東方混沌記   作:ヤマタケる

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諏訪子をエリュシオンから救った神奈子はエリュシオンとの交戦に入る。


第112話 神奈子vsエリュシオン①

「あーあ、また腕が吹っ飛んだ。」

 

そう言いながらエリュシオンは諏訪子を抱える神奈子に目を向ける。

 

「久しぶり、というべきかな?エリュシオン。」

 

「守谷神社の主というのに相応しい存在、八坂神奈子。何が久しぶりよ、再会の挨拶に私の腕を吹っ飛すのはどうかと思うのだけれど?」

 

「本来なら普通に話すつもりだが諏訪子や早苗をやられたのを見たらねぇ。」

 

そう言う神奈子とは別にエリュシオンは吹っ飛んだ自分の腕を拾う。その瞬間、吹っ飛んだ彼女の腕が塵となって空に舞っていった。

 

「・・・?」

 

「何そんなぼさっと見てるのよ。」

 

首を傾げる神奈子とは別にエリュシオンは笑みを浮かべたままだった。そんな彼女にエリュシオンが口を開く。

 

「まぁ見てなさいって。」

 

そう言うと彼女は自分の腕を見せる。その瞬間、メキメキという音を立てながらエリュシオンの腕が再生し始めた。

 

「なっ!?」

 

思わず声を上げる諏訪子と早苗。そんな二人とは別に神奈子は冷静な目でエリュシオンの再生する腕を見る。見ている内に彼女の腕はあっという間に元通りになった。と、エリュシオンは右手を開いたり閉じたりし、神奈子を見て言う。

 

「私が敗れない要因の一つはこれ。私が元々住んでいた楽園、エデンで決して口にしてはいけない果実を私は食べた。果実の効果は不老不死、そして体の再生。でも体の再生には条件があってねぇ。それは臓器の破裂、骨折では全く効果を発揮しない。その代わり、今みたいに腕が斬り落とされたり、耳を千切られた時に発揮するの。斬り落とされたらその部分は再生し、更に自分が受けた臓器へのダメージや出血した箇所も一斉に治る。」

 

「何それ・・・。」

 

「完全にチートじゃないですか・・・。」

 

エリュシオンの言葉を聞いて呆然となる諏訪子と早苗。そんな中、神奈子がエリュシオンに言う。

 

「例えそんなチート能力があろうと関係ないよ、エリュシオン。」

 

「・・・なんですって?」

 

「この世に弱点のないやつなんていないよ。無論、私もあんたもね。」

 

「ほう、つまりアンタは私の弱点を探り当て、私を倒すつもりね。」

 

「その通り。」

 

「なるほどねぇ。ならば私は弱点を探られないように対策せねばならないわね。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの肩にスライムが乗る。肩に乗ったスライムをエリュシオンは手のひらに乗せた。その瞬間、スライムが光だし、二つに分裂した。

 

「ぶ、分裂した!?」

 

驚く早苗とは別にエリュシオンは笑みを浮かべたままスライムを見る。そして光が消えたかと思うと彼女の右手には刀が、左手には拳銃が握られていた。それを見た神奈子は口を開く。

 

「・・・相当やる気みたいだね、エリュシオン。」

 

「勿論だとも。アンタに弱点を見つけられ、幻想郷中に拡散させられれば私にとっては迷惑なんでね。」

 

そう言うと彼女は銃口を神奈子へ向ける。それと同時に神奈子は数本の柱を漂わせる。それを見たエリュシオンは笑みを浮かべて言う。

 

「・・・来なさい。」

 

「それじゃあ遠慮なく。」

 

そう言った瞬間、神奈子は数本の柱を一斉にエリュシオンへ飛ばした。

 

「アハッ!」

 

笑い声を上げると彼女は持っていた銃で全ての柱を撃ち抜いた。

 

「全く、面倒な銃だね。」

 

そう言うと神奈子はエリュシオンの前に立ち、握り拳を作り、彼女の腹にパンチを食らわせる。

 

「ぐっ!?」

 

声を上げるのと同時に吐血するエリュシオン。と、彼女の顔に笑みが浮かび、エリュシオンは銃口を神奈子に向ける。

 

「しまった!!」

 

そう言った瞬間、エリュシオンは神奈子に発砲した。発砲した弾は神奈子の肩を捉える。その瞬間、神奈子は銃を持つエリュシオンの左腕を掴む。

 

「?」

 

不思議そうに声を上げる彼女とは別に神奈子はそのまま彼女の腕を引っ張り、膝で腕を蹴りつけた。その瞬間、ゴキッという鈍い音と同時にエリュシオンの左腕の関節から先があらぬ方向に折れ曲がった。

 

「ッ!?」

 

目を見開きながら声を上げるエリュシオン。神奈子の攻撃を食らった瞬間、エリュシオンは神奈子の腹を蹴りつけた。蹴られた神奈子は早苗と諏訪子の元まで地面を引きずった。

 

「中々やるわね、八坂神奈子。」

 

笑みを浮かべながら言うエリュシオンであるが彼女の左腕は神奈子の蹴りによってだらんと垂れたいた。だが銃は持ったままである。そんな彼女に神奈子が撃ち抜かれた肩を押さえながら言う。

 

「片腕が使えなくなる気分ってのはどうだい?凶神さん。」

 

「何度も経験しているけれど、やっぱり不便ねぇ。折れてしまったのなら仕方ない。刀だけで戦うとしましょう。」

 

そう言った瞬間、左手に握られていた銃が緑色の光を発し、スライム状の液体になるとそのまま液体はエリュシオンの体を通り、刀に吸収されていった。と、諏訪子が神奈子に言う。

 

「神奈子、勝てそうなの?」

 

「分からないよ。奴の話を聞く限り、弱点はありそうだから頑張ってみる。」

 

そう言うと神奈子はエリュシオンと向き合い、再び柱を漂わせる。それを見たエリュシオンは笑みを浮かべて言う。

 

「ククク、面白くなってきたわね。お互いに負傷している箇所がある中でどっちが有利になっていくのか。」

 

「あんたが楽しめるならそれでいいけれど、私は早くあんたとの戦いを終わらせたいよ。」

 

「フフフ、そんな余裕こいちゃって。本当は焦っているくせに。」

 

そう言うと彼女はスペルカードを取りだした。それを見た神奈子は咄嗟にスペルカードを取りだし、発動した。

 

「神秘ヤマトトーラス。」

 

「貫通ゲイボルグ。」

 

二人の攻撃が同時に放たれた瞬間、激しい勢いが辺りを襲う。そんな中、エリュシオンは神奈子に刀を振り下ろす。それを防ぐために彼女は柱で防ぐ。と、エリュシオンが刀を振りながら言う。

 

「アハハハハハ!やっぱり最高ねぇ、八坂神奈子!恐らくアンタは私を追い詰めることの出来る唯一の存在!」

 

「そうかいっ!」

 

そう言うと神奈子は左手で彼女の顎を殴りつけた。そのまま彼女は空に舞うエリュシオンの足を掴み、地面に叩きつけた。

 

「神奈子様!!」

 

彼女の攻撃に笑みが浮かび、声を上げる早苗と諏訪子。そんな中、神奈子は地面に叩きつけたエリュシオンに拳を構える。

 

「そんな容易くはやらせない。」

 

エリュシオンが言った瞬間、彼女の左足が神奈子の顎を捉えた。彼女の蹴りを食らった彼女はよろけながら後退する。その間にエリュシオンはバク転して立つ。と、エリュシオンは自分の額から流れる液体に触れる。彼女の額の上から流れていたのは血だった。自分の血を見たエリュシオンは神奈子を見て言う。

 

「蹴ることを予想してやったか、あるいはさっき叩きつけたダメージね。あぁ痛い。」

 

そう言いながら彼女は自分の手に付いた血を舐めた。それを見て神奈子は口を開く。

 

「あんたも随分やってくれるね。」

 

「さぁ、戦いはこれからよ。私をもっと楽しませなさい。」




ぶつかる神奈子とエリュシオン。二人の戦いの行方は!?
次作もお楽しみに!

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