場所は変わって守矢神社。そこでは早苗と諏訪子が敵襲に備えて戦闘準備をしていた。と、早苗が不安そうな表情を浮かべて言う。
「諏訪子様。この異変、終われますか?」
「・・・それはどういうこと?」
「無事敵を倒せるかということです。帝王やガイルゴールなどといったスキマ妖怪さんや神奈子様でも敵わなかった相手がよく幻想郷を攻め込んでくるので・・・。」
「何?早苗ってば神奈子の力がそんなに期待出来ないの?」
「いえ、そういうつもりで言ったわけじゃ・・・。」
「フフッ、神奈子や私が死なないか心配してるんでしょ?早苗のことだから分かるよ。 大丈夫よ、神奈子なら問題ない。」
「そうですか・・・。」
「ごきげんよう、守矢神社の方々。」
その声が聞こえた瞬間、二人は咄嗟に戦闘体制に入った。
「私が来たからってそんな焦る必要ないじゃない。失礼しちゃうわね。」
二人の前にいたのは長身で腰まで伸びる後ろ髪に青い瞳、白いスーツとスカートをはいた女性がいた。彼女を見た瞬間、早苗が言う。
「あ、あれは!!」
「気をつけな早苗。あれは私や神奈子で倒せるか分からない。」
「二人が話している中、女性が諏訪子に言う。
「久しぶりね、洩矢諏訪子。」
「あんたには絶対再会したくなかったんだけれどね、エリュシオン。」
「会いたくないとはどういうことよ洩矢諏訪子?」
「うるさいわよクソババァ。」
諏訪子の言葉を聞いた瞬間、早苗は目を見開き、諏訪子は口元に笑みを浮かべた。そんな中、エリュシオンは怒りを我慢するような表情を浮かべて言う。
「あら?今なんて言ったのかしら?私には聞こえなかったのだけれどもう一度・・・。」
「クソババァって言ったのよクソババァ。わざと聞こえないふりするのはなんか腹立つよ。」
諏訪子が言った瞬間、エリュシオンの先程まで浮かべていた笑みが一瞬にして消えたのと同時に怒りの表情になった。
「ひっ!?」
思わず声を上げて怯んでしまう早苗。そんな彼女とは別にエリュシオンが諏訪子に言う。
「ずいぶんとなめた口を言うわね、洩矢諏訪子ォ!!私が考えていたアンタとはかなり変わった。かつて八坂神奈子と敵対していなのにそれが今は何よ、仲良くなっちゃって・・・。なんとも愚かな話よ!!」
そう言った瞬間、辺りに謎の圧力が降り注いだ。
「うっ!?」
早苗は思わず声を上げ、膝をついてしまう。
「・・・ちょっと煽り過ぎたかな・・・。」
諏訪子が額に汗を垂らしながら言う。
エリュシオンの放った謎の圧力はドゥームと戦うユニ達の元までも響いていた。
「な、何これ!?」
「お、重い・・・。」
「うまく飛び上がれないぜ!」
「何が起こっているの?」
ユニ、霊夢、魔理沙、輝夜の順番で言った瞬間、ドゥームが出したワープが圧力によって消えてしまった。と、ドゥームがある方向を見て言う。
「・・・まさか、母上がお怒りに?」
「エリュシオンが!?」
他にも百々を探すニルヴァーナの元にも響いていた。
「おいおいマジかよ母さん。まだ表の幻想郷を破壊し終えてないぜ?怒るのは早すぎるんじゃね~のか?」
彼女の謎の圧力は幻想郷の賢者、八雲紫の元にも響いていた。
「紫様!」
外を眺める彼女の元へ式神の藍がやって来る。そんな中、紫がある方向を見て言う。
「この霊力・・・五大王やガイルゴールとは比べ物にならないほど強いわね。もしかしたら史上最悪の異変になるかもしれない。」
「なっ!?」
他の場所でも響く中、エリュシオンは諏訪子をじっと睨みつけながら言う。
「アンタは私の逆鱗に触れた。よってアンタには・・そうねぇ、6割ほどの力を出して戦ってあげましょう。」
そう言った瞬間、エリュシオンは指を鳴らした。その瞬間、彼女の姿が一瞬にして消えた。
「!!?」
「諏訪子様上です!!」
早苗の言葉を聞いた瞬間、諏訪子は上に目を向ける。
「残念、あれは残像よ。」
その声が聞こえた瞬間、早苗の背後からゆっくりとエリュシオンが姿を現した。と、諏訪子が早苗を見て言う。
「早苗私じゃないよ!!あんたの後ろ!!」
諏訪子が言った瞬間、エリュシオンは早苗の腕を掴み、そのまま空中に持ち上げ、地面に叩きつける。
「グハッ!」
声を上げる早苗。そんな彼女とは別にエリュシオンは諏訪子を見て言う。
「さぁ、次はアンタよ。覚悟しなさい。」
「何言ってるの?まだ早苗がいるでしょ?」
「早苗?さて、何のことかしら?東風谷早苗は既に戦闘不能になっているじゃない。」
そう言うと彼女は叩きつけた早苗の方へ目を向ける。
「あ、あぁ・・・。」
彼女の目線には右腕を空いている左手で押さえる早苗の姿があった。無理もない、彼女の腕はあらぬ方向に折れているのだから。痛い、という言葉では言い表せない激痛が早苗に襲った。
「エリュシオン!!アンタねぇ、加減というものを知らないわけ?」
「加減?あら、ごめんなさいね。私ねぇ、闘神達にもよく言われてて直せないことがあってね・・・。加減がねぇ、どうしても出来ないの。だからやり過ぎる時はやり過ぎる人よ。」
そう言った瞬間、エリュシオンの右手からスライムが現れ、そのままスライムが銃の形になり、そのまま銃へと変化した。
「銃?にしても何か違和感の湧く銃ね。」
「これ?ちょいと改造した対全ての者に対抗出来る銃よ。これを食らって平気でいられる奴はいない。」
そう言った瞬間、エリュシオンは銃口を諏訪子に向ける。それを見た瞬間、諏訪子は鉄輪を取り出す。それを見たエリュシオンは笑みを浮かべて言う。
「ほう、それはあの八坂神奈子と戦った際に壊されたモノ。かつて争ったアンタをあの子の関係は今や仲良し。一体何があったのかしらねぇ。」
「あんたには関係のないことだよ。私と神奈子のことなんだから気にすることはないよ。」
「フフフ、違いないわ。」
そう言った瞬間、エリュシオンは諏訪子に発砲した。
「くっ!」
咄嗟に反応した諏訪子は素早い動きで避ける。それでもエリュシオンは撃つのをやめない。
「これでも食らいなっ!」
そう言うと諏訪子は銃弾を避けながらエリュシオンに弾幕を放った。
「無駄よ。」
そう言うと彼女は諏訪子の放った弾幕を空いている左手で弾いた。その間に諏訪子はスペルカードを発動した。
「祟符ミシャグジ様!」
スペルカードを発動した瞬間、彼女の足元から全身茶色の巨大な蛙が姿を現した。それを見たエリュシオンは笑みを浮かべたまま口を開く。
「ミシャグジねぇ。ならば私も対抗出来る生物を呼ぶとしましょう。」
そう言うと彼女の持っていた銃が再びスライム状になり、そのまま笛になった。エリュシオンは笛を口元に近づけると曲を奏で始めた。
「・・・?」
その瞬間、エリュシオンの隣に巨大な空間が現れたかと思うと中から全身茶色で大きさは10m近くはある鷹が姿を現した。
「た、鷹!?」
その姿に声を上げる早苗。そんな彼女とは別にエリュシオンは笛を銃へ戻し、口を開く。
「この子は幻獣。私が作った遺伝子によって巨大な姿へと変貌した生物。鷹の細胞を持ちなおかつ私の作った遺伝子も含まれる、私はそれを幻獣と名付けた。」
そう言った瞬間、鷹が諏訪子の隣にいるミシャグジを見る。そしてそのまま急降下し始めた。
「避けてミシャグジ様!」
諏訪子の言葉を聞いたミシャグジは咄嗟に反応する。
「逃がさないわよ。」
その声が聞こえた瞬間、エリュシオンはミシャグジに銃口を向け、発砲した。発砲した弾はミシャグジの足に命中し、そのままミシャグジは地面な倒れる。
「ミシャグジ様!」
咄嗟にミシャグジを守ろうとする諏訪子。そんな彼女をエリュシオンは横から蹴り飛ばした。
「諏訪子様!!」
彼女の名前を呼ぶ早苗。そんな中、鷹はミシャグジを巨大な足で掴んだ。
「フフッ。」
不気味な笑い声を上げたエリュシオンは鷹を見て指を鳴らした。その瞬間、鷹の近くに巨大な空間が現れた。それを見た鷹はミシャグジを掴んだまま空間の中へ入っていった。
「ミシャグジ様!!」
諏訪子が叫んだ瞬間、空間があっという間に閉じてしまった。と、エリュシオンが突如諏訪子の前に現れたかと思うと彼女の顔を銃で殴りつけた。
「がっ!」
力がありすぎるのか、諏訪子は鳥居付近まで飛ばされる。
「諏訪子様!!」
倒れている諏訪子にエリュシオンがゆっくりと歩み寄りながら言う。
「あらら?どうしちゃったのかしらねぇ、土着神さん。アンタの力はこんなものだっけぇ?月の都の姫と互角に戦えるなら私に苦戦ないてしない筈よね?」
「くっ、ふざけがっ!?」
ふざけやがって。その言葉を言おうとした瞬間、エリュシオンの履いているハイヒールが倒れる諏訪子の腹を踏みつけた。
「ぐっ!?」
エリュシオンは苦痛に歪む諏訪子の顔を不気味な笑みを浮かべながら言う。
「まぁ所詮アンタは弱い。弱いのに強いと信仰者に見せつける、ただのクソガキ。勿論、八雲紫も八意永琳も私からすればガキ。」
「くっ、舐めんじゃ・・・ないよ・・・。」
「?」
「あんたのような・・・あんたのような楽園から追放された奴に言われたくない!!」
諏訪子の言葉を聞いた瞬間、エリュシオンの表情が急変した。余裕の笑みから怒りの顔へと変化した。そしてエリュシオンは口を開く。
「・・・あぁそう。アンタはこんな状況に陥っても強がるつもりね。ならば結構、」
そう言った瞬間、エリュシオンは諏訪子の右腕に銃口を向け、発砲した。
「ああああああ!!」
撃ち抜かれた場所からは血が流れ、諏訪子は声を上げる。そんな彼女とは別にエリュシオンは再び言う。
「痛い?ねぇ痛いわよねぇ?でも、アンタにはこんな程度じゃ足りない。人間や妖怪、闘神とは違うからね。」
「私を、闘神と同じようにするんじゃ・・・。」
「同じようにするんじゃないって?」
そう言った瞬間、エリュシオンはハイヒールのかかとの部分を諏訪子の腹に押しつけた。
「ぐっ!?」
「フフフ、さっき踏まれた時より痛いでしょう?ハイヒールって見た目おしゃれな靴に見えるけど実際は恐ろしく、相手を傷つけることが出来るのよ。」
そう言った瞬間、ハイヒールのかかとの部分が諏訪子の腹に突き刺さった。
「ああああああああああ!!!」
先程よりも声を上げる諏訪子。そんな彼女を見てエリュシオンは笑いながら持っていた銃を刀に変化させた。そして再び口を開く。
「どう?嫌いな奴に拷問されている気分はどう?アハハハハハ、笑える。」
そう言うと彼女は声を上げる諏訪子の左肩に刀を差した。
「ッ!?」
「諏訪子様!!やめてください!!」
「やめてください?フフッ、人間ごときが私に仲間の救済を?無理ね。私が耳を傾けるのはあの子の言葉と闘神達だけ。」
そう言うとエリュシオンは刀を諏訪子に顔を向け、刀を振り上げて言う。
「さようなら、洩矢諏訪子。」
そう言うとエリュシオンは刀を振り下ろす。
「御柱ライジングオンバシラ。」
突然声が辺りに響いたのと同時にエリュシオンの右腕に何か太いものが当たり、そのまま彼女の右腕が吹っ飛んだ。
「なっ!?」
「・・・?」
声を上げる早苗と首を傾げるエリュシオン。と、エリュシオンが足元を見て言う。
「洩矢諏訪子がいない。ということは・・・。」
そう言うと彼女は神社のある方を見る。そこには諏訪子を抱える一人の女性がいた。その女性は青い髪に赤い瞳、背中には注連縄を輪にしているものを装着していた。と、女性がエリュシオンに言う。
「私がいない間に派手にやってくれたね、エリュシオン。」
女性を見た瞬間、早苗が女性の名前を言う。
「神奈子様!!」
絶体絶命のピンチに追い込まれた諏訪子をエリュシオンから救った神奈子。神奈子とエリュシオン、対立する二人の戦いが始まる。
次作もお楽しみに!