二人が行ったのを見たユニは小屋に戻る。
「二人は行ったのね、ユニ。」
「う、うん。行ったわ。」
小屋に入って最初に話しかけてきたのは霊夢だった。彼女は布団で寝る暁の様子を見ていた。それを見たユニが霊夢に言う。
「霊夢、弟君の暁君の容態は?」
「ちょっと力を使いすぎて疲れているみたい。少しすればすぐ目を覚ますわよ。」
「そっかぁ・・・。」
「・・・どうかしたの?ユニ。」
「えぇ、楓ちゃんが心配で・・・。傷が治ったばかりで戦えるのか心配なのよ。千年殃禍の時もルシファーと戦って傷が治ってない状態でクレイジーハンドと戦ったのだから。」
「つまり君は、カエデちゃんは無理しすぎているって言いたいのかい?」
「まぁ、そうなるわね。」
琥珀からの質問にユニは少し躊躇いがあるものの、答えた。そんな彼女に魔理沙が笑みを浮かべて言う。
「楓なら大丈夫だぜ。あいつは心が折れなければ戦えるからな。」
「そうかしら・・・。」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
突然響いた悲鳴を聞いてユニ達は咄嗟にその声に反応する。と、先程まで寝ていた筈の暁が起き上がり、口を開く。
「い、今のは一体!?」
「あ、暁君!?大丈夫なの?」
「えぇ、なんとか。それよりも早く外に行きましょう。人里の人が心配です。」
「えぇ、そうね。」
そう言うとユニ達は急いで外に出る。
「ガァァァァァァァ!」
「助けてくれぇっ!」
「な、何これ・・・。」
「やはり、数体送っていたみたいだね。」
外の光景を見て一人冷静に口を開く琥珀とあまりの衝撃に言葉が出ないユニ達。彼女達が見た光景、それは次々と人里の人々を襲う巨大生物の姿だった。と、ユニが口を開く。
「何なの?あれは・・・。」
「あれは幻獣。奴が作った遺伝子によって作られた改造生物さ。」
「改造生物!?」
琥珀の言葉を聞いて思わず声を上げる魔理沙。そんな彼女とは別に輝夜が口を開く。
「改造生物ってことは元々は普通の生物だったってこと?」
「良く分かってるね輝夜。その通り、あれはもっとサイズが小さかったんだけれど奴の遺伝子によって大きくなり、さらに凶暴化したんだ。」
「それで、人里の人達を襲っているのですね。」
暁が言った時だった。突如ユニ達の目の前に体長7mほどある巨大なコウモリと身長約15mほどあるゴリラが現れた。それを見た霊夢が2体の獣を見ながら言う。
「どうやらそう容易くは通してくれないようね。」
「戦うしかないのね!!」
そう言うとユニはスペルカードを取りだした。彼女に続いて霊夢、魔理沙、輝夜、暁、琥珀も戦闘態勢に入る。
「光弾!!」
突然響く男の声と同時に2体の獣に光の玉が命中し、そのまま吹っ飛ぶ。それを見た霊夢が口を開く。
「な、何よ今の・・・。」
「悠岐君や楓ちゃんを越える力よ。一体・・・。」
「ヨォ、元気にしてたか。」
その声が聞こえたのと同時に上から一人の男が降りてくる。その男は長身でハット帽子を被っていて顔に包帯を巻いている男だった。男を見た瞬間、ユニが笑みを浮かべて言う。
「マーグルさん!!」
彼女の言葉を聞いたマーグルはユニ達を見て言う。
「久しぶりだな、ユニ。お前と話したい気持ちは山々だが後でだ。お前らは悠岐と楓の後を追え。」
「でっ、でもよ。あんた一人で大丈夫なのか?」
「俺だけじゃない。」
そう言った瞬間、他の場所でズシンという音が響いた。その音に反応したユニ達は一斉にその方向を見る。そしてユニ達は思わず口を開く。
「永琳、鈴仙、妹紅、慧音!!」
声を上げるユニ達とは別にマーグルは笑みを浮かべて再び言う。
「俺が協力を要請しておいた。それに、来るのはあいつらだけじゃない。」
そう言った瞬間、別の場所で再びズシンという音が響いた。ユニ達は音が響いた方向に目を向ける。そしてユニは再び口を開く。
「幽々子、妖夢、白蓮達!!」
彼女の言葉を聞いた白蓮達は笑みを浮かべる。と、マーグルがユニ達を見て言う。
「人里の幻獣達のことは俺達に任せな。お前らは悠岐と楓の後を追い、手助けしろ。あいつら多分無縁塚に行っている筈だ。頼んだぞ。」
「ち、ちょっと待ちなさいよ!!まさか、私は妹紅と一緒に戦わなければならないの?」
「そうだが?」
「文句があるのなら言ってみなさい輝夜。私が聞いてあげるから。」
不安を言う輝夜に永琳がおぞましい表情を浮かべて言う。それを見た輝夜は白目になり、言う。
「いいえ、ありません・・・。」
「ならいいわ♪」
そう言うと永琳は輝夜を引っ張りながら妹紅達の元へ歩いていった。
「いぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声を上げる輝夜。そんな彼女とは別にマーグルの言葉を思い出したユニが口を開く。
「私達は無縁塚へ行きます!!行くわよ、霊夢、魔理沙、暁君、琥珀君!!」
そう言うとユニはマーグルに一礼すると無縁塚の方へ走っていった。
「ちょっ、待ちなさいユニ!!」
「待ってください、アイアルトさん!!」
「やれやれ、血気盛んだね。」
「私を置いていくなぁ!!」
そう言うと霊夢、魔理沙、暁、琥珀はユニの後を追った。ユニ達の姿を見届けたマーグルは人里を見て言う。
「お前の妹は無事だぜ、モルト。安心しろ。さて、俺も仕事に戻るか!!」
そう言うと彼は幻獣達の元へ走っていった。
場所は変わって無縁塚。そこでは先程人里から離れ、そこで起こっていることを全く知らない悠岐と楓が歩いていた。と、悠岐が楓に言う
「楓、本当に大丈夫か?」
「あぁ、私は大丈夫だ。心配しなくていいさ。」
「無理するなよ、お前を啓介のような運命を辿らせたくないんだ。」
「そうか。ありがとう悠岐。」
と、二人が話している時だった。突如草影からガサッと物音がした。それを聞いた二人は咄嗟に刀に手を掛ける。
「油断すんなよ、悠岐。」
「分かってるさ。」
そして草影から二つの影が姿を現した。現れたのは頭に角を生やした男女だった。二人の内、女の方を見た楓は口を開く。
「九十九じゃないか。」
「楓。どうしてこんなところに?」
二人が話す中、悠岐ともう一人の鬼、百々の目が合った。そのまま二人は驚愕した表情を浮かべ、
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
叫び声をあげた。
「百々!?」
「ゆ、悠岐大丈夫か?」
突如叫び出す二人を見て楓と九十九は不安の表情を浮かべる。そんな二人とは別に、
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
二人は叫び声をあげる。まるでコントをやっているかのように。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
「いい加減にしろッ!」
そう言うと楓は百々の頭を、九十九は悠岐の頭を殴りつけた。頭を殴られた二人は頭を押さえる。
人里へやって来たマーグル。無縁塚で会う悠岐、楓と百々、九十九。
次作もお楽しみに!