不気味な笑みが浮かべるエリュシオンに怯むことなく逆に純狐はクスクスと笑いながら言う。
「エリュシオン、そんな不細工な顔で私を怯ませられるとでも思っているのか?ププッ。」
「んん~?今なんて言ったのかしら?純狐。」
少しイラついた表情を浮かべながらエリュシオンは言う。そんな彼女に純狐が追い討ちをかけるように言う。
「不細工って言ったのよ不細工。そんな不細工な顔で見られると笑いを堪えられないわよアーッハッハッハ!」
怒りの表情を我慢しながらエリュシオンは笑みを浮かべて言う。
「へぇ、この私を不細工って言うのね純狐。
そう言った瞬間、エリュシオンの姿が一瞬にして消えたかと思うと純狐の背後に移動していた。
「フフッ、そんなのが私に通用しないと思っていたのか?」
「!?」
「見えているのよ!!」
そう言った瞬間、純狐は振り向き様にエリュシオンに向かって針を投げた。彼女が投げた針はそのままエリュシオンの右目に命中する。
「!!?」
針が刺さった右目からは鮮血が飛び散る。
「ッ!!」
思わずエリュシオンは右目を押さえる。そして左手に銃を持ち純狐に発砲しようとする。
「殺意の百合!」
純狐がスペルカードを発動した瞬間、彼女の手から弾幕が放たれ、そのまま銃を持っているエリュシオンよ左腕に命中する。弾幕を食らった左腕はそのまま吹っ飛ぶ。
「くっ!!」
「これで終わりよ!!」
そう言った瞬間、ドスッという鈍い音と共に純狐の右腕がエリュシオンの胸を貫いていた。
「ゴフッ・・・。」
エリュシオンは思わず吐血する。そんな彼女とは別に純狐の右手にはドクンドクンと動くモノが握られていた。と、純狐が口を開く。
「これが私の力よ。思い知ったかしら?不倶戴天の敵、嬢娥を封印した報いだ。」
そう言うと彼女は手に持っていたモノを握り潰した。そして胸から腕を引き抜く。その瞬間、エリュシオンの胸から鮮血が飛び散り、そのまま彼女は倒れた。それを見た純狐は笑みを浮かべて言う。
「フ、フフッ。フフフハハハハ、アッハッハッハ!!遂に、遂にやったわ!!私はあの凶神を倒すことが出来たんだ!!アーッハッハッハ!!」
「・・・だと思うじゃない?」
「アーッハッハッハ、ハッ!?」
突如耳元から聞こえた声に純狐は笑うのを止める。
「ま、まさかっ!?」
続きを言いながら振り返ろうとした瞬間、純狐は腹に痛みを感じた。見ると彼女の腹には刀が貫いていた。
「ガハッ!!」
腹を貫かれた純狐はその場で吐血する。そんな彼女とは別に背後にいた者が彼女の顔の横から顔を出し、言う。
「惜しかったねぇ、純狐。私の心臓を潰すという方法は悪くなかった。けれどね、1つやっちゃいけないことをしたわね。」
「エリュ、シオン!?・・・何故・・・。」
「アンタねぇ、私の心臓を潰す前に腕を吹っ飛ばしたじゃない?私ねぇ、エデンの果実の効果で体のどこかしら斬り落とされるとその部分は回復するし他の傷も治っちゃうのよ♪」
「な、なん・・・だと・・・?」
「フフッ。」
クスッと笑うとエリュシオンは空いている左手で純狐の左腕を掴んだ。そして言う。
「
そう言った瞬間、辺りにゴキッという鈍い音が響いたのと同時に純狐の左腕があらぬ方向に折れ曲がった。
「ッ!?」
腕を折られた純狐は声にならない声を上げる。そんな彼女とは別にエリュシオンは純狐の背中を蹴る。そしてうつ伏せになっている彼女を仰向けにし、腹を踏みつける。
「ぐっ!?」
「アンタねぇ、少し調子のり過ぎなのよ。アンタが私より強い?そんなわけないじゃない。私は神の器を持つ者。そんな私がアンタのような神霊に負けるわけない。勿論、他の奴らもね。」
そう言うと彼女は持っていた銃を一旦スライム状に戻すとそのまま刀へと変化させた。そして口を開く。
「さぁて、散々やられたんだし、何かアンタから貰いましょうかねぇ。例えば・・・。」
その時だった。突如エリュシオンの背後に何者かが現れたかと思うといきなり彼女の首に鎖を巻きつけた。
「がっ!?」
「食らいなさい、エリュシオン!!」
彼女の背後にいたのは肩まで伸びる赤髪に『WelcomeHell』と書かれた黒いTシャツを着た女性だった。彼女を見た純狐、純狐が弱々しい声で言う。
「ヘカー、ティア・・・。」
純狐が言った時だった。突如時空が歪みだし、そのまま皆の動きが止まってしまう。そんな中、一人エリュシオンだけが口を開いた。
「停止ザ・ワールド。時は止まった。」
そう言うと彼女は首に巻きついている鎖を空いている左手で掴むと軽々と千切った。そして後ろを見て言う。
「アンタが来るとは予想できてたけれど、このタイミングで来るとはねぇ、ヘカーティア。」
そう言うと彼女は左手でヘカーティアの腹を殴った。そして再び言う。
「時は動き出す。」
そう言った瞬間、止まっていた時が動き出した。
「ぐはあっ!!」
腹を殴られたヘカーティアはそのまま純狐とは別の方向へ吹っ飛ぶ。そんな中、エリュシオンは足を純狐の腹からどけるとヘカーティアに近付きながら言う。
「残念だったわねぇ、ヘカーティア。私の首を絞める程度じゃ私は死なないのよ。」
「そ、そんな馬鹿、な・・・。」
「それに、クラウンピースの姿が見当たらないけれども一体何処にいるのかしら?」
「あたいならここにいるよ!!」
その声が聞こえた瞬間、エリュシオンの真上から金髪のロングヘアーに赤がかかった紫色の目、青地に白い星マークと赤白のストライプを服を着ている少女が現れた。
「やっぱりいたのね、クラウンピース。」
そう言ったエリュシオンは一瞬にしてクラウンの目の前に現れた。
「なっ!?」
突然現れたため、彼女は声を上げてしまう。そんな彼女とは別にエリュシオンはクラウンの足を掴み、そのまま地面に叩きつける。
「ぐはっ!!」
地面に叩きつけられた彼女はその衝撃で吐血する。そんな中、エリュシオンは笑みを浮かべて言う。
「クラウンピース、私がどんな性格しているか分かるかしら?まぁ分からないわよね。」
「な、何を言って・・・。」
弱々しい声を上げるクラウンとは別にエリュシオンは空いている左手で彼女の左腕を掴み、肘部分に銃口を向けた。
「な、なな何をする気!?」
怯えながら言うクラウンとは別にエリュシオンはにっこり笑って言う。
「私ねぇ、アンタみたいな妖精は嫌いなの。」
そう言った瞬間、辺りに銃声音が響いたかと思うとクラウンの左腕の肘から先が体から離れた。
「いっ、いぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あまりの激痛にクラウンは左腕を押さえながら地面にうずくまる。そんな彼女とは別にエリュシオンは体から離れたクラウンの肘の部分から垂れる血を舐め、言う。
「私が妖精嫌いになったのは1億年前でね、琥珀・イーグナーウスという目障りな妖精の影響を受けて嫌いになったわけ。だから恨むなら私じゃなくてあの子を恨みなさい。」
「痛い、痛いよぉ・・・。」
「痛い?でしょうね。でも、私が過去に受けた痛みよりはマシよ。」
そう言うと彼女はクラウンの腕を投げ捨てるとヘカーティアの元へ再び近付く。それに気づいたヘカーティアはゆっくりと起き上がろうとしていた。それを見てエリュシオンは言う。
「へぇ、一部の臓器を破裂させ、さらに肋骨数本折ったというのにまだ立ち上がろうとするとはね、ヘカーティア。」
「まだ、立てるわよ・・・。その程度で、この私が倒せると思ってるの?」
「人間や一部の妖怪なら容易くこの程度で倒せるんだけれどねぇ。アンタは少し体が強いようだ。なら、いいこと思い付いた♪」
そう言うと彼女はヘカーティアの体を後ろから抱き上げた。
「えっちょ!?」
抱き上げたヘカーティアは足をばたつかせながら言う。そんな彼女とは別にエリュシオンはヘカーティアの耳元で口を開く。
「ちょっと喉が渇いたから貰うわよ、アンタの血。」
そう言った瞬間、エリュシオンはヘカーティアの喉元に噛みついた。そして彼女は血を吸い始める。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!痛い痛い!!」
叫びながら必死に逃げようとするヘカーティアだがエリュシオンにがっちり抱かれ、さらに体が浮いているため、なす
「ヘカー、ティア・・・。」
弱々しく純狐が彼女の名前を呼ぶ。と、ヘカーティアが暴れるのを辞めたかと思うとエリュシオンは抱いていたヘカーティアを放した。そのまま彼女は何も言わずに地面に倒れる。エリュシオンに噛みつかれた場所からは血が垂れる。そんな中、エリュシオンが口の中に残っていた少量の血を啜ると純狐を見て言う。
「結局、私を倒せなかったわねぇ純狐。まぁいつでも挑んで来なさい。私はいつでも相手してあげるから。」
そう言った瞬間、突如何かを感じたのか、エリュシオンがある方向を見る。彼女に続いて純狐もその方向を見る。と、エリュシオンが目を見開いて言う。
「・・・・カルマ?」
そう言うと彼女は純狐を無視して先程彼女が呼んだカルマが向かっていった方へ飛んでいった。
「ま、待て・・・。エリュ、シオン・・・。」
這いながら彼女の後を追おうとするが純狐にそんな力も残っておらず、そのまま彼女は意識を失った。
後から駆けつけたヘカーティア、クラウンピースをも圧倒したエリュシオン。そして彼女はカルマの元へ。
一体何があったのか!?
次作もお楽しみに!