東方混沌記   作:ヤマタケる

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霊夢の弟、暁の活躍により闘神ドゥームを倒すことに成功したユニ達。


第117話 傷ついた仲間

場所は変わって人里。そこでは一人の少年がとある人物の元へと向かっていた。

 

「ハァ、ハァ・・・。あいつは何処へ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠岐君!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然彼の名を呼ぶ声が聞こえたため、悠岐は足を止め、声がした方向を見る。そこには悠岐に手を振りながらやって来る二人の少女と息を切らしながら走っていく少女、そして少年を運ぶ二人の少女と少年がいた。彼女達を見た悠岐は口を開く。

 

「ユニ、霊夢、魔理沙、輝夜、琥珀!」

 

五人の名前を呼んだ悠岐は五人の元へ寄る。と、ユニが口を開く。

 

「無事だったんだね、良かったぁ。」

 

「お前らも無事で良かったよ。それと、霊夢と琥珀が運んでいるそいつは誰だ?」

 

そう言うと彼は霊夢と琥珀が協力して運ぶ少年を指差す。それを見た輝夜が口を開く。

 

「彼の名前は魄霊暁。私達がエリュシオンの息子、闘神ドゥームとの戦いで駆けつけてくれた霊夢の弟よ。」

 

「霊夢の弟か。なんだか、二人とも運ぶの大変そうだな。俺がやろうか?」

 

「それはありがたいわね。あんたに任せるわ。」

 

そう言うと霊夢は持っていた暁の肩をゆっくりと地面に下ろす。それと同時に霊夢も暁の足を地面に下ろす。その後に悠岐が彼を背負った。と、琥珀がある小屋を指差して言う。

 

「あの小屋で休ませよう。君の大切な人もそこにいるよ。」

 

「そうなのか!?なら急がないとな。」

 

そう言うと彼は暁を背負っているとは思えない速さで琥珀の指差した小屋に走っていった。それを見た輝夜が目を見開いて言う。

 

「な、なんて速さなの。あんな元気あるなら私を背負いなさいよね、あの男。」

 

「ところで琥珀君、あの小屋には誰がいるの?」

 

ユニの言葉を聞いた琥珀は少し遅れて返事をした。何かをしていたのだろう。

 

「あそこにはカエデちゃんがいるよ。」

 

「え・・・楓ちゃん?」

 

「あ、ちょっとユニ!?」

 

琥珀の言葉を聞いた瞬間、ユニは悠岐と同様小屋に走っていった。それを見た輝夜は声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年少年移動中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小屋に入るとそこには息が荒くなりながら唸り声を上げて寝ている一人の少女がいた。少女を見た悠岐は目を見開きながら言う。

 

「楓!!」

 

彼女の名前を呼ぶと彼は暁をそっと布団に寝かせ、楓の側まで寄る。

 

「楓ちゃん!」

 

小屋に着いたユニは悠岐と同じように楓の側まで寄る。

 

「楓、しっかりしろ。楓!!」

 

「楓ちゃん、しっかり!!」

 

ユニが言った時だった。突然楓が左手で悠岐の左手をぎゅっと握りしめた。それを見た悠岐は楓に声を掛け続ける。

 

「楓、どうしたんだ?楓!!」

 

「やめろ・・・やめろ!!」

 

何かをされそうになっているような声を上げながら楓は力強く悠岐の左手を握る。それを見たユニが口を開く。

 

「すごい力ね。そんなにトラウマになるような夢を見ているのかしら・・・。」

 

「多分そうかもしれねぇ。暴力で起こすのは危険だ。とりあえず声を掛け続けるぞ。」

 

そう言うと彼は再び声を掛け続ける。後に着いた霊夢、魔理沙、輝夜、琥珀は二人を見ると二人同様楓の側まで寄る。と、ユニが楓の耳元で叫ぶ。

 

「楓ちゃんしっかりして!!」

 

「・・・はっ!」

 

ユニの言葉を聞いて楓はようやく目を覚ました。息を荒くしながら楓は口を開く。

 

「・・・私は、一体をしていた?」

 

「魘されてたぞ。悪夢を見てたのか?」

 

「あぁ、過去のトラウマが蘇っていた。もう思い出したくもない・・・。」

 

「はぁ、良かったぁ。」

 

悠岐と楓、ユニが話している中、輝夜が口を開いた。

 

「楓、あんた随分と強く悠岐の手を握ってたじゃない。血が出てるわよ。」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間、楓は握ってた悠岐の手を見る。彼の左手は楓が強く握りすぎた影響で指があらぬ方向に折れ曲がり、血が垂れていた。それを見た楓は目を見開き、咄嗟に手を離して言う。

 

「悠岐、私は・・・。」

 

「相当おぞましい夢でも見てたんだろうな。見ての通りだ。骨は砕けてるし、出血も酷い。」

 

それを見た楓は優しく悠岐の左手を両手で握り、言う。

 

「・・・すまない、悠岐。私は気づかない内に怪我をさせてしまった。」

 

「気にすることはねぇ。包帯で固定していれば大丈夫だ。それよりも楓、怪我は大丈夫なのか?」

 

彼の言葉を聞いた楓は自分の腹に手を当て、言う。

 

「変だな。炎の闘神ニルヴァーナに蹴られた時には肋骨数本折れた痛みがあったのに今はほとんどない。」

 

「ほとんどないですって!?」

 

彼女の言葉を聞いたユニ、輝夜、魔理沙、霊夢の四人は思わず声を上げる。そんな彼女達とは別に悠岐は琥珀を見て言う。

 

「琥珀、お前は楓がニルヴァーナと戦っていた時、何処にいた?」

 

「カエデちゃんと共に戦っていたさ。けど、戦闘スタイルが合わなくて苦戦したんだ。それでカエデちゃんが負傷した時に治癒の文字を当てておいたからだいぶ治ってる筈だよ。」

 

「なるほど、お前がやってくれたのな。ありがとうな、琥珀。」

 

「いえいえ。こういう異変の時は助け合うのが普通でしょ?」

 

「・・・あぁ、そうだな。」

 

そう言うと悠岐は服の中から包帯を取りだした。そして楓に言う。

 

「お前が折ったんだ。巻くのを手伝ってくれ。」

 

「あぁ、勿論だ。」

 

そう言うと楓は悠岐から包帯を受けとると彼の手に巻き始めた。と、輝夜が口を開く。

 

「エリュシオンの刺客は相当手強いようね。」

 

「あぁ、そうだな。私達が今まで戦ってきた奴らの中でもダントツで強いぜ。」

 

「あんな奴、倒せるのかしら・・・。」

 

「僕が思うに今のままでは無理だね。彼女の能力に対応できる人がいないし、息子達も結構厄介なんだから。」

 

「よし、こんなものでいいか?悠岐。」

 

「あぁ、そうだ。ありがとうな。」

 

ユニ、輝夜、魔理沙、琥珀が話している内に楓は悠岐の左手に包帯を巻き終えていた。と、楓は自分の刀を持つと立ち上がり、悠岐と外を見る。それを見たユニが口を開く。

 

「悠岐君、楓ちゃん。どこ行くの?」

 

「闘神の気配がしてな。俺と楓はそいつを倒しに行く。」

 

「無茶よ!悠岐君は左手を怪我してるし楓ちゃんは病み上がりなのよ?」

 

「心配してくれてありがとう、ユニ。でも行かなきゃ行けないんだ。行かせてくれ。」

 

「でも・・・。」

 

ユニが続きを言おうとした瞬間、琥珀が口を開いた。

 

「じゃあこうしよう。僕達は後から君達二人の後を追う。それでいいでしょ?」

 

「琥珀君?」

 

「いい提案だな琥珀。そうしよう。」

 

そう言うと悠岐は再び外を見て言う。

 

「んじゃ、また会おうぜ。」

 

そう言った瞬間、二人は何処かへ走っていった。ユニ達はそれをただ黙って見ていた。




傷が治ったばかりだが幻想郷に残る闘神を倒すべく戦いに向かった楓。大丈夫なのだろうか・・・。
次作もお楽しみに!


追記 最近ヴァイオレット・エヴァーガーデンというアニメにはまっています。皆さんはどんなアニメが好きですか?

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