東方混沌記   作:ヤマタケる

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エリュシオンから告げられる過去の異変の真実。そんな中、ガイルゴールによって地獄へ送られた筈のカオスが姿を現す。


第107話 カオス再臨

カオスの攻撃を間一髪避けたエリュシオンは目を細めた言う。

 

「あれ?アンタガイルゴールによって地獄の奥底に送られた筈なのに・・・。まさか、私への未練が果たせないからって地獄の奥底から舞い上がってきたというの?」

 

「そうだエリュシオン。我は貴様への恨みを果たすためにわざわざ地獄の奥底から舞い上がってきたのだ!!」

 

「あのまま地獄にいればよかったのに。そのほうが私にとってやりやすかったのにね。」

 

「黙れ!!我が軍の4割を殺戮した貴様を我は許しはしない!!」

 

「・・・自分の幹部的な存在であるアヌビスとペルセポネを食ったというのに、よくそんなことが言えるわね。」

 

「なっ!!」

 

彼女の言葉を聞いてカオスは言葉を詰まらせてしまう。そんな中、エリュシオンが再び口を開く。

 

「アンタ、仲間を大切にしているいい奴を気取っているつもりね?正直なところ、アンタには部下に対しても他人に対しても慈悲はない。所詮アンタはただのクズ野郎よ。」

 

「黙れェェェェェェェェェ!!」

 

そう言うとカオスは再びエリュシオンに拳を叩き込む。その瞬間、エリュシオンも右手に握り拳を作り、カオスの拳を殴る。その瞬間、拳を叩き込もうとしたカオスの腕がユニ達の背後に飛んでいき、落ちた。

 

「何ッ!?」

 

思わず声を上げるカオス。そんな中、エリュシオンが笑みを浮かべて言う。

 

「バァァァァァァカ。アンタより私のほうが強いのは当然だってのによく挑んできたわね。」

 

目を見開くカオスと不気味な笑みを浮かべるエリュシオンとは別にユニが口を開く。

 

「私達があんなに苦戦したあのカオスの攻撃を意図も簡単に弾くなんて!!」

 

「あいつ、相当ヤバイぜ。下手すれば全ての世界の崩壊も考えられる。」

 

ユニと魔理沙が話している中、カオスがエリュシオンに言う。

 

「我は、貴様を倒すまで戦い続けるぞエリュシオン。」

 

「今の攻撃を食らってもよくそんなことが言えるわね。ならいいわ。琥珀・イーグナウスや星熊九十九を処理する前にまずアンタを始末してあげる。」

 

そう言うとエリュシオンは服の中からスライムを取り出した。その瞬間、スライムが銃の形へと変化し、そのまま銃になった。それを見たカオスが口を開く。

 

「ぬ、面倒な・・・。」

 

カオスが言った瞬間、エリュシオンはカオスに向かって発砲する。あまりの速さにカオスは避けられず、翼を撃ち抜かれた。

 

「何ッ!?」

 

と、ユニが目を大きく見開きながら言う。

 

「なんて強さなの?あのカオスが容易く怪我をする強さの銃なんて聞いたことがないわ!!」

 

ユニの言葉に反応したエリュシオンが銃を見ながら言う。

 

(これ)?これはね、チェスター大聖堂という場所の銀十字を溶かして作った15mm爆裂徹甲弾を装填した454カスール改造弾。これを食らって平気で立っていられる奴なんて存在しないわ。」

 

「!?」

 

「ちなみに昔、ヘルシング卿の人間に雇われていた吸血鬼、アーカードという男がこれと似た銃を使っていたけれども私のはあの子のよりも優れている。」

 

15mmという言葉を聞いた瞬間、ユニと魔理沙の体がピクリと反応する。そんな中、エリュシオンはカオスに銃を打ち続ける。カオスはそれをなんとか避けようとするが体が大きいのと銃弾の速さが速いため、避けるにも避けられなかった。と、エリュシオンがカオスに言う。

 

「あらあら?どうしたの~カオス。私を倒すって言った割には全然戦えてないじゃない。」

 

「黙れ!我はまだ本当の力を見せてない!!」

 

「アンタが本当の力を出す?アハハ、笑わせないでよ。アンタは本当の力を出す前に私に倒されるのだから見せる必要なんてないわ。」

 

「貴様ァァ!」

 

そう言うとカオスは身体中傷だらけなのに関わらずエリュシオンに襲いかかる。そんな中、エリュシオンはスペルカードを取りだし、発動する。

 

「雷鎚『ミョルニル』」

 

スペルカードを発動した瞬間、幻想郷に雷雲が突如漂い

始めた。そして雲の中から巨大なハンマーのようなものが現れた。それを見たカオスが目を見開きながら言う。

 

「こ、これは・・・。」

 

「アンタには圧倒的という言葉の意味を教えてあげるわ。」

 

そう言うと彼女は右腕を上げ、振り下ろす。その瞬間、空中を浮遊していたハンマーが雷を纏いながらカオス目掛けて振り下ろされた。

 

「伏せて!!」

 

ユニの言葉を聞いて霊夢と魔理沙は輝夜を抱えて草影に身を縮めた。その瞬間、激しい爆風が当たりを襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆風の勢いが治まると草影に隠れていたユニ達はそっと顔をだし、身を乗り出す。と、霊夢が口を開く。

 

「カオスの奴、一体どうなったの?」

 

「分からないぜ。回り砂埃だらけで何も見えない。」

 

「しばらくしたら晴れると思うよ。」

 

そう言った瞬間、砂埃がゆっくりと晴れていき、砂埃の中にいた者が姿を現した。

 

「なっ!?」

 

中の様子を見てユニ達は思わず声を上げる。中には倒れるカオスをじっと見つめるエリュシオンの姿があった。と、エリュシオンが突然指を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グガァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の雄叫びと同時にエリュシオンの隣に巨大な紫色の空間が現れた。そしてその中から全身鱗に覆われていて四本の足に長い口を持つ巨大な生物が現れた。

 

 

「な、なんて大きさなの!!」

 

その大きさはユニ達の想像を絶するほどの大きさだった。と、巨大生物は倒れるカオスをくわえるとそのまま口の中へカオスを運んだ。

 

「ま、まさか・・・。」

 

ユニが一言言ったのと同時に巨大生物はそのまま鈍い音をたててカオスをあっという間に捕食してしまった。カオスを食らいつくした巨大生物は再び空間の中へ入っていった。それと同時に空間が一瞬にして消えた。と、エリュシオンが自分が着ているスーツをを見て口を開く。

 

「あーあ、14万円したスーツに汚れがついちゃった。後で洗わなきゃ。それに、随分と呆気なかったわね、カオスの奴。それとさっき現れたのは私のペットの幻獣よ。その中であれはワニという現世の生き物を私が作った遺伝子によって巨大化させた奴なの。」

 

「あ、あんな巨大な化け物がこの世にいるなんて信じられないわ・・・。」

 

あまりの恐ろしさに足がすくんでしまうユニ達。そんな彼女達とは別にエリュシオンが言う。

 

「待たせたわね、さぁ始めましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリュシオンさん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声が聞こえたのと同時にエリュシオンの元にに一人の男がやって来た。男を見た瞬間、魔理沙が口を開く。

 

「飽星寳!!お前逃げ出したな!!」

 

そう言った瞬間、寳は笑みを浮かべて魔理沙に言う。

 

「バァァァァカ、俺がそんな程度で捕まるかっつの。」

 

そう言うと寳はエリュシオンの方を見て言う。

 

「エリュシオンさん、月の都を攻め終わったんだな!」

 

「・・・。」

 

「いやぁ流石だな。あの綿月姉妹や親王達を倒すとはな。」

 

「・・・。」

 

寳が何を言おうともエリュシオンは真剣な顔をして何も言わない。と、寳の言葉を聞いた霊夢が口を開く。

 

「なっ、月の都を!?」

 

「そうさ!!エリュシオンさんなら月の都を攻めるのは容易いことだ。」

 

そう言うと彼はエリュシオンの前に立つ。そして口を開く。

 

「さぁ、エリュシオンさん。とっととこいつらをやっつけようぜ。二人なら何のこともねぇ。」

 

ペラペラと寳が話している中、エリュシオンは銃を構えるとそのまま寳の方へ向けた。

 

「えっ!?」

 

思わず声を上げてしまうユニ。そんな彼女とは別に何も気にしない寳が再び口を開く。

 

「幻想郷の連中なら月の都より攻めやすい。さぁ、俺と一緒にッ!?」

 

続きを言おうとした瞬間、銃声音が鳴り響いたのと同時に寳の腹に小さな穴が空き、そこから血が飛び散った。




カオスに圧倒的な強さを見せつけ、更に仲間である筈の寳を撃ったエリュシオン。一体何故寳を撃ったのか!?
次作もお楽しみに!

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