マヨヒガに入った霊夢達はユニにガノンドロフについて話を聞いていた。
「ガノンドロフはさっきも言った通り、『悪の化身』と呼ばれている男で彼は『力のトライフォース』の持ち主なの。」
「力のトライフォース?」
「まあ、霊夢達は初めて聞くから分からないのは無理もないわ。説明するけどトライフォースって言うのは世界に三つしかないと言われている聖なる三角形でそれぞれ勇気のトライフォース、知恵のトライフォース、そして力のトライフォースがあるの。だけど、どうやらギラヒムによるとその三角形が幻想郷にもう一つあるみたい。」
「それで、ギラヒム達はその召喚のトライフォースを狙っているってことなの?」
話しているユニに紫はすかさず言葉を発する。ユニもそれに答える。
「いいえ、どうやら彼らはついでに幻想郷を支配することもするみたいね。」
「それを阻止するかのようにいるのが現実世界から来た覇王クリーフルってことなの?」
「正確に言えばクリーフル達は幻想郷の完全なる支配が目的。トライフォースを狙うことなんかないわ。だって彼らは知らないもの。それに覇王クリーフルには他に5人の仲間がいたのよ。」
「いたってことはまさか、そいつらも来るのか?」
「実は違うのよ、妹紅。そのクリーフルの仲間の内、3人がある人によって命を落としたの。そして今回幻想郷に攻めてきたのはあの3人だけ。」
「あの3人って誰のことなの?」
気になった霊夢がユニに問いかける。その問いにユニはすぐに答えた。
「それがクリーフル、ドールク、そしてじ久よ。」
「ドールク?じ久?」
聞き覚えのない名前を聞いて一同は首を傾げた。そんな中、ユニが言う。
「ドールクは鰐人間で銃王と呼ばれている男でじ久は銃王の左腕。いずれ会うかもね。」
ユニが次のことを話そうとした時だった。突然激しい爆発音が辺りに響いた。
「な、何今の?」
霊夢達が戸惑っている間にユニと紫、藍と橙は既にマヨヒガの外へ出ていた。そしてある方向を見つめる。霊夢、妹紅、慧音、アリスも外に出てユニ達が見つめる方向を見る。ユニ達が見つめているもの、それは大勢の2本の角が生えていて手足がなく、大きな口に青い目を持っている妖怪が大勢の鬼と無縁塚で戦っていたのである。それを見た紫が言葉を発した。
「どうやら、戦いが始まったみたいね。」
「あれは鬼と何かの妖怪?」
「萃香と勇儀が戦っているみたいね。私達は今の内にガノンドロフらとクリーフル達を倒しましょう。」
「ええ、そうね。」
紫が言った瞬間、マヨヒガの外にいた人達全員が一斉に飛んでいった。
無縁塚では鬼と覇王クリーフル率いる覇王軍が激しく争っていた。そんな中、萃香が先陣を切りながら言った。
「さあ、私達の力を見せつけるわよ!」
彼女に続いて勇儀も鬼達に言う。
「アタシも負けてられないからな!ここで戦って幻想郷を死守するぞ!」
「オオー!」
鬼達はやる気満々で覇王軍をどんどん攻めた。それに対抗するために覇王軍も攻めていく。
「チッ、あの小娘、中々やりやがる。」
「まあ落ち着けクリーフル。俺達は別の場所へ攻めないとな。」
「そうだな。俺達は鬼と遊んでいる暇なんてないからな。」
「クリーフル様、ドールク様!」
鰐人間、ドールクとクリーフルが話している中、一人角が2本生えていて短い手足がある妖怪が二人の元へやってきた。それに気づいた二人は妖怪のほうを見る。そして言葉を発する。
「じ久か。どうした?」
「先程、博麗の巫女達も動き出したとのことです。急ぎましょう、すぐにやってくる筈です。」
「分かった。すぐに移動しよう。じ久、お前は紅魔館を攻めろ。レミリア・スカーレットを潰せ。」
「はっ、このじ久、ドールク様から与えられた使命を果たして見せます。」
そう言うとじ久は紅魔館へ走っていった。彼が行った後、ドールクがクリーフルに言う。
「俺は魔法の森を攻める。お前は適当に何処か攻めとけ。」
「分かったよ。ドールク、お前は死ぬな。お前は俺達にとって必要な逸材なんだ。」
「分かってるよ、お前も気をつけろよ、クリーフル。」
そのまま二人は深く頷き合い、それぞれの場所へ走っていった。
鬼と妖怪の争いを妖怪の森から見ていたのはハイラル王国からの侵略者、ガノンドロフ、ザント、ギラヒムだった。と、ギラヒムが言う。
「覇王軍め、あのまま滅んでしまえばいいものを。」
「クリーフルとドールクの姿が見当たりませんね、一体何処に・・・」
「そんなのはどうでもよい。我々はまずは召喚のトライフォースを手に入れることが先決よ。」
「そうですね、申し訳ありません。」
「さて、そろそろ移動する。ここには長居することは叶わないからな。」
そう言うと3人は何処かへ霧のように消えていった。
ユニは一人で魔法の森を散策していた。ここには妖精がいることは彼女は知っている。ユニは彼女達に危機が及ばないようにここへ訪れていた。
「大ちゃん?大ちゃん来てー!」
ユニが大声で呼ぶと森の奥から緑の髪の毛に背中に翼が生えている少女、大ちゃんこと大妖精が彼女の元へやってきた。そしてユニに言う。
「ユニさん、どうしたんですか?」
「急いで安全な場所へ他の妖精達を避難させて。危険な妖怪達がここへ来るかもしれないからね。」
「ひっ、よ、妖怪が!?そ、それで何処へ避難させればいいんですか?」
「一番安全といえるのは永遠亭だからそこへみんなを避難させて。」
「わ、分かりました。」
彼女が森の奥へ行こうとした時だった。突如として森の奥から氷の塊が飛んできたのだ。ユニはそれを容易くかわし、奥から来た少女に目を向ける。
「あたいと勝負しろ!!」
奥からやって来たのは毎度お馴染みの氷の妖精、チルノだった。そんな彼女とは別にユニは真剣な目付きでチルノに言った。
「いい?チルノ。これはお遊びじゃないのよ。下手すればあなたは死ぬかもしれないのよ。だからあなたは大人しく永遠亭にいてちょうだい。私はあなたに死んでもらいたくないから。」
彼女の言葉に納得がいったのか、チルノは黙り込んでしまった。そして言う。
「分かった、あたいは大ちゃん達を守りながら永遠亭に行くね。ユニも死んじゃ駄目だよ。」
「分かってるわよ、さあ、行きなさい。」
彼女の言葉を聞いたチルノと大ちゃんは黙って他の妖精達のところへ飛んでいった。
「中々説得力があるじゃない、ユニ。」
背後から声が聞こえたため、ユニはすぐに振り返る。そこには金髪の少女、アリスがいた。そんな彼女にユニは言う。
「よく紫にしっかりとした大人になるためには賢くならないといけないって言われてたからね。」
「あなたはこれからどうするつもり?」
「私はしばらくここにいて奴らを食い止めることにするわ。」
「そう、偶然ね。私も奴らが来た時のためにここに残っていることにするわ。」
「本当?じゃあ私は東側を見てるからアリスは西側を任せてもいいかしら?」
「分かったわ、死んじゃ駄目よ。」
「勿論だとも。」
そう言うと二人は笑みを見せ合うとそのままユニは東側へ、アリスは西側へ向かった。
幻想郷の侵略、そして彼女らに襲いかかる悲劇。果たして霊夢達の行方は!?
次作もお楽しみに!