東方混沌記   作:ヤマタケる

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幻獣達の相手をメルト・グランチ達に任せ、ユニ達はエリュシオンのいる鋼鉄城を目指す。


第149話 エリュシオンvsルシファー①

「ククククク、予想通りねぇ。」

 

場所は変わって鋼鉄城。そこでは巨大なモニターでユニ達の様子を観察するエリュシオンとテルヒがいた。

 

「確かにエリュの言う通り、幻想郷の守護者に博麗の巫女、白黒の魔法使いに二人の悪魔、百々に九十九、知識の妖精に博麗の巫女の弟。皆全ての世界に選ばれた者達だ。しかし本当に来るとは・・・。」

 

「だから言ったでしょう?あの子達は絶対に来るって。」

 

そう言った時だった。突如辺りにキィキィという音が響いた。その瞬間、エリュシオンは少し目を細めて服の中に入ってるものを取り出す。彼女が中から取り出したのは緑色のスライムだった。キィキィと鳴くスライムをエリュシオンは耳元まで運んだ。その瞬間、スライムが彼女の耳元で姿を変え、小さなモニター付きの通信機に変化した。それを見たテルヒが口を開く。

 

「何かあったか?」

 

「東からこの城へ向かってくるやつが一人、西からこの城へやって来る奴が一人来てる。」

 

「・・・敵か?」

 

「多分ね。でも東から来る奴は百々達と合流するわよ?この子はどうするつもりなのかしらね?」

 

と、エリュシオンが機械をカタカタといじり始めた。その瞬間、二人が見ていた巨大なモニターに緑色の画面が写しだされ、そこに赤い点が二ヶ所映し出されている。

 

「・・・西側の方は鋼鉄城(ここ)に近いな。誰だかは分かっているのか?」

 

「当たり前でしょう?テルヒ。私が分からないわけないじゃない。」

 

「そうだな。では誰が来るんだ?」

 

「百々達と合流するのは理の破壊者でここに近いのはあの堕天使。何故来たのかは知らないけれど、相手しないといけないわね。」

 

そう言うとエリュシオンはテルヒに寄り、優しくその体を抱き締めた。そして言う。

 

「テルヒ、言いたいことは分かっているわね?」

 

「あぁ、勿論だ。私に任せてくれ。エリュは奴を任せたぞ。決して油断してはならんぞ。私が言うことではないが・・・。」

 

「ありがとう、テルヒ。アンタは心優しいわね。そんなアンタが好きよ。」

 

そう言うと彼女はテルヒから離れ、共に部屋を出た。そして二手に別れ、テルヒの方を向き、

 

「また会いましょう、テルヒ。」

 

そう言った。

 

「あぁ、また会おう。」

 

そのまま二人は背を向けて別れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面はエリュシオン。彼女は一人城の広いベランダに出て空を見上げていた。

 

「ごきげんよう、ルシファー。」

 

そう言う彼女の目線には背中に紫色の翼を生やした女性、ルシファーが空を飛んでエリュシオンを睨んでいた。そんな彼女にエリュシオンはクスクスと笑いながら口を開いた。

 

「おー、怖い怖い。そんな顔しないで欲しいわね。」

 

「エリュシオン、貴様は私の手で葬る。異論は認めない。」

 

「私を葬る?アハハ、面白いことを言うわね。表の連中達には禁忌の存在として恐れられた私を葬るって。悪魔が神に逆らえるとでも?」

 

「確かに、前の私ではお前には勝てない。だが、神に近づいた今の私にはこれがある。」

 

そう言うとルシファーは右手に足の生えた紫色の杯のようなものを持ち始めた。その瞬間、彼女の体が宙に浮かんだかと思うと紫色の光が彼女を覆った。それを見たエリュシオンは目を細め、

 

「獣神化、か・・・。」

 

そう呟いた。その瞬間、ルシファーの周りが紫色に光り出したかと思うと服装が変わり、赤、青、緑、黄色、紫色の玉座に腰を下ろし、服装の変わったルシファーが姿を現した。

 

「それがアンタの獣神化ねぇ。他の天使達の力も使えるのかしら?それは。」

 

「フン、さぁな。試してみればわかる。」

 

そう言うと彼女は辺りに無数の紫色の光を漂わせ始めた。そしてそれをエリュシオンに向かって一斉に放った。彼女の放った光はエリュシオンの前で爆発を起こす。

 

「・・・やはりその程度では倒れないか。」

 

ルシファーの放った光によって沸いた煙の中には左手を前に差し出し、紫色の結界を作って攻撃を防いでいたエリュシオンだった。

 

「この程度で倒せるなら誰だって苦労しないわよ、ルシファー。」

 

そう言うと彼女は服の中からスライムを取り出した。その瞬間、スライムが一瞬にして拳銃へと変化した。そしてその銃口をルシファーに向ける。

 

「フン、たかがその程度の銃弾で私に勝てると?」

 

「やってみる?」

 

そう言った瞬間、エリュシオンはなんの突拍子もなく銃弾を発砲した。それを見たルシファーは急いでバリアを張る。ギリギリバリアを貼れたものの、彼女の貼ったバリアは銃弾によってヒビが入っていた。

 

「ヒビ!?そんなバカな!!」

 

拳銃(これ)ね、結構強力な銃弾で高層ビルとかにあるコンクリートも貫くことが出来るのよ。アンタのようなそのバリアではギリギリだったか。でも、二発目はないわよ?」

 

そう言うと彼女は再び銃口をルシファーに向ける。

 

「くっ!」

 

それを見た彼女は勢いよく飛び上がる。

 

「へぇ。」

 

彼女に続いてエリュシオンも飛び上がった。そしてルシファー目掛けて何発も発砲する。彼女はそれを避けつつエリュシオンの様子を伺う。と、エリュシオンが発砲しながら口を開いた。

 

「どうしました〜、獣神化したルシファーちゃーん。避けてばかりでは私は倒せないわよ〜。」

 

完全に煽っている。そう感じたルシファーはチッと舌打ちをして体勢を整える。それを見たエリュシオンはきょとんとして発砲を辞める。

 

「貴様、そこまで煽るとは余程の余裕があるようだな。」

 

「勿論、アリアリだとも。私は誰にも負けたりはしないからね。この能力と新たな兵器がある限りね。」

 

「新たな兵器だと?」

 

ルシファーが言った瞬間、エリュシオンの持っていた拳銃がスライム状になったかと思うと一瞬にしてベルトのようなものに変身した。

 

「・・・ベルト?」

 

「そう!しかもこれはただのベルトじゃないのよ。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの周りに突如9枚のカードが漂い始めた。カードにはそれぞれ人の顔や仮面を被った者、人でないものや悪魔の絵が描かれている。

 

「このベルトやカードはある世界に存在した、『世界の破壊者』って呼ばれていた奴のデータを分析して作ったものなの。そう、このカードに描かれた奴に変身してその力を臨機応変に使い、あらゆる奴に対応できる優れものなのよ。けれどこれはまだ制作途中、完成するにはまだまだ時間がかかる。けれどいずれ多くの奴の力がこのベルトに記憶されるでしょうね。」

 

「変身だと?そんなので世界を支配できるとでも?」

 

「私がやりたいのはあくまで世界の支配ではなく破壊。私を追放したあの表の世界を私はまだ憎んでいるのだから。支配なんてそんな古臭いことなんかしないわよ。」

 

「フン、まぁ支配しようが支配しなかろうが私にとって貴様は目障りな存在だ。今すぐにでも消え失せてもらいたいところだ。」

 

「そんなこも言わないで欲しいわね。どうせ世界は私の手によって壊れるんだし。あの世界もね。」

 

「・・・爆絶級の高校生の世界か。」

 

「ピンポーン、大正解!」

 

「それはともかく、エリュシオン、貴様はいつまで喋っているつもりだ?」

 

そう言うルシファーはエリュシオンの背後に移動していた。

 

「ゲッ、いつの間に移動してたの?」

 

「目を閉じて話してたから密かに移動してみた。案外気がつかないものなんだな。」

 

そう言うとルシファーは至近距離でエリュシオンに紫色のレーザーを放った。

 

「ッ!!」

 

レーザーをまともに受けた彼女はバク転しながら後退する。そんな彼女に御構い無しにルシファーは右手を上げ、

 

「我、堕天の王なり!!」

 

そう叫んだ。その瞬間、ルシファーの周りに紫色の異形の形をした怪物達が数多く現れた。そしてその怪物達は一斉にエリュシオンに向かって飛びかかった。その瞬間、辺りに爆風が響き渡った。ルシファーは爆風が治った場所を凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な!?ば、馬鹿な!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず声を上げてしまうルシファー。無理もない、そこにはあの怪物達の攻撃を受けたのにも関わらず平然と立っているエリュシオンの姿があったからだ。エリュシオンは肩をパンパンと叩き、

ルシファーを見て言う。

 

「はぁ、14万円して買ったお気に入りのスーツがまた汚れた。また洗い直しじゃない!どうしてくれるの?」

 

「・・・。」

 

彼女は無言だった。エリュシオンのスーツが汚れたことよりも攻撃を受けて平気でいられるほうが驚いたことだからだ。そんな彼女にエリュシオンは再び口を開く。

 

「まぁ、いいか。この程度の汚れなら後でコロコロやれば落ちるだろうし。さてルシファー、これがアンタの本気とならば私は2割の実力だけでアンタを倒して見せてあげる。」

 

「2割だと!?貴様、戦いを舐めているのか!!」

 

「別に、舐めてるつもりはないわ。けれど、アンタ程度の力の持ち主ならこれくらいでいいかなって思ったの。獣神化しても所詮この程度かって思っちゃった。さぁ、すぐに終わらせるわよ。私にはあの子との戦いが待っているんだから!!」

 

そう言う彼女の顔には今まで見たことのないほど不気味な笑みが浮かんでいた。




ルシファーの攻撃を受けて平然としているエリュシオン。ルシファーに勝ち目はあるのか!?
次作もお楽しみに!

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