東方混沌記   作:ヤマタケる

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神奈子とエリュシオンの戦いはますますエスカレートしていく。


第113話 神奈子vsエリュシオン②

神奈子とエリュシオンの戦いはますますエスカレートしていった。二人の攻撃が打ち合う度に勢いの風が辺りの草木を揺らす。

 

「諏訪子様、神奈子様は勝てるでしょうか?」

 

「早苗、神奈子を信じなって。あいつはあのクソババァと対等に戦えるんだから。」

 

二人が話している中、エリュシオンは神奈子の腕を掴み、地面に叩きつけた。

 

「ガッ・・・。」

 

叩きつけられた影響で神奈子は吐血する。そんな彼女にエリュシオンが言う。

 

「クククククク、まさかそんな程度でくたばるアンタじゃないわよね?」

 

「勿論だとも。」

 

そう言うと彼女はエリュシオンの腕を掴み、目の前で弾幕を放った。彼女の放った攻撃はエリュシオンに命中し、砂埃を上げる。

 

「くっ、奴が私の姿が見えてない状態で体勢を整えないと・・・。」

 

神奈子が言った瞬間、彼女の背後にエリュシオンが現れたかと思うと刀を彼女に振る。

 

「チッ!」

 

舌打ちすると彼女は柱を一本出現させ、防ぐ。しかし少し防ぎきれなかったのか、腹に刀の先が掠り、鮮血が飛び散る。それに気にせず彼女はエリュシオンの顔を蹴りつける。神奈子に蹴られた彼女は体を縦に回転させながら吹っ飛び、木に衝突する。その勢いで辺りに砂埃が舞う。

 

「今のはやっただろう・・・。」

 

舞う砂埃をじっと見ながら神奈子は口を開く。そんな中、砂埃の中から声がする。

 

「あーあ、痛い痛い。まさか顔を蹴るなんて、レディらしくないわね。」

 

そう言いながらエリュシオンは首をコキコキと音を鳴らしながら歩み寄る。それを見て神奈子は心の中で語る。

 

(なんてことだい、あの一撃を受けても平気でいられるなんて。)

 

そんな中、エリュシオンは神奈子の元へ走って来る。と、何かを思いついた神奈子はエリュシオンに向かっていく。再び二人は攻撃を打ち合わせる。そんな中、早苗が諏訪子に言う。

 

「諏訪子様、今の状況はどちらが有利でしょうか?」

 

「正直なところ、神奈子が押されているわね。このままだとヤバイかも。」

 

二人が話している中、神奈子がエリュシオンの攻撃により後退する。その瞬間、神奈子の前に唐突としてエリュシオンが現れる。

 

「なっ!?」

 

「終わりよ。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの持つ刀が神奈子の腹を貫いた。

 

「ガハッ・・・。」

 

吐血した神奈子はそのままだらんとなる。そんな彼女とは別にエリュシオンが口を開く。

 

「楽しかったわ、八坂神奈子。アンタとの戦い、存分に堪能させてもらった。さぁて、これからアンタをどうしてやろッ!?」

 

続きを言おうとした瞬間、神奈子の右腕がエリュシオンの胸に突き刺さった。

 

「え・・・。」

 

「神奈子様!!」

 

「神奈子!」

 

驚きを隠せない表情をしながらエリュシオンは吐血する。そんな彼女とは別に諏訪子と早苗は笑みを浮かべて神奈子の名前を呼ぶ。

 

「私と同じ神のくせに、随分と隙だらけじゃないか。凶神さん。」

 

「ガハッ!ハハ、まさかアンタに隙を作ってしまうなんてね。」

 

吐血しながらもエリュシオンは笑みを浮かべたまま口を開く。そんな彼女とは別に神奈子が口を開く。

 

「自らもダメージを負い、相手の急所を捉える。悠岐が牛鬼を倒す際にやった戦法だよ。」

 

「フフフフ。今の攻撃は中々やるわね。褒めてあげましょう。でも残念ね、心臓を潰そうとも私は倒せないわよ。」

 

「心臓?何を言っているんだい?私が狙っているのは心臓じゃないよ。」

 

そう言う彼女の顔には笑みが浮かんでいた。それを見たエリュシオンは眉を細める。そんな彼女とは別に神奈子は再び口を開いた。

 

「私が幼い時にガイルゴールから教えてもらっていてねぇ、神には心臓に等しい場所がある。あんたなら知っているでしょ?」

 

「・・・はっ!!まさか・・・。」

 

「そう、『核』さ。神の弱点である場所は心臓付近にある、核という場所だよ。私が今掴んでいるのはその核さ。」

 

「!!」

 

「核をやられればガイルゴールやあんたでも致命傷にはなるだろうね。」

 

「ぐっ・・・。」

 

彼女の言葉を聞いたエリュシオンは逃げようとする。そんな彼女を見て神奈子は彼女の腕を掴み、言う。

 

「さ、朽ちてもらうよ。これ以上異変を起こされると困るんでね。」

 

そう言うと彼女はスペルカードを取りだし、発動する。

 

「風神様の神徳。」

 

その瞬間、エリュシオンの胸部から光が漏れだしたかと思うと一瞬にして光が消え、彼女の胸部から大量の血が飛び散った。エリュシオンの胸から腕を抜いた瞬間、エリュシオンは地面に倒れた。それを見た神奈子は腹に刺さっていた刀を抜き、地面に捨てる。その瞬間、神奈子は地面に膝をつける。

 

「くっ、刀のダメージが来たか・・・。だがこれで奴を倒せたって訳だね。悠岐、あんたの戦法を使わせて貰ったよ。」

 

そう言うと神奈子はゆっくりと立ち上がり、諏訪子と早苗の方へ歩み寄る。

 

「随分と呆気ない死に様だったわね、あのクソババァ。」

 

「ガイルゴールから核のことを教えてもらったのと悠岐の戦法がなきゃ、勝てなかったよ。」

 

「でも勝ててよかったですね、神奈子様。」

 

「そうだね。さて、残りを片付け・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ終わってないわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が聞こえた瞬間、三人は辺りを見回す。

 

「まずは一人目ェ。」

 

再び声が聞こえた瞬間、早苗の背後に一人の女性が姿を現した。

 

「早苗後ろだ!!」

 

「ッ!!?」

 

神奈子が早苗に言うも手遅れだった。既に彼女はエリュシオンに(うなじ)を叩かれ、気絶していた。

 

「早苗、大丈ッ!?」

 

神奈子が続きを言おうとした瞬間、ドスッという音が辺りに響く。腹に痛みを感じた神奈子はゆっくりと自分の腹を見る。そこには一本の刀が彼女の腹を貫いていた。それを見た神奈子はゆっくりと後ろを振り返る。

 

「この程度で死ぬくらいなら誰も苦労せずに倒せるわ。アンタなら楽しく戦えそうだと思ったのに、残念ね。」

 

そう言うと彼女は刀を抜く。その瞬間、神奈子は目を見開いたまま地面に倒れた。

 

「神奈子!早苗!」

 

二人の名前を諏訪子が呼ぶ。そんな彼女とは別にエリュシオンが口を開く。

 

「あー危なかった。もう少しでやられるところだったわ。」

 

「あんた、どうして生きていられるの!?ガイルゴールと同じ存在なら・・・。」

 

「勘違いしないでくれる?ガイルゴールは完全なる神、それに対して私は半分神の器を手にいれた人間。核による攻撃は私には効かない。」

 

「そんな・・・。」

 

と、エリュシオンは諏訪子に背を向けて言う。

 

「さて、私は他の場所へ行こうかしら。他の場所は闘神(あのこ)達がやっているから、レミリア・スカーレットのところに行こう。そして星熊九十九をこの手で殺す。じゃあね、洩矢諏訪子。」

 

そう言うと彼女は霧のように消えていった。それを見た諏訪子は倒れる神奈子と早苗を見て言う。

 

「治療しないと。急がないと九十九のいた幻想郷みたいになる!」




エリュシオンとの戦いに敗れた神奈子。エリュシオンを止めることが出来るのか!?
次作もお楽しみに!

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