東方混沌記   作:ヤマタケる

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ザントの不可解な攻撃により、ピンチに追い込まれる霊夢と魔理沙。


第13話 ドールクの最後

「この辺りを見て回ったほうがよさそうだな・・・」

 

迷いの竹林で一人、ガノンドロフやクリーフルの驚異を見回る少女、上白沢慧音がいた。彼女はギラヒムと初めて会った時のことを思いだし、周辺を散策していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慧音さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然声が聞こえたため、彼女は後ろを振り返る。そこには白髪に二本の刀を持っている少女、魂魄妖夢がいた。それを見た慧音は妖夢に言う。

 

「妖夢、そっちにギラヒムや現実世界から来た奴らはいたか?」

 

「いえ、今のところは見かけていません。」

 

「それならいいんだが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフフフ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如男の笑い声が前から聞こえたため、二人は前を向く。そこにはあの時会った男、ギラヒムがいた。二人は咄嗟に戦闘体制に入る。そんな二人とは別にギラヒムは慧音に言う。

 

「やぁ、白沢さん。また会ったね。どうもこんなところでまた会うとはきっと私達は運命の赤い糸で結ばれているんだね。」

 

「何だと!?」

 

「まあそれはともかく、君達はどうせ私を倒しに来たんだろう?」

 

「その通りです!幻想郷を絶対に支配させません!」

 

「フフフフフ、怖いね、君は。でもそんな女の子も嫌いじゃない。たっぷり味合わせてあげる。」

 

そう言うと彼は右手を赤く光らせた。そして笑みを浮かべながら二人に言う。

 

「さあ、かかってきなよ。」

 

彼の言葉通り、妖夢と慧音は彼に向かってスペルカードを発動した。

 

「未来高天原!」

 

「人符現世斬!」

 

そんな慧音の姿は人間から緑の髪に二本の角が生えている白沢へと変化していた。そのまま二人の攻撃はギラヒムの元へ向かっていく。

 

「何っ!?」

 

「そんな・・・」

 

次の瞬間、二人は思わず目を大きく見開いてしまった。何故ならギラヒムは右手で妖夢の攻撃を受け止め、左手で慧音の攻撃を止めていたからである。

 

「君達の構えを見ていればこんなの簡単に受け止められるよ。」

 

そう言うと彼は二人を両方向に蹴り飛ばした。そのまま二人は木に叩きつけられる。そんな中、ギラヒムは上唇を舐めると指を鳴らした。その瞬間、彼の右手に魔族の剣が現れた。そして彼は二人に言う。

 

「もっと私を楽しませてね。君達には少しだけど期待してるから。」

 

そう言うと彼は声を上げながら二人に向かって走ってきた。それを見た二人は咄嗟に後退する。それを気にせず彼は走るのをやめない。そしてギラヒムは慧音と妖夢の前まで来た瞬間、二人の腹部を切りつけた。

 

「くっ・・・」

 

妖夢は刀で防ぎ、慧音は後退したものの、ギラヒムの攻撃力が高かったのか、妖夢の右手は痙攣しており、使い物にならなかった。対する慧音は避けきれなかったのか、腹部に少し深い切り傷を覆った。

 

「どうした?私はまだほんの一部しか力を使ってないよ?」

 

そう言うと彼は右手が痙攣している妖夢に向かって魔族の剣から黄色のクリスタル型の攻撃を放った。

 

「ぐふっ!?」

 

妖夢は左手を使って刀で防ごうとしたがギラヒムの放った攻撃の方が速かったため、腹部に彼の攻撃をくらい、そのまま吐血した。そんな彼女とは別にギラヒムは妖夢の目の前まで来ると彼女の顔に肘打ちした。

 

「ぐはぁっ!」

 

妖夢はそのまま吹き飛び、木に衝突し、そのまま気を失ってしまった。

 

「妖夢!」

 

思わず彼女の名前を叫ぶ慧音。そんな彼女とは別にギラヒムは彼女の目の前まで来ると彼女を笑みを浮かべながら見つめた。

 

「ひっ!」

 

それに怯んでしまった慧音は逃げようとするが、ギラヒムがそれを許すはずなかった。彼は空いている左手で慧音の顎を掴み、無理矢理立ち上がらせた。そしてまだ自分に怯えている慧音の耳元に顔を寄せて言う。

 

「君のその怖がる顔、実に愛しいよ。是非ともマスターの養分にしたい気分だ。それでは、ごきげんよう。」

 

そう言うと彼は魔族の剣を慧音の腹部に突きつけた。そんな中、慧音は彼にまだ怯えていてどうすることも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然現れた黒い影が左手でギラヒムの顔を掴み、そのまま投げ飛ばした。突然の奇襲にギラヒムは思わず慧音を放してしまい、そのまま吹き飛び、砂埃をあげながら木に衝突する。そんな中、驚きを隠せない慧音に黒い影が寄り添い、言う。

 

「大丈夫だったか?慧音。」

 

そこにいたのはサラサラな髪に黒いコートに黒いジーパンを履いている青年がいた。そんな中、慧音が青年を見ながら彼の名前を言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠岐!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、少しは楽しませてもらうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地霊殿付近では銃王ドールクが支配のために来ていた。そさて彼は地霊殿の中へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何者だお前は!!」

 

「この地霊殿に何の用かしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上から声が聞こえたため、ドールクは上を向く。そこには猫の火焔猫燐と烏の霊路鳥空がいた。そんな二人を見たドールクは笑みを浮かべながら言った。

 

「古明地さとりに用がある。悪いがテメェらに用はねぇんだ。」

 

「あなたの目的はさとり様を倒すことなのでしょう?だったら私達は何としてでもあなたを止める!」

 

そう言うと燐は空を見ながら戦闘体制に入った。空も燐を見ながら戦闘体制に入る。それを見たドールクは拳銃を発砲した。

 

「当たらないよっ!」

 

燐はそう言うと彼の攻撃を容易く避け、スペルカードを発動した。

 

「猫符キャッツウォーク!」

 

彼女に続いて空もスペルカードを取りだし、発動する。

 

「爆符プチフレア!」

 

二人の攻撃を見たドールクは彼女らの攻撃を容易く避けた。そして二人に再び発砲した。あまりの速さに二人は避けきれず、腹部に彼の攻撃を食らった。

 

「かはっ・・・」

 

「くそっ・・・」

 

そのまま二人は吐血しながら地面に倒れていく。そんな彼女らとは別にドールクは刀を構えながら二人に近づく。そして言った。

 

「相手にならねぇな、もっと楽しませてくれや。」

 

そう言うと彼はそのまま刀を降り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが彼の攻撃はギリギリのところで止まっていた。何故ならドールクと燐、空の目の前に突如として桃色の髪の少女、古明地さとりがいたからである。彼女はドールクの前に右手を出し、何かを思い出させていた。

 

「やめろ・・・もうやめろ!古明地さとり!!」

 

突如としてドールクの頭の中にある光景が浮かんだ。それは彼が一番思い出したくない、所謂トラウマである。燃え盛る町に一人自分の前に現れるあの不気味な男。

 

「ああああああ!やめろやめろ!」

 

しかし彼が何を言おうともさとりはトラウマを思い出させるのをやめなかった。遂にドールクは拳銃と刀を地面に落とし、頭を抱え始めた。それを見た燐、空は驚きを隠せなかった。トラウマを思い出させると今のドールクのようになってしまうのだと二人は自覚した。そんな中、さとりが言う。

 

「お燐、殺りなさい。」

 

「あっ、はい。」

 

さとりに言われたため、燐はすかさずスペルカードを取りだし、ドールクに向かって発動した。

 

「死符ゴーストタウン!」

 

その瞬間、ドールクは燐がスペルカードを発動したのに気づいた。だがその時にはもう遅かった。彼女の放った攻撃が油断したドールクの急所に命中していた。

 

「ガハッ・・・」

 

ドールクは吐血し、そのまま地面に倒れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・悪いな、じ久。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は心の中で自身の部下であるじ久に謝った。聞こえていないのかもしれないが心の中でこう思った。

 

(俺はお前のために幻想郷を支配する。お前のために俺はお前を幸せにしたかった。なのに俺はお前を幸せにする

前に死んでしまう。ごめんな、じ久。俺はお前との約束を果たすことが出来ないようだ。俺はお前を元の姿にするって約束したのに、破っちまったな。本当にごめんな・・)

 

そんな彼の目からは涙が零れていた。その様子を三人は黙って見ていた。そんな中、ドールクがさとりに言う。

 

「古明地ィ、さとり・・・お前に、頼みがあるんだが、聞いてくれないか?」

 

「・・・・構いませんよ。さぁ、言って下さい。」

 

「じ久に、ごめんなって伝えておいてくれ・・・。」

 

「・・・・分かりました。お空、とどめをさしなさい。彼は死を望んでいます。」

 

「分かりました。殺ります。」

 

そう言うと彼女は右手にエネルギーを溜めた。そしてそのエネルギーをドールクに放った。そのままドールクは笑みを浮かべながら空のエネルギーの中に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の爆発音を聞いたクリーフルは眉を潜めながら言った。

 

「ドールク・・・・。」

 

そのまま彼は何処かへ歩いていった。




ドールクの撃破に成功したさとり。他の者達もこのまま倒すことが出来るのか!?
次作もお楽しみに!

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