く叩いて言った。
「頼んだぞ、今はお前が頼りだ。」
「えぇ、分かっています。」
と、影裏が拳銃をユニに向けて言葉を発した。
「死ね、アイアルト・ユニ!!」
そう言った時だった。突如影裏の足元に紫色の槍が刺さった。それを見た彼は咄嗟に後退する。そして槍が飛んできた方向を見る。
「『我はブリューナクを操る者』」
そこには右手を前に出して影裏を睨む暁がいた。そんな中、九十九が倒れるユニを抱えて霊夢たちの元へ戻る。
「よくやったユニ、今はゆっくり休め。」
そう言うと九十九はユニを地面にそっと寝かせた。と、暁が影裏を見て言う。
「あなたはアラヤから寵愛を受けているようですね。でも、それは見過ごせないな。君の力は、世界を滅ぼしそうだ。悪いけれどガイアの守護者の名において君を殺す。」
そう言うと彼は右手に再び槍を構えた。それを聞いた影裏は目を細めて言う。
「そうか、お前ガイアのところの奴なのか。生憎だが俺はあのクソ上司から寵愛を受けてなんかいねぇよ、こき使われてるだけだ。それにお前、俺を殺すと言ったな?いいだろう、やってやろうじゃねぇか。ガイアの守護者とアラヤの守護者、どっちのほうが強いのかをな!!」
そう言うと彼は拳銃を構え、暁に向けた。
対立する二人の守護者。その戦いの結末は!?
次作もお楽しみに!