東方混沌記   作:ヤマタケる

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メメントモリを倒したメルト・グランチ。百々達にエリュシオンのことを話そうとするニルヴァーナ。


第123話 紅魔館を襲う凶神

場所は変わって紅魔館。そこでは門番を務めている筈の美玲がいつものように居眠りをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、これが紅魔館。随分と門番が呑気なもんじゃない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

突然聞こえた女性の声に美鈴ははっと目を覚ます。彼女の前にいたのは美鈴よりも背が少し高く、腰まで伸びる後ろ髪に青い瞳、白いスーツと白いスカートを着ている女性だった。女性を見た美鈴が口を開く。

 

「あ、あの・・・どちら様ですか?」

 

「どちら様?異変の黒幕よ。」

 

「ッッッッ!?」

 

女性が言った瞬間、美鈴は突然の勢いに吹っ飛ばされ、紅魔館内のヴワル図書館の中まで吹っ飛ばされる。彼女が吹っ飛んだのを見た一人の少女、パチュリーが美鈴を見て言う。

 

「何しているのよ美鈴。咲夜にでもやられた?」

 

「いいえ、咲夜さんではありません。」

 

美鈴が言った瞬間、吹っ飛んだ勢いで空いた壁から一人の女性がやって来る。女性を見た瞬間、美鈴は再び戦闘体制に入る。女性を見た瞬間、パチュリーは目を見開きながら言う。

 

「エ、エリュシオン!!」

 

「エリュシオン?」

 

パチュリーの発した『エリュシオン』という言葉に美鈴は思わず反応する。そんな彼女達とは別にエリュシオンは笑みを浮かべて言う。

 

「ごきげんよう、パチュリー・ノーレッジ。レミリア・スカーレットは何処かしら?」

 

「・・・紅魔館の中に居るけれど、あなたには会わせないわ。」

 

「会わせない、ねぇ。まぁそれも一つの答えね。アンタ達を倒してゆっくり探すのも悪くはない。どうせこの世界は私に壊されるのだから。」

 

エリュシオンが話している中、小悪魔がパチュリーと美鈴の元へ降り、言う。

 

「パチュリー様、あれは・・・。」

 

「エリュシオンよ。奴はメルト・グランチやアヌビスなどといった相手とは比べ物にならないほど強いわ。」

 

「メルト・グランチよりも!?」

 

「だからマズイのよ。今の状況、一番マズイ。」

 

三人が話しているとエリュシオンは一人持っている銃に弾を装填していた。装填し終えた彼女は銃口を三人に向け、言う。

 

「さぁ、まずは誰が私の相手をしてくれるのかしら?」

 

「火符アグニシャイン!!」

 

エリュシオンが言った瞬間、パチュリーはスペルカードを発動し、攻撃を彼女に放っていた。彼女にパチュリーの攻撃が当たる瞬間、エリュシオンは空いている左手でパチュリーの攻撃を弾いた。弾かれた攻撃はそのまま天井に当たる。

 

「パ、パチュリー様の攻撃を弾いた!?」

 

思わず声を上げる小悪魔。そんな彼女とは別にエリュシオンは笑みを浮かべながら言う。

 

「これが魔法使いの実力?弱いわねぇ、私の想像よりも遥かにね。」

 

「くっ・・・。」

 

「メメやカルマに魔法使いには注意したほうがいいと聞いていたのだけれど、残念ね。まさかこの程度だなんてね。あの八坂神奈子なら私が満足するような力を発揮したというのに。」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、パチュリーは目を細めて言う。

 

「エリュシオン、守谷の連中に何をしたの?」

 

「守谷の連中?力の差を見せつけただけ。死んではいないから案じないといいわ。」

 

「あの八坂神奈子や洩矢諏訪子を倒してしまうなんて・・・。」

 

「後に八意永琳、西行寺幽々子などといった連中も捻り潰す。」

 

「そんなことはさせませんよ、エリュシオン。」

 

そう言ったのは美鈴だった。そんな彼女にエリュシオンは笑みを浮かべたまま言う。

 

「なら、掛かってきなさい。」

 

そう言うと彼女は挑発するように左手を前にクイクイを動かした。

 

「舐めるなぁっ!!」

 

そう言うと彼女はエリュシオンに走っていき、殴ったり蹴ったりしようと攻撃を仕掛ける。

 

「フフフ。」

 

しかしエリュシオンは美鈴の攻撃を容易くかわしていく。そんな中、美鈴は心の中で語っていた。

 

(おかしい、どうして当たらないの?これほど速いパンチやキックをしているのに・・・。)

 

その瞬間、エリュシオンは空いている左手で美鈴のパンチを受け止めた。

 

「なっ!?」

 

「まだまだね。そんな程度じゃ私には攻撃出来ないわよっ!」

 

そう言うと彼女は美鈴の腹をキックした。キックされた美鈴はパチュリーと小悪魔の元まで吹っ飛ぶ。

 

「美鈴!!」

 

「美鈴さん!!」

 

すぐさま彼女の元へ駆け寄るパチュリーと小悪魔。そんな中、エリュシオンが笑いながら言う。

 

「フフフ、今の私の蹴りでその呑気な門番は肋骨を数本折っているわ。動くのは無理かもね。」

 

そう言った時だった。突如エリュシオンの回りに数百本のナイフが浮かび、そのまま彼女の体に刺さった。

 

「ヌッ!?」

 

先程まで浮かんでいたエリュシオンの笑みが一瞬にして消え、彼女の体から血が飛び散る。

 

「大丈夫ですか?パチュリー様。」

 

その声が聞こえたのと同時にパチュリーの後ろに三編みの銀髪に青と白のメイド服、頭にカチューシャをつけている少女が立っていた。少女を見た瞬間、美鈴と小悪魔が同時に声を上げる。

 

「咲夜さん!!」

 

「二人とも大丈夫そうね。それよりあれは何なの?」

 

「咲夜、気をつけて。奴は今まで戦ってかた相手の中で一番ヤバい奴よ。」

 

「一番ヤバい奴?」

 

パチュリーの言葉に首を傾げる咲夜。そんな中、エリュシオンがゆっくりと体を起こし、言う。

 

「フフフフフフ。中々やるじゃない、紅魔館のメイド。時を止めて数百本のナイフを私に刺すとは。いい考えね。」

 

そう言いながら彼女は自分に刺さっているナイフを一本一本丁寧に抜いていた。抜いた箇所からは鮮血が垂れる。そして銃口を左腕に向け、発砲した。その瞬間、エリュシオンの左腕がパチュリー達の前に落ちる。

 

「!!?」

 

彼女の行動に思わず声を上げてしまう四人。そんな彼女達とは別にエリュシオンは口を開く。

 

「あ~痛い痛い。全身怪我した時これやるの嫌なのよねぇ。」

 

そう言った瞬間、彼女の体についた刺し傷がみるみる縮まっていき、ついには傷が治ってしまった。

 

「そんな!!」

 

驚きの声を上げるパチュリー。そんな彼女にエリュシオンが言う。

 

「私が過去にエデンの楽園で食べた禁断の果実の効果、それは切り傷、掠り傷などといった傷では何も起こらないけれど、腕の切断、耳が契られたなどといった身体の一部が離れてしまった傷を覆った場合、他の傷も一緒に治る。」

 

「なんて効果なの!?」

 

「チートね・・・。」

 

「そう、このチートのような存在こそ私、エリュシオン。星熊九十九のいた幻想郷破壊計画を目論んだ張本人よ。そして成功させた。」

 

「何てことをするの!!人の命を何だと思っているの?」

 

咲夜の言葉を聞いた瞬間、エリュシオンは不気味な笑みを浮かべて言う。

 

「よくぞ聞いてくれました紅魔館のメイド。私は人の命に興味なんてない。私が興味あるもの、それは愛しきあの子のことよ。私とあの子が一緒に過ごせる世界が出来るならば、他人の命だなんてどうでもいい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅魔館に何の用かしら?エリュシオン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が聞こえた瞬間、エリュシオン目掛けて紫色の槍が飛んで来た。

 

「ん~?」

 

それに気づいたエリュシオンは目を細めながらその槍を避ける。そこには翼を生やした二人の少女がいた。二人を見た瞬間、エリュシオンは笑みを浮かべて言う。

 

「レミリア・スカーレット、それにその妹・・・。遂に来たわね。」

 

「お姉様、あれが今回の敵?」

 

「永遠亭のあの医者によればね。」

 

そう言った瞬間、レミリアとフランはパチュリー達の元へ降りる。と、エリュシオンがクスクスと笑いながら言う。

 

「いいわねぇ、どんどん人が集まってくる。そうよ、こうでなければ戦いは面白くない!さぁ、私を楽しませなさい、吸血鬼の小娘。」

 

そう言うと彼女は銃から一部の光を取りだし、それを刀に変形させた。それを見たレミリアが目を細めて言う。

 

「みんな、気をつけなさい。相当手強いらしいから。」




エリュシオンとの交戦に入るレミリア達。彼女達とエリュシオンの戦いの結末はいかに!?
次作もお楽しみに!

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