と、紫は手を前に出す。その瞬間、ありとあらゆる場所からスキマが展開させると中から大量の弾幕がエリュシオンを襲う。
「へぇ、面白い。」
そう言うと彼女は飛び上がり、紫の弾幕を避け続ける。それを見た紫は歯を食い縛りながら言う。
「くっ、どうして当たらないの?あれは結構本気でいってる筈なのに・・・。」
と、エリュシオンは弾幕を避けながら言う。
「アンタ、中々考えたじゃない。これほどの数の弾幕を放ってくるなんて。完防イージスを確実に攻略した戦法ってところね。」
そう言った瞬間、エリュシオンは弾幕を刀で弾きながら言う。
「さらに左腕を負傷した私にとってこれは結構ヤバい状況。銃も使えないしスペルカードも使えない。刀で太刀打ちしろって言われてる感じね。」
(これが有効だってなんて!運がいいわ、私。これなら奴を倒せる!)
思わず心の中で言う紫。そんな彼女とは別にエリュシオンは口を開く。
「今アンタ、この調子なら私を倒せるって思ったでしょ?」
「なっ!?」
「何故分かったって?表情を見ればすぐ分かるわよそんなこと!」
そう言った瞬間、紫の目の前に一瞬にして移動したエリュシオンはそのまま彼女の顔を掴み、地面に叩きつける。
「くっ・・・。」
地面に叩きつけた紫はエリュシオンの手から逃れようと彼女の背後にスキマを展開させる。
「さぁ、この状況をどう打破するのかしらねぇ、幻想郷の賢者さん?」
「これでも食らいなさい!!」
そう言った瞬間、スキマの中から数発の弾幕がエリュシオン目掛けて飛んでくる。
「ん~?」
呑気にエリュシオンは背後を振り返る。その瞬間、彼女に弾幕が命中する。その隙に紫はエリュシオンの手から逃れる。そして口を開く。
「良かった、もし奴が気づいていたら逆に私が受けていたかもしれないわ。」
そんなこと中、沸き上がる煙の中からエリュシオンが服についたゴミを払いなが歩み寄り、言う。
「あ~あ、また14万円するスーツに汚れが付いちゃった。これ結構気に入っているのにぃ、酷いわねぇ。」
「服を汚すことより他人の命を奪うほうが酷いと思うのだけれど?」
「まぁそれは常識よ。命を奪う以上の悪質的なものはないわ。」
そう言った瞬間、紫は再びエリュシオンの背後にスキマを展開させる。それに気づかずにエリュシオンは再び口を開く。
「さぁて、あと何分でアンタを片付けようかしらねぇ。アンタならどうする?八雲紫。」
「何分も掛からないわ。何故なら、私があなたを倒すのだから。」
「へぇ、一体どうやって倒すのかしら?」
やれやれのポーズをとりながらエリュシオンが言った瞬間、紫は彼女の背後に展開させておいたスキマの中から一本の刀を彼女に放った。その瞬間、エリュシオンの左腕が吹っ飛んだ。
「ッ!?」
目を見開きながら彼女は体から離れた左腕を押さえる。そんな彼女とは別に紫が口を開く。
「だから言ったでしょう?私はあなたが神であろうと容赦しないって。これが幻想郷を守る妖怪賢者、八雲紫の力よ。思い知ったかしら?」
「ダメよ!!それでは奴には逆効果だわ!!」
「!?」
紅魔館から聞こえた声に紫は反応する。彼女に言ったのはパチュリーだった。
「ピンポーン、大正解♪」
その声が聞こえた瞬間、紫は目を見開き、後ろを振り返る。その瞬間、彼女は腹にパンチを食らった。
「がはっ!!」
腹を殴られた影響で紫はその場で吐血する。そんな中、彼女を見下ろしながらパンチをした存在が口を開く。
「アンタ知らなかったのね、エデンの果実の効果。」
「エ、エリュシオン・・・どうして・・・。」
「どうしてですって?エデンの果実の効果だからよ。エデンの果実の効果、それは切り傷、内臓の損傷などでは効果を発揮しない。その代わりに手足の切断などといった体から離れるような傷を覆った場合のみ傷が自動的に治る。これが果実の効果よ。」
「そ、そんな・・・。」
「その効果があるから私はアンタが私の後ろにスキマを展開させて刀で腕を斬り落とそうとしていたことをあえて黙っていたわ。」
「・・最初から狙っていたって訳ね。」
「その通り。アンタが私の腕を斬り落としたのは私にとって好都合だったわ。残念でした。」
そう言うと彼女は紫の腹を蹴りつけた。
「ぐはっ!!」
そのまま彼女は吹っ飛び、木に叩きつけられて地面に崩れる。と、エリュシオンが言う。
「あ、ちょっと力を抜きすぎた。本来なら博麗神社辺りまで吹っ飛ばそうと思ったのにぃ。」
そう言うと彼女はゆっくりと紫の元へと歩み寄る。紫はなんとか起き上がろうとするが力が入らなかった。そんな彼女とは別にエリュシオンが口を開く。
「八坂神奈子より残念な結果になったわね。あの子は私をギリギリまで追い詰めたって言うのに。期待はずれだわ、八雲紫。」
「くっ、それは関係ないでしょ・・・。」
「アンタとなら面白い戦いが出来ると思ったのに。」
そう言うと彼女は左手に銃を持ち、そのまま銃口を紫に向ける。と、紫が唐突に口を開く。
「エリュシオン。あなた、こんなことやっていいのかしら?」
「・・・急に言うと思えば、一体何を言い出すのかしら?」
紫の言葉をエリュシオンは目を細めて言った。そんな彼女に紫は話を続ける。
「あなたには大切な人がいるんでしょう?絶対に失いたくない存在が・・・。守りたい存在が・・・。なのにあなたは何をしているの?世界を壊そうとしてる。それは大切な存在にショックを与えるんじゃないかしら?」
「・・・。」
「敵である私が言うのはあれだけれど、あなたは今自分がやるべきことを見直したほうがいいと思うのよ。あなたにはあなたにしかない魅力があるんだから・・・。」
彼女の言葉を聞いたエリュシオンは黙ったまま銃を腰に掛けた。それを見た紫が安堵の息を吐いて言う。
「フフッ、それでいいのよ。それが一番ッ!?」
続きを言おうとした瞬間、エリュシオンの蹴りが紫の右腕を捉えた。その瞬間、ゴキッという音と共に紫は数十メートル吹っ飛ぶ。そんな彼女にエリュシオンがイラついた表情を浮かべながら言う。
「アンタなんかに、何が分かるのよッ!!自分を守れない奴が、知ったような口を聞くんじゃないわよ!!」
そう言うと彼女ははや歩きで紫に近付く。
「そ、そんな・・・。この戦法が効かないなんて。」
へこむ紫とは別にエリュシオンは再び言う。
「エデンから追放されてからずっと一人だった私の何が分かる!!たかが数千年しか生きていないアンタに私の何が分かるッ!!」
「がっ!?」
そう言った瞬間、エリュシオンは片手で紫の首を掴むと軽々と彼女の体を空中に持ち上げた。紫を持ち上げたままエリュシオンは再び口を開く。
「私の理解者なんて家族と百々だけ・・・。それ以外にはいないわ。・・・いいや、いてはいけないのよ!!私の理解者はあの子達だけで充分!!それ以外の理解者など求めない!!」
「うぐっ!?」
エリュシオンが叫んだ瞬間、彼女は紫の首を強く絞め始めた。急に絞められたため、紫は足を激しくばたつかせ、両手で彼女の手首を掴む。そんな彼女とは別にエリュシオンは空いている右手に拳を作り、言う。
「家族でも何でもないアンタが、理解者ぶったような感じで気安く話すんじゃないわ!!」
そう言った瞬間、エリュシオンは紫の腹にパンチをした。その威力は先程よりも凄まじいもので、紫の体は紅魔館まで吹っ飛び、パチュリー達の前まで飛ぶ。
「ち、ちょっと!?」
思わず声を上げるパチュリー。紫はエリュシオンの攻撃で気絶していた。そんな彼女とは別にエリュシオンは息を切らしながら言う。
「ハァ、ハァ・・・。少し喚きすぎたわね。ちゃんと冷静にならなきゃ。八雲紫を倒したのよ?落ち着きなさい自分。」
そう言うと彼女は紅魔館にゆっくりと歩み寄る。そして口を開く。
「さぁてと、止めとさせてもらうわ。」
そう言うと彼女は左手に銃を再び構える。その時だった。突如エリュシオンの隣に一人の女性が現れたかと思うとそのままエリュシオンを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた彼女はそのまま木々のところまで吹っ飛んだ。
「え?」
それを見たパチュリーと小悪魔は思わず声を上げる。そんな二人とは別に女性が口を開いた。
「ようやっと追いついたぞ、エリュシオン!!」
彼女を見た瞬間、小悪魔がきょとんとなりながら言う。
「パ、パチュリー様。あれは一体・・・。」
「本で読んだことがあるわ。あれは、月の都をも支配することが出来る力を持つと言われている、神霊純孤!」
エリュシオンに圧倒的な力を見せつけられた紫。
突如現れた純孤。その目的とはいかに!?
次作もお楽しみに!