東方混沌記   作:ヤマタケる

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純狐や神奈子相手に圧倒的な強さを見せつけたエリュシオンを圧倒するメルト・グランチ。


第138話 恐ろしい真実

メルト・グランチに腹を斬りつけられたエリュシオンは空いている左手で斬られた部分を抑えながら後退する。

 

「ざまぁみやがれ、クソババァ!!」

 

思わず罵声を上げる九十九。その言葉に耳を傾けることなくエリュシオンはペッと血の塊を地面に吐き、口を開く。

 

「フフフ。やるじゃない、メルト・グランチ。これがガイルゴールに認められた五大王の力。幻想郷(ここ)では勝ち目はないわね。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの背後から二つの巨大な影がメルト・グランチに向かって飛んできた。

 

「魔理沙!!」

 

「分かってるぜ!」

 

霊夢の合図と共に魔理沙は箒にまたがり、空を飛んで飛んできた影に向かってスペルカードを発動した。

 

「封魔針!」

 

「魔符ミルキーウェイ!」

 

二人の放った攻撃は飛んできた巨大な影に命中する。攻撃を食らった二つの影はエリュシオンの近くに落ちる。

 

「ナイスよ魔理沙!」

 

「霊夢もな!」

 

二人が声を掛け合う中、ドスンドスンという足音と共にエリュシオンの前に一匹の巨大な牛が現れ、ユニ達を見て唸り声を上げる。それに続いて二つの巨大な影の一匹のコウモリと鷹もユニ達に唸り声を上げる。それに怯むことなく悠岐が口を開いた。

 

「幻獣・・・。バッファローの他にも鷹やコウモリもいるとはな。」

 

「私が見た中ではゴリラもいたよ。」

 

「悠岐君もメルト・グランチ様も!?私はワニを見ました。」

 

彼の言葉に反応するメルト・グランチとユニ。そんな中、エリュシオンが口を開いた。

 

「今日のところはここで失礼させてもらうわ。」

 

「逃がさないよ。」

 

そう言った瞬間、琥珀がエリュシオンに文字を打ち込んだ。

 

「君には息子と同じことを受けてもらおうか。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの体から血が飛び散る。さらに彼女の左腕からゴキッという鈍い音が辺りに響いた。

 

「『傷』の文字と『折』の文字を打ち込んだのか。」

 

「よくわかったね、そのと・・・。」

 

「!?」

 

琥珀が九十九へ言おうとした瞬間、銃声が辺りに響いたのと同時に彼の頬に何かが通りすぎ、頬にかすり傷が出来た。それを見た九十九は目を見開く。

 

「・・・え、今腕折った筈なのに?」

 

戸惑う琥珀とは裏腹にエリュシオンは不気味な笑みを浮かべ、銃口から煙があがる銃を折られた筈の左腕で持ちながら言う。

 

「フフフ、何を戸惑うの?琥珀・イーグナーウス。私が痛み慣れしていないとでも思ってた?私は何億年も生きているのよ?痛い出来事なんて何度も経験したわ。腕を折られたくらいならまだ動かせる。」

 

「・・・たまげたね。」

 

流石の琥珀も予想外のことに驚きの声を上げる。そんな彼とは別にエリュシオンはユニ達を腕を震わせながら指を差して言う。

 

「今日の残りの時間と明日丸一日、アンタ達に猶予を与えてあげる。それまでに大切な家族や仲間に最後の挨拶をしてくるといいわ。」

 

「ククク、敵である筈の卿が随分と余裕なことを言うのだな。」

 

「フフフ、勿論だとも。私の計画は必ず成功する。私はアンタ達表の者達と決着をつけたいの。明後日、裏の世界で会いましょう。それまでに傷を癒し、仲間に最後を伝えなさい。それじゃあまたね~。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンとバッファロー、鷹、コウモリの周りに黒い渦が現れたかと思うとそのまま彼女と幻獣達は渦と共に消えていった。それを見た瞬間、ユニがメルト・グランチを見て言う。

 

「流石です、メルト・グランチ様!まさかあの私達でも歯が立たなかったエリュシオンを圧倒するなんて!」

 

「・・・。」

 

「やっぱオッサンすげぇよな。どうやったらそんなこと出来るんだよ。」

 

「いや、正直に言うと、恐ろしかったよ。」

 

「・・・え?」

 

彼の以外な言葉にきょとんとするユニと百々。そんな中、悠岐に背負われながら楓が口を開く。

 

「どういうことなんだ?オッサン。」

 

「彼女、君達から見れば私と五分五分の勝負をしていたと思うが、実際は違うよ。」

 

「実際はどうなんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女、全く本気を出していなかったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

メルト・グランチの衝撃的な言葉にユニ達は声にならない声を上げてしまう。そんな中、メルト・グランチは話を続ける。

 

「私は彼女と剣を交えた時に実感したよ。私相手に本気を出していない。恐らくだが彼女の言った純狐とやらとの戦いも本気を出していない。何故本気を出さないのか不明だが、恐らく彼女にはガイルゴールをも越える特殊な何かを隠し持っている。」

 

「特殊な何か?」

 

「仮に彼女がガイルゴールと同じ遺伝子を持っているとするならば・・・。完全体、と言っておこうか。」

 

「完・・・。」

 

「全体?」

 

百々の言葉に続けて言う暁。そんな二人とは別にメルト・グランチは再び言う。

 

「まだ確信した訳ではない。だが、なんとなく予測出来るのだよ。完全に彼女がガイルゴールも同じ遺伝子を持っているとも限らない。」

 

「まだ分からないってことか・・・。」

 

楓が溜め息を吐いた瞬間、プルルルという音が辺りに響いた。

 

「・・・?」

 

「何の音だ?」

 

首を傾げるユニ、霊夢、魔理沙、百々。そんな中、メルト・グランチは服の中からスマートフォンを取りだし、スライドして耳に当てる。

 

「私だ。優理花かね?・・・そうか、分かった。全く、無責任な帝だな。では現世で会おう。」

 

そう言った瞬間、ツーツーと音が響いた。その瞬間、彼はスマホを服の中にしまい、言う。

 

「帝からだ。皆現世の私の城、帝王城に来てほしいようだ。話はそこでするらしい。私は先に行かせてもらう。後程会おう。」

 

そう言った瞬間、メルト・グランチの姿が一瞬にして消えていった。それを見た瞬間、ユニが口を開く。

 

「消えた!?」

 

「当たり前よ。メルト・グランチはこういう移動を好むんだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨォ、お前らここで何してんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然後ろから声を掛けられたため、ユニ達は背後を見る。そこにいたのは長身で腰まで伸びる赤髪に赤い目、左目には眼帯をつけていて袖の広い青い長袖に白い長ズボンをはいている男がいた。男を見た瞬間、九十九が口を開いた。

 

「篁じゃないか。こんなところで何してんだ?」

 

「多分、お前らと同じだ。現世の帝王城ってところへ向かう。紫に言われてな、小町と妹子も後程来るだろうよ。皆収集されているらしいな。」

 

「皆が収集されているの?ということはそれほど重要なことを言うのね。」

 

ユニが言うと『おう』と篁は言う。と、悠岐が口を開く。

 

「なら、尚更行くしかねぇな。」

 

そう言うとユニ達は現世へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年少女移動中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって現世の帝王城。そこではメルト・グランチと紫に収集されたユニ達と他の者達が集まっていた。他にも五大王も集まっている。と、一人の男が皆の前に立ち、言う。

 

「諸君、余の話を聞いてほしい。我々は今、エリュシオンという史上最悪の存在から表の破滅を強いられている。その為には其の方らの力が必要だ。」

 

そう言うと皆の前で話した男、セコンドは一息つくと再び言う。

 

「改めて皆に問う。表の存続のために余に命を捧げる覚悟があるものはいるか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セコンドが言った瞬間、皆の集まる中で一人手を上げて立つ一人の青年が口を開いた。彼を見た瞬間、セコンドは笑みを浮かべて言う。

 

「良く言ってくれた、黒き友よ。」

 

「だが、勘違いするんじゃねぇセコンド。」

 

「ん?」

 

「別に俺はお前のために命を捧げるつもりはない。だがよ、エリュシオンに狙われている表の世界、それを守るためならば俺はこの表の世界に命を捧げる覚悟なら、誰にも負けはしねぇ。」

 

「私もだ。」

 

悠岐に続いて楓が言い、再び口を開く。

 

「私もお前みたいなロリコンに命を捧げるつもりはないが表の全ての世界のためならば私も悠岐と同様、命を捧げることができる。」

 

二人が言った瞬間、続々と声を上げる者達が後を絶えなかった。それを見たセコンドは再び笑みを浮かべて言う。

 

「皆、やる気のようだな。皆戦う覚悟は出来ているようだ。傷のほうはグランチ率いる帝王軍の医療班が行う。」

 

「勝手に決めないでくれたまえ。」

 

「ではこれからビオラの話に入る。」

 

そう言った瞬間、セコンドの後ろから左目に眼帯をつけていて赤いリボンがついたヘッドフォンをつけ、紳士のような服に赤い縞模様のスカートを履いている女性が現れた。彼女を見た瞬間、ユニが目を見開きながら言う。

 

「女王陛下・・・!!」

 

「女王陛下?あの人がか?」

 

「気を付けな、九十九。あの方は礼儀とかに厳しいから気安く話しかけると注意されるからな。」

 

ぼそぼそ声で楓は九十九に言う。そんな中、ビオラが口を開く。

 

「みなさん、もうお気づきかもしれませんが私の左目ですがエリュシオンによって失ってしまいました。さらに彼女の能力で私自身の能力も失い、私は全くの無力な存在になってしまいました。こんな私が言うことは1つだけです。十分に気をつけてください。私は裏の世界へは行きませんのでみなさんの武運を祈るだけしか出来ませんが。」

 

「良く言ってくれた、ビオラ。ではこれから剛岐から明後日の作戦を伝える。」

 

セコンドが言った瞬間、皆の後ろに座っていた小宝剛岐が紙を見ながら言う。

 

「明後日のことだが、朝早く行動する。紫と今はここにいねぇ月の都の姉妹の姉の力を使って裏の世界へ行く。そこでは鋼鉄城と言われる、別名『奈落のラビリンス』と呼ばれる場所に行く。そこで兵力を尽くしてまでも奴を討つ。」

 

「1つ質問があるんだけど、いいかな?」

 

唐突に口を開いたのは琥珀だった。彼を見た剛岐は冷静に言う。

 

「なんだ?言ってみろ。」

 

「その鋼鉄城って城がどうしてあるって分かったんだい?」

 

「今は治療中だが紫が密かに偵察用の前鬼を裏の世界へ解き放っておいたのさ。それで把握したという感じだ。」

 

「紫がねぇ。納得、説明してくれてありがとう。」

 

「他に聞きたいことがあるやつはいるか?いねぇな。一応言っておくがエリュシオンの所には幻獣っていう暴食な化物がたくさんいるらしい。恐らくそいつらと交戦する可能性だってある。身を引き締めていけ。俺が言うことはそれだけだ。」

 

「ありがとう、剛岐。今日は集まってもらって感謝するぞ、輩よ。それではこれにて解散!!」

 

そう言った瞬間、様々な人達が幻想郷へと帰っていった。そんな中、メルト・グランチが口を開いた。

 

「諸君らは残ってくれないか?」

 

「誰のことだ?」

 

「君にモルトの妹、博麗姉弟と白黒の魔法使い、黒き刀と二人の半人半鬼と知恵の妖精だ。」

 

「え?」

 

「俺達?」

 

メルト・グランチに呼ばれたユニ達はそのまま彼に呼ばれたまま城の奥へ行った。




メルト・グランチに呼ばれたユニ達。彼は何を伝えたいのか!?
次作もお楽しみに!

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