東方混沌記   作:ヤマタケる

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ピンチに追い込まれる紫。そんな時に純狐が現れ、エリュシオンに強烈な一撃を与える。


第127話 純狐vsエリュシオン①

木々をどけながらエリュシオンはゆっくりと歩く。そして口を開く。

 

「いたたた、まさかアンタが急に来て蹴りを入れてくるとはねぇ、純狐。」

 

「やっとお前を見つけた、エリュシオン。お前と戦いたかった。」

 

二人が話しているのを見た小悪魔がパチュリーに言う。

 

「あ、あの二人は何か関係があるのでしょうか?」

 

「分からないわ。でも、何かしらあったに違いないわね。」

 

二人が話している中、エリュシオンがやれやれのポーズをとり、言う。

 

「やれやれ、これじゃあ時間が掛かるわね。」

 

そう言うと彼女は左手に黄色の光を宿し、言う。

 

「おいでなさい、因果の理を握せし光の闘神カルマ。」

 

そう言った瞬間、彼女の隣に茶髪に赤い瞳、背丈は彼女くらいの少年が現れた。と、少年はエリュシオンを見て言う。

 

「やぁ母さん。僕を呼んだかい?」

 

「えぇ、呼んだわ。カルマ、先に星熊九十九と琥珀・イーグナーウスの処理をお願いね。私はここらにいるじゃじゃ馬を片付けるから。」

 

「分かったよ。気をつけてね、母さん。」

 

「フフッ、ありがとねカルマ。アンタこそ気をつけなさいよ。メメがやられてそんな経っていないから多分無縁塚にいる筈よ。」

 

「うん。それじゃあまた会おう。」

 

そう言うとカルマは無縁塚へと向かっていった。それを見届けたエリュシオンは純狐を見て言う。

 

「その様子だと、ヘカーティアとあの妖精は置いていったようね。そんなにも私に会いたかったの?嬉しいわねぇ。」

 

「お前に会いたかったわけじゃないわ!!」

 

「ん~?じゃあ何で?」

 

「私には嬢娥という不倶戴天の敵がいた。私はそいつに恨みを晴らそうとしたのにお前のせいでそれが果たせなくなったのよ。そんな訳で今の私にとっての不倶戴天の敵は嬢娥などではないわ。エリュシオン、お前だ!!」

 

「フフフ、この私を不倶戴天の敵と?面白いこと言うわねぇ、純狐。」

 

そう言うと彼女は左手に銃を構え始めた。そして心の中で語る。

 

(月の都であれほどダメージを与えたのに嘘みたいに回復してる。一体どんな術を・・・。いいや、今はこんなこと気にしてる暇はないか。でも、微かではあるけどまだ治っていない傷があるみたいね。そこを重点的に狙えばすぐに終わる。)

 

そう語ったエリュシオンは純狐に不気味な笑みを浮かべて言う。

 

「なんなら、私と戦ってアンタが強いって思ったら不倶戴天の敵としていいわよ!」

 

そう言うと彼女は純狐に向かって発砲した。その瞬間、エリュシオンと純狐の間で金属音が響いたかと思うと発砲した銃弾が地面に落ちた。

 

「!?」

 

それを見たエリュシオンは思わず声を上げる。そんな彼女とは別に純狐は彼女に向かっていく。

 

「チッ!」

 

舌打ちしながらもエリュシオンは純狐に発砲し続ける。距離が近くてもまた純狐とエリュシオンの間で金属音が響き、銃弾が地面に落ちる。と、エリュシオンは純狐が投げてくるモノに目を向けて心の中で語る。

 

(針?針でこの爆裂徹甲弾を弾き落としているというの!?恐ろしい女ね、純狐。月の都で戦ってたのとは違う。)

 

そう思いながらエリュシオンは発砲を続ける。純狐が疲れて果てるまで。しかし純狐は疲れる様子もなくエリュシオンに針を投げ続ける。

 

「いつまで投げるつもりなのよっ!!」

 

そう言うとエリュシオンは一瞬の隙を見て純狐の腹を蹴りつけた。

 

「ぐっ!?」

 

腹を蹴られた純狐は思わず後退する。そんな彼女とは別にエリュシオンは立て続けに彼女の頭に踵落としと食らわす。踵落としを食らった純狐は地面に叩きつけられる。

 

「フフッ、やっぱりまだ傷が癒えてないみたいね。月の都よりも隙が多いわ。」

 

そう言いながら彼女は純狐のいる場所にゆっくりと降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうお前も、随分と隙だらけじゃない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が聞こえた瞬間、砂埃の中から右手が出てきたかと思うとその右手はエリュシオンの足を掴んだ。

 

「なっ!?」

 

「余裕ぶっているとこうなる!!」

 

そう言うと純狐はエリュシオンの足を引っ張った。

 

「うわっ!」

 

そのままエリュシオンは地面に倒れる。その隙に純狐がエリュシオンに馬乗りになり、右手に握り拳を作る。

 

「ちょっ、ふざけんじゃ!?」

 

エリュシオンが起き上がりながら言おうとした瞬間、純狐が空いている左手で彼女の顔を押さえ、地面に叩きつける。

 

「これでも食らえ!!」

 

そう言うと純狐は右手の握り拳をエリュシオンに向かって放った。放った場所からは砂埃が舞う。

 

「なっ!?」

 

と、純狐は思わず声を上げてしまう。無理もない、何故ならエリュシオンが空いている左手で顔を押さえていた左手をどかし、彼女のパンチをかすり傷程度で済ませたのだ。

 

「随分と危ないわね。」

 

そう言うとエリュシオンは純狐の顎にパンチを食らわした。

 

「ぐっ!!」

 

立て続けに彼女はバク転と同時に純狐の顎を蹴る。

 

「チッ・・・。」

 

舌打ちをした純狐は口元に付いた自分の血を拭く。そんな彼女とは別にエリュシオンは自分の頭から垂れる血を見て言う。

 

「チッ、地面に叩きつけられた衝撃で出血したみたいね。起き上がるまで気づかなかったわ。」

 

「顎を狙って攻撃するなんて、顎になんか恨みでもあるの?」

 

「別に、顎に恨みがあるわけではないわ。ただ攻撃する場所がたまたま顎だっただけ。」

 

「そんなことより、どうよエリュシオン。私はお前に対抗出来るくらい強いのよ?」

 

「それじゃあ、あの時は力が出せなかっただけって言うの?」

 

「その通りだ。」

 

「はぁ、面倒ねぇ。アンタを倒す他にも星熊九十九や琥珀・イーグナーウスを処理しないといけないのにぃ。」

 

「星熊九十九?琥珀・イーグナーウス?そんなの知らないわ。お前の勝手でしょ?」

 

「フフフ、面白いこと言うのね純狐。」

 

「まぁね。取り敢えず今私はお前を倒したい。ただそれだけよ。」

 

「フフッ。頑固者ねぇ純狐。そんな人、嫌いじゃないわよ。さぁ私を楽しませて。八坂神奈子や八雲紫よりもねぇ。」

 

そんな彼女の顔には不気味な笑みが浮かんでいた。




エスカレートしていく純狐とエリュシオンの戦い。二人の戦いの勝敗はいかに!?
次作もお楽しみに!

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