東方混沌記   作:ヤマタケる

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英雄達やオルタナティブドラゴンを呼び寄せてアカシャゲノムを倒したピンと化身達はユニ達の元へ。


第137話 メルト・グランチvsエリュシオン

場面は変わってユニ達。アカシャゲノムから逃げてきたユニ達はある人物を探しながら走っていた。と、悠岐に抱き抱えられていた楓がある方向を指差しながら口を開く。

 

「悠岐、あそこに行ってくれ。あの辺りから強い衝撃を感じる。おそらくあそこにオッサンがいる。」

 

「了解。ユニ、霊夢、魔理沙、百々、暁、琥珀。あちらに向かうぞ。」

 

「あいよっと。」

 

悠岐の言葉でユニ達は楓が指差す場所へ向かう。その時だった。突如激しい空気の勢いがユニ達を襲った。

 

「ッ!?」

 

「きゃあ!!」

 

突然の衝撃にユニ達は少しバランスを崩してしまう。そんな中、百々がある方向を指差して言う。

 

「お、おい。あれを見ろよ!!」

 

彼の言葉を聞いてユニ達は指差す方向を見る。そこには刀と剣を打ち合うメルト・グランチとエリュシオンの姿があった。それを見た悠岐は楓をそっと降ろし、草影に隠れて言う。

 

「あの二人の戦い、すごいな。俺達が入っちゃ、すぐに吹っ飛びそうだ。」

 

「私達は影で見ていよう。」

 

「ちょ、待てよ二人とも。まさか、オッサンを見捨てるつもりなのか!?」

 

九十九の言葉に楓が答える。

 

「オッサンを見捨てたりはしない。だが、近付けないんだ。あの二人の戦いに。オッサンが命の危機に陥ったら私達もオッサンと戦う。それだけだ。」

 

「出野さんの言うとおりです、星熊さん。気持ちは分かりますが今は大人しくしていましょう。」

 

「・・・あぁ、分かった。」

 

暁の言葉を聞いて九十九は悠岐達の近くの草影に隠れた。ユニ達に気づかずにエリュシオンはメルト・グランチとの距離を置き、言う。

 

「へぇ、これが五大王の力。やっぱり私の思った通り、強いわね。あのメメが惨敗してしまったのも頷ける。」

 

「ククク、褒め言葉として受け入れよう。」

 

「アンタとなら、私の満足する戦いができるかもしれないわね。」

 

「そうかな?私はあまり満足出来ないがね。」

 

「んん?」

 

メルト・グランチの言葉に首を傾げるエリュシオン。そんな中、九十九が小声で言う。

 

「オッサンのやつ、何を企んでんだ?」

 

「不思議な感じがしますね。本来なら相手は世界を破壊する程の力を持つ存在なので怯えてしまう筈。そんな相手に笑みを浮かべているなんて・・・。五大王の持つ、誇りか何かなのでしょうか?」

 

二人が話している中、メルト・グランチがエリュシオンに挑発するかのように言う。

 

「千年殃禍のガイルゴールとの戦いに比べれば卿との戦いなど楽なものだ。」

 

「ほう、私の力はガイルゴールよりも劣っていると?そう言っているのかしら?」

 

「卿がそう思っているのならばそうなのだろう。」

 

「フフフ、面白いことを言うわねぇ、メルト・グランチ。私はあの純狐も圧倒し、セコンドをも圧倒する。そんな私がガイルゴールより劣るわけないでしょう?」

 

「純狐?さて、誰のことだったかな?」

 

(完全に煽ってるぞ、オッサンのやつ。)

 

メルト・グランチの言葉を聞いて楓は心の中で呟く。と、エリュシオンは剣を見ながら言う。

 

「よく私相手にそんな余裕を見せられるわねぇアンタ。それなりの作戦があるというのかしら?」

 

「見てみれば分かるのではないかね?」

 

そう言った瞬間、メルト・グランチは背に回していた左手を前に出し、指を鳴らす構えをする。

 

(あの爆発をまたやるのかオッサンは!!俺達も巻き込まれそうで不安しかねぇな。)

 

心の中で語る百々とは別にエリュシオンはただ笑みを浮かべてメルト・グランチを見る。そして口を開く。

 

「さぁて、一体私との打ち合いでどれくらいの火薬を撒いたのかしっ!?」

 

続きを言おうとしたエリュシオンの目の前にメルト・グランチは瞬時に移動し、腹を蹴りつけた。

 

「がっ!?」

 

蹴り飛ばされた彼女はくの字を作って木に叩きつけられる。そんな彼女にメルト・グランチが言う。

 

「さて、私がいつ火薬を撒き散らしたというのだね?」

 

彼の行動を見たユニは思わず声を上げてしまう。

 

「すごい、すごいですよメルト・グランチ様!!」

 

「おいバカ!!」

 

「ん?」

 

ユニと百々の声に気づいたメルト・グランチは彼女達のいる方向へ目を向ける。そんな彼にエリュシオンが口を開いた。

 

「どこ見てるのよ。最初からいるのは分かっていたでしょう?」

 

「なっ、気づいていたのですね。」

 

彼女の言葉を聞いて暁は声を上げ、メルト・グランチの元へ行く。彼に続いてユニ達も彼の隣に移動する。と、メルト・グランチが笑みを浮かべて言う。

 

「さぁ凶神よ、何をしているのだね?攻撃する隙は大分あった筈だというのに。」

 

「フフフ、それはねぇ、様子をみていたのよ。少し様子を見なきゃ戦えないでしょ?」

 

と、悠岐があることに気づき、首を傾げる。

 

(君は気づいたみたいだね、黒き刀君。)

 

(その声は琥珀か?なんで俺の心に語りかけてるんだ?)

 

(君が気づいたように見えたからね。なんとなく声を掛けてみたんだ。)

 

(そうかい。まぁ、とりあえずアイツが俺達に攻撃しようとせずにいるのは・・・。)

 

(分かってるならいいね。言う必要はないよ。)

 

(最後まで言わせてくれよ・・・。)

 

と、メルト・グランチがエリュシオンに言う。

 

「様子を見るほど余裕ということか卿は。ククク、その余裕はどこまで持つかな?」

 

そう言った瞬間、メルト・グランチは再び指を鳴らした。

 

「ッ!!」

 

それを聞いたエリュシオンは咄嗟に身構える。それを見たメルト・グランチはクスクスと笑いながら言う。

 

「かなり敏感になっているようだな、エリュシオン。私が爆破するのかしないのかでね。だが今回はフェイクでも爆破でもないよ。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの右手の腱の部分から血が飛び散った。

 

「ッ!?」

 

声を上げた瞬間、エリュシオンは持っていた剣を落としてしまう。そんな彼女とは別にユニ達は目を見開く。そんなユニ達にメルト・グランチが口を開く。

 

「何、そう驚くことはしていないよ。彼女の腕を見てみたまえ。」

 

彼の言葉を聞いたユニ達は一斉にエリュシオンの腕を見る。彼女の腕には大きさ30cmほどの巨大なクモが彼女の腱の部分に噛みついていた。それを見た霊夢が口を開く。

 

「あれは、帝王蜘蛛(エンペラースパイダー)!?」

 

「い、いつの間に!?」

 

驚く霊夢と魔理沙。そんな中、エリュシオンは空いている左手で帝王蜘蛛を掴み、ユニ達の方へ投げつけた。それを見たメルト・グランチは彼女の目の前に再び移動し、口を開く。

 

「周りをよく注意すべきだったな、凶神よ。」

 

そう言うと彼はエリュシオンの腹を斬りつけた。それを見た瞬間、ユニは笑みを浮かべて言う。

 

「さ、流石です。メルト・グランチ様!!」




エリュシオンをフェイクなどを使って圧倒するメルト・グランチ。
次作もお楽しみに!

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