東方混沌記   作:ヤマタケる

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寳を倒した魔理沙達。そんな中、月の都で戦が起こっていた。


第101話 エリュシオン襲来

場所は変わって月の都。そこでは幻想郷の死神、小野塚妹子の言葉通り純狐率いる神霊達がヘカーティア達と共に月の都を攻めていた。そんな中、純狐が月の都を指差し、叫ぶ。

 

「やれ!嬢娥を打ち倒すのだぁ!!」

 

彼女の言葉と同時に神霊達が一斉に月の都に向かって走り出す。それに対抗すべく二人の親王、都久(つく)親王と細愛(ささらえ)親王が兵士に指示を出していた。

 

「死守せよ、奴等に嬢娥の元まで行かせるな!!」

 

「何としても食い止める。殃禍の時のようにはさせない。」

 

二人が話している中、綿月姉妹の豊姫と依姫は襲いかかってくる神霊達を次々と倒していった。と、依姫が豊姫に言う。

 

「お姉様!奴らはまだまだ来ます。」

 

「そうね、余美様からの指示が出るまでの辛抱よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬢娥ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな叫び声と共に純狐が二人の前にいた月の都の兵士二人を吹っ飛ばした。それを見た依姫がため息を吐いて言う。

 

「はぁ、まだ懲りないのですか?博麗の巫女によってあなたは退治されたというのに。」

 

「懲りるわけない!!嬢娥は私にとっての不倶戴天の敵。倒すまで懲りないわ。」

 

「お姉様。」

 

「えぇ、分かっているわ依姫。こいつを嬢娥の元へは行かせないとね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神霊達と月の都の兵士達が戦っている中、都周辺で空間が黒く歪み、そこから一人の女性が姿を現した。女性は戦っている兵士や神霊達を見て笑みを浮かべ、そのままゆっくりと歩いていく。

 

「な、何者だ!?」

 

歩いている最中、一対一を繰り広げていた兵士と神霊の二人が女性を見て叫ぶ。その瞬間、女性は指を鳴らした。

 

「ぐはっ!!」

 

指を鳴らしたのと同時に二人の身体中から鮮血が飛び散り、そのまま二人は息絶えてしまった。それに関係なく女性は再び足を動かし始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことに気づかずに都久親王や細愛親王、サグメはヘカーティア達と戦いを繰り広げる。と、都久親王が口を開いた。

 

「ヘカーティア・ラピスラズリ、これまでの力を有しているとは。」

 

「フッフッフッ、所詮月の都の者達では私には勝てないのよ。勿論、純狐にもね。」

 

「それと地獄の妖精であるあたいにもあんた達は勝てないのよねー。」

 

「クッ、腹が立つ言い方ですが実力は本物。油断出来ませんね、都久親王に細愛親王。」

 

と、話している時に都久親王と細愛親王の前に少し傷を覆った二人の少女がやって来た。

 

「綿月姉妹!!」

 

細愛親王が思わず声を上げたのと同時にヘカーティアとクラウン前に一人の女性が降り立つ。そして言う。

 

「もう諦めるのだな、月人どもよ!!」

 

「私達は、諦める訳にはいかない。」

 

純狐の台詞に首を突っ込んだのはサグメだった。それを見たクラウンがサグメを指差して言う。

 

「あいつ、純狐様に対して無礼な態度をとっています。」

 

「フフフ、それほど私に都を破壊してもらいたいのね。いいだろう、一人残らず始末してやる!!」

 

そう言って純狐は右の手のひらに光を溜め始めた。その時だった。突如都久親王が何かを感じ、辺りを見回す。そして口を開く。

 

「変だ・・・先程まで騒いでいた兵士達と神霊達が急に静かになった?」

 

彼の言葉を聞いた瞬間、ヘカーティアが辺りを見回す。そして言う。

 

「確かに、あれほど騒いでいたのに静かになっているわね。」

 

と、細愛親王が何かの気配を感じ、剣を構えて辺りを見回しながら言う。

 

「気をつけろ、何かがこちらに来ている。」

 

「フン、何者であろうと私の邪魔をするのならば排除するまでよ。」

 

純狐は溜めていた光を消すと辺りを見回し始めた。と、クラウンがある方向を指差して言う。

 

「へ、ヘカーティア様。あれ!!」

 

彼女が言った瞬間、ヘカーティア達は一斉にその方向を見る。それと同時に豊姫達もその方向を見る。指差した方向を見た瞬間、一同は目を見開く。そこには青い瞳に腰まで伸びる銀髪、白いスーツにスカートを着ていて純狐やヘカーティアより少し背の高い女性が不気味な笑みを浮かべて一同を見ていた。と、サグメとヘカーティアが同時に女性の元へ向かっていく。

 

「ヘカーティア!?」

 

「サグメ様!!」

 

純狐と豊姫が二人の名前を呼んだ中、二人はあることを考えていた。

 

(最悪だ・・・よりによって奴が此処へ来るなんて。)

 

(早く倒さないとマズイことになる。そんなことは絶対にさせないわ!)

 

二人が女性の目の前まで来た時だった。女性は一瞬の動きでヘカーティアの腹を蹴りつけ、サグメの頭を掴み、地面に叩きつけた。

 

「ぐはっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

そのままヘカーティアは純狐とクラウンのいる場所まで飛ばされる。そんな彼女とは別にサグメはゆっくり起き上がろうとする。

 

「がっ!?」

 

唐突に女性は起き上がろうとしたサグメの首を片手で掴み、軽々と空中に持ち上げた。サグメは女性の手から逃れようと抵抗するも歯が立たなかった。と、女性はサグメの首を絞めながら口を開く。

 

「仲間とは、良いものなのかしら?」

 

「な、何を言って・・・。」

 

続きを言おうとした瞬間、女性はサグメを豊姫達のいる場所に投げた。そのまま彼女は豊姫達の前で倒れる。

 

「サグメ様!!」

 

すぐさま豊姫が彼女の元へ駆け寄る。そんな中、依姫は二人の前に出てスペルカードを発動する。

 

「終の神剣ヒノカグツチ!!」

 

依姫の攻撃を見た女性は服の中から一丁の銃を取りだした。そして発砲する。発砲した弾は依姫の攻撃を貫き、そのまま彼女の肩に命中した。

 

「なっ!?」

 

依姫の肩から鮮血が飛び散る。そんな彼女とは別にクラウンが女性の頭上に飛び上がった。

 

(この場所なら気づかれない。確実に仕留められる!)

 

クラウンがそう思った時だった。突如女性がクラウンの視界から消えた。

 

「き、消え・・・。」

 

続きを言おうとした彼女であったが既に手遅れだった。女性がクラウンの頭上におり、そのまま彼女を地面に蹴りつけた。そのままクラウンは叫ぶ暇を与えられずに地面に叩きつけられた。彼女が叩きつけられた場所からは砂埃があがる。それを見た都久親王が目を見開きながら口を開く。

 

「我々の兵士で手も足も出ないあの妖精を一瞬で倒すとは・・・!!」

 

驚きだ。その言葉を言おうとした瞬間、クラウンを蹴りつけた女性が都久親王に銃を向けていた。そのまま女性は発砲し、都久親王は肩を撃ち抜かれた。

 

「ッ!!」

 

「都久殿!!」

 

咄嗟に細愛親王が彼の前に出て女性に立ち向かう。細愛親王は太い剣を女性に何度も振りつけるが容易く避けられてしまう。と、女性が再び発砲する構えをとった。

 

「クッ!」

 

声を上げながら細愛親王は防御体制に入る。それを見た女性は不気味な笑みを浮かべてそのまま発砲した。発砲した弾は細愛親王の持っていた剣と着ていた鎧を貫き、そのまま体も貫いた。貫かれた場所からは鮮血が飛び散る。

 

「がっ・・・」

 

腹を貫かれた細愛親王はその場で吐血する。と、その間に純狐が女性の背後に現れ、口を開く。

 

「覚悟しろッ、凶神!!」

 

そう言った時だった。後ろを向いていた筈の女性が一瞬にして純狐の目の前に現れた。

 

「なっ!?(バ、バカな。あの距離で一瞬にして移動してくるなんて!)」

 

そんなことを考えている間に女性は純狐の腹に発勁をした。

 

「ぐはっ!!」

 

腹への衝撃が強かったせいか、純狐はその場でうずくまり、吐血する。その隙に豊姫が扇子を持ち出し、女性の背後に現れる。

 

「サグメ様を傷つけた罰を与えてあげるわ。」

 

彼女が言ったのと同時に女性は銃を構えながら豊姫の元へ向かっていく。あまりの速さに女性はすぐに豊姫の目の前までやってきた。

 

「フフフ。いくら速いといえど、銃では私のこの兵器には勝てないわよ。」

 

そう言った瞬間、女性は彼女に不気味な笑みを浮かべた。その瞬間、女性の持っていた銃が光を出しながらスライム状の形になり、そのまま刀へと変化した。それを見た豊姫は目を見開きながら言う。

 

「そんな!!銃から刀へと変化するなんて!!」

 

驚き叫ぶ彼女とは別に女性は扇子ごと豊姫の胸部を斬りつけた。斬られた場所からは鮮血が飛び散る。そのまま豊姫は何も言わずに倒れた。

 

「お姉様!!」

 

依姫が声を上げる中、都久親王が細愛親王を見ながら口を開く。

 

「細愛殿、奴はまさか・・・。」

 

「あぁ、きっとそのまさかだ。奴は、エデンの楽園から追放され、破壊をもたらす凶神と化した存在、エリュシオン!!」

 

二人が同時にエリュシオンを見た瞬間、彼女は不気味な笑みを浮かべていた。




神霊達と月の都との戦いに乱入してきたエリュシオン。果たして純狐達の運命は!?
次作もお楽しみに!

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