私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

今日は【April Fools' Day】

1話限定恋物語の番外編(いつもより短め)
今年は彼女に決めました!
では、どうぞ~



グリモア番外25  2019 April Fools' Day

日差しが暖かく感じられるこの季節、出会いもあれば別れもある。

そんな4月の1日の出来事。

今日はエイプリルフールだ。

毎年、学園内では熾烈な騙し合いが繰り広げられる。

そして、昨年は騙され続けた…… 今年は騙されない様に注意を払いながらそれとは別に、彼女に告白したいと考えていた。

 

最悪、告白して振られても『実は嘘でした! 気にしないで!』って誤魔化せるか? と考えていた。

 

□□□

通学

 

前日の内に、デバイスのメール機能で彼女に放課後、屋上で話しがあると連絡していた。

 

いつも通りの時間、学園に登校していると

「先輩、おはようございます。今日も暖かいですね」

通学途中に、桃世ももが挨拶して来る。

 

「銀河先輩、何か? 私の姿を見て気が付きませんか?」

 

「うん?」

いつも通り、明るくて元気な彼女に見えるが…… 何か違うのか?

 

「実は髪型を変えたんですよ」

 

「うーん……」

ももには悪いが全く分からなかった。

 

「どの辺、変えた?」

 

「え、本当に分からないですか? よく見て下さい!」

さらによく見る…… いくら見ても全く分からない! ダメな男だなと自虐的になる。

 

「先輩、嘘ですよ! 実はどこも変わってないんですよ」

「今日はエイプリルフールなので、嘘ついちゃいました! ごめんなさい」

小走りに彼女は逃げる様に走り去って行った。

 

「朝からやられてしまった……」

彼女らしい、可愛い嘘に引っ掛てしまった。

 

 

□□□

学園内

 

休み時間、廊下で楯野望に出会った。

「珍しいな、朝から授業に出てるのか?」

いつも体調が悪いといいながら授業をサボってる彼女が、朝からいるのは珍しかった。

 

「あぁ、ちょっとな……」

いつもより暗い感じを受ける。

 

「転校生、実は…… 病気が悪化しているらしい…… 宍戸に検査してもらったら…… 後、半年の命だと言われたんだ……」

「だから頼みがある! 今から授業サボって、一緒にゲーム三昧の生活をおくろう」

笑いを堪えている様な顔をした望は遂に吹き出す。

 

「あははは、転校生悪い。お前がそんなに本気するとは思って無かった……」

俺がとても真面目な感じで受け止めたせいか? 望も反省している様子だった。

 

「素直に謝る。悪かった。ごめん」

 

「一瞬、本気にしたが、お前が笑いを堪えているから直ぐに嘘だと分かったぞ。それもゲーム三昧とか…… ありえないだろう」

「まぁ、俺はいつもお前の事を心配してるからそんな嘘は、エイプリルフールでも良くないぞ!」

 

「わ、分かってる…… さっき謝っただろう……」

下を向いて顔が良く見えなかったが、顔が赤い様に見えた。

「大丈夫か? 顔が赤いみたいだけど、熱でもあるのか?」

彼女に近づこうとすると……

 

「何でもない! バカヤロー!」

全力で立ち去って行ってしまった…… まぁ、あれぐらい走れれば、元気だろうと思った。

 

『いつも心配している』の言葉で、照れてしまった彼女だった。

 

□□□

昼休み

 

岸田夏海からデバイスに連絡が届く。

スクープを探して木の上に登っていたら、足を滑らせて落ちてしまい動けないらしい。

 

何度か、More@でやり取りした後、急いでその現場に向かうが、木の下に夏海はいなかった。

 

場所を間違えたか?

 

「銀河、こっち、こっち」

上の方から夏海の声が聞こえる。

声の方を見ると、木枝に腰掛けている夏海の姿が見えた。

 

「お前、怪我したんじゃないのか?!」

 

「嘘よ、嘘。今日、エイプリルフールでしょ。それより銀河、手伝いなさい。その為に呼んだんだから!」

 

「いきなり、何を手伝わせるつもりなんだ」

 

「スクープのネタ探しよ。どうせ、あんた暇でしょ」

 

「暇じゃない!」

 

「またまた。嘘でしょ! 私は騙されないわよ! でも本当だとしても付き合いなさい! 3日前の不純異性交遊を風紀委員にチクるわよ」

 

「そんなこと、してない!」

 

「香ノ葉とイチャイチャしてたでしょ!」

 

「あれは、誤解だろう!」

 

「はい、はい。それじゃ、取り敢えずレッツゴー!」

強引にスクープ探しを手伝う羽目になってしまった。

 

□□□

屋上

連絡していた時間に通りに彼女は現れた。

鳴海 純

17歳 身長165㎝ 体重49㎏ B82 W55 H79

趣味:ゲーセン通い 特技:目押し

雑誌のモデルをしている。

 

「どうしたの? こんな所に呼び出して」

 

「実は……」

自分の逸る気持ちを落ち着かせる。

 

「ちょと待て。まさか銀河、お前…… その感じは…… 私に告白するつもりなのか?」

「それで、実は嘘でした! 的な落ちを考えているんじゃ無いよな?」

 

「な、なぜ。それを…… いや、違うんだ!」

 

「今日はエイプリルフールだから。そんな嘘に、私は騙されないよ」

 

告白する前に読まれてしまった? どうしよう……

この流のパターンは予想していなかった。想定外だ!

 

「実は、私も話したい事があったんだ。先にいいかな?」

 

「え? あ、うん」

動揺が収まらない。どうしたらいい?

 

「これから私は、嘘をつくから!」

 

「え、それ先に言っちゃっていいの?」

エイプリルフールだからって……

 

「ねぇ、銀河…… あなたの事が大好き」

 

「え?」

動揺している矢先に?! 思考が追いつかない。

今、純に好きって言われた?! 

 

「銀河はほんと、かっこいいよね」

あれ? でも嘘つくって……

 

「ずっとそばにいて欲しい。本当に大好きな人だよ」

 

好きな人に好きって言われ、嘘でも嬉しいが…… 

 

「純、なに? 今のは? 新手の嫌がらせなのか……」

嘘って事はその反対? または、何とも想われていないのか?……

 

「…………」

純は少し照れた様子で、俺の顔を真っ直ぐ見つめていた。俺の困っている顔を見て楽しんでいるのか?

 

「違う違う! 嘘つくって言ったのがウソ!」

 

「え?」

 

「だから、嘘つくのがウソ! それ以外は、全部ほんとだよ……」

「改めて、本当に銀河のことが大好きです」

 

「ちょっと待ってくれ! 少し落ち着かせてくれ!」

純に告白するつもりが出来ず、動揺していた所に逆に告白された…… しかも大好きって言われた。

 

「凄く嬉しい! 俺もさっき言おうとしたけど、純の事が大好きだよ」

 

「良かった…… こんな日じゃないと言えなかったからさ。これからは、彼氏としてラーメンを食べたに行ったり、ゲーセンに付き合ってよ。あ、皆には内緒ね! 事務所にバレるとヤバイから」

 

「うん。それは、分かってる」

 

「じゃ、早速。ゲーセンにでも行こう」

彼氏になったが、いつもと変わらない気がする……

 

「その前に、髪にゴミが付いてるぞ。取ってやるから」

純に近づき、髪に手を伸ばすフリをしながら彼女の頭に手を回し少し強引に自分の方に引き寄せ、そして彼女の唇にキスをした。

 

「……」

二人の時間が止まり、しばらくそのままだった気がする。

 

「ごめん。ゴミは嘘だよ。彼氏になったと言う実感が欲しくて…… 俺だけの純になって欲しかった」

 

「と、突然だな…… 顔に似合わず強引だよ。言ってくれればするのに……」

普段は見れない、顔を赤くし照れた彼女の素顔を見れた。

雑誌に載っている彼女では無く、俺だけに見せてくれる本当の彼女の姿だった。

 

「それじゃ、行こうか! これからの時間は、お互い嘘は無しで楽しく行こう」

 

                END

 




いつもお読みいただきありがとう御座います
m(_ _)m

未だ多忙につき作品を慌てて投稿している状態です。
次回も期間が空くかも知れませんが、その時はよろしくお願いします。

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